『ニュートンは、りんごが落下する現象と天体の動きを同一の法則で説明してみせた。これに代表されるように、一見かけ離れたものを結びつけることは科学の発展の重要な要素である。これに対し、近年複雑系の研究をきっかけとして二つの矛盾するもの(系)を結びつけ新たな「次元」のもの(系)を創造することが注目されている。矛盾したものをひとつにすると無意味なものが生まれそうに思われる。とくに厳密さを要求される研究においては特にである。しかしながら、人間(もっと広く生物)は普通にかかる「コト」を実行している。両目の視差から3次元を作り出すことは周知の事実である。講演では、具体例を示しつつ矛盾するふたつの系から新たな存在を創り出すことを議論する。』