==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
Date: Thu, 13 Jul 2000 11:15:18 +0900
From: "Asai, T." 
Subject: [reform:02999] 静岡新聞・夕刊コラム
To: reform@ed.niigata-u.ac.jp

静岡新聞 2000年7月12日・夕刊
コラム「窓辺」

学問研究に効率性はなじまない

小和田哲男(静岡大学教育学部長)


 いま、全国九十九ある国立大学に、独立行政法人化という、わが国の大学制 度はじまって以来の大改革のうねりが押し寄せている。もちろん、静岡大学も 例外ではない。  大学を独立行政法人にすることによって、何がどう変わるのかといった、一 番知りたい部分が曖昧にされたまま論議がされ、そのため、大学関係者以外に は、あまり関心がもたれてこなかったように思われる。しかし、この制度改革 は、大学関係者だけの問題ではなく、わが国の学問研究の将来にかかわる大問 題なのである。  少し前のことになるが、全国国立大学教育学部長会議というものが開かれ、 そこで、独立行政法人の”先進国”イギリスのロンドン大学ロバート・コウエ ン教授から、「大学が独立行政法人化されたらこうなりますよ」という具体例 をいくつか聞くことができた。  イギリスでは、高等教育補助金委員会というものがあり、それが大学の研 究・教育活動を評価し、その評価に基づいて資金の配分がなされている。とこ ろが、どこでも資金は不足気味で、教授は、研究者ではなくなり、研究グルー プの代表として、お金を集めるマネジャーになってしまっているという。  また、独創的な研究は時間がかかり、なかなか学会誌に投稿できないのが実 情である。数年間、何らの成果も報告できないと業績がないと判断され、首を 切られることになり、それを避けようと、独創性とか基礎的な研究は敬遠さ れ、論文が量産できる研究に皆が移りつつあるというのだ。  いま、進められつつある国立大学の通則法の下での独立行政法人化がいきつ く先は多分このようなものだろう。一定の交付金を取りあう形になるわけで、 効率性というものを重視した研究だけに集中してしまう恐れがある。  金にならない研究・教育をこそ国は支援すべきなのに、独立行政法人化の動 きは、それに逆行しているように思えてしかたがない。