Date: Sat, 24 Jun 2000 09:07:00 +0900 From: "Tomohiro Okada" Subject: <国立大学>独立行政法人化 追いつめられた国大協 (毎日新聞) To:,
「独法化を受け入れた形ではない。最終的に(大学にとって)理想的な形態でなければ、その後に新たな問題が起こるだろう」今月14日、東京都内で開かれた国大協総会後の記者会見で、蓮實重彦会長(東京大学長)はそう話した。国大協はこの日、文部省が独法化のプロセスとして設置する調査検討会議について「(国大協としても)積極的に参加する用意がある」とのコメントを発表。これに対し、記者から「事実上の(独法化)受け入れなのか」と質問されての答えだった。
あくまで独自の路線を取り、文部省の言いなりにはならないという決意表明のようにも聞こえた。
5月以降、国立大の独法化をめぐる動きは急だ。
自民党の文教部会などが独法化の提言をまとめたのが5月9日。他の行政機関の独法化の場合と同じ「通則法」が適用されることを嫌う大学側は、この自民党案に「特例法・調整法」という表現で大学の特殊性への配慮が盛り込まれたことに一定の評価を示した。しかし、5月26日の国立大学長を集めた会議で、中曽根弘文文相が約40分にわたって「国立大の独法化を進める方針」を正式表明すると、参加した学長から意見や質問が相次いだ。
九州のある大学長は「地方の国立大が仕事をしていない、と言われてきたが、うちは仕事をしているし改革も進めている。地域貢献で言えば、人材育成もやっている」と強い口調で話し始めた。具体的な産学共同研究や実績にも触れ、「地方大は基盤が弱い。大企業もなく研究テーマも地味。しかし、地域の活性化には必要だ。慎重に検討してほしい。国立大学としての改革の道を残してほしい」と注文した。
別の地方大の学長は「うちの大学はこれから新しい研究はできない。別の大学と合併するしかないという意見も学内にはある」と悲痛な意見を述べた。地方の国立大を中心にくすぶっていた不満が、一気に噴き出した。
その後に開かれた国大協の総会では、2日間にわたって独法化問題の協議が続いた。全国に99ある国立大のそれぞれの立場が微妙に食い違い、四つの一致事項をまとめるにとどまった。しかし、その一月前に比べれば、話し合いは真剣味を帯び、進展がみられた。
5月の連休中の国大協の会議では、独法化についての意見は分かれ、激しい応酬があった。文部省からも具体的な提案のない時点だったため、学長らからは「抽象論には乗れない」「検討する中身がないものは、協議のテーブルにつくことも慎重にした方がいい」など批判が相次いだ。蓮實会長も「このままでは国大協が分裂しそうだ。それは避けたい」と発言し、国大協が一枚岩となって”危機”を打開するよう要請したという。
今月13、14日の総会でも当初、地方大の反発は強かったという。「文部省の説明も中身がない。やはり国立大のままで残りたい」「特例法を作るというが、どんなものか不明だ」など、ひと通りの反論が出た。
それを踏まえた上で、蓮實会長は「文部省から提案があった」と切り出した。独法化について文部省が設置する調査検討会議の中身だった。
それによると、会議の構成メンバーは60人程度。それを(1)独法化の基本的問題(2)目標設定と評価(3)人事問題(4)予算――の各テーマについて検討する四つのグループに分ける。各グループを15人程度とし、国大協から3人、私大や公立大、財界などから5人、大学問題の研究者など5人、大学事務局長1人などとする。国大協からの参加は、4グループに対応する常置委員会を充てる。4グループをつなぐ「連絡調整会議」を作る――。提案はかなり具体的だった。
総会に参加した学長の一人は「みんな驚いた。国大協としても賛否が分かれているのに、もうここまでフレーム作りが進んでいるのか、と言葉もなかった」と振り返る。この提案が出されてからは、独法化のプロセスに国大協として具体的にどのように参加するかに議論が集中した。結局、「積極的に参加し、我々の意向を実現すべく、良い“独法化”にする」との方向性が出された。
蓮實会長は14日朝、独自の「まとめ案」を示し、調査検討会議への国大協からの参加者について「会長、副会長、第1常置委員長」などと列記した。だが、「そこまで具体的に書く必要はないのではないか」とクレームがつき、「国大協として積極的に参加する」などと文章が直された。
「参加すると、国大協の意見を貫くのは難しいし、自民党などの意向が強まる結論になるのではないか」。独法化に消極的な学長は、そう言い、ため息をついた。
国立大が独立行政法人になると、何がどう変わるのか。「予算の使い道や人事、給与などの取り扱いがある程度自由になるが、それほど大きな変化があるとは思えない」と、ある学長経験者は話す。それでも独法化にこだわる真意はどこにあるのだろうか。
昨年9月に、独法化の文部省案を作った参院議員の有馬朗人・前文相は「文部省傘下で自由のあまりない現在の状態でいいのか」と反対派に疑問を投げ掛ける。「運用次第だが、国立大に自由を持たせて独自性を出す方が良いのではないか。地方の大学こそファイトを燃やしてほしい」とも言う。行政改革論議の中から生まれた独法化を、大学に合わせた形で実行できればというのが、有馬氏の見解だ。さらに「国立大の形で残りたいという大学は、そのまま残してもいいのではないか。急がなくてもいい」。そう文部省に提言もしているという。
それぞれの思惑が交錯する中で独法化への具体案は検討され、2001年度中には骨格が出来上がることになっている。
2 国立大の設置形態を検討するために、副会長を正副会長とする「設置形態検討特別委員会」を国大協内部に新たに設置し、この委員会を中心に、文部省をはじめ各方面への政策提言を積極的に行う。
3 国大協として、文部省に設置される予定の「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」に積極的に参加し、そこでの討議の方向に、国大協の意向を強く反映させる。
4 国大協は、科学技術基本計画に対応する学術文化基本計画の策定を課題とする議論の場の設定を強く訴える。