==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
『法学セミナー』2000.2号(No.542)p.26
独立行政法人とは、公共上の見地から確実に実施しな ければならない業務のうち、国家が実施主体となる必要 はないが民間に委ねると確実な実施が期待できないもの を効率的に行わせるために設立する法人をいう(独立行 政法人通則法二条)。この制度には、二つの大きな問題 がある。 第一に、「独立」というが、省庁からの統制は強く維 持されることになっている。独立行政法人は、主務大臣 が定める中期目標を達成するために中期計画を作成し、 毎年度これに基づく計画を作成しなければならない。毎 年度業務実績が評価され、中期目標の期間終了時には業 務評価が行われることになっている(独立行政法人通則 法二九条以下)。業績評価は、独立行政法人の職員の給 与に影響するのみならず(同五二条三項、五七条三 項)、法人の存亡さえ左右する(同三五条)。このた め、独立行政法人が事業を「主体的に国民のために効率 的に実施する」ことは期待できない。 第二に、三〜五年の期間を定められる中期計画によっ て業務が実施される結果、効率性原理に馴染まない業務 がスクラップ化される危険性が高い。国立大学や国立研 究機関における基礎研究は、独立法人化によって切り捨 てられる可能性が高い。これは憲法の文化国家の理念に 逆行するものともいえる。 『法学セミナー』2000.2号(No.542)p.26