==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
(国立大学協会)会報第169号(2000.8) p45-54

国立大学協会第106回総会議事録より

第1日第2日午前第2日午後合意事項
発言番号は転載時に付け加えたもの
国立大学協会会報に、3月〜6月の国立大学協会で行われた種々の議論が詳しく掲載されています。6月総会議事の中の独立行政法人化に関する部分を転載します。毎日新聞の報道(200.6.24))で様子はかなりわかっていましたが、議事録を見ると、議論を尽くしてではなく、「議事運営技術」を尽くして、調査検討会議参加に議事を収束させたことがよくわかります。 [1-7] の議論のあと、調査検討会議の具体的な内容が呈示されて、議論が戦術的な話しに移ってしまいます。[19]のようなまともな意見はほとんど無視されて[20],[30]のような自己規制の意見も少なくありません。豊島さんが「謀議」と表現したのは的確な表現と感じます。 もちろん戦術を議論するのは当然のことですが、そういった議論だけで、21世紀の日本の大学を左右しかねない「調査検討会議参加合意」が決まったことは残念です。(辻下 2000.12.2)

第106回総会第一日 6/13 

協議
当面する諸問題について

(2)独立行政法人化問題について

会長から,独法化問題に関しご意見を会長宛いただいているが,学長個人としていただいた田中鹿児島大学長のご意見を学長ご自身からご披露願いたい旨述ぺられ,同学長から,同学長がまとめた「国立大学独立行政法人化についての問題提起」について朗読し説明があった。引続き会長から,田中学長から3点にわたる問題提起をいただいたが,これを一つの契機として,独法化問題についてご意見をいただきたい旨述べられたのち,次のような意見交換が行われた。

[1]昨年9月20日に文部省が提示した「検討の方向」では,今後,大学の特性を踏まえた特例措置について検討し,平成12年度のできるだげ早い時期までに講ずべき特例措置等の具体的方向について結論を得たい,とされたが,5月26日の文部大臣説明め中にはその形跡は読み取れなかった。それに対して,5月11日の自民党政務調査会の提言には,より競争的環境,選別。淘汰,再編・統合といった強い表現が随所に認められる。それで,今後,「今後の国立大学等の在り方に関する懇談会」(以下「賢人会議」という)の下に設置される「調査検討会議」での具体的な制度設計についての検討が自民党の提言の影響を強く受ける形で進まないか懸念される。国大協として文部省と同じテーブルにつき,調査検討会議に参加するか否かは,会長が5月26日の記者会見で表明されたとおり,総会で決めることかと思うが,テーブルにつくということであれば,これまで国大協がとってきた「通則法を国立大学にそのままの形で適用することに強く反対する」ということとの整合性が明確にされなけれぱならない。それがないままテーブルにつくことは適切でない。

[2]:平成9年11月総会で「現在の独立行政法人案を国立大学に適用することに反対」を決議しており,その決議の重さを十分認識した上で「調査検討会議」に参加すぺきと思う。だから,そこへの参加は国大協としての意見を反映させられるように国大協の組織を代表する形でなげればならないと思う。

[3]05月26日の文部大臣説明後の質疑応答で,佐々木高等教育局長から,独立行政法人へ移行する場合は99大学すべて一緒であるとの答弁があったが,今後の検討で大学にとって不都合な方向が出てきた場合には反対し,降りる途をとるという大学の独自性はあり得ると考えている。田中学長が言われている「調査検討の結果,独法化が極めて不適切なところが出てきた場合には,その時点で国大協として複数の制度設計について意見を表明する」というのも,そういう意味と理解する。

[4]田中委員の意見に賛成であり,(1)国大協として,通則法の下での独法化に反対を堅持して頂きたい,(2)国大協と文部省が対等に議論すべきであるから,それが「賢人会議」の下に置かれる「調査検討会議」というのは不満である,(3)学長アンケートの結果で明らかになった,我々が求めている基本的な線が容れられない場合は,引き下がるべきである。

[5]文部省と同じテーブルにつくかどうかの是非は「通則法の下での独法化反対」という縛りを解き放てるのかどうかということにかかっていると思う。文部省は,昨年の「検討の方向」では,特例措置と言っていたのを,今回の文部大臣説明では,それを調整法あるいは特例法ということを打ち出した。これは一歩前進だと思う。“法”が入ったことで,「通4則法の下で反対」というくびきは相当解かれたのではないか。調整法、特例法が通則法の中か外かは解釈の問題だと思う。今でも教官は国家公務員でありながら教特法で守られており,それと同様に通則法の中に調整法あるいは特例法が入ったとしても独法化することの意味は十分あると思っている。また,詳細な制度設計がないのにテーブルにつくのは問題だという意見があるが,予算を保障し学長選考等における大学の自主性が十分尊重されるということであれば,テーブルにつくかどうかを決断するに足る材料は与えられていると思う。

[6]文部大臣説明の中には,確かに大学は自主性・自律性をもつ必要ということは述べられているが、それを保障する制度については何も触れられていない。だから,国大協として衆知を集めて識見の高いところを示すべきである。また,文部省と対等に話し合いができる形をとれるようにして貰いたい。

[7]今回の文部太臣説明も自民党の提言も,いずれも細部の点が示されておらず,最終的にどういう方向になるか不明なのが気懸りである。我々には,第1常置委員会がま上めた「中間報告」という大方のコソセンサスが得られたものがあるので,これを詰め,国大協としてこれだけは堅持すべきという基本的事項をまとめるべきである。それがあれば誰がテ一ブルについても国大協の意見を主張することができる。そこを多くの学長が危惧しているのだと思う。


ここで会長から次のように報告があり、諮られた。

5月26日の文部大臣説明を受けて,数日前に佐々木高等教育局長から文部省が賢人会議下に設置を予定している「調査検討会議」の考え方が提示された。

それによると,調査検討会議について,法人の(1)基本,(2)目標・計画,評価,(3)人事システム,(4)財務・会計,の4つの検討グルーブを設ける。各クループ15名程度の委員構成とし,それぞれのクループの委員は国立大学長3名,大学共同利用機関長1名,有識者(公立大学長、私立大学長、経済界、言論界)5名,研究者等5名,国立大学事務局長1名とする。別途,グループ間の調整にあたる連絡会議を設ける、等である。また,今後のスケジュールについては4つのグループを6月から7月にかてつくり,平成13年度をかけて検討を進め,平成14年3月を目途に最終的なまとめを行いたいといことである。

そこで,この文部省からの提案についてどう対応するかご意見を頂載したい。絶対にテーブルにつくべきでないか,しかるべき条件のもで可能か,あるいは何らかの方向転換において可能なのか,そこをお考えいただきたい。

なお,議論を進めるについて,(1)国立大学,大学共同利用機関及び国立短期大学すべてに共通するものとする,(2)既に法制化されている独立行政法人通則法を国立大学にそのままの形で適用することには反対であるということを前提とするということにさせていただきたい。

この会長からの提案について特に異義がなく,主として次のような意見交換が行われた。

[8]文部省と同じテーブルにつくことが即独化容認にならないと理解してよろしいか,確認したい。

[9]国大協として文部省と同しテーブルにつということは,国大協が通則法のもとで国立大学を独法化するということを国大協の総意として認めたということではないということを,ここで確認したい。

[10]選択肢は二つある。一つはテーブルにつくことだが,その場合,個人の立場で参加するか,国大協が参加者を推薦し国大協として積極的にテーブルにつくかである。もう一つは,テーブルにはつかずに,国大協独自に検討を進め,文部省の制度設計ができる前に国大協の案を文部省に提案することである。後者は環境も難しく非常なエネルギーが伴うことを覚悟しなければならない。制度設計は現場を十分知らなければできない。しかし,制度設計に向けて調査検討会議がつくられようとしており,現実にはテーブルにつかざるを得ないのではないか。

[11]詳細な設計が分からないままテーブルにつくことにネガティブな意見もあるが,文部省としては制度設計の検討を調査検討会議に委ねるというのだから,中身がないのは当然である。国大協は通則法を国立大学にそのまま適用することには反対という態度であり,文部省は調整法あるいは特例法という考え方をとっているから,相互了解のベースはあるといってよいのではないか。テーブルにつくについて,国立大学の制度設計に関わる問題を国大協と文部省だけで協議することは政治的に考えて難しい。やはり,有識者を合めた調査検討会護の場に参加するのが常識的ではないか。そして,そこへの参加は,国大協として推薦した常置委員会の委員長なり委員の立場で参加する方がよい。その方が国大協としてのまとまりがとりやすいのではないか。

[12]調査検討会議に我々の意見がどの程度反映できるかわからないが,それ以外に場はないから参加すべきと考える。ただ,そこへの参加が国大協を代表してということであると,発言が自ずと限定されるから,個人の資格として出ていかざるを得ないのではないか。

[13]文部大臣説明は,「通則法にもとづく独立行政法人の制度設計」という言い方をされている。通則法にもとづくとなると,通則法の下では反対と言っている国大協の考え方とは相容れないということになるように思うが,どうか。

[14]それは矛盾していないと思っている。たとえば,国家公務員法と教育公務員特例法との関係でいえば,あとからできた方が強いと解釈されている。したがって仮に国立大学法人法が特例としてできた場合には,この方が通則法よりも強いということになるので,疑間の点は問題ないと思う。国立大学法人法ができた暁には,国立大学を通則法の下で法人化したことにはならないという解釈をとらなげれば,今後動けないと思づている。

[15]調査検討会議は、国立大学関係の委員が全体の半分程度であるから,どこまで我々の側の意見が反映できるか楽観できない。だから,国大協としての意見をまとめ,それを調査検討会議にぶつけていくことが大事である。そのためにも調査検討会議の各クループに対応する形で,国大協の中でも議論を並行させてやっていく必要があるのではないか。

[16]文部省の調査検討会議の検討に拘わらず,国大協の中に,国大協の考え方をまとめる特別委員会をつくらざるを得ないと思っている。同時に,仮にテーブルにつくとしたら,国大協の強い意思を反映し得る形で参加するようにしたいと思っている。.

[17]テーブルにつかない方がよいとは思わないが,手直しをすれば独法化は悪いものではないからどうかというコンテクストの中で,文部省の提案を受ける形で調査検討会議に参加することには内心忸怩たる感がある。もっと別のテーブルは叶わないものか,少なくとも国大協が主体的にいろいろ意見が言えるようなテーブルを逆提案することは不可能か考えてみる必要があるのではないか。

[18]文部省が提案する調査検討会議は賢人会議の下部に置かれており,国大協関係の委員も少なく,不満である。国大協と文部省が対等に協議ができ,国大協の意見が十分反映されるようなテーブルであるべきである。

[19]21世紀の日本の高等教育をどうするかという基本的なコンセプトが独法化問題の一連の経過の中で忘れられていないか。文部省が提案する調査検討会議の4つのグループの枠組みにのるかどうかは別にして,これが,たとえば基本を検討するクループで議論されてしかるべきと思う。それがないまま制度設計のみが議論されるとすれば残念である。ぜひ検討してほしい。

[20]調査検討会議に国大協のメンバーが多いと,社会から,国大協がイニシアチブをとっていると見故され,そこで得られた結論も,国立大学の保身のためのものととられかねない。その意味では,国立大学以外のメソバーが相当数入ったところで我々の主張を述べていく方がよい。また,国大協の中にはいろいろな意見があるからといって学長が個々に入るのではなく、国大協として参加していくということを明確にすべきと思う。

[21]これまでの経験から,この種の委員会運営は文部省のペースになりがちであり,テーブルにつく場合,よほどしっかりとした意見をもって対応していく必要がある。

[22]調査検討会議の上にある賢人会議が,調査検討会議が出す結論を覆す可能性があるのかどうか,賢人会議と調査検討会議との関係はどうなのであろうか。

[23]賢人会議は文部大巨の私的諮問機関であり,この賢人会護の下に調査検討会議が位置づけられることは確かである。各検討クループからの結論が連絡会議を経て賢人会議に上がり,そこで最終的に決めた上、答申として文部大臣に上がっていくという形式になろう。クループの結論を賢人会議が手直しすることは形式的にはあり得るが,そこは力関係によることかと思っている。

[24]昨年の今ごろから比べると,状況は我々にとって良くなってきているように思う。決して甘くはないではあろうが,国大協として調査検討会議に参加し,これを足がかりにしてさらによい方向に前進させたい。調査検討会議のいずれのグループで扱うのが適当か分からないが,諸外国に比べて遅れている大学等への寄付に係る税控除制の整備といった周辺部分についても検討してほしい。そうでないと,法人格を持ってもその良さが十分発揮できないおそれがある。

[25]調査検討会議及び連絡会議に会長,副会長が積極的に関与されだ方がよいように思う。それと,国大協内部にカウンターパートとして特別委員会をつくることに賛成する。

[26]法人化の問題はこれからが本当の勝負になろう。「通則法をそのままの形で適用することに反対」,という立場をより強力なものにするためにでなければ,テーブルにつく理由はない。文部省は,調査検討会議の検討結果をまって,平成14年3月を目途に最終的な結論を出すということだが,国大協がこの問題に先手を打ってやっていくには,どのような組織が必要かである。また,文部省が最終結着を政治日程というところに持ち込ませないようとするために我々はどれだけ努力し優位に立てるかだと思う。

[27]制度設計に関わって会計制度の問題ついては,「検討の方向」においても,文部大臣説明においても,大学の特性に配慮しつつ原則企業会計制度を適用するということだが,どこまで大学に適合する形に手直しすることができるか。企業会計は,数値に基づき運用状況の効率を評価し,次の中期目標・計画の予算に反映するという機能をもつので,使い方によづては大学の運営がコントロールされかねない危険性をはらんでいる。調査検討会議あるいは国大協の特別委員会で財政問題を検討するについては、この点も踏まえて検討いただきたい。

[28]テーブルにつくということは,国立大学が今の設置形態から脱するのだという意思をもって参加するのでないと,結局は積極的な意見を出せないのではないか。そこは敢えてはっきりさせない形でテーブルにつこうというのか。

[29]通則法のもとでの国立大学の法人化に反対を堅持しつつ現在の通則法をどれほど調整法あるいは特例法といったものによって教育研究の自由度の幅を広げていけるかということを目的に我々はテーブルにつくことだと思っている。国立大学法人法という方向が全会一致に近い形で支持があれば別だが,ご意見を伺っているかぎりそのような判断ができないので、国大協として一つの大きな方向を共有しているという形を崩さないことが大事であると考えている。

[30]少子化の中で,日本の大学が入学定員割れを含め立ち行かなくなる状況が出てくれば,社会が国立大学を見る眼は一層厳しくなる。そういう中で,自民党の提言が出て,一つの方向が示された。これは一つの評価基準ということになり、しかも政治的リアリズムを考えると,提言は無視できないと思う。「通則法をそのまま適用しない」ということにおいては,国大協も,夾部省も,自民党も一致しているので,この現実の上に思い切った決断をせざるを得ないのではないか。その決断ができないままテーブルに加わっそいくとすれば混乱が起きないか、また社会批判が国大協に向ってこないか危惧する。

[31]自民党案の中で調整法(又は特例法)の形で法律上明確に規定すべきとされているのは,(1)評議会、教授会、運営諮問会議など大学の管理運営の基本組織,(2)教育研究の中期目標・計画(主務大臣は中期目標を決めるときは大学の意見を聞き,その意見を尊重しなければならない),(3)教育研究の評価(主務省の評価委員会は,教育研究に関しては大学評価・学位授与機構の評価を尊重する),(4)学長人事(その任命・解任は大学の申出にもとづいて文部大臣が行う),(5)名称(「国立大学法人」など大学に相応しい名称とする)の5点である。しかし第1常置委員会での検討をとってみても調整法なり特例法がこの5つ以外にも必要になってくるように思われる。

以上のような意見交換が行われたのち、会長から次のように述べられた。

[32]テーブルにつくということの意味は、法人格をもつという結論を予めつくってテーブルにつくわけではないが、どのようなものであるべきかを考えるためにテーブルにつくということが前提になると思う。

明日は,意見を収束させる方向で議論を進めたい。

以上をもって第1日目の総会を終了した。


第106回総会〔第2日目〕

日時:平成12年6月14日(水)10:00-15:30場所 学士会館(神田)210号室出席者.各国立大学長(オブザーバー)堀田国立遺伝学所長(大学共同利用機関代表)蝋山高岡短期大学長

1.協議

1.当面する諸問題について

(1)独立行政法人化問題について

会長から次のように述べられた。

[33]昨日に引続き法人化の問題についてご意見を伺い,議論を収斂させていただきたいと思うが,その前に、法人化問題から離れて私の考えを3点申し述べたい。

[34]その一つは,現在制度改革の問題を議論しているが、制度を変えることなく実現可能な改革もある。たとえぱ、男女共同参画の問題もその一つである。これを各大学が真剣に受け止め,女性の教育者,研究者の国立大学への任用を高める方法を各学長にとっていただきたい。

[35]第2点は、教養教育の問題である。学生が初めに大学を大学として認識するのは1年生の教育においてである。新しく大学に入ってきた学生が大学への信頼と興味をもち,大学がそれに十分応え得るよう教養教育の充実に大学は一層エネルギーを注いでいただきたい。なお、これについては、昨年特別委員会がまとめた報告(「大学教育におけるくリベラル・アーツ>の役割について」)などもご参照いただきたい。

[36]第3点は,学生への視点の大切さということである。大学は,現在,周囲の状況からとかく防御的になり,その構成員を教授あるいは教授会構成員であるかのような錯覚に陥りがちちだが、我々の最大の務めは学生に対する教育にあり、その上で研究があるのであって,教育の質の向上をなおざりにして大学の変革はあり得ないと思っている。当然のことではあるが,学生への教育が十分いき届いているかどうかという視点を大事にお考えいただきたい。

以上のように述べられ、引き続き会長から独法化問題について次のように述べられた。

[37]昨日来の議論を通じていくつか問題が浮かびあがり,それに対する対応として,対外的に必要なことと国大協内部で必要なことがある。そこで,我々は外に向って何を言い、同時に我々お互のコンセンサスとして認めあうことが必要か,私なりの考えを披露し,ご意見を伺いたい。その上でこれを文章化し、午後、改めてお諮りしたいと考えている。

[38]引続き会長から,その趣旨、(1)既に法制化されている独立行政法人通則法を国立大学にそのままの形で適月することに反対するという姿勢は維持されており,今後も堅持されよう、(2)国立大学の設置形態を検討するため,副会長を正副委員長とする「設置形態検討特別委員会」(仮称)を新たに設置する,(3)上記(1)及び(2)を踏まえ国大協は、文部省に設置が予定される「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」に出席する用意がある,(4)高等教育政策の必要性に鑑み、科学技術基本計画に対応する学術文化基本計画の策定に向けた議論の場を設定すべきである旨の説明があった。

ついで次のような意見交換が行われた。

[39] 特別委員会を発足させて,内外に向って政策提言を行うということについては,独法化問題が起こって以来待ち望んでいたことであり,賛成したい。また,学術文化基本計画の策定ということも実現を望むが、実際にどういう場を考えられているのか。

[40]一つは文部省に対し〈提言したい。あと,科学技術会議の議員のほか,理解ある政治家など各方面に働きかけ、実現できる方向にもっていきたい。

[41]調査検討会議に国大協から会長、副会長,常置委員会委員長が入っていった方が国大協の意見をより有効にできるとの判断があるのか。

[42]会長,副会長が調査検討会議に入るべきかどうかは議論のわかれるところと思うが,調査検討会議に対してかなり強い国大協の意見を反映する形での人事が行われるのが望まししい。

[43]国大協の中の意見には幅があるから,調査検討会議へ参加する国大協からの委員については、当然、地域等のバランスを考慮する必要があると思うが,会長がそこに入っていくのはどうかと思う。

[44]会長提案の4点について基本的に賛成する。ただ,国大協の調査検討会議への参加ということでは,国大協は調査検討会議の重要な構成員だが国大協がマジュリティとなって圧力団体化するのは好ましくない。その点,会長は,速絡会議に関わるのはよいとしても,調査検討会議とは距離をおいた方がよいと思う。また,調査検討会議への関わり方であるが,たとえば,昨日話があった会計制度,税制の問題にしても、地財法の問題にしても独法化のフプンダメンタルをつくるのに極めて重要であり,二れらの問題は特別委員会で議論し,調査検討会議に投げる形をとった方が有効と思う。文部省に対してだげでなく,大蔵省、自治省、総務庁等の関係官庁を相手に渡り合えるように理論武装を特別委員会に期待したい。それから、文部省が重要な節目を政治日程との関係で動いたことに対しては,今後のこともあるので声強い不満の意を表わすべきと思う。

[45]4つの提案の(1),(2),(4)は賛成であり,(3)も基本的には国大協が関与するので賛成だが,文部省案では,各グループ15名の委員のうち国大協からは学長が3名と少ない。文部省の提案をそのまま受けるのか。

[46]文部省提案はまだ固まったものではなく,変更の余地はあり得るし、提案をそのまま受け入れることは考えていない。ただ、国大協が参加しないかぎり調査検討会義は実質的に機能しない。

[47]調査検討会議に国大協が参加し文部省をサポートすることが大事である。その意味でも国大協に特別委員会を設置することに賛成であるが、その場合,特別委員会と調査検討会議との関係が難しいのではないか。こちら側の意見が先方に十分伝わるよう,両者の委員をリソクさせる必要があろう。

[48]国大協が包括的に高等教育,学術文化政策について問題提起をしていくことは大事なことと思っているが,その趣旨からすると,新たに設置する特別委員会の性格はもう少しふくらませて考える必要があるのではないか,名称だけからみる.と少し狭いように感じる。

[49]会長が調査検討会幾に加わることに反対ではないが、可能であれぱ,むしろ賢人会議に出席いただくことが望ましいのではないか。

[50]調査検討会議に会長や副会長が入るのは疑問がある。仮に会長が4つのクループのいずれかに加わると国大協の意見が分散されるおそれがある。また,調査検討会議である程度納得できる結論を得たとしても,その後総務庁、大蔵省等との調整があり,それがそのまま法案として通るかかどうか疑問である。そうであれぱ、会長は,調査検討会議からは離れた立場でいた方がよいと思う。

[51]特別委員会及び調査検討会議等の審議の状況について各大学にどのような形で情報を流していただけるか。

[52]まだ相談してないが,Eメール等により,少なくとも特別委員会の記録は速やかに送れるようにしたい。形式的には理事会への報告を経たのちということたなるが、今は非常時なので、理事会を待たずにこれを行うようにしたいと考えている。

[53]独法化問題の議論を聞いていると,地域性,規模、歴史の違い等大学はバラバラに富んでおり、考え方もそれぞれ違う。そういうことからすると,調査検討会議の委員構成は,バランスに配慮しつつもう少し多く学長が入るのがよいのではないか。

[54]特別委員会での議論は,調査検討会議の4つのクルーブに対応した形をどらて進めていくことになるのか。

[55]調査検討会議の4つのグループは、それぞれ与えられた課題についてだけ検討するので,全体的な視点というものを絶えず意識され行動していただくことが大事であるから,各グループに参加される方が特別委員会にも入っていただく仕組みが必要と思っている。

[56]調査検討会議への参加に関しては,会長,副会長はこれに入らない方が組織論的な整合性がとれるように思う。ただ,全体の調整を行う場である連絡会議の方に会長,副会長などが国大協の代表者として関与する余地はあろう。

[57]連絡会議に副会長が入り,賢人会議に会長が入るのがよいのではないか。

[58]賢人会議は最終決定機関であり,そこに会長がいると,そこで決定されたことに関して国大協が縛られるおそれがないわけではない。それは,ここで結論を出さずに,よりよい選択をするよう考えてみたい。

[59]「設置形態検討特別委員会」の重要性を内外に示すためにも,これの委員長を会長にやっていただけないか。

[60]なるべく出席するつもりだが,会長が特別委員会の委員長になることは避けるべきだと思う。

[61]「設置形態検討特別委員会」(仮称)の委員構成については次のように考えている。 △副会長を正副委員長とする、△第1、第8、第4、第6各常置委員会からそれぞれ委員長及び委員1人,第2、第3、第5、第7、各常置委員会はそれぞれ委員長。ただし,委員長が出席できない場合は予め指定した常置委員会の代表が代って出席する、△会長が必要と認めた者。

[62]調査検討会議で国大協の意見を通すためには,学長委員は文部省案の3人ではなく5人程度入る必要があるのではないか。また,ここに参加する委員の地域バランスを考えるのは文部省ではなく,国大協がこれを考えて派遣する形をとってもらいたい。

[63]国立大学の学長としては3人という限度があると思うが,研究者等のところで少なくとも3人は国大協の関係者が入っていただけるものと思っている。また,委員を考える際のバランスということに関しては,常置委員会委員長の判断にお任せすることではいけないか。

[64]国大協から調査検討会議の各クループに参加している委員が特別委員会のメンパーであるように配慮いただきたい。

[65]調査検討会議の4つのグループで,それぞれの課題をもって法人制度の具体的な内容を検討していくことになるが、個別に詰めていくだけでは不十分で,これらをいかに調整し全体的に有機的な組織設計をつくるかが大事であり,その意味で連絡会議の役割は大きいと思う。その連絡会議に会長あるいは副会長が入って,グループの全体の内容を矛盾なく,国立大学の将来にとって望ましい形になるよう調整していくことが必要ではないか。文部省に対しても,連絡会議を単なる調整にとどまらず,実質的内容をもった内容にすべきということを主張すべきと思っている。

一一昼食休憩ののち、会議を再開一一

会長から次のように述べられた。

[66]昨日及び本日午前中いただいたご意見を踏まえ,本総会として全会一致で確認したいことを文章化し,お手許に配付した。これについてご意見をいただき,必要な修正を施したうえ決議したい。その上で,設置形態検討特別委員会の委員構成等についてお諮りししたい。

以上のように述べられたのち,配付の文章について審議が行われた。その結果,一部字句修正のうえ次のとおり承認された。

国立大学協会は声第106回総会において,次の4点を全会一致で確認した

[67]1 5月26日の文部大巨の「説明」以後も,国立大学協会は,国立大学の設置形態に関して,これまで表明してきた態度を変更する必要があるとは認識していない。すなわち,すでに法制化されている独立行政法人通則法を国立大学にそのままの形で透用することに強く反対するという姿勢は維持され,今後も堅持されるだろう。

[68]2 教育、研究の質のさらなる向上によって,国民の利益の増進と、地域社会,人類社会の接続可能な発展に貢献することを目指し,その実現にふさわしい国立大学の設置形態を検討するために,副会長を正副委員長とする「設置形態検討特別委員会」を国立大学協会内部に新たに設置し,この委員会を中心に,文部省をはしめ,内外の各方面への政策提言を積極的に行う。

[69]3 上記の二点を踏まえ,かつ,我が国の高等教育と学術研究の健全な発展に資するために,国立大学協会として,文部省に設置される予定の「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」に積極的に参加し,そこでの討議の方向に,国立大学協会の意向を強く反映させるための努力を行う用意がある。

[70]4 一国の高等教育政策は,国民,地域社会,人類社会の利益という視点から,長期的な展望のもとに議論されねばならず,それには,国際的動向をもふまえた恒常的な政策決定の機構が必要である。国立大学協会は,この際,科学技術基本計画に対応する学術文化基本計画の策定を課題とする議論の場の設定を強く訴えたい。

次に,会長から、特別委員会の設置について次のように諮られた。

[71]会則によれぱ,特別委員会の設置については、常務理事会の議を経て理事会で決定することになっているが,この際,理事会を省略し,総会において新たに特別委員会の設置について決定いただきたい。

○特別委員会の名称は「設置形態検討特別委員会」とする。

○委員会に,正副委員長を設けることとし,委員長に長尾副会長,副委員長に中鳴副会長を任命する。(特別委員会の設置に際し当初の長は会長が氏名することとなっている<第24条>)

○委員は、第1、第8、第4、第6の各常置委貴会から,それぞれ委員長及び委員1名、それ以外の第2,第3、第5,第7の各常置委員会から委員長をもって充てる。但し,第2,第3,第5,第7各常置委員会については,委員長が出席できない場合には、予め、当該常置委員会をして指定した代理の委員が出席できるものとする。

○ 上記委員のほか、会長が指名する委員若干名を置く。

この提案について異議なく,承認された。

引読き会長から,特別委員会の設置に関わって次のように述べられた。

[72]これまで,法人化問題全般を第1常置委員会に付託していたが,設置形態検討特別委員会を設置したことに伴い,同委員会の任務が若干変ることになるが,ご了承いただきたい。また,文部省の調査検討会議に4つのグループができるので,各グループに対応する形で,法人の基本に関しては第1常置委員会に,目標・計画,評価に関しては第8常置委員会に,人事システムに関しては第4常置委員会に,財務会計に関しては第6常置委員会に,それぞれ担当をお願いしたい。なお,調査検討会議の各グループに国大協から出席される委員に,特別委員会からの調整,方向の指示が伝わるようにそれぞれの常置委員会と特別委員会との関係を緊密に保っていただきたい。