==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
読売新聞で報道された自民党の「国立大学法人」案の感想を書きます。 こうした検討を始めたことは、これまでの大学人や良識ある人々が声をあげ、 反対運動を進めてきたことが意味があったということだと思います。同時に現 在の国立大学が、自主権をもたないことが政府側に取っても大きなネックになっ ていることを示していると考えます。 しかし、これによって政府や自民党が大きく方針転換をしたと見るべきではな いでしょう。まだ独立行政法人化をあきらめたとはいえないでしょう。しかし、 独法化に大きな矛盾があることを認めざるを得ないこと、大学人の反対運動の 高まりの中でどこをついて突破するか(実現するか)考えはじめたということ でしょう。 したがって今すぐ実現する課題にするかどうかは検討が必要ですが、大学ない し国立大学の法人格をどう考えるかを問題にしていくことが必要であることを 示しているのではないでしょうか。大学に自主権を与えてこなかったことから くるこれまでの大学政策の問題性を明らかにすることです。外国の大学の法人 格のことも大いに研究すべきでしょう。 そのさい、国立大学だけを特別に扱うのではなく、国公私大学全体の中で考え ることを、特に国立の方々にお願いしたいと考えます。立法技術としての国立 大学法人法ということはあり得るでしょう。しかし、独立行政法人もそうです が、大学が教育機関であるとともに設置者である法人でもあるという意味での、 つまり法人と大学が一体化した国立大学法人ということではよくないのではな いかと考えます。(これはすでにこのメーリングリストでも書いたとうりです。 [2589]ほか) 私立大学では経営の責任は法人が持ち、大学は教学を担当するというのが制度 上の原則ですが、独立行政法人でもこの自民党の検討している国立大学法人案 でも、経営と教学の責任をともに学長等いわば「教学側」に負わせる構想です が、このことについて国立大学の方々はどう考えられますか。 この動きは、独法化の問題が運動の面からも、制度の面からも、政府側にとっ てかなりのネックにぶつかっているということですから、ここで独立行政法人 化をあきらめたかもしれないというような安易な期待をもたずに、もっともっ と強力な反対を続ける必要があります。もっと問題点を具体的に指摘するとと もに、多くの方々に理解を求めることが必要です。 独法化よりそれとは別の法人化の方がましであることは確かですが、今の国立 大学の問題は法人格を与えたからすべてが解決するという質の問題ではないと 考えます。他の諸政策が複合的に国立大学の困難をもたらしているのですから、 それら全体の批判を進めることが必要です。法人問題では、文部省から本当に 独立しているかどうか、つまり自治が保障されているかどうかが大きなポイン トになるのではと思います。また企業会計原則の適用をやめ、大学予算を確保 させる保障が必要でしょう。 蔵原清人(工学院大学)