==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
今、大学に、効率化と市場原理を柱とする「改革」の波が押し寄せています。そこでは、研究も教育も大学経営も、お金に換算できる成果だけが判断基準。ところが、文学や哲学にかぎらず、大学で教育研究する学問は、短い間に利益を上げられる方が、むしろ例外です。だから、多くの欧米諸国では、利益追求にかたよらず、受益者負担を押しつけることなく、公費で教育研究活動を支えているのです。ところが、この日本では、高等教育と学問研究に対する公的な支出の割合が低迷を続けています。逆に学生と家族が負担する学費は高騰しています。それはまるで、授業料負担という現実の前に、未来のシェークスピア・明日のショーペンハウエルに無限の夢を断念せよ、と命ずるかのようです。
私たち大学教職員は、今という時代の難問に立ち向かう専門家集団です。すぐには答えの出ない問題を、じっくり研究する。安い学費で、すぐれた教育を行う。教育研究の成果を、広く人類社会に提供する−−国立大学の存在意義はここにある、と考えています。