==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
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国立大学「法人化」に関する総長への公開質問状

名古屋大学職員組合 中央執行委員会

2002年3月14日

1. 調査検討会議では、国立大学の独立行政法人化を前提として議論がなされてま すが、なぜいま独立行政法人でなければならないのか、総長の見解をお聞かせ下さい. 2. 独立行政法人化後の大学像を、私たちは、中間報告に対する中央執行委員会声 明で表明したとおり「業務内容、財政基盤、運営体制までしっかりと文部科学行政に 組み込まれ、学長の強権によって運営される国策事業の実施機関」としか描くことが できません.   総長は、独法化後の大学像をどのように描いておられるのか、お聞かせ下さい. 3. 1996年ころから議論されてきた、国立大学の「独立行政法人化」問題は、文部 科学省・調査検討会議による『最終答申』という形で、いま重大な画期を迎えていま す。その内容は、全国の大学人にとって受け入れがたい内容を含んでいるばかりか、 文部科学省にとってさえ「敗北」といえる点をいくつも含んでいます。そして私たち がどうしても問題にせざるを得ないのは、こうした事態に立ち至るに当たって、わが 松尾総長が果たした「役割」は小さくないのではないか、ということです。   振り返ってみると、1997年から98年にかけて、当時の文部省は、当時の大学審 議会が出した『答申』に基づき、「戦後最大の国立大学改革」を進めるとしつつ、独 立行政法人通則法に言う独立行政法人制度は、国立大学になじまないものであって反 対であると表明してきました。それが、99年9月の国立大学の独立行政法人化に関す る『検討の方向』では、公務員型・教学と経営の一体性・国立大学独自の目標と評価 の制度などを前提として、独立行政法人化へと転換しました。この転換を促した要因 の一つは、国立大学協会において、松尾総長を担当者としてまとめられた2つの報告 書、いわゆる第1次と第2次の『松尾レポート』であったと言われています。   上記の前提のもとで、文部(科学)省は、2000年7月に調査検討会議を発 足させ、法人化の検討を行ってきましたが、結局、この3月に報告されようとしてい る「新しい『国立大学法人像』について」では、非公務員型、教学と経営の分離、通 則法の枠組をほぼ採用した目標・評価制度などがもりこまれ、文部科学省の「敗北」 と 言ってよい内容になっています。この間、松尾総長は、国大協副会長、将来構想 ワーキンググループ座長、また調査検討会議の主要メンバーとして、この「敗北」に 深くかかわってきました。   上記の点について、松尾総長はこの数年間の活動をどのように総括されている のか、ご自身の(心情や感慨ではなく)結果責任の観点から、明確にお答えください。 4. この『最終報告』をうけて、文部科学省は、年内に「国立大学法人法案(仮称) 」の策定、国会提出をめざしているといわれいます。今後は、大学人の参与を離れて、 法人化問題の主導権は官僚および政治の舞台に移ることになりますが、近年の特殊法 人改革や公務員制度改革、科学技術政策、経済構造改革などの動向を見ると、『最終 報告』からさえ後退した「法案」が策定される可能性が、残念ながら、ないわけでは ありません。   もしこうした事態が現れてきた場合、私たちは、松尾総長には、大学人として の良識と信念に基づき、後退した「法案」には反対の意思表明をされることを強く望 むものですが、この点についてお答えください。 5. この間の大学「改革」について、もう一つ大変遺憾であったのは、法人化問題 を含め、大学のあり方の根本的「改革」にかかわる問題について、学内でまともに議 論されたことが一度もなかったのではないか、という点です。たしかに松尾総長は、 4度にわたる「対話集会」を開催してきましたが、学内の最高審議機関である評議会 では、ほとんどの場合、法人化問題は「総長報告」の中で触れられるだけであって、 法人化問題にいかに対応するか、先取りするかという検討ばかりであり、賛否を含め て正面から協議されたことはなかったと言えます。各部局の最高審議機関である教授 会等でも、私たちは、総長の東京での「活動」を報告として聞くのみで、法人化問題 について、私たち自身の問題として真剣に正面から議論し、意思表明する機会は、ほ とんどなかったと言えます。ましてや、法人化によって甚大な悪影響をこうむるであ ろう、職員・院生学生に至っては、職員組合を含む三者の活動がなければ、まったく 蚊帳の外という状況に置かれてきました。   こうした、法人化問題での学内における「公共的討論空間」の欠如という点に 関して、松尾総長はどのような責任を感じておられるか、また今後「公共的討論空間」 をどのように学内に作っていくつもりがあるのか、お答えください。 6. 今後、『最終報告』の内容や法案の内容、また設置形態の如何に関わらず、国 立大学は、(経営・財務や産業の論理によってではなく)「学問の自由」と「大学の 自治」に依拠し、教育・研究という営みの「公の性質」(教育基本法6条)に則して、 大学固有の論理に従って、維持・発展させていくべきことがらを、ますます明確にし なければならない、と考えられます。その一部は、名大においては、すでに、『平和 憲章』『学術憲章』として明文化されていますし、また学内の規則・慣習、そして 職員組合をふくむ三者と大学当局のあいだで確認されてきた様々な事項が存在してい ます。   私たちは、今後始まるであろう、法人化に向けた制度設計においては、具体的 なあれこれではなく、根本姿勢の問題として、なによりもまず、「学問の自由」と 「大学の自治」に依拠し、教育・研究の「公の性質」を、大学固有の論理に従って、 維持・発展させることを第一義とする旨を、総長がいま確認・表明されることを、強 く求めるものです。 以上