広島大学(5月21日) 新潟大学(5月20日)
Date: Mon, 22 May 2000 20:38:33 +0900 From: reformad@ed.niigata-u.ac.jp (reform-ml) Subject: [reform:02807] 広島大学における文部省大学改革推進室長の講演会 To: reform@ed.niigata-u.ac.jp 昨日(5月21日)、広島大学において杉野大学改革推進室長の講演会が開催 されました。最近の自民党案に関連する後半部分を紹介します。杉野氏は前日の 20日には新潟大学において講演しており、新潟大学の場合は杉野氏の側から 「話しをする機会を作ってほしい」と大学に持ちかけたとのことです。 この情報は、広島大学の講演会に参加したreform-mlの会員からよせられたも のですが、次のようなコメントが添えられています。 「以下に示すような論理で、これから文部省が各国立大学を説得して回ると 予想されますので、その論理構成にかみ合った反論を組織していただきたいと 思います。要は、『色々心配はあるでしょうが、皆さんの立場に立ってやりま すからご心配なく』と言う論理で、ほぼ満員の聴衆は、完全に説得されたと言 う印象でした。発表者は、講演後の質問に詳しくは回答していませんし、いわ ゆる自民党案も問題のある点(学長人事、評価への学外者の参加など)は隠し ております。極めて不本意ながら、このような論理で国立大学の独立行政法人 化が片づけられてはなりません。」 5月22日 大学改革情報ネットワーク 文部省高等教育局大学課大学改革推進室長 杉野剛氏の講演「国立大学の独立 行政法人化について」と討論の要旨 平成12年5月21日(日)11:00-12:30 広島大学教育学部 1.独立行政法人の制度の特色と経過 (1)「小さな政府」づくりの3形態 (i) 民営化・自治体移管、(ii) 独立行政法人化、(iii) 直営組織の定員削減 のなかで、国立大学は (ii) に該当する。当初は平成15年まで留保されていた が、国家公務員の削減目標(平成13年から25%)の達成のために、前倒しさ れた。 (2)独立行政法人の運営ルールと国立大学への適用 通則法に基づく独立行政法人化の内容を紹介(略)した後、賛否を聴衆(約3 00人)に挙手で問う。「賛成」8人、「反対」10数人、「プラス・マイナス あり」が残り。文部省は「プラス・マイナス論」であり、プラスは5年間の中期 計画期間中の弾力運営にあり、マイナスとは国立大学にふさわしくなく、やって はいけないものであり、それは、(i)中期目標の一方的な行政による提示、(ii) 教育・研究を対象とする評価システムになっていない、(ii) 学長の任命制(現 在の選挙による選出は国立大学の歴史の中で作られた伝統である)である。 現在文部省は、独立行政法人化を活用しながら、国立大学に合わない通則法の 設計図を書き直すことを考えている。 関連して、最近の自民党の提言を「1つの政党ではあるが与党でもあり、これ ほどまとまった提言をした政党は他にない。激辛部分もあるが高く評価すべき注 目点がある。」として、(i) 行革ではなく大学改革の観点から独立行政法人化を 考えている、(ii) 通則法ではなく他の法律で通則法を打破すべきとしている、 (iii) 独立行政法人化は予算削減を意味しないとしている、を挙げた。 (3)独立行政法人化に関わり頻繁に出される意見への見解 *「国立大学にふさわしい制度をなぜつくらないか」について その可能性はなきにしもあらずだが非常に難しい選択である。その理由は、 (i) 他省庁の研究機関が通則法のもとに独立行政法人化して、霞が関で文部省は 孤立し「仲間がいない」、 (ii) 「私立大学移行論」が台頭する、を挙げた。 *「通則法の修正には限界がある」について 現在でも、国立大学の教官身分や財政には、国家公務員法・教育公務員特例法 (「教特法」)と国立学校特別会計法が適用され、補正して柔軟運用されている ので、通則法でも可能である。独立行政法人化のよいところを生かして、設計図 を作りたい。 2.「法人」の持つ意味 諸外国の例と日本の私学「法人」を比較して、日本の国立大学のみが法人格を 有していない。「法人化」で国立でなくなるのではない。これまでも戦後に、 「公社論」など「法人化」に類似した議論があった。 いずれ結論がでるだろうが、どのような形になろうとも、評価とそれに結びつ いた資源配分は、避けて通れない。ただその評価は、需要と供給で決まる市場原 理に基づくものではない。 質疑応答(筆者が理解できる部分のみ)Q(質問)A(回答) Q1 「学位授与・大学評価機構」も法人化されるのか? A 不明。ただ、国立大学に準ずる共同利用機関なども独立行政法人化すること を念頭に置いてもらいたい。 Q2 通則法の設計図を書き換えるというが、その骨格は「企画立案機能」と 「実施機能」の分離にある。そこまで設計図を変えるつもりか? A 教育・研究を企画立案するのは大学である。教育・研究目標の指示を、国か ら一方的にやることはない。その一方で、基礎研究の重視や大学の枠組み、配置 などには国の関与が必要。現在の文部省と国立大学の関係のように調和させたい。 Q3 企業会計原則はどうなるのか?北大法学部の宮脇教授は、「それを一言で いうと、黒字は出すな、赤字は自前で補てんしろ、ということだ」と言っている。 A 企業会計原則のことは難しい。制度設計には時間がかかる。単に事務が増え るだけとなってはいけない。皆さんに叱られないようにやっていきたい。 Q4 法人した後に、教員に「教特法」は適用されるか? A 昨年9月の文部省の「検討の方向」に、「教特法」の適用を図る方向である としている。自民党案には明らかではないが、同じだろう。 Q5 公務員型か非公務員型か? A 同じ法人内に両者の混在はなく、教官であろうが事務官であろうがどちらか になる。まだ、どちらになるかははっきりしていない。 Q6 定員削減計画はどうなるか? A 独立行政法人化の目的は「小さな政府」づくりにあり、国家公務員を減らす ことが目標ではなく、独立行政法人化して国の直轄事業を少なくすれば行革の目 標達成となるのではないか。独立行政法人化すれば、従来の定員削減計画(10 年で10%)から離れる。しかし、独立行政法人化する前までは、その削減は粛 々と行われる。
Date: Wed, 24 May 2000 20:34:10 +0900 From: Yuichi WATANABE Subject: [reform:02816] The Sugino's Lecture in Niigata To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Reform 会員各位: 広島大学の方が先に報告が出ましたが、新潟大学における「文部省」 大学改革推進室長・杉野氏による講演の概要と質疑応答をお知らせします。 ===前書き==== 参加者は、主催(大学)側の発表では、400人と言われており、講義室定員200 程度のの座席の両側には補助椅子が並べられていた。 紹介では、杉野氏の入局は昭和59年とされたから、40そこそこの若さと思われる。 白髪一つ無かった。 話に先立ち、前回新潟大学で話した時(我々にはこの会は不明だが、前回の話を聞いた 者を挙手させた結果では、何十名かに達する模様)とは、状況が変わってしまったので、 当然内容は以前と変わったものになるとの前置きがあった。 レジュメを作るのが苦手なので、文書はない。しかし解りやすい話をするので、文書は 必要ないでしょうとの事(証拠を残さないためではないかと、我々は推察)。 =============== 話の流れ 1)何故独立行政法人化を行うのか−−小さな政府論 2)新しい独立行政法人のルールの説明 3)法人というものの考え方 1)行革の中で出された小さな政府論 橋本総理のもとでの行革会議は、「小さな政府」論に基づいて、国が行わず 民営で 可能な方向(水平分業)と、国の直営ではない法人という新たな制度を作る(垂直分業) ことによって定員削減をおこなってゆこうと方針を立てた。この事により、55万人居 る公務員の25%(1/4) の削減が行われるのだが、絶対数ではこれは、14万人ほどに なる。国立大学関係では12万人の公務員が居り、ちょうどこの人数が狙われた事にな る。他の省庁は、既に法人化という制度を認めたが、文部省関係だけが残ってしまって いることになっている(案に認めざるを得ないという雰囲気)。今までの国立から 「切り捨てられる」と言った感じもあるかも知れない。 2)独立行政法人のルール 前項で、「切り捨てられる」という表現を取ったが、そうではなく、仕事をし易い 新しいルールを作ってゆこうと言う方向である。 その1は「中期目標の策定」で、文部(将来は文部科学)大臣が設定した5 年単位 の目標が決められた後は、「かなり自由に」活動して頂く。単年度決算の廃止、繰越金 は自由、組織・定員配置は自由、文部省に概算要求したりする必要なくなる、給与体系 も自由に設定できる。独立行政法人だからといって、急に独立採算制にして予算を充当 しないのではなく、予算が確保できることは評価すべきことである。 5年の目標設定期間を過ぎたら、それまでの活動を評価して、更に次期の目標を 設定することになる。もし期間中の成果が乏しいとなれば、(法人)長の首を切るとい うことになる。この表現は余りにも露骨なので、代わっていただくという表現となる。 上記のルールの中には、デメリットが3つある。1)大臣による目標設定の制約、 2)99もある大学に加えて、美術館・博物館・研究所と多数の機関の評価はとても現 実には無理である、3)学長の任免権が法人側にない。このような欠点のある制度設計 を、そのまま取り入れるのではなく、直しつつ受け入れるのが現実的なゆきかたである。 よく大学に応しい「別の制度」を最初から作れないのかという質問を受けるが、文部省 関係は全く孤立して応援してくれる省庁は全くいないし、このような問を出せば必ず 「学校法人」(私立)として独立しろという方向に追いやられる。そうは言っても、今 回の独法制度は出発点から国立大の事を考慮して作られていないという疑問があるであ ろう。そういうならば、現在の制度だって、教育関係者には一般の公務員同様「国家公 務員法」などという、大学以外の公務員を対象とした、大学に合い難い法律が適用され ている事があるが、教育公務員特例法などによって、まずいところを修正しながら進め ているのである。 3)法人というものの考え方 諸外国を見るならば、大学が法人格を持つことはとうぜんである(欧米のいくつ かの例が紹介された)。昔の永井文部大臣も、大分前に「国立大学公社論」を提案した ことがある。国の予算で運営されることと、法人格を持つことは決して矛盾しない。独 法化の方向は、民営化とは異なるし、制度として飛んでもない程受け入れ難いものでは ない。教育施設が良くなるかどうか検討して、悪いところは変えつつ、冷静な態度で受 け入れてほしい。今後大学はどちらに進んだとしても、評価の時代に向かって行くと言 える。 最後に我が国の教育に対する投資額は、国際比較では確かに低いと言わざるを得 ないが、この投資を高くしてゆくためにも、評価できる実績を大学側も明確に示して欲 しい。 質疑応答 Q1)病院などで黒字計上した場合、その余剰金は次年度に減額されることはないのか? 杉野−黒字を没収されるようでは、どこでも「やる気」が失われてしまう。そのような 事がおこらないように考える(具体的な措置は触れず)。 Q2)出発点になる「小さな政府」論について質問したい。普通我々の感覚では、小さな 政府と言えば、政府 からの関与や制約を弱めて行く方向が考えられる。今回の行革 は現業部分をへらしているが、内閣府を設 置したり、総務庁を総務省に格上げに したりで、太田行革担当大臣も「今回の行革は内閣機能の強化」と述べているほどで ある。一体ここで言う「政府」とは現業の我々も含まれるのか? もうひとつ、デメリットをあげたが、それにはどう対処しようとしているのか? 杉野−最初に触れれば良かったのだが、小さくする政府には「大学」も含まれる。 デメリットについては、いまのところどうするという案はない。 Q3)給与を自由に定めるといっても、この意味は自由の名の下に不安定な賃金体系を産 むことにならないか 杉野ー法人の間で極端に低くされないように、チェック機構をもうける事が考えられる。 Q4)国立大学側では、独立行政法人への制度移行を見越して準備を整えておかねばいけ ないと考えるが、どのようなスケジュールを考えたら良いのか。 杉野−そういうスケジュールを明示すると、必ず前倒しの圧力がかかるから言えない。 国大協の集まりで近々文部大臣が説明することになっている。 Q5)教育評価は大変困難だと思うが、どのような評価基準を考えているか? 杉野−まったく考えは今の所ない。言えることは評価は困難だが、それをおざなりに すると、教育がダメに なるということだけは断言できる。 Q6)パートなどの人員配置の自由度はどうなるか? 杉野−給与については先ほど答えたように、チェックする。スタッフについては自由な 判断がゆるされるであろう。