国立大学の独立行政法人化問題に対する静岡大学人文学部教授会声明 |
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1 中曽根文部大臣は国立大学の独立行政法人化問題(以下、「独法化」等と略)について、5月26日の国立大学長・大学共同利用機関等長会議において、文部省の方針を提示した。しかし、そこで示された、独立行政法人通則法の基本的枠組みを前提にした国立大学の独法化という方向性は、大学関係者はもちろん、行政改革の名の下に各種行政機関を独立行政法人化するという政策に対して、疑問や批判を表明してきた国民各層の意見をまったく顧みないものである。さらに、今回の方針が、かつて大学改革実現を最優先課題として、国立大学の独法化の検討を現時点では困難としていた文部省自身の態度を、何ら合理性を示すことなく転換し、むしろこれを推し進めようとしている点についても、われわれは強い不信の念を抱かざるをえない。
2 今回の文部大臣説明においては、国立大学を独法化することにより、過去に行われてきたさまざまな国立大学「改革」の限界点を超えて、従来の行財政的規制の緩和・弾力化にとどまらない「教育研究システムや組織運営の自主性、自律性や自己責任を大きく前進させ」ることがあたかも可能であるかのように述べられている。しかし第1に、もともと、行政改革の一手法として、国の行政のスリム化と公務員の定数削減とを目指すとともに、企画立案機能と実施機能とを分離して後者のみを担当することを目的とした組織が独立行政法人であったことにてらせば、先の理由による国立大学独法化の説明は明らかに論理の逸脱を示すものである。文部省は、独法化が大学改革にとって有効であることをさかんに強調しようとしているが、実際には、これが政府の政治公約である国家公務員の定数削減の推進でしかないことは明白であろう。 3 結局、通則法を原則として国立大学に適用することは、さまざまな弁明や条件付けなどにもかかわらず、大学の組織運営、研究教育活動、大学での勤務条件、さらには学生やその家庭の経済的状況に対し、極度に不安定性をもたらすこととなろう。すなわち、政治・行政の各種介入をはじめ、市場原理に強く依拠して学問研究が評価されることから生ずる歪みや、大学運営上の業務負担、財政不安に起因する学生の費用負担増など、文部省が説明する大学の自主性、自律性の大幅な拡大、教育研究の柔軟・活発な進展などとは正反対の深刻な事態が生み出されかねない。 以上のように、われわれは、今回の文部省による方針の説明における、通則法の原則適用の下で推進されようとしている国立大学の独法化に強く抗議する。それとともに、自由な研究教育の推進と、国民全体に対して責任を果たしうる大学を創設するため、さまざまな社会的意見を参考としつつ、今後とも多様な取り組みを継続してゆきたいと考える。その際、学部や他大学との間の内部的な検討にとどまらず、地域社会に向けて大学のあるべき姿を提案するといった民主的な大学改革をめざしつつ行動してゆくことを、ここに併せて表明する。 2000年6月22日 |