==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
日時: 平成12年2月24日(木)8:30〜9:50
場所: 自民党本部リバティークラブ4号室
出席: 麻生太郎(主査)、森山真弓(本部長)、政調事務局松本氏他(敬称略)
阿部博之東北大学長、長尾真京都大学長、杉岡洋一九州大学長
(1)主査、本部長挨拶
(2)高等教育政策について、各学長から意見陳述があった。
(阿部東北大学学長)
・学術研究と国力の関係
・大学の地域社会への貢献の在り方
・海外の優れた研究者の招聘の必要性
(長尾京都大学学長)
・21世紀に向けての人材育成の在り方
・大学の個性化の必要性
・自律的な大学運営や教育研究の在り方
・国立大学の果たすべき役割
(杉岡九州大学学長)
・国際的研究拠点としての九州大学の改革について (大学院重点化、研究院構
想)
・学部教育改革に向けた九州大学の取り組み
・開かれた大学づくりに向けた九州大学の取り組み
(3)議員からの主な質問等は以下のとおり。
○旧帝大は、大学院大学にすべきではないか。
○大学院大学にしてしまうことはできなくても、学部を小さくして、大学院を
厚くするということはできるのではないか。
○任期制の法律の際、教授会を中心として強く反対した経緯などから、教授会
を中心とする国立大学は保守的ではないか。
○国立大学でも、弾力的に教官に採用すべきだ。
○教授・助教授には任期をつけないとしても、助手には任期をつけるべきだ。
○大学の国際化を進め、著名な教授を招へいしたり、留学生を増やすべきだ。
○外国人留学生が少ない原因として、日本語の問題で博士を取得できないとい
うことがあるのではないか。
○現在、日本の学生も、優れた者はアメリカで学ぶことが多く、中国などアジ
ア諸国もアメリカの大学を指向している現状をどう捉えるのか。
○外国人の教員を日本人と同様に採用し、全教員の3分の1程度までにすべきだ。
○社会の要請に応えて大学も変化する必要がある。このためには各界の意見を
大学の運営に反映させるべきだ。
○もっと大学と社会の空気の一体感を強くすべきだ。
○医学・生命倫理は日本では危機的な状態にある。大学で実用化の一歩手前ま
で行うべきだ。
○TLOとは別にベンチャーを作ることが大学の役割の一つとすべきだ。
○ロースクールが検討されているが、同様なものを他の分野についても検討す
べきだ。
○大学における特許の取得件数が少ないのではないか。大学を評価する際の指
標にすべきだ。
○職業観を大学生に身につけさせる教育をすべき。
日時: 平成12年3月2日(木)8:30〜9:50
場所: 自民党本部リバティークラブ4号室
出席: 麻生太郎(主査)、森山真弓(本部長)、政調事務局松本氏他(敬称略)
石弘光一橋大学長、原田康夫広島大学長、田中弘允鹿児島大学長
(1)主査、本部長挨拶
(2)高等教育政策について、各学長から意見陳述があった。
(石一橋大学長)
・日本の大学は国際競争力を失っており、世界レベルから遅れをとっているこ
とは事実だ。
・これは、国立大学がこれまで過度に保護され、いわば護送船団方式に問題が
あると考えられる。
・やはり大学にも競争原理は必要である。ただし、競争になじまない学問がす
たれていくおそれがあるので、基礎学問は大学や政府が責任をもって確保する
必要はあるが、それ以外については、大いに切磋琢磨すべきだ。
・これらを解決する手段としては独法化は一つの選択肢である。ただし、通則
法のままでは問題がある。
(原田広島大学長)
・教育の原点について言えば、戦後我が国は大きな間違いを犯した。道徳を教
えていない。心の教育が大切である。
・独法化はやむを得ないところもあるが、しかし教育は100年の計であり、民
を作るのは教育だ。そのへんのところを十分考えてほしい。
・全入時代を目前に控え、国立といえども安閑としてはおれない。生き残りを
かけて、広島大学も高齢者の再教育など知的好奇心を満足させるようなことも
行っていく。
・今後国立大学が悪くなったら、それは政府や政治家の責任だ。これまでつち
かった財産をつぶさないでほしい。
・独立行政法人化しても、是非、国立大学という意識はもっていただきたい。
(田中鹿児島大学長)
・私立と国立の学生比を地方でみると国立の方た多く、地方国立大学が各地域
で担っている役割は極めて大きい。
・地方国立大学の真の存在意義は、その学部学科の多様性に基づいている。
・地方国立大学の技術者養成の眼目は、堅実な技術力の養成にあり、今日、日
本社会に一番必要とされているのはこの部分だ。
・独法化に関して、(1)研究評価に際し、短期的な経済的効果が求められるこ
とになれば、長期にわたる地道な努力は、どのようにして客観的に評価すれば
よいのかということ、(2)産学連携への依存度を高めることは、地方の国立大
学ではほぼ不可能であり、生き残ることができる学問分野が限られてくるとい
う問題がある。
・これらにより大学における教育研究の多面性の崩壊を招くおそれがあり、ひ
いては、地方の経済的地盤の沈下や地方過疎化につながりかねない。
(3)議員からの主な質問等は以下のとおり。
○高等教育は必ずしも競争になじまないところがあり、政府として、あるいは
党として、今後の高等教育費をどうするのか、骨太の方向性を示さないといけ
ない。
○独立行政法人化により、「角を矯めて牛を殺す」ようなことがあってはなら
ない。
○社会に大学が認められない理由として、前回、地財法の制約や公務員倫理法
の制約が指摘されたが、このように法的に乗り越えるべき課題はあるか。また、
政治と大学の連携は考えられないか。
○評価を行うということで市場原理と言わないまでも競争原理はいずれにして
も入ってくる。地方の国立大学の状況を卑下することはない。独立行政法人化
により、伸びる可能性がある。
日時: 平成12年3月7日(火曜)14:00〜15:20
場所: 自民党本部リバティークラブ4号室
出席: 麻生太郎(主査)、森山真弓(本部長)、政調事務局松本氏他(敬称略)
小出忠孝愛知学院大学長、大沼淳文化女子大学長、大南正瑛立命館
大学前学長
(1)主査、本部長挨拶
(2)高等教育政策について、各学長から意見陳述があった。
(小出愛知学院大学長)
・現在、大学・短大の進学率が50%に迫る状況にあり、エリート教育から普遍
的な教育に変わることとなる。このような状況下で、学力低下の問題や目的意
識の無い学生が増えるという問題が生じている。
・つめこみ教育から個性を伸ばす教育に変わりつつある中で、これからは基礎
基本の教育が中心とならざるを得ない。
・入学試験で、医学部の学生が生物を受験せず、また、理学部の学生が物理を
選択していないという例が顕著になっている。
・2009年には大学全入時代を迎え、地方の私立大学は、このような学生を対象
に基礎基本の教育をしなければならない。
・大学数、学生数において、高等教育の3/4は私立大学が支えている。
・多くの私立大学は、中位以下の学生を相手にしなければならない。
・国立大学と私立大学の公財政支出の格差についてご配慮していただきたい。
・日本の高等教育に対する公財政支出はGDP比で0.7%に過ぎず、先進諸国並の
1%台に高めていただきたい。
(大沼文化女子大学長)
・受験生が大学を選択する時代に確実に入った。
・定員割れを起こした大学や存続が困難となった大学を、国全体としてどう対
応するのかということを考えるべき。
・高等教育は国の所管であってしかるべき。最近は、県、市、第三セクターな
どで大学をつくり始めているが、国全体としては、これでよいのかという懸念
を抱いている。
・専修学校を含めて70%を超える進学率の中で、これまでと同じ考え方で高等
教育の在り方を考えることは問題だ。
・これからの大学は、大企業のために人材を輩出するだけではなく、コミュニ
ティー社会に向けた人材養成に取り組むべき。
・規制緩和はよいことだが、私学に活力を与える観点で行っていただきたい。
さもなくば、国立など強いところばかり残ることになる。
・能力の低い学生に対して、どのように教えるかが重要である。
・これまで教官は研究業績のみで評価されてきたが、これからは教育業績の評
価も必要だ。
(大南立命館大学前学長)
・大学改革を進める上で必要なことは、(1)設置形態の如何を問わずインフラ
を整備し、公正な競争ができる大学とすること、(2)社会に窓を開けること、
(3)大学人の自助努力の3点。いずれにせよ、開かれた大学、明るい環境は、大
学に絶対必要である。
・目先の改革に追われ、大学の持つ普遍的原理を忘れてはいけない。
・戦後からこれまでの国公私の役割を評価し、今後の高等教育政策に反映させ
るべき。
・私学は建学の精神により評価されるべきであるが、これまでは設置形態、進
路状況、入試難易度などで評価され、私学間の格差がひろがっている。この意
味でインフラの整備が重要である。
・21世紀の高等教育政策を国政レベルで戦略的に進めていく中で、独法化問題
など、切り離して議論すべきでない。
(3)議員からの主な質問等は以下のとおり。
○今回の問題を契機に国私の在り方を、今までの前提を抜きにして検討すべき
だ。
○国公私の果たしてきた役割を総点検する必要がある。
○少子化が進展する中で、国立・私立を問わず対等な競争がなされるべきだ。
○これまで国立大学は研究面で評価されているが、教育活動には熱心でない。
○大学教育は21世紀を担う若者に応えているのか。現状は、入学後、学生生活
を無意味に過ごしているのではないか。
○大学では、教育・研究部門にそれぞれ分けた方がよい。大学の二つの機能を
明確にして評価するという体制を整えるべき。
○日本の学生は自立心がない。アメリカでは18才で自立している。大学は、学
生が自立していけるような教育を行うべきだ。
○初等中等教育において、ゆとり・自由化が強調されたため、今の大学生の質
は低下している。大学を5年制(学部3年、大学院2年)にしてはどうか。
○学生数を1/4減らすべきではないか。
○私学でも、入試における受験科目を増やすべきだ。
○入試の受験科目は、政策的に一律的な規制をすべきだ。個々の大学における
教育課程に応じた科目を受験科目にするという原則を立てるべきだ。
○理工系の大学は危険物を扱っており、しっかりとした管理が必要な側面もあ
る。このような大学の独立行政法人化を、博物館などと同じように安易に考え
るべきではない。