==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
Date: Sun, 11 Jun 2000 21:13:23 +0900
To: 
From: toshiaki sasaki
[he-forum 998]  

東大総長交渉(6・2)報告


佐々木(東職書記長代行)です。

東職は、6月2日に総長交渉を行いました。13日国大協総会を前に、相当詳しい内
容を紹介します。
交渉では、「国大協総会が開かれる13日に、東職は昼休みに集会を開き、国大協総
会が正しい方針を確立するようエールをおくる。総長として頑張ってほしい」と要請
しました。

<要求項目>
国立大学の独立行政法人化反対について
(1)東大として国立大学の独立行政法人化反対の立場を堅持すること。
(2)「国立大学制度研究会」の審議内容を公開し、教職員の討議を保障すること。

東職:自民党提言が出て、26日には文部省が説明を行い、国立大学の独立行政法人化
について、調査検討会議で具体化されることになった。これまで総長はこの問題に関
して「反対」と言ってきたが、現時点での東大総長、国大協会長としての態度はどう
か。
総長:昨年8月11日の記者会見での態度は変わっていない。東大総長としても、国大協
会長としても、従来の反対の態度に変更はない。
東職:5月26日の「文部大臣説明」に対しても反対すべきである。
総長:国大協としても、東大としても何の方策も決めていない。対応については国大
協の総会を待つ。国大協総会については、どういうことになるか、分からない。
東職:東大は「国立大学法人制度研究会」を作って検討しているが、その検討状況を
公開すべきである。
総長:「研究会」の検討がまとまれば、公表される。研究会は評議会の下に設置され
たものではない。審議内容は然るべき時に公表されるものである、今はまだその時で
はない。
東職:総長は昨年8月の記者会見以降、公式な態度表明を行っていない。改めて反対の
態度表明を行うべきではないか。
総長:今は発言しない。東京大学の姿勢を今決めることはしないと決心している。
東職:国大協第一常置委の「中間まとめ」や12月の学長アンケートなど、これまで積
み重ねてきた物をまとめて、国大協としての独法化に対する公式な見解を出すべきで
はないか。
総長:国大協として見解をまとめることはしない。ただ事態としては、比喩的に言え
ば、現在、領土を侵されつつある。
東職:「文部大臣説明」について、当日の記者会見ではどういう発言をしたのか。
総長:正確に再現するのは難しいが、要旨は以下の通りである。(1)国大協として
、「文部大臣説明」への対応は今はしない。総会を待つ。(2)「文部大臣説明」は
、昨年9月7日の国大協第1常置委員会「中間まとめ」への遅まきの回答である。何故に
1年近くの時間が流れたのか遺憾に思う。(3)昨年9月20日の文部省「検討の方向」
には、9月7日の「中間まとめ」の内容は盛り込まれていなかった。今回の説明で一部
が盛り込まれたことは、その限りでは評価してもよい。(4)考え方の基盤として、
「文化学術立国」にふさわしい組織を作り、長期的な日本の大学政策を検討すること
を私個人としては提案したい。科学技術基本計画と同等なものを、高等教育政策につ
いても作るということである。
東職:それはどのような組織か。
総長:科学技術政策を立案する組織に類似した組織である。
東職:科学技術政策を立案する組織とは科学技術会議のことか。
総長:そうだ。
東職:国大協会則によれば、各大学の学長は一般教員からも意見を取りまとめ、国大
協に伝える努力をすべき、となっている。東職声明を学内の教職員の意見として、国
大協総会でも内容を伝えてほしい。
総長:国大協会則に関しては、私なりの解釈もある。そういう意見のとりまとめなど
はしない。
東職:文部省の作る「調査検討会議」に、国大協としては入るべきではない。
総長:国大協として、それに関する決議はなされ得ないだろう。私には、国大協とし
てそれに入る、という考えはない。しかし、総会の場でどうなるかは全く分からない。
東職:自民党提言では、学内選挙によって必ずしも学長に適任の人が選ばれていない
、と書かれている。これは、何の根拠もなく、学長選挙から大学構成員の大多数を排
除し、一部の幹部と特定の「タックス・ペイヤー」の談合によって事を決しようとす
る、為にする暴論である。これには反論すべきである。
総長:政府与党の一部とは言え、一政党の方針に対してコメントすることはしない。
興味もないし、無視する。けれど、ずいぶんと乱暴な表現が沢山ある。極端に不快で
ある。
東職:しかし、自民党の提言を受けて、「文部大臣説明」がなされているのではない
か。
総長:今回の「文部大臣説明」は、自民党の提言を受けて行われたとは考えていない。
東職:総長選挙のあり方については、候補者の政見を聞く機会が必要などの改善点は
ある。だが、全学選挙の枠組みは維持すべきだと我々は考えている。
総長:今の話しほど、現状で学長選挙がうまくいっているとは思っていない。
東職:今回の提言のように、独法化によって大学の「選別と淘汰」があると、教育の
機会均等を奪うことになる。子どもを持つ親としては反対だ。例えば入学して2年生で
大学がつぶれるということになったらどうなるか。学生の2年間はムダになり、青春を
返せ!というようなことになる。銀行のようにつぶれる前に預金を引き出すわけには
いかない。
総長:いずれにしろ、おそらく10年後には日本の大学でもつぶれるところが出てくる
と思う。
東職:そういうふうに予測しているのならば、東京大学総長として、あるいは国大協
会長として、できる努力をして対策を立てるべきである。
総長:そのようなことを国家的見地から考えなければいけない。そのための審議、検
討の組織が必要だということで、先程そのことを提案した。
東職:東大の「研究会」の内容は公開されないのか。スケジュールさえも明らかにさ
れないことが、他大学などで「東大は抜け駆けをするのでは?」等の疑心暗鬼を生ん
でいる。
総長:そういう声は聞こえてこない。「研究会」の内容は報告書が出た段階で公開す
る。討議の途中では公開するつもりはない。
東職:先ほど、「研究会」は評議会の下におかれた正式な組織ではないとおっしゃっ
たが、そういう研究会の出す結論が評議会で報告されて承認を得るようなことは、な
されるべきではありませんね。
総長:はい。
東職:東京大学としての結論は、評議会のような正式の組織で時間をかけて議論した
上で決まるのですね。
総長:はい。他に独走することに危惧はあるか。
東職:総長として、発言には留意して欲しい。
総長:今後、これまでと正反対と見られる言動を取ることがあるかもしれない。しか
し、私の真意をよく汲み取っていただきたい。