12/1「大学改革」への補足説明の要望辻下 徹2001.12.13NHKBS1「大学改革」制作担当者 殿 CC:国会議員、文部科学省、国立大学協会、国立大学教員ML 大学改革情報ML、高等教育フォーラムML 以下の要望を12月4日にお送り致しましたが、12月8日の番組で補足説明はあ りませんでした。シリーズ最終回で補足して頂きたく、公開で要望を繰り返させて 頂きます。 なお、この要望は偏った情報を流さないようにお願いするものであって、ISIラ ンキングの結果(だけでなく大学ランキング一般)に積極的意義があると考えての 要望ではありません。 辻下 徹 TEL and FAX 011-706-3823 -------------------------------------------------------------------------- 2001.12.4 NHKBS1「大学改革」制作担当者 殿 12月1日(土)23:00〜「トップ30」について この番組について、以下の点に関する補足説明を強く要望します。 冒頭の部分で、スイスの経営開発国際研究所(IMD)の『世界競争力白書』で、日 本の大学が最下位であるというデータが紹介されました。しかし、このランキング は、各国の有識者が自分の国の大学をどのように評価しているか、という資料である ことが説明されていませんでした。日本でIMD調査に答えている有識者は主として 日本の大企業のエグゼクティブであることは重要なことで、これは、日本の経済界が (経済セクタにとって)日本の大学を世界最低に評価しているということを表してい るだけではないでしょうか(*1)。この主観的評価だけが例としてくり返し引用さ れるのは、産学連携推進を1995年から通産省を巻き込んで組織的に進めている活 動(*2)の一環としての情報操作である可能性も十分疑われるものです。 以上のような説明が欠けているために、この評価が日本の大学に対する海外の評価で あるかのような誤解を視聴者に与えたことは間違いありません。今週の番組での訂正 を強く要請します。 以上の点をご存知でなかったとすれば、自社以外の機関が行った調査結果を報道す る際に必要とされる基本的な慎重さが欠けますし、知っていて触れなかったとすれば 誤解させることを意図したもので、さらに大きな問題です。 さらに望まれるのは、上の主観的な評価を紹介する以上、より客観的なデータによる ランキングも複数紹介することです。国際競争力が主テーマであるとすれば、当然、 今、日本の大学がどの位置に居るかについて、種々のデータを提供しなければならな いのは当然のことではないでしょうか。 たとえば、ISIのランキングは紹介すべきでしょう: 朝日新聞2001.7.17「科学情報会社ISI:4分野で日本の大学がベスト5入り」 「科学情報会社ISIが17日、最近10年間で論文引用数が多い世界の研究 機関を分野別に公表。4分野で日本の大学がベスト5入り・・・」 Cf:http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=ED&action=m&board=1086166 &tid=9qna9bga4nfhna99tc0afka1bfm2bda1aa&sid=1086166&mid=2980 また、欧米での大学ランキングの評価項目の中で、学生/スタッフ数比、常勤スタッ フの割合、教育研究補助スタッフの数、等、教育研究環境整備に関する項目のウェイ トが最も重視されているので、日本の大学のランキングが低いことは、大学行政の問 題を示すものであって、大学を批判することに用いられないことも、余り注目されて いません。今後、独立行政法人化等で、任期制が導入されたり非常勤の教員が増えた りすれば、日本の大学全体は、客観的データに基づく国際的な大学ランキングで地崩 れを起こすことは不可避でしょう。そういった重大な客観的懸念に一切ふれず、大学 側の意識改革だけが問題であるかのようなマスコミの論調は、叫ばれている「国際競 争力」が、大学自身の機能の競争力ではないことを証明するものではないでしょうか。 (*1)「国際評価は公正か―自虐的な日本人の大学評価」 私学高等教育研究所主幹 喜多村和之 http://www3.ocn.ne.jp/‾riihe/arcadia/arcadia44.html (*2)旧通産省産業政策局産業技術課大学等連携推進室(1995年)について http://133.50.152.161/dgh/01/714-sangaku.html 早急なご回答をお願い致します。 辻下 徹 |