一国の歴史や社会に関する問題の出題に関しては、事態はいっそう深刻になります。一国を自分たちが望む方向に動かしていきたいと考える集団があるとすれば、その集団は、全体主義的な思想を一国内に浸透させるために、センター入試のような大規模な試験をも利用することになるでしょう。例えば、出題者に有形無形の圧力をかけて、その国の歴史や社会を美化するような出題をさせるように仕向ける、ということが考えられます。
日本の有為な若人の多くが受験するセンター入試は、それら全ての若人の能力と未来を豊かに涵養するという貴重な使命を果たすために、あくまで公正中立でなければなりません。出題者の氏名は絶対に明かさないということが、若人の能力発展に資する創造的な問題作りの最低条件です。出題者は、出題に際し、何より自由であらねばなりません。
以上のような考えに基づき、私達は、現在貴センターが取っておられる意義深い方針、つまり出題者の氏名公表を不可とする、という方針に全面的に賛成致し、その氏名公表不可の方針を、日本の未来を担う若人の十全な育成のために、永久に誇らかに保持されることを心から望みます。