1997年12月3日 行革会議の提言をもって、行政組織の縮減が始まった。こじつければ、出先機関として定義されるかも知れないが国立大学などの重要な高等教育機関が何故「小さな政府論」に合わせて規模を縮小(定員削減)されるのか極めて不可解な事であった。

1998.10月から、行革の推進は中央省庁等改革推進本部によって行われるようになった。翌年立法化された「独立行政法人通則法」が示すところは、単なる高等教育・研究機関の規模縮小ではなく、それらを限りなく行政のもとに従属させる姿であった。学問・教育活動に絶対必要な、自由な精神の全てを奪うような通則法には、学長をはじめ、多くの大学教員、研究公務員が反対の声を上げた。まさに日本の学術研究体制の崩壊の危機を感じた「憂国の士達の声」だったと言えよう。

この様な反対の声にもかかわらず、今年6月の国大協総会の一ヶ月後、国立大等独法化調査検討会議があいまいな形で発足した。相当数の学長は、この会議の中で反対の態度をを貫けると判断したと思われる。

 橋本行革が打ち上げられてから、既に3年近くを経過するが、調査検討会議を含めた法人化への推移は極めて不透明である。
 しかしながら、我が国の学術・研究活動を崩壊させる危機は、依然として去るどころか、次第にその圧迫度を強めている。

 3年間、独立行政法人を進めてきたのは、学問研究に全く関与しない政治家と官僚だった。大学・研究所がこれまで曲がりなりにも推進してきた、学問研究・教育の未来を大きく歪める、独立行政法人化に反対する姿勢を今ここであらためて確認し、自らの手で研究教育組織にふさわしい活動の場を作り上げる方向の強化を決意しつつ、ac-netの発足を支持したい。

2000.11.12 Y.G.Watanabe