==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
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6/1国大協理事会決定承認の是非

北海道大学評議員各位 法人化に関する議論は本日の評議会で行われると聞きました。予算のための臨 時評議会ですが、予算という日常的な議題とは比較はできない性質の重要な問 題です。真摯に議論して大学自治の存在を証明してください。  来週の国大協総会では何も決めないだろうと言う方がおられそうですが、そ れは先週の国大協理事会の決定内容(*1)と国大協会則とをご存知ないがゆえの 発言ではないかと思います。 国大協会則第8条は、 「協会がその意志を決定し又は表示する場合は、総会の議によらねばならな い。ただし、緊急の必要があり総会を招集するいとまがない場合においては、 理事会の議により、これを行なうことができる。 2 前項ただし書の規定によってなされた措置については、次の総会におい てその承認を得なければならない。」 となっています。 6月1日の国大協理事会(*2)後に長尾会長が国立大学の法人化の意志を明確 に報道発表した以上、来週の総会で異論がなければ、国立大学の独立行政法人 化承認(*3)は国大協の合意事項となります。 本日の評議会で、理事会表明を国大協の意志としてよいかどうかを議論し、北 大としての態度を明確にしてください。 これまでの北大での議論で、学問の自由・大学の自治を増すための法人化でな ければ検討に値しない、という点を強調してきた北大としては、理事会表明の 内容(*1b)は到底承認するわけには行かないはずです。 理事会決定について、議論せず不作為に承認することは、北大内で独立行政法 人化にある種々の思い・意見(*4)無視するもので、合議制を基盤とする大学自 治の根幹である評議会の使命を放棄するものです。 理学研究科 辻下 徹 内線3823 ---------------------------------------------------------------------- *1a 国大協理事会後の記者会見の内容 「共同通信ニュース速報 法人化による改革を強調 国大協の長尾会長  国立大の法人化について検討している国立大学協会(国大協)会長の長尾真 京大学長は一日、国大協の委員会案を正式に公表した上で「国立大が自己責任 を明確にする改革を行う決心をした」と述べ、法人化を前提に大学改革を進め たいとする意向を強調した。  国大協は委員会で法人化の具体策を検討し、文部科学省の調査検討会議にも 代表者を参加させてきた。その一方、国大協内部に根強い反対論もあることか ら「行政改革を目的とした独立行政法人通則法を国立大に適用するのは反対」 との立場は崩してこなかった。  国大協が法人化による改革姿勢を鮮明にしたことで、国立大法人化の動きが 一層加速しそうだ。  委員会案は各大学が自由に学科を設置したり、業績を反映した独自の給与体 系を導入するなど、自主性と裁量を拡大することを柱としている。  国大協は今月中旬に開く総会に委員会案を提出し、検討する。  国立大については、小泉純一郎首相が民営化に「賛成」とする国会答弁をし ているが、この日、長尾会長は「民営化を視野に入れて議論はしていない」と 述べた。(了)」 ---------------------------------------------------------------------- *1b 5月21日文書以外に新たに加わったもの 2001年6月1日 国立大学協会設置形態検討特別委員会 国立大学の法人化についての要旨 国立大学法人化の趣旨 わが国の社会経済並びに国民生活を発展させ、さらには人類の福祉を増進させ るために、わが国の高等教育および学術研究の一層の質的向上、とりわけわが 国の教育および研究面における国際的競争力の強化が緊急の重要課題となって いる。すなわち、優秀な人材の育成と高度の学術研究の遂行、さらには、大学 における研究成果の社会への還元や技術移転、その他、国民の多様な要請に応 え、国の基盤を支えることは、国立大学に課せられた重大な使命である。 このような使命を果たすため、これまでも国立大学において様々な努力を行っ てきたが、不十分であり、多くの改善すべき問題が存在する。したがって、国 立大学は、社会からの批判を真撃に受けとめ、厳しく自己点検し、自ら変革し てゆく努力をすることが必要である。とりわけ、国立大学は、公的負担により 運営されていることを強く自覚し、自己責任を明確にし、競争的環境を作り切 磋琢磨するとともに、適正な運営、情報の公開、透明性の確保、社会貢献等、 社会との連携を積極的に行い、社会の期待に応えなければならない。 以上のような国立大学が抱える問題を克服し、国立大学に課せられた使命をよ り的確かつ確実に果たすことが可能となるよう、国立大学協会は、設置形態検 討特別委員会をもうけて国立大学の組織改革のあり方を検討してきたが、今回、 その改革の基本的方向として次のような内容を策定した。 改革によって実現すべき基本的目標 1.国立大学が国の行政機関の一部とされていたことから生ずる教育・研究上 の不要な制約を取り除き、明確な責任体制のもとで、大学の運営ないし活動に ついて自主性・自律性さらには柔軟性を拡大すること。 2.個々の国立大学が固有の理念・目標を設定し個性化することにより、広く 大学間で切磋琢磨して高等教育および学術研究の活力ある発展を図ること。 3.国立大学が、その時々の社会の要請に適切に対応し、運営の透明性が確保 される開かれた大学を実現すること。 改革の枠組みの要点 1.国立大学法人法を制定し、法人組織と大学組織を分離することなく、国立 大学を1大学1法人として法人化する。大学の教職員の身分については、国家 公務員型を基本としつつ、非公務員型の可能性を含め、今後検討する。 2.組織編成、財務や人事に関しては、国立大学の自主性・自律性の拡大とい う法人化の趣旨に適合するよう、原則として国立大学が自ら決定できることと する。 3.学長を中心とする執行部体制を強化し、大学の管理運営の責任体制を明確 化する。このような学長の責任とリーダーシップの重さに鑑み、その選考に学 外有識者の意見を反映させる仕組みを設ける。 4.法人化後の大学の管理運営のアカウンタビリティや社会の要請の取り入れ 等の観点から、評議会や運営諮間会議等の大学運営の基本的システムを、学外 有識者の役割を強化する方向で大幅に見直す。 5.職員(教員および事務職員)の人事、給与、服務等については、公募制や 任期制さらには業績給等の推進、教員の兼職兼業の規則の緩和を含め、意欲を 持って職務に従事しその能力が発揮されるような弾力的な仕組みを導入する。 6.中期目標は、各大学の理念や長期目標等を踏まえて、大学の意見に基づい て策定する。また、第三者による大学評価を行い、その結果を公表するととも に、大学における教育研究の特性に配慮して国からの運営費交付金に適切に反 映させて、大学間に競争的環境を導入する。 7.国は、大学の個性化と切磋琢磨を推進するため競争的研究費金を拡充する とともに、基盤的経費については、大学の安定的な教育研究活動を確保するた め各大学の運営方針その他の諸特性が反映される方式により算定する。 ○以上のように、この内容は、国立大学が自ら、競争的環境を実現し、大学の 運営に社会の意見が反映される組織に作り変え、自主性・自律性とともに自已 責任を明確にする改革を行う決心をしたものといってよい。これは社会の意見 を反映する仕組を持たない独立行政法人通則法にくらべて、はるかに良い制度 設計になっていると言えるだろう。 ---------------------------------------------------------------------- *2 6月1日の理事会では意見が割れたまま時間切れとなり、総会で議論を続 けると聞いています。 ---------------------------------------------------------------------- *3 国立大学法人という言葉を変えても、正真正銘の独立行政法人であること は文部科学省も国会答弁で明言しています。こういう児戯に等しい取り繕いを 続けると、国立大学協会とその会員である国立大学全体が信用を完全に失うの ではないかと心配します。 ---------------------------------------------------------------------- *4 たとえば、北大アンケート回答における自由意見 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/hu-iken/iken.html