Date: Wed, 19 Apr 2000 18:08:42 +0900 From: "Manabu KONDO" Subject: [reform:02740] 滋賀県有志 239名の声明 To: JSA 本部,大学改革情報 フォーラム 全国の皆様,はじめまして.滋賀大学の近藤と申します.このたびJSA滋賀が仲介役 となって,滋賀県内の大学関係者や各界の方々に独立行政法人化反対の声明の賛同を 求めましたところ,以下のとおり239名の賛同を得ました. これまで全国の運動に励まされてやってきましたが,これでやっと恩返し(?)がで きると思います. これからもどうぞ宜しく.ともに頑張りましょう! 4.19 M.KONDO
文部大臣 中曽根弘文 殿国立大学の独立行政法人化に反対する声明の発表にあたって
2000年4月18日 発起人:稲葉和夫(立命館大学教授) 遠藤修一(滋賀大学教授) 大竹昭郎 (日本科学者会議滋賀支部代表幹事) 大和田敢太(滋賀大学教授) 木島温夫(滋 賀大学教授、滋賀大学教職員組合執行委員長) 近藤 学(滋賀大学教授、日本科学 者会議滋賀支部事務局長) 高橋哲郎(龍谷大学教授) 那須光章(滋賀県立大学教 授) 西山勝夫(滋賀医科大学教授) 水原 渉(滋賀県立大学教授) 貴職に敬意を表します。 さて、1997年12月、政府の行政改革会議は「行政機能の減量」の一環として、「独 立行政法人」の創設をあげました。その後事態は急速に進み、1999年12月には、大多 数の国立試験研究機関、博物館、美術館などを独立行政法人とする設置法が成立しま した。 国立大学についても、文部省は1999年9月に独立行政法人化の方向を打ち出しまし た。先の第146臨時国会では、これは法制化にいたりませんでしたが、政府は大学の 独立行政法人化をあきらめたわけではありません。 国立試験研究機関などの独立行政法人化について関係者の強い反対があり、それは 今も続いています。国立大学の場合にはさらに反対が強まり、政府の方針に批判的な 世論が高まっています。 滋賀県では、さる3月、日本科学者会議滋賀支部が事務局を担当して、標記の声明 を作成し、県内の大学職員ばかりでなく、県会議員全員、教育関係者、各種団体関係 者などに広く賛同をお願いしました。その結果、下記のとおり239名もの賛同をえる ことができました。このことは、国立大学の独立行政法人化が、現在の時点では多く の大学関係者の賛同をえられないばかりでなく、県内各界の方々にとっても望ましい ものではないことを示しています。ただし、私たちは大学の改革自体を否定している わけではありません。大学の改革は重要であるがゆえに、国民および県民の様々な意 見を汲み取り、大学自体の内部改革努力と連動させつつ、慎重に進めるべきです。上 からいきなり設置形態の変更という「外科手術」を行うことには大いに疑問を感じま す。 この声明は、文部大臣、滋賀県知事、滋賀大学学長、滋賀医科大学学長および滋賀 県立大学学長に提出し、同時に記者発表を行いました。
国立大学の独立行政法人化に反対し、 | |
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文部省は昨年9月20日、「国立大学の独立行政法人化の検討の方向」を発表し、 全国に99ある国立大学の設置形態を「独立行政法人」に変えようとする意向を明ら かにし、2000年度の早い時期にも独立行政法人移行を決定し、新たな制度の設計 に入る構えを見せています。 こうした政府・文部省の性急な動きに対し、全国の大学や学部、基礎科学分野およ び歴史学関係の学会、国立大学理学部長会議、国立大学協会、日本学術会議会長をは じめ、様々な団体・個人が反対の意見を表明しています。 独立行政法人化の方向は、中央省庁等改革推進本部を中心に推し進められている行 政スリム化の切り札として、国立大学の教職員12万5000人を国家公務員の「総 定員法」の枠内から切り離し、これによって「公務員の定員を10年間で25%削減 する」という政治的公約との整合性を図るための手段として突如浮上してきたもので す。こうした制度変更の方向は長年にわたる大学関係者の内部改革の努力の中から出 てきたものではありません。また、昨年成立した独立行政法人通則法は、行政の機能 を「企画・立案機能」と「実施機能」に分離し、実施機能をもつ政府機関を独立行政 法人として分離し、主務大臣が定めた「中期目標」のもとに効率的管理を図ろうとす る考え方に立脚しています。 今日の教育、とりわけ大学教育には様々な問題が山積していることは明らかです。 しかし、国立大学の独立行政法人化は政府・与党の公約実現の決め手にはなっても、 日本の大学教育改革の決め手にはなりません。確かに膨大な国家行政機構の中には企 画・立案機能と実施機能を分離し、効率化を図ることが可能で有効な分野もありうる と考えますが、もともと教育・研究等の学術・文化の創造に関わる活動は、通常の行 政活動とは異質なものであり、行政改革・国営事業効率化の観点からのみ拙速にこの 問題に結論を出すならば、我が国の将来の高等教育・研究に取り返しのつかない禍根 を残す恐れがあります。 国立大学の独立行政法人化は、「特例措置」や「独立の法人格」を与えることで各 大学の自主性を強めるものであるかのように強調されています。しかし、文部省提案 では、あくまでも「通則法」の趣旨が貫徹することになり、主務大臣の指揮監督権・ 人事権が明記されるなど、大学の自治や学問の自由を保障する独立した法人格とは程 遠い内容とならざるをえないものです。 さらに、上記の法制度設計上の問題点以外にも以下のような多くの問題点が存在し ます。 (1) 独立行政法人化は、財政難を口実として、国の高等教育・研究に対する 公共性の放棄に繋がる可能性が高いものです。 そもそも日本の公的な高等教育支出の対GDP比は欧米の半分以下であり、私立大 学をも含め、公的資金の投入が長年にわたって抑えられてきたために、教育・研究条 件の貧困化が進行する一方で、先進国には例の無いスピードで入学金、授業料の値上 げが行われてきたことは周知のとおりです。その結果、大学関連の子弟の教育費は家 計を圧迫する主要な要因の一つとなっており、多くの学生は授業料の納入のみでな く、生活費のために恒常的にアルバイトに従事せざるを得ない状況に追い込まれてい ます。さらにはバブル崩壊後の長期景気低迷や中高年リストラなどの雇用不安の中で 国民の生活基盤が脅かされ、大学への進学そのものや学業の継続を中途で断念せざる を得ない事態が生まれています。こうした中で、国立大学の独立行政法人化は大学運 営に一面的な経済効率性を要求するものであり、結局は授業料の大幅な値上げ、国民 への教育費負担のいっそうの押し付け、さらなる教育・研究条件の貧困化に帰着せざ るをえないものです。 (2)独立行政法人化は高等教育・研究機関としての国立大学のあり方に大き なひずみをもたらすものです。 戦後の国立大学は基礎科学研究の担い手として、また総合的・長期的な視野を持っ た有為の人材の育成に大きな役割を果たしてきました。しかし、独立行政法人化に伴 い、主務官庁と第三者機関による大学評価と改善要求が義務化されます。その第三者 機関の構成メンバーは明らかにされていませんし、大学評価・学位授与機構の内容や 基準も明らかにされていません。そのうえ、総務省による評価機関も設置されること になります。 こうした状況を総合的に判断すれば、高等教育の方向・内容が時の権力者や経済界 の意向に強く左右され、短期的な成果や産業技術的有用性のみが評価されたり、「大 政翼賛」的・国家主義的な方向に変質して行くのではないか、との懸念を払拭するこ とができません。 イギリスやニュージーランドの事例に示されるように、息の長い研究が必要な基礎 科学分野や人文科学分野が衰退させられる可能性が高く、結局、独立行政法人化は日 本の科学技術の世界的水準の展開や総合的発展を阻害する懸念が高いものです。 (3) 独立行政法人化にともない地方国立大学は統廃合され、地域の要請こた えきれなくなる可能性が高いものです。 経済のグローバル化が急速に進展してゆく中で首都圏と地方、地方間の経済格差は 増大しています。こうした中で、地方国立大学の独立行政法人化はこれまでの「一県 一国立大学」という制度的枠組みを大きく超えて、経営優先のために広域的な統廃合 を余儀なくされる可能性が高いものです。これまで、県立大学や私立大学とともに地 域社会の重要な教育・研究機関として、あるいは地域からの情報発信を支える学術的 ・文化的インフラストラクチュアーとして貢献してきた地方国立大学が、単に財政効 率の観点からのみ統廃合されてもよいのでしょうか。21世紀における地域からの情 報発信の重要性や教育機会の地域的公平性の確保などの観点から、総合的かつ慎重な 検討が必要ではないでしょうか。 以上のように、国立大学の独立行政法人化は短期的・財政効率的な観点から短絡的 に結論を求めるのではなく、教育・研究のあり方、高等教育における国立大学の役 割、地域間公平性の確保、地域社会・経済・文化の発展、学問の世界的・総合的発展 の見地などから、国民的な議論と検討が必要であることは明らかです。 日本政府および文部省は、以上のような問題点を認識し、拙速な態度を改め、ユネ スコを含む国際機関における高等教育改革の論議や国民各階層および大学関係者の意 向を踏まえた慎重な議論を開始すべきです。また、滋賀県においても、地方国立大学 の役割を再検討する中で、21世紀の新たな大学像を模索し、検討すべきであると考 えます。 以上の理由から、私達は、現在進められている国立大学の独立行政法人化には強く 反対するとともに、多くの滋賀県民の方々がこの問題に対し関心を持たれ、新たな大 学改革のための県民的討論が開始されることを呼びかけるものです。 2000年4月18日 239名賛同者一同(別紙参照) 国立大学の独立行政法人化反対声明の賛同者一覧(肩書きは二○○○年三月三十一日 現在) (氏名は滋賀JASから許可があれば掲載) 国立大学 110名(うち非公開18) 公立大学 37名(うち非公開3) 私立大学 19名 大学教員以外の教育・研究者 27名 労働組合 11名 弁護士 7名 医師 4名 県会議員 3名 芸術家 3名 年金者組合 3名 女性団体 3名 環境団体 2名 障害者・福祉団体2名 宗教者 2名 税理士 1名 企業経営者 1名 商工団体 1名 農業団体 1名 その他 2名 |