==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
文教科学委員会2001.5.31会議録

内藤正光議員の質疑より


1-120 国立大学民営化・地方移管化について 91 文科大臣「その検討の立場においてそういったいろんな選択肢があり得る   ということを当然視野に入れながら検討されるということを期待している」 121-257 公務員型・非公務員型について 259-377 教学と経営の分離について
1 ○内藤正光君 では、大学改革という話が出てきましたので、実際に今議論さ 2 れております大学の独立行政法人化について何点かにわたって御質問させてい 3 ただきたいと思います。 4 5  独立行政法人化といえば、参議院の本会議で我が民主党・新緑風会の小林元 6 議員の質問に対して、小泉総理は思い切って民営化することも賛成だというこ 7 とを堂々とおっしゃったわけでございます。条件は余りついていなかったかと 8 思います。 9 10  この総理の答弁に対する遠山大臣御自身のお考えをまずお聞かせいただきた 11 いと思います。 12 13 ○国務大臣(遠山敦子君) あの折の質問と答弁のやりとりを聞いておりまし 14 た。 15 16  あのときのお話では、できるものは民営化、できるものは地方にと、ちょっ 17 と正確な言葉は覚えておりませんけれども、そのような趣旨であったと思いま 18 す。恐らくそれは、今、小泉総理を中心として改革断行内閣ということで聖域 19 なき改革をという一連の動きの中で、聖域がないということでありますので、 20 国立大学についてもそういった角度も必要であろうという意味のことであった 21 と思います。 22 23  今、答弁の内容が参りましたけれども、「国立大学でも民営化できるところ 24 は民営化する、地方に譲るべきものは地方に譲るという、こういう視点が大事 25 だ」ということでございまして、明瞭に民営化ということだけを言っておられ 26 るのではないと思います。 27 28  私自身の考え方といたしましては、大学の持っている社会における重要性、 29 将来の一国のあり方を決めるような非常に重要な使命を帯びている大学という 30 ものについてどうあったらいいかという角度の十分な議論の上で、もちろん可 31 能なものについては、特に機能のうち民間にゆだねられるものがあればこれを 32 ゆだねた上で法人化をしていくという視点は大変大事であろうかと思っており 33 ます。私自身の考え方といいますよりは、やはり今どういう立場で文部科学省 34 としてこの問題に取り組んでいるかということを御説明した方がいいかと思い 35 ますけれども、今我が省では、一昨年と昨年の閣議決定を踏まえて、国立大学 36 の法人化について、大学改革の一環として具体的な制度のあり方等の検討を進 37 めているところでございます。という意味は、大学を本当に生き生きしたもの 38 にしていく、そして日本の将来にとって力強い存在であるようにしていくには 39 どうしたらいいかという角度を中心としながら、その制度のあり方の検討を進 40 めているところでございます。 41 42  その際、国立大学を法人化する場合でありましても、現在国立大学が担って 43 いる諸機能というのを十分に考えまして、先ほど申したように、民間にゆだね 44 られるものがあればこれをゆだねた上で法人化するというような視点は当然の 45 ことと考えているところでございます。 46 47  先ほど来、有馬委員のお話にもありましたように、国際的に見ましても、高 48 等教育については国、あるいは連邦制の場合は州でございますけれども、そう 49 いう国なり州なりが基幹的な役割を担っていると認識いたしているわけでござ 50 いまして、単純に民営化という言葉だけで私どもとしてもなかなか受けとめに 51 くいことはございますけれども、ただ今の大きな流れの中で、財政なり構造改 52 革という流れとそれから大学の持つ使命と、そういったものの中でどういう形 53 のものにしていくか、これが一番の私ども自体の関心事でもあり、それよりも 54 大学人自身の自覚も促しながら今後取り組んでいく、そういう課題であろうと 55 考えております。 56 57 ○内藤正光君 大臣御自身のお考えは理解できました。 58 59  そこで、現在、国立大学は九十九あるわけです。九十九の国立大学はそれぞ 60 れに事情が違うわけです。全く違うわけです、いろいろな状況。すべてを同列 61 に扱うことは難しい。そして、大臣御自身もおっしゃった、そしてまた総理御 62 自身もおっしゃった、民営化できるものは民営化、地方移管できるものは地方 63 移管へと。 64 65  ということは、こういう理解でよろしいんですか。独法化の議論はあくまで 66 九十九ある大学をすべて独法化するとかそういう議論ではなくて、独法化する 67 ものもあれば民営化するものもあり、あるいはまた地方移管するものもありと、 68 いろいろ多種多様。そしてまた、戦略的な発想から一部分国立大学として残す 69 ものもあるかもしれないと。そういう多様な方向性があり得る議論だというふ 70 うに理解してよろしいんですね。 71 72 ○国務大臣(遠山敦子君) 先ほど来るる御説明しておりますように、目下、 73 国立大学の法人化の問題について鋭意関係者による検討が行われているところ 74 であります。したがいまして、今のことを単純に御答弁申し上げますよりは、 75 私どもとしましては、その場において、総理も言われましたような民営化なり 76 地方移管のようなことも含めながら十分に検討されて、その結果を私どもはき 77 ちんと取り上げながら将来の姿を考えていくべきと考えております。 78 79 ○内藤正光君 大臣は冒頭、単純にお答えするよりはとおっしゃったんですが、 80 私はむしろそういういろいろな選択肢を視野におさめながら議論をしていくと 81 言った方がよほど実のある議論が進んでいくんだと思います。むしろ、単純に 82 九十九全部独法化するとか、いやそうしないとかという議論の方こそ私は余り 83 にも物事を単純化し過ぎているんじゃないかと思います。 84 85  そしてまた、少なくとも小泉総理のおっしゃったことを具体化するならば、 86 いろいろな選択肢があるべきなんです。大臣も先ほどくしくもおっしゃったわ 87 けでございますから、私は今のうちからそういう選択肢をいろいろ視野におさ 88 めながら議論をされているというふうにおっしゃった方がいいと思いますし、 89 またそうすべきだと思いますが、いかがですか。 90 91 ○国務大臣(遠山敦子君) 今申し上げましたように、その検討の立場におい 92 てそういったいろんな選択肢があり得るということを当然視野に入れながら検 93 討されるということを期待しているという意味でございます。 94 95 ○内藤正光君 大臣ですから、期待しているというか、まず最初、議論をリー 96 ドしていくときに、いろんな選択肢が混在していてもいいんですよというのを 97 まず大臣の明確な意思として述べられるべきだと思うんですが、いかがですか。 98 99 ○国務大臣(遠山敦子君) そういう可能性をもちろん持っているということ 100 は言えると思います。しかしながら、それは現在検討の組織に検討をゆだねて 101 いるわけでございまして、今私が述べてきたような方向性を視野に入れながら 102 検討されていくということでありまして、そういう御指摘のような考え方も視 103 野に入れて十分検討したいということです。 104 105 ○内藤正光君 この問題をずっと言っていても恐らく平行線で、なかなか明確 106 な答弁が得られないと思いますが、そういう可能性も視野に、そういう可能性 107 というのはすなわち単純にすべて九十九の大学を一まとめに扱うんではなくて、 108 場合によっては一部独法化あるいはまた一部地方移管、一部民営化あるいはま 109 た場合によっては一部分国立大学として残すようなものもあり得る、こういう 110 可能性を視野におさめながら議論を進めていってもらうと、そして大臣はそれ 111 を期待するという理解でよろしいんですね。 112 113 ○国務大臣(遠山敦子君) 先ほど来何度もお答えしておりますように、その 114 検討の場面におきましていろんな外からの御意見なり期待なりというものにこ 115 たえられるようなそういう制度、システムというものを検討してもらいたいと 116 いう希望を持っております。 117 118 ○内藤正光君 文部大臣にぜひ国立大学の改革に向けた強いリーダーシップを 119 期待したいと思います。 120 121  ではここで、仮に独立行政法人化をしたとした場合、その仮定において質問 122 をさせていただきたいんですが、教員の身分がいろいろ言われております。国 123 家公務員だとか、いや非国家公務員型だとかいろいろ言われております。どち 124 らを選ぶべきだというふうにお考えでしょうか。 125 126 ○副大臣(岸田文雄君) 公務員型、非公務員型の議論につきましては、その 127 法人の目的とか業務等を総合的に勘案した上でどっちになるべきかという判断 128 がされるかと思いますが、その辺は今検討をお願いしているところであります 129 ので、どちらになるべきかということは今の段階では申し上げるべきではない 130 かなと思っております。 131 132 ○内藤正光君 まだどちらになるかわからない、だから場合によっては非公務 133 員型というふうな形に落ちつく可能性もあるということでしょうか。 134 135 ○副大臣(岸田文雄君) それぞれのそのメリット、デメリットを比較しつつ 136 幅広く検討しているわけでありますから、これは検討の段階において可能性と 137 しては、それは結論は両方あるというふうに考えるべきだと思っています。 138 139 ○内藤正光君 率直なお考えをお聞かせいただきたいんですが、副大臣のお考 140 え、どうあるべきかと、もしお持ちでしたらばお述べいただきたいんですが。 141 142 ○副大臣(岸田文雄君) 公務員型、非公務員型、それぞれメリット、デメリッ 143 トがあるということ、先生もこの辺は十分もう御案内のとおりだというふうに 144 思っています。 145 146  また、この辺、それぞれのメリット、それから給与を初めとする待遇面等々、 147 その辺も全部総合的に検討した上でどうあるべきかを考えていかなければいけ 148 ないと思っておりますので、その辺は今検討状況を私もしっかりとお伺いしな 149 がらその整理をしていかなければいけないと思っておりますので、その検討状 150 況をしっかりと見守っていきたいというのが私の今の立場でございます。 151 152 ○内藤正光君 私は、今の国立大学の改革のポイントは、幾つかあろうかと思 153 うんですが、やはりそのうちの大きなものの一つとして、大学間あるいはまた 154 教員間の競争環境というものをどうやってつくり上げていくか、そこに一つの 155 大きなポイントがあるんだろうと思います。 156 157  誤解していただきたくないのは、私は先ほど小泉総理の民営化賛成だという 158 話を取り上げたんですが、何も私は国立大学を民営化すればすべての問題が解 159 決するなどと簡単な単純な発想を持っていません。というのは、何も今の大学 160 の抱えている問題は国立大学だけの問題ではなくて大学すべてが抱えている問 161 題だと思うからなんです。ですから、私は、この問題を単に国立大学の独立行 162 政法人化なんということで、あるいはまた民営化なんという問題に矮小化すべ 163 きでないという、私はそういう思いでおります。 164 165  そういった思いでこれからの質問を聞いていただきたいんですが、その中で、 166 私も国立大学の出身ということもあるんですが、それだけに、別にそれはもう 167 全く公平無私な立場で申し上げるんですが、私は国立大学の持つ潜在能力とい 168 うのは本当に期待しているんです。だからこそ、国立大学というものがより大 169 きく羽ばたくために、例えば障害となっているようなものがあればそれはどん 170 どん早く取り除いてあげなくてはならない、そういう思いから私は質問をさせ 171 ていただいているわけなんですが、本当に国家公務員という形態のままでそう 172 いういろいろな障害が取り除けるんでしょうか。先ほど給与の問題とおっしゃ 173 いましたが、果たして国家公務員という形態のままで給与の自由度はどれぐら 174 い得られるんでしょうか。 175 176 ○副大臣(岸田文雄君) 給与についての御質問でございますが、給与につき 177 ましては、公務員型、非公務員型、いずれの場合でありましても、法人独自に 178 定める給与基準に基づいて教員の実績に応じた給与決定が行われるものだと考 179 えております。 180 181 ○内藤正光君 その法人独自の判断でということなんですが、ただ私も、それ 182 を以前、文部省の方に聞いたら、独自とはいっても、例えば優秀な外国の先生 183 を招聘するために五千万とか六千万払えるのか。あるいはまた、民間企業で働 184 いている優秀な技術者なりそういった方々を例えば一千万かそこらで招聘でき 185 るなんというのは到底考えるべきじゃないと思います。そんなのはもう非現実 186 的です。やっぱりそれなりの処遇で迎え入れなきゃいけない。そういったこと 187 は可能ですか。 188 189 ○副大臣(岸田文雄君) それは新たにでき上がったその法人の判断だと思い 190 ますので、可能だと考えます。 191 192 ○内藤正光君 以前聞いた話では、ほかと比べてある程度常識的な範囲内にお 193 さめなきゃいけない、だから一億だとか五千万なんというのはあり得ないとい 194 うふうに聞いているんですが。 195 196 ○副大臣(岸田文雄君) 今申し上げましたように、仕組みとしては可能であ 197 ります。しかし、人件費総額等を国会に報告する等、そういったさまざまな仕 198 組みの中でどこまで柔軟な対応ができるかは、これはそれぞれの法人ができ上 199 がった中で状況を勘案して決めなければいけないと考えております。 200 201 ○内藤正光君 それを決めるのは法人の長ですね。 202 203 ○副大臣(岸田文雄君) 決定するのはあくまでもその法人でございます。 204 205 ○内藤正光君 ただ、総枠が決まっている中で果たしてどこまで法人の長たる 206 方の裁量権が持てるのか。本当に外国の優秀な方を招くには二千万、一千万じゃ 207 到底招けるものじゃない、やはりそれなりの処遇で迎え入れなきゃならないと。 208 私は大いに今の仕組みに疑問を持つわけなんです。 209 210  ちょっとまた話は戻るかもしれませんが、小泉総理は民間でできるものは民 211 間で、民営化には賛成とおっしゃった。私は、本当に独法化するということに 212 決めたにしても、仮に独法化という道を選んだにしても、少なくとも教員の身 213 分は非国家公務員型とすべきではないのかと思うんです。 214 215  そこで、ちょっと見方を変えた質問なんですが、国家公務員型でなければな 216 らないという積極的な理由というのはお持ちですか。国家公務員じゃなきゃこ 217 れができませんよとかいう理由があれば教えていただきたいんですが。私はど 218 うも見当たらないんですが。 219 220 ○副大臣(岸田文雄君) 公務員型でなければならない理由についてという御 221 質問でありますが、公務員制度改革が今検討されておるわけであります。その 222 公務員制度改革の中で公務員自体がどうあるべきかという議論が行われており 223 ますが、その中で、一つ争議権の問題と、公務員型でなければならない、公務 224 員型と非公務員型の違い、幾つか指摘されているというふうに認識しておりま 225 す。 226 227 ○内藤正光君 争議権だとか、あるいはまた恐らくその争議権の先には例えば 228 リストラされるおそれがない、だから安定した環境の中で研究を続けられると 229 いう、そういうメリットもあるということでいいですね。 230 231 ○副大臣(岸田文雄君) それはそのさまざまな要素の中にそういった部分も 232 含まれるとは思います。 233 234 ○内藤正光君 積極的に公務員型でなければならない理由というのは、どうも 235 私の今までの研究だとか勉強では見当たらなかったし、また副大臣とのやりと 236 りでも、公務員でなければならないという理由がなかなかぴんとこないんです 237 ね。むしろその辺はもうちょっと自由度を、非公務員型としてもっとよりたく 238 さんの自由度を与えた方が私はより大学の改革という精神に一歩近づくのでは 239 ないのかな、そんな気がしてならないんです。 240 241  ただ、一つだけ申し上げておきたいのは、公務員型の一つのメリットとして 242 身分の安定とかそういうのがあろうかと思うんですが、決して国家公務員も予 243 算削減によるリストラ、解雇の可能性がないというわけじゃないそうなんです。 244 245  私きのうの夜ちょっと見つけたんですが、ジュリストの論文の中で藤田東北 246 大学教授も述べられているわけなんですが、リストラ、解雇の可能性について 247 も要はあり得るんだ、公務員といえどもあり得るんだということを言っていま 248 すし、仮に独法化になった場合、ここに新しく第三者評価機関というのができ 249 るわけです。第三者評価機関の業績評価によっては組織の改廃だとかそういっ 250 たものにもつながるわけですから、当然今まで以上に解雇だとかリストラだと 251 か、そういう可能性が国家公務員といえどもあり得るわけです。 252 253  ですから、私は、国家公務員イコール安定した環境、そしてその上でちゃん 254 とした安定した長期的な研究ができるという論法は決して成り立たないと思い 255 ます。この問題は私も長期的に取り扱っていきたいと思いますので、もしまた 256 国家公務員でなければならないという積極的な理由がありましたらぜひ教えて 257 いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 258 259  次に、これも大学改革の一環ではございますが、テーマを変えまして、教学 260 と経営のあり方、教えるのと経営のあり方についてひとつ質問させていただき 261 たいんです。 262 263  現在どういうふうになっているのかといったら、大学内にいろいろな学部が 264 ある、そしてこの学部の代表者、学部長の方々が集まって評議会というものを 265 つくられて、そしてこの評議会が実質的な最高意思決定機関になっているわけ 266 でございます。しかし、当然のことながら、各学部長というか学部の代表の方々 267 が集まる組織ですから、学部間の利害調整機関になっているわけでございます。 268 269  本当だったら、場合によっては例えばこの学部はもうちょっと縮小して、こ 270 れからの時代を見据えて、例えばバイオの分野、ITの分野、この分野をがん 271 と広く強化していかなきゃいけない、そういうような経営的な発想があって当 272 然だと思います。戦略的な経営、そういうことがあって当然だと思いますが、 273 しかし評議会というものの中ですべてを決めてしまう仕組みの中では、それは 274 現実的にはできなくなってしまうわけでございます。ましてや、今後独法化が 275 議論される中で、独法化が進んでいけば当然、経営という概念がますます重要 276 になっていくわけでございます。 277 278  そこで、私は、やはりここで独法化という議論をするのと並行して教学と経 279 営の分離というものもしっかりと議論していかなきゃいけないかと思いますが、 280 教学と経営の分離についてどういうふうにお考えなのか、お答えいただけます 281 でしょうか。 282 283 ○副大臣(岸田文雄君) 国立大学を法人化した場合、予算の編成ですとか組 284 織の改廃あるいは給与の決定など従来国が行ってきた大学の経営に関する事項 285 につきましては、大学みずからが判断し決定していくことになると認識してお 286 ります。ですから、法人化後の国立大学におきましては、役員体制、学内の審 287 議機関など運営組織を整備して、大学みずからが戦略的、機動的な判断、意思 288 決定をしていくことが大変重要であるというふうに思っております。その中に 289 あってあるべき姿が模索されていくと思っておりますし、今、先生がおっしゃっ 290 たような問題意識の中にも、その効果的な結果が出るような結論に導かれるこ 291 とを期待しております。 292 293 ○内藤正光君 副大臣、いろいろお答えいただいたんですが、大学みずからが 294 決定できるようにすると言うんですが、大学みずからが決定しているからこそ、 295 はっきり言えば何もできないという現実もあるわけです。ですから、独法化の 296 議論の際には、やはりここでもう教学と経営を分離するんだというような、ひ 297 とつ大上段の取り組みがあってしかるべきだと思うんですが、いかがでしょう。 298 299 ○副大臣(岸田文雄君) さまざまな御意見があります。そのさまざまな御意 300 見を踏まえまして、今、調査検討会議というもので議論しているわけでありま 301 す。その議論の中でそういった部分もしっかりと議論されるものだというふう 302 に考えております。 303 304 ○内藤正光君 大臣御自身はいかがでしょうか。文部行政に長年携わっている 305 立場からお答えいただきたいんですが。 306 307 ○国務大臣(遠山敦子君) これからの組織は、大学に限らず、その組織の意 308 思決定において非常にマネジメントの観点というのが大事になってくると思い 309 ます。 310 311  私も国立美術館という独立行政法人の理事長を一カ月でしたけれどもやらせ 312 ていただきましたが、そのときに思ったのは、やはりこれまでのような行き方 313 ではなくて、美術館でありましたら、国民が要望するような美術館運営という 314 ものにしっかりこたえていかなきゃいけないと。それには、従来型の方式では 315 なくて、観客者の目線に立ち、あるいはその予算を有効に使っていくというよ 316 うな角度、そういったかなり総合的なマネジメントの思想が非常に大事だなと 317 思った次第でございます。 318 319  大学についても、今後どうしていくか。国立大学の場合については、今、調 320 査検討会議が走っているところでございまして、余り予断を与えるようなこと 321 はもちろん言うべきでない段階でございますが、経営的な観点が必要だという 322 ことは私は否めないと思います。 323 324  だから、すぐ教学と経営と分けるというのは、これまたもう少しメリット、 325 デメリットを考えて、現にそういうので成功している例もありましょうし、そ 326 うでないのもありましょうし、ということでありますけれども、やはりその大 327 学は生き生きとした活動をやっていくということによって世の中に対して貢献 328 していくわけなんですけれども、そのためにはどの学問分野に重点を置いてい 329 くか、あるいはどういう人を採用するか、そういったようなことが非常に大事 330 になってくるわけでございまして、それはある意味ではマネジメントという経 331 営的な感覚というのも大事だと思います。 332 333  ただしかし、それは大学という本来教育研究を目的とする組織でございます 334 ので、単純な利益追求のための組織とは違うということも考えながら、しかし 335 そういう視点をどのように生かしていくか、あるいはどのように取り入れてい 336 くか、そういったことも検討課題の一つとして私は考えていくべきであろうか 337 と思います。 338 339 ○内藤正光君 ということは、大臣自身、マネジメントという概念、考え方は 340 やはり大事だと思うので、教学と経営を分離するかはまた別として、手段は別 341 として、いかにマネジメントというものがうまく機能するか、そういった発想 342 で大学改革に取り組んでいきたい、そういう理解でよろしいですね。 343 344 ○国務大臣(遠山敦子君) マネジメントという言葉がどういう意味で使われ 345 るかによって、ちょっと単純にそうだと言いにくい面もございますけれども、 346 やはり役員体制あるいは学内の審議機関というような運営組織を整備して、大 347 学みずからが戦略的あるいは機動的に意思決定を行っていく、そのための視点 348 というのが大事だという意味では、そういう意味が大事であるという考えにつ 349 いて申し上げたということでございます。 350 351 ○内藤正光君 私もいろいろな方々から話を伺ったんですが、今の大学の問題 352 点の一つに、過去の研究実績に基づいて学長とかそういった方々が選出される 353 と。ただ、研究成果と経営的なセンスというのは全く別物でありまして、やっ 354 ぱりちゃんと峻別するものだと思います。 355 356  アメリカの方だと、聞くところによれば、三十代ぐらいからもう研究分野に 357 歩むか、あるいはまた大学のマネジメントの道を歩むか、しっかりと分かれて、 358 そしてそれぞれ別々の道をしっかりときわめていくと。そして、そういったマ 359 ネジメントの道を選んだ人が大学の経営のトップにつくと。そういった方は当 360 然いろいろな学問の知識もおありですから、必ずしも学問をもうどこかへ追い 361 やって経営的な発想ばかりで大学運営をされるわけじゃないわけです。やはり 362 学問の重要性も認識しながら、その上で経営をされているというわけなんです 363 が、そういった発想でもってどこの分野を拡充していかなきゃいけないかとか、 364 あるいはまた企業との連携もふえていくわけですが、どうやってその企業と大 365 学との連携をより強めていくか、こういった発想で絶えず頑張っていらっしゃ 366 るというふうに聞いております。 367 368  ところが、日本の大学の実態はといえば、先ほど申し上げたように、過去の 369 研究成果でもってずっと上り詰めて、そしてその方が経営面にまで携わると。 370 両方備えていらっしゃる方も多いと思うんですが、そうでない方もいらっしゃ 371 ると思うんです。経営的なセンスがこれからはますます重要になってくるかと 372 思いますので、ぜひその考えを大学改革の中に織り込んでいっていただきたい、 373 盛り込んでいっていただきたい、そのことを申し上げて、ちょっと決意をお伺 374 いしたいんですが。 375 376 ○副大臣(岸田文雄君) 先生が御指摘いただいた点は重要な点だとは思いま 377 す。その辺も含めてしっかりと検討をしていかなければいけないと思います。 378