==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
visits since 2002.3.27...

2002.3.26 調査検討会議最終報告関係報道

==>最終報告に関連する声明・申し入れ等

3/31 『東奥日報』社説 2002年3月31日付:国は大学の支援に徹せよ
3/29 『日本経済新聞』社説 2002.3.29: 大学経営の責任強まる「国立大法人」
3/28 『北國新聞』社説 2002.3.28:国立大法人化 多様な「非公務員」登用を
3/27 『朝日新聞』社説 2002.3.27: 変身の好機と考えて 国立大学法人
3/29 『神戸新聞』社説 2002.3.29:国立大法人化/変えるもの変わらぬもの
3/29 『宮崎日日新聞』社説 2002.3.29:国立大法人化 国は大学自立の芽つぶすな
3/28 朝日(夕刊):素粒子
3/28 『南日本新聞』社説 2002.3.28:【国立大法人化】国は大学支援に徹して
3/28 『読売新聞』社説 2002.3.28:国立大法人化 教育・研究の活性化につなげよ
3/28 『北國新聞』社説 2002.3.28:国立大法人化 多様な「非公務員」登用を
3/28 『東京新聞』社説 2002.3.28:国立大法人化 自主性高める契機に
3/28 『西日本新聞』社説 2002.3.28:国立大法人化 評価基準をはっきりと
3/28『琉球新報』社説 2002.3.28:国立大法人化・未来を開く柔軟な発想を
3/28 『山陰中央新報』社説 2002.3.28:国立大の法人化/国は自立への支援に徹せよ
3/28 『毎日新聞』社説 2002.3.28:国立大学 理想の法人目指す努力を
3/28 NHK「あすを読む・国立大学法人化に一歩」(早川信夫解説委員)
3/26 共同:国立大の裁量広げ競争促す 法人化で最終報告
3/26 毎日:国立大独法化:学費、給与にも格差 大学間の競争激しく
3/26 朝日:国立大、04年度にも法人化 検討会議が最終報告
3/26 毎日:国立大独法化:教職員「非公務員」に 検討会議が最終報告
3/27 読売:外国人の学長可能、国立大法人化で最終報告
3/26 日経:国立大教職員の身分、非公務員に
3/27 日経:国立大法人化最終報告 「外部の目」活用 経営課題審議に有識者
3/27 東京新聞:国立大法人化 教職員、非公務員に
3/27 西日本:国立大法人化文科省最終報告 


3/31 『東奥日報』社説  2002年3月31日付:国は大学の支援に徹せよ 

 国立大学法人化の最終報告がまとまった。予算の使い方や人事、教育研究組
織などについての国の規制を緩和し、大学の裁量を大幅に広げるという内容で
ある。国家の付属機関だった従来に比べれば大きな前進といえるだろう。

 だが最終報告を見る限り、国の関与の及ぶ部分は依然として大きい。やり方
によっては、かえって国のコントロールが強まる恐れもある。肝心なのは大学
の自主性・自律性が確立されるかどうかだ。国は大学の支援に徹してほしい。

 最終報告では、教職員の身分を非公務員とすることや、外部の有識者を含め
た役員会を設けることが新たに盛り込まれた。

 大学の自由度をできるだけ高めるという観点からいえば、非公務員としたの
は妥当なところだ。役員会を設けて大学全体として「透明性の高い意思決定」
を目指したのも理解できる。

 経営・教育の責任者となる学長の権限は強大だ。重要事項について学長の意
思決定に先立ち役員会の議決を経るとしたのは、権力チェックという点でも意
味がある。

 ただ、行革論議で浮上した独立行政法人の基本的枠組みを依然として引きずっ
ている点が気掛かりだ。行政の企画立案機能と実施機能を分け、企画立案を本
省が、独立行政法人が実施機能を担うという仕組みだが、この場合、実施機能
として想定されているのはもっぱら定型的業務なのである。

 さらに問題なのは、主務省が中期目標を定めて指示し、主務省に置かれた評
価委員会が達成状況を評価するという上意下達の仕組みである。自由な発想を
基本とする大学には到底なじまない。

 大学の中期目標について、最終報告は各大学が作成した原案への配慮義務を
盛り込んだ。しかし、結局は文部科学大臣が定めるものとし、文部科学省内に
置いた国立大評価委員会が達成状況などを評価して「運営費交付金等の算定に
反映させる」とした。

 中期目標について、中間報告にはなかった各大学の原案への配慮義務を盛り
込んだのは一歩前進だが、国が目標を設けるという基本は変わらなかった。と
ても先進国の大学とは思えない。

 運営費交付金についても最終報告は「評価結果等を反映」としただけだ。教
育費や最低限の研究費など基盤的経費をどこまで保証するかは明らかにしてい
ない。

 予算配分などに大きな権限をもつことになる国立大評価委員も文科省の組織
であり、メンバーも文科省選任だ。これまで以上に文科省のコントロールが強
まるのではないか、という危ぐが出てくるのも無理からぬところだろう。

 国によるトップダウンの仕組みが強まれば強まるほど、大学に未来を開く自
由な発想は生まれにくくなる。白川英樹さんや野依良治さんのノーベル賞は、
国のプロジェクト研究ではなく、ごく日常の自由な研究から生まれたものであ
る。

 注目したいのは、評価結果の交付金への反映方法や評価のあり方などが今後
の検討にゆだねられた点である。

 具体的な制度設計に当たっては、評価と切り離して一定の基盤的経費を保証
することや、国立大評価委員会を第三者機関とすることなど、国の関与をでき
るだけ制限する方向で組み立てるべきだ。

 国立大の側も正念場を迎える。法人化により、大学はこれまで国任せだった
人事・労務などさまざまな業務を自律的にこなさなければならない。限りある
予算を基礎研究につぎ込むかどうかも大学の見識によるのである。

 自由が広がる分だけ責任も大きくなる。「大学自治」を構築できない大学に
は未来はない。任せられたができなかった、では済まされないのだ。



3/28 『北國新聞』社説  2002.3.28:
  国立大法人化 多様な「非公務員」登用を

 文部科学省の調査検討会議が、国立大の法人化後の組織と運営について人事
や学科設置などで大幅な裁量を認める最終報告書をまとめた。焦点の教職員の
身分については全員を「非公務員」とする一方、第三者機関の大学評価によっ
て大学運営交付金の配分を査定し大学間競争を促すとしている。

 教職員が国家公務員法の制約を受けない国立大学法人への移行は、明治維新
や戦後の学制改革に次ぐ第三の改革と位置づけられる。法人化をにらんで、富
山県内の三国立大の再編統合合意、金大の再編など北陸でも大学改革が急速に
進行している。非公務員で組織される国立大学法人では、研究や教育目的に応
じて、兼業、兼任、任期制など多様な人材を大学独自の判断で弾力的に登用で
きる。大学はこの利点を最大限に生かし世界に通用する人材の輩出など活力あ
る大学の再生に全力を挙げてもらいたい。

 報告書では、六年間で達成するべき各大学ごとの目標の設定は、ほかの独立
行政法人と同様、文科省が行うとしている。再生のカギを握る大学の自主性と
やる気を引き出すには、研究費を含む交付金の査定の基礎となる目標達成の評
価は公正に行うことが極めて大事だ。文科省は目標決定では大学が提出する原
案をできるだけ尊重する方針を堅持してもらいたい。ただ目標が達成されたか
どうか、文科省の委託を受けた大学評価・学位授与機構が評価することになっ
ているが、聞き取り調査の充実など厳格に実施するべきである。

 研究を活発化させるには教員の流動性を高めることが重要だが、その仕組み
を整えることも必要だ。例えば新制度では大学間の人事異動は、勤める大学を
一度退職し、あらためて異動先の大学が採用することになっている。現行の
「転任」に比べて退職金など経済面で不利な扱いにならないよう勤続年数の通
算ができることも必要だ。

 新制度では現在国の歳入となっている授業料、寄付金、病院収入などは大学
が自由に使える財源となる。これらを有効に生かすには、人材不足の地方大で
は企業から経営手腕のある人材を積極的に登用して、競争力を強化するといっ
た工夫が要る。


3/29 『日本経済新聞』社説  2002.3.29:
 大学経営の責任強まる「国立大法人」

 国立大学の独立行政法人化を論議してきた文部科学省の調査検討会議が「新
しい『国立大学法人』像について」と題する最終報告をまとめて発表した。明
治以来、護送船団で守られてきた国立大は2年後をメドに個別の大学法人に生
まれ変わる。

 最終報告では中間報告で先送りされていた教職員の身分を「非公務員型」と
した。規制を大幅に緩和して大学の裁量を広げるとともに、経営や教育研究に
それぞれ中期目標を定め、業績の第三者評価で予算の配分を受けるなど、個別
の大学の経営責任が問われるしくみとなる。

 法人格を与えられたそれぞれの大学は策定した目標、計画のもとで予算や組
織を決めるとともに、教育公務員特別法で縛られていた教職員の身分も自由に
なり、給与システムも横並びから能力や業績に応じた能力主義を導入、企業役
員などとの兼業にも道が開かれる。

 「学外役員制度」による運営システムの活性化とともに、個別の大学の経営
努力を促すインセンティブ(誘因)の導入など民間的発想に基づく経営のしく
みが軌道に乗れば、国の規制に守られてきた国立大学のイメージは大きく変わ
るだろう。

 とはいっても、民営化とは異なる「国立大学法人」が資産を引き続き国にあ
おぎ、人件費を含めて運営資金が税金でまかなわれる構造に変わりはない。業
績評価から予算配分に至るプロセスが従前のような官僚機構の枠組みのもとで
進められ、競争原理が機能しなければ制度は変わっても実態は旧態のままとい
う可能性もある。半面、少子化の下で大学間の生き残り競争が激しさを増す中、
法人化で得た自由な条件のもとで国立大学が私大などとの競争優位を一層強め
ることも予想される。その方向性は必ずしも明確ではない。

 教育研究の質的な向上と国際的な競争に耐える人材育成機関として、国立大
が法人化に伴う改革の実を上げる条件は、一つは外部者を含めた公正な業績評
価のしくみだろう。

 報告ではそれぞれの大学の教育研究について、最終的には新たに設ける文部
科学省の「国立大学評価委員会」が評価を行うこととしている。社会の多くの
分野で「格付け」による評価が広がり、日本の大学にも客観的で信頼性の高い
評価の仕組みが必要だが、枠組みや手法はまだ手探りの状態である。多様な大
学の設置形態の下で、納得できる評価システムの確立を急ぐ必要がある。



3/27 『朝日新聞』社説  2002.3.27: 変身の好機と考えて 国立大学法人

 全国の国立大学を独立行政法人制度のもとで国立大学法人にする。明治の帝
国大学創設、戦後の新制大学発足に続く大きな改革である。

 その設計図を描いていた文部科学省の調査検討会議が最終報告を出した。

 独立行政法人は行政改革の発想から出てきた制度だ。大学人には、反発する
声も強かった。だが、調査検討会議はこの制度をてこに予算や人事、組織の規
制を緩和しつつ、一方で大学の自治や学問の自由も確保することを目指した。

 今の国立大学は文科省に手足を縛られ、予算も自由に使えないのが実態だ。

 最終報告を見ると、まだ文科省の統制のもとにある窮屈さは残っている。

 各大学の中期目標は文科相が定める。実績の評価も文科省に置く評価委員会
で行い、その委員は文科省が選ぶ。独立行政法人制度の枠組みに従った形だ。

 しかし、文科相が中期目標を決める際、大学のつくった原案に配慮するよう
義務づける、としている。大学の自主性・自律性を考えた苦肉の策だろう。大
学にふさわしい法人のありかたをゼロから議論できなかったのは残念だった。

 だが、不十分な点が残るとはいえ、大学の裁量が広がるのは確かだ。大学側
がこれを積極的に生かすことが先決である。

 報告で注目すべきは、教職員の身分を他の独立行政法人で圧倒的に多い公務
員型ではなく、非公務員型にしたことだ。

 教職員からは身分保障を心配する声も出ているが、非公務員型とすることで、
短時間勤務や任期付き職員など多様な雇用形態を用意しやすくなる。世界的な
研究者を高い給与で招くのが容易になり、外国人学長も迎えられる。一橋大教
授だった中谷巌氏はソニーの社外取締役との兼職を認められなかったが、今度
は道が開かれる。

 報告は役員会や経営を審議する運営協議会に学外者を入れる、とした。社会
に開かれた大学を目指すためだ。教育関係者だけでなく、企業や市民団体の代
表など、だれを選び、意見をどう生かすか。大学の姿勢が問われよう。

 事務職員はこれまで教官の下と見られがちだったが、大学が自ら運営のかじ
をとるうえで、その役割が重要になるだろう。

 私立大学ではすでに少子化時代の競争激化をにらんで、経営能力にたけた人
材を副学長などに迎え、学生を引きつける大学づくりの試みを始めている。

 「不自由にさえ耐えれば、競争はない」と言われてきた従来の国立大学の環
境は、法人化で一変する。

 基礎研究の充実や世界で通用する人材の育成、地域の活性化など大学に求め
られる役割は多様だ。各大学はどんな自画像を描くのか。その実現への道筋を、
再編統合も含めてどう考えるのか。

ボールは大学に投げ返されている。



3/29 『神戸新聞』社説  2002年3月29日付

国立大法人化/変えるもの変わらぬもの 

 国立大学の独立行政法人化に当たって、基本的な制度の検討をしていた文部
科学省の調査検討会議が、さきごろ、組織・運営などについての最終報告をま
とめた。

 それによると、最大の焦点であった教職員の身分については、活動幅を広げ
るため全員を非公務員とすることで決着したほか∇学科設置や予算配分の自由
化など大学裁量権の拡大∇大学経営や評価機関への学外有識者の導入∇競争原
理を取り入れた柔軟な組織運営∇産学協同の積極推進―といった大幅な改革が
盛り込まれている。

 法人化は、二〇〇四年春にも実施に移されるが、明治の帝国大学、戦後の新
制大学設置に匹敵する大学改革とも位置づけられているだけに、ムード先行に
陥らぬよう、「新しい大学」の創造に向けた着実な詰めの作業が求められる。

 最終報告の中でとくに強調されていることの一つは「大学の経営」というこ
とである。“ぬるま湯に浸ったような”とやゆされた従来からの運営方式が一
八〇度転換された。

 すでに私立大学で始まっている学長の権限拡大や、民間手法による評価や費
用対効果の重視、大学内外での競争を促す方針が打ち出された。国立大学にとっ
ては脱皮のためのショック療法ともなろう。ただし、教育研究施設や体制が一
様でない各大学を一斉に競争の渦中に引き込むのは問題が多い。大学切り捨て
は避けるべきだ。

 教職員の兼業解禁も時代の要請だろう。教育・研究に支障をきたさぬ限り、
大学の社会貢献、地域貢献という観点から、前向きにとらえたい。

 予算の自由化については、特許関連学部や病院など収益部門の活性化にもつ
ながり市民サービスの向上にも寄与する。拡大した裁量権をフルに活用し、特
色ある大学をつくりあげることも可能である。

 ただ、こうした「経済合理主義」が前面に出過ぎることで、大学運営や研究
分野がいわゆる実学一辺倒に片寄るのではないかとの指摘もある。

 その結果、基礎学問の軽視につながる恐れある。ことに「カネにならない」
が、しかし、教養として欠かすことのできない学問分野の研究予算がカットさ
れるという懸念が広まっている。競争・実利重視の初期サッチャリズムによる
英国の急激な大学改革で浮き彫りにされた問題点である。そんな愚を繰り返し
てはならない。

 法人化が、避けて通れぬものなら、そのために変えるべきもの、変えてはな
らないものをしっかり峻別(しゆんべつ)する必要がある。



『宮崎日日新聞』社説  2002年3月29日付

国立大法人化 国は大学自立の芽つぶすな 

 文部科学省が検討していた国立大学法人化の最終報告がまとまった。 

 予算の使い方や人事、教育研究組織などについての国の規制を緩和し、大学
の裁量を大幅に広げるというのが法人化の趣旨だ。

 国家の付属機関だった従来に比べればよりオープンな制度になる。大きな前
進であるのは間違いない。

 だが、最終報告をみる限り、国の関与の及ぶ余地は依然大きく、やり方次第
ではかえって国のコントロールが強まる恐れもある。

 肝心なのは大学の自主性・自律性の確立だ。自立の芽をつぶしてはいけない。
国は大学支援に徹してほしい。

☆教職員は非公務員に 

 最終報告では、教職員の身分を非公務員とし、外部の有識者を含む役員会の
設置が新たに盛り込まれた。

 大学の自由度をできるだけ高める、という観点から言えば、非公務員とした
のは妥当なところだ。

 教育研究の自由も、公務員でなければ守れないというわけではなかろう。問
題があれば透明性を高める中で社会に問い掛け、勝ち取るのが本筋だ。

 役員会を設け、大学全体として「透明性の高い意思決定」を目指したのも理
解できる。経営・教育の責任者となる学長の権限は強大だ。重要事項について、
学長の意思決定に先立ち役員会の議決を経るとしたのは、権力チェックという
点でも意味がある。

 気になるのは、行革論議で浮上した独立行政法人の基本的枠組みを依然引き
ずっている点だ。

 行政の企画立案機能と実施機能を分け、企画立案を本省が、独立行政法人が
実施機能を担うという仕組みだが、実施機能として想定されていたのはもっぱ
ら定型的業務である。

☆統制強化に強い危惧 

 主務省が中期目標を定めて指示、その評価委員会が達成状況を評価するとい
う上意下達の仕組みは、自由な発想を基本にする大学にはなじまない。

 報告は、大学の中期目標に各大学が作成した原案への配慮義務などを盛り込
んだが「文部科学大臣が…定める」とし、文科省内に置いた国立大評価委員会
が達成状況を評価し「運営費交付金等の算定に反映させる」とした。

 これでは国が目標を定めるという基本は変わっていない。とても先進国の大
学とは言えまい。

 運営費交付金についても報告は「評価結果等を反映」としただけだ。教育費
や最低限の研究費など基盤的経費をどこまで保証するか、明らかでない。 予
算配分などに大きな権限を持つことになる国立大評価委員会も文科省の組織で、
メンバーも文科省専任だ。

 これまで以上に文科省のコントロールが強まるのでは、と大学が危惧を抱く
のも無理からぬところだろう。

 だが、国によるトップダウンの仕組みが強くなれば、大学に未来を開く自由
な発想は生まれにくくなる。

 肝心なのは、評価結果の交付金への反映方法や評価の在り方など今後の検討
に委ねられた点だ。

 具体的な制度設計は、評価と離れた基盤的経費の一定程度の保証、国立大評
価委員会を国の関与をできるだけ制限する方向で組み立てるべきだ。

 国立大も正念場である。これまで国任せだった予算配分や労務なども自律的
に行う必要がある。自由が広がる分だけ責任も大きくなる。大学自治を構築で
きない大学に未来はない。




3/28 朝日(夕刊):素粒子

 『私の大学』を書いた小学校
中退のゴーリキーは、1868
年、明治元年の今日生まれた。
 日本の国立大学では、独立行
政法人化計画が進んでいる。
 大学を大きな川に例えよう。
川には源流があり、きらめく早
瀬や底深くよどむ淵を経て、大
海で世界とつながっている。
 大学に、しなやかさとめりは
りを求めることには賛成だ。し
かし、効率競争第一という世間
的物差しを当てて、全部を早瀬
に替えようというなら反対だ。


3/28 『南日本新聞』社説  2002年3月28日付

【国立大法人化】国は大学支援に徹して  


 文部科学省が検討していた国立大学法人化の最終報告がまとまった。予算の
使い方や人事、教育研究組織などについて国の規制を緩和し、大学の裁量を大
幅に広げるのが法人化の趣旨だ。だが、最終報告を見る限り、国が関与する余
地は依然大きい。

 大切なのは大学の自主性・自律性の確立だ。国は大学を支援することに徹し
てほしい。自立の芽をつぶしてはならない。

 最終報告には、教職員の身分を非公務員とすることや外部の有識者を含めた
役員会を設けることが新たに盛り込まれた。大学の自由度を高めるという観点
からいえば、非公務員としたのは妥当なところだ。教育研究の自由も、公務員
でなければ守れないというわけでもなかろう。

 役員会を設けて「透明性の高い意思決定」を目指したのも理解できる。重要
事項について、学長の意思決定に先立ち役員会の議決を経るとしたのは権力の
チェックという点でも意味がある。

 問題は行革論議で浮上した独立行政法人の基本的枠組みを依然、引きずって
いることだ。行政の企画立案機能と実施機能を分け、企画立案を本省が、実施
機能を独立行政法人が担うという枠組みだが、実施機能として想定されている
のは、もっぱら定型的業務だ。

 本省が中期目標を定めて指示、本省に置かれた評価委員会が達成状況を評価
するという上意下達の仕組みは、自由な発想が基本の大学にはなじまない。

 中期目標について、中間報告にはなかった各大学の原案への配慮義務を盛り
込んだのは前進だが、国が目標を定めるという基本は変わっていない。

 予算配分などに大きな権限を持つことになる評価委員会も文科省の組織であ
り、委員も文科省の選任だ。

 評価結果の運営交付金への反映方法や評価のあり方などは今後の検討にゆだ
ねられた。具体的な制度設計に当たっては、評価と切り離した基盤的経費の一
定保証や評価委員会を第三者機関とするなど、国の関与をできるだけ減らす方
向で組み立てるべきだ。

 国立大も正念場である。これまで国任せだった予算の配分や人事・労務など
の業務を自律的にこなさなければならない。自由が広がる分だけ責任も大きく
なる。「大学の自治」を構築できない大学に未来はない。



3/28 『読売新聞』社説  2002年3月28日付

 国立大法人化 教育・研究の活性化につなげよ


 自由になる。しかし、責任も問われることになる。

 国立大学の法人化について、文部科学省の調査検討会議が最終報告をまとめ
た。

 同省は報告を得て、来年の通常国会に関連法案を提出し、二〇〇四年度から
の実施を目指す。各大学も特徴を打ち出す戦略を立てねばならない。

 報告書は、文科省の一組織だった国立大学を独立した法人とし、大学の裁量
権の大幅拡大を提言している。

 各大学に配分される運営費交付金は使途を特定せず、大学の判断で弾力的に
使えるようにする。

 学部教授会の審議事項を制限し、経営面は民間人など学外者も入れた運営協
議会が担当する。

 教職員の身分は非公務員型となり、給与や勤務時間は雇用契約で決める。

 これにより大学の判断で、得意分野に資金やスタッフを重点的に投入できる
ようになる。特許取得や産学連携などに専門の能力を持つ職員の採用も可能だ。

 一方で、報告は、各大学の運営に国がどのように関与すべきかも示した。

 各大学は教育や研究のありかたについて六年間の中期目標を立て、文科省の
認可を得て実施する。さらに、目標をどの程度達成したか、大学評価・学位授
与機構と、第三者も入れた評価委員会による評価を受ける。評価は交付金額の
算定に反映される。

 大学評価は時代の流れであり、必要だが、問題は、日本には評価の蓄積が乏
しく、手法も確立していないことだ。

 国立大学の社会貢献などについて、同機構が改善勧告のための評価を実施し
た。だが、大学側から「基準が統一されていない」などのクレームが相次いだ。
評価スタッフの拡充や、公正で客観的な評価手法の開発を急ぐ必要がある。

 欧米で定着している評価が日本で未成熟なのは、大学関係者に「大学の自治」
を侵す、との反発が強かったためだ。国立大学は税金で支えられており社会に
対する説明責任がある、との自覚に乏しかった。関係者の意識改革も不可欠だ。

 国立大学法人化の論議は、企画・立案を国、実施を法人が担当する独立行政
法人化の一環として始まったが、その方法では大学の創造性を阻害する、との
意見が強かった。

 このため、報告は大学の自主性と国の関与のバランスを図った。同省には大
学の自主性尊重が強く求められる。

 大学評価の先進国とされるイギリスでも、当初は混乱があったが乗り越えた。
各大学には、法人化を変革の契機と受け止める、積極的な姿勢を期待したい。



3/28 『北國新聞』社説  2002年3月28日付

国立大法人化 多様な「非公務員」登用を


 文部科学省の調査検討会議が、国立大の法人化後の組織と運営について人事
や学科設置などで大幅な裁量を認める最終報告書をまとめた。焦点の教職員の
身分については全員を「非公務員」とする一方、第三者機関の大学評価によっ
て大学運営交付金の配分を査定し大学間競争を促すとしている。

 教職員が国家公務員法の制約を受けない国立大学法人への移行は、明治維新
や戦後の学制改革に次ぐ第三の改革と位置づけられる。法人化をにらんで、富
山県内の三国立大の再編統合合意、金大の再編など北陸でも大学改革が急速に
進行している。非公務員で組織される国立大学法人では、研究や教育目的に応
じて、兼業、兼任、任期制など多様な人材を大学独自の判断で弾力的に登用で
きる。大学はこの利点を最大限に生かし世界に通用する人材の輩出など活力あ
る大学の再生に全力を挙げてもらいたい。

 報告書では、六年間で達成するべき各大学ごとの目標の設定は、ほかの独立
行政法人と同様、文科省が行うとしている。再生のカギを握る大学の自主性と
やる気を引き出すには、研究費を含む交付金の査定の基礎となる目標達成の評
価は公正に行うことが極めて大事だ。文科省は目標決定では大学が提出する原
案をできるだけ尊重する方針を堅持してもらいたい。ただ目標が達成されたか
どうか、文科省の委託を受けた大学評価・学位授与機構が評価することになっ
ているが、聞き取り調査の充実など厳格に実施するべきである。

 研究を活発化させるには教員の流動性を高めることが重要だが、その仕組み
を整えることも必要だ。例えば新制度では大学間の人事異動は、勤める大学を
一度退職し、あらためて異動先の大学が採用することになっている。現行の
「転任」に比べて退職金など経済面で不利な扱いにならないよう勤続年数の通
算ができることも必要だ。

 新制度では現在国の歳入となっている授業料、寄付金、病院収入などは大学
が自由に使える財源となる。これらを有効に生かすには、人材不足の地方大で
は企業から経営手腕のある人材を積極的に登用して、競争力を強化するといっ
た工夫が要る。



3/28 『東京新聞』社説  2002年3月28日付

国立大法人化 自主性高める契機に


 文部科学省の調査検討会議がまとめた国立大学の法人化案は、自主性の高い
知の拠点づくりに道を開くきっかけになり得る。すべての国立大学が、これを
機に自らの将来像を描いてほしい。

 政府は行政改革の一つとして、調査研究機関などの独立行政法人化を進めて
きた。その中で、学問の独立や研究の自由が保障されなくてはならない大学を
どうするかは、大きな課題だ。

 文部科学省の大学等独立法人化調査検討会議は、独立行政法人通則法とは別
の法律で、より自主性、自律性の高い法人にすべきだという。

 財政難で窮屈な予算を補い、少子化で減る志望者を集めるには大学の自主的
な経営努力が求められる。

 九十九の国立大学がそれぞれ法人格を持つことは、例えば特許の取得や特許
使用契約の活用をはじめ、新たな活動を可能にする。予算や人事で、文部科学
省の細かな制約を受けなくて済む利点もある。

 規制緩和を大学の質の向上に生かすには、各大学が、最先端の研究成果をあ
げる場を目指すとか、地域の人材育成や知的活動の核になるといった目標をはっ
きり示すべきだ。その目標達成のため、指導性、財政運営の手腕、政府や地域
社会との折衝力などを備えた、経営責任者としての学長を選ばねばならない。

 著名な学者や学内の長老が、大学経営者として適任とは限るまい。外国人を
含め、適材適所の人選を心がけてほしい。役員や教職員の選任でも同じである。

 国立大学内には、法人化が将来の予算や教職員数の削減につながりはしない
か、という不安がある。特許収入などと縁のない、文系の学部や学科の廃止・
縮小を心配する声も聞こえてくる。文部科学省は二〇〇四年度の法人化実施ま
でに、趣旨を浸透させるとともに、必要な予算の確保を約束することが望まれ
る。

 国の予算配分に各大学の教育、研究の成果が反映するよう、複数の第三者機
関による評価は欠かせない。文部科学省の大学評価・学位授与機構が初めて評
価を実施したが、評価の客観的尺度をどう設定するかなど、手法や内容にはさ
らに研究の余地がある。国立大学側も新たな評価機関設立を促すなど、公正な
評価の確立に努力してはどうだろう。

 これまで国公立大学には、税金で運営されているという自覚に乏しい傾向が
あった。法人化がそうした自己満足めいた空気を変え、自主、自律、自己責任
の原則にのっとり、国民の視線を意識した大学に変わるきっかけになればいい。




3/28 『西日本新聞』社説  2002年3月28日付

  国立大法人化  評価基準をはっきりと

  独立法人として、新しい国立大学の姿はどうあるべきか。文部科学省の調査
検討会議が最終報告をまとめた。

  国立大が一大学一法人となり、文科省の一元的管理から解き放たれれば、独
自の大学運営ができ、活気に満ちた大学に生まれ変わる可能性を秘めている。

  その意味では、法人化は国立大学改革の継起となることは間違いない。

  報告の大要は、大学の自主・自律性を尊重しつつ、教育研究の世界に民間の
経営手法を導入し、それを第三者評価で厳しくチェックする、ということだ。

  国は大学ごとに法人格を与えることで、規制を大幅に緩和する。予算の使途
を原則縛らず、寄付金や研究成果による収益事業などで独自収入の道も認める。
人事制度は能力主義を柱とする。

  なかでも注目すべきは、教職員の身分を非公務員型としたことだ。公募制、
任期制、民間との兼業など多様な雇用形態を用意するためである。外国人の学
長も可能になる。身分保障に配慮するとしており、閉鎖的な現状を打破し、教
育研究の質向上に役立ててもらいたい。

  自由度が格段に増すだけに、大学の責任は重くなる。そのため、学長をトッ
プにした役員会、経営面を審議する運営協議会、教学中心の評議会を設け、役
割を分担して機動的、戦略的な運営を図るという。開かれた大学を目指し、外
部からの人材登用も義務付ける。

  少子化が進展するなか、国立大といえども自助努力なくして生き残れない。
競争原理と説明責任に基づく活性化は時代の要請でもある。報告は、そのため
の処方せんと受けとめるべきだろう。

  問題は、こうした改革をどう実りあるものにするかである。

  各大学の運営指針となる中期目標(六年間)は、大学側が原案を出して文科相
が定めるとした。大学の意見を考慮することを義務付けるというが、自主・自
律性を尊重するなら、大学が策定し、文科相が認可するのが望ましい。

  実績の評価手法も課題だ。第三者評価といいながら、評価機関は文科省に置
くという。評価結果で運営交付金が決まる。国費を使う以上、国の制約を受け
るのは分かるが、評価の客観性、透明性をどう確保するのか、はっきりしない。

  国立大学協会は、特定の研究や教育など地域貢献に特徴ある地方国立大の努
力が正当に報われるような評価基準を求めている。当然の要求だが、報告から
は具体的な評価基準は見えない。

  文科省が推進する国立大の再編・統合とも密接に絡むだけに、教育研究基盤
が弱い地方大学の心配は理解できる。

  文科省は二〇〇四年春にも一斉に法人化する意向だが、詰めるべき課題は少
なくない。よりよい制度にするために、国は幅広い考えを吸い上げて、なお論
議を尽くすことが求められる。



3/28『琉球新報』社説  2002年3月28日付

国立大法人化・未来を開く柔軟な発想を


 文部科学省が検討していた国立大学法人化の最終報告がまとまった。国の規
制が緩和され、大学の裁量が大幅に広がり、国家の付属機関から脱皮し、オー
プンな制度になる。

 一方で民間企業と同じように経営面などで競争を強いられ、大学間の格差が
広がる恐れもある。

 琉球大学のような地方の大学は、経営でも教育研究でも柔軟な対応と自由な
発想で、地域と共に歩み、発展していく姿勢が大切になってくる。

 最終報告では、教職員の身分を非公務員とすることや外部の有職者を含めた
役員会を設けることが新たに盛り込まれた。

 民間的経営手法を取り入れ、教授が民間企業と二足のわらじを履くことも可
能になる。

 非公務員となることで教職員の身分が不安定になり、教育研究に専念できな
くなるとの不安の声もあるが、公務員でなければ教育研究の自由を守れないと
いうことでもない。本人の資質と努力次第であることは、どこの世界、分野で
も同じだ。

 これまでは国立大学の収入は学費も含めすべてが一度国庫に入り、再分配さ
れるシステムだが、法人化後は独自に教育研究に関係する収益事業を行って、
収入を運営費に回せる。大学の知恵、努力次第である。

 もっとも最終報告は、主務省が中期目標を定めて指示、主務省に置かれた評
価委員会が達成状況などを評価し、「運営費交付金等の算定に反映させる」と
しており、国による縛りを完全に解いたわけではない。

 大学に自由競争を求めるなら、国のコントロールも最小限にすべきだ。

 独立法人化は大都市の大学と違い、企業の少ない地方の大学にとっては資金
集めなど不利な面が多い。琉球大学も例外ではないだろう。

 これまで以上に地域密着度を高めるとともに、米国、アジア諸国の大学、研
究機関、企業、民間団体との連携を強めていく必要がある。

 法人化は苦難の道だが、沖縄的な自由な発想と地理的、歴史的な特性が生か
せるチャンスでもある。



3/28 『山陰中央新報』社説  2002年3月28日付

国立大の法人化/国は自立への支援に徹せよ


 文部科学省が検討していた国立大学法人化の最終報告がまとまった。予算の
使い方や人事、教育研究組織などについての国の規制を緩和し、大学の裁量を
大幅に広げるというのが法人化の趣旨だ。国家の付属機関だった従来に比べれ
ば、よりオープンな制度になる。大きな前進と言えるだろう。

 だが、最終報告を見る限り、国の関与の及ぶ余地は依然大きく、やり方次第
では、かえって国のコントロールが強まる恐れもある。

 肝心なのは大学の自主性・自律性の確立だ。国は大学支援に徹してほしい。
あれこれと手を出して、自立の芽をつぶしたのでは元も子もない。

 最終報告では、教職員の身分を非公務員とすることや、外部の有識者を含め
た役員会を設けることが新たに盛り込まれた。

 大学の自由度をできるだけ高める、という観点から言えば、非公務員とした
のは妥当なところだ。教育研究の自由も、公務員でなければ守れないというわ
けでもなかろう。問題があれば、透明性を高める中で社会に問い掛け、勝ち取
るのが本筋だろう。

 役員会を設けて大学全体として「透明性の高い意思決定」を目指したのも理
解できる。経営・教育の責任者となる学長の権限は強大だ。重要事項について、
学長の意思決定に先立ち役員会の議決を経るとしたのは、権力チェックという
点でも意味がある。

 気になるのは、行革論議で浮上した独立行政法人の基本的枠組みを依然引き
ずっている点だ。

 行政の企画立案機能と実施機能を分け、企画立案を本省が、独立行政法人が
実施機能を担うという仕組みだが、実施機能として想定されていたのはもっぱ
ら定型的業務だ。主務省が中期目標を定めて指示、主務省に置かれた評価委員
会が達成状況を評価するという上意下達の仕組みは、自由な発想が基本の大学
に到底なじまない。

 最終報告は大学の中期目標について、各大学が作成した原案への配慮義務な
どを盛り込んだものの「文部科学大臣が…定める」とし、文部科学省内に置い
た国立大評価委員会が達成状況などを評価し「運営費交付金等の算定に反映さ
せる」とした。

 中期目標について、中間報告にはなかった各大学の原案への配慮義務を盛り
込んだのは一歩前進だが、国が目標を定めるという基本は変わらなかった。と
ても先進国の大学と思えない。

 国によるトップダウンの仕組みが強まれば強まるほど、大学に未来を開く自
由な発想は生まれにくくなる。白川英樹さんや野依良治さんのノーベル賞も、
国のプロジェクト研究ではなく、ごく日常の自由な研究から生まれたものだ。

 具体的な制度設計に当たっては、評価と離れた基盤的経費の一定程度の保証
や国立大評価委員会を第三者機関とすることなど、国の関与をできるだけ制限
する方向で組み立てるべきだ。

 国立大も正念場である。法人化により大学は、これまで国任せだった予算の
配分や人事・労務などさまざまな業務を自律的にこなさなければならない。限
りあるカネを基礎研究につぎ込むかどうかも、大学の見識になる。

 自由が広がる分だけ責任も大きくなる。「大学自治」を構築できない大学に、
未来はない。任せられたができなかった、では済まない。




3/28 『毎日新聞』社説  2002年3月28日付

  国立大学  理想の法人目指す努力を


  文部科学省の「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」は26日、
「新しい『国立大学法人』像について」と題する最終報告を公表した。

  独立行政法人とは別の「国立大学法人」を大学ごとに設置し、予算や組織面
などで大学の裁量、自由度を拡大する。一方、学外者の大学運営参画を制度化
し、大学への資源配分を第三者評価の導入による事後チェック方式に移行。個
性豊かな、国際競争力のある大学を目指すというものだ。国立大学制度の歴史
的転換といえる。

  ただ、最終報告はなお、運用によって右にも左にも行く要素を残している。
狙い通りに大学改革の推進力になる可能性がある一方、これまでと何ら変わら
ないことにもなりかねない。国の統制・干渉がむしろ強くなる可能性もある。
大学人の基本姿勢、理念がこれまで以上に重要であり、大学の教育研究につい
て、社会の理解を得る努力が欠かせない。

  報告は、中間報告で先送りされた課題にも切り込んだ。

  まず教職員の身分は、非公務員型を採った。外国人の管理職登用や兼職・兼
業の柔軟化など、多彩な活動が可能となる非公務員型の利点は少なくない。公
務員でないと身分が不安定になる、学問の自由を制度的に保障する教育公務員
特例法が適用されないため教育研究が脅かされる、などの反発も聞かれる。が、
そこは対応次第だろう。学問の自由は憲法に定められた権利であり、毅然とし
て臨めばよい。職員の身分は不利にならないような配慮が可能だ。

  大学の運営組織は、教学面担当の評議会とともに、経営面の運営協議会(学
外者を含む)を設置。これを踏まえ、学長が最終決定するが、特定の重要事項
は、役員会(同)の議決を経る、とした。大学の意思決定に透明性と説明責任を
取り入れるものにはなった。ただ、これも運用によっては、硬直化、形式化す
る恐れもある。

  もう一点、国立大学法人の柱である評価システムは、一部煮詰まらなかった。
大学の評価は計量的・外形的な基準だけでは難しい。評価結果を予算に反映さ
せるにしても、その方法と手続きは、見えてこない。まだ「具体的に検討する
必要がある」(最終報告)という段階だ。重要な課題であり、慎重な検討が求め
られる。

  今回の審議は、独立行政法人制度を前提としたところに無理があった。政府
の指揮命令下にある独立行政法人は、自主性・自律性を基本とする大学にはな
じまない。報告には工夫もみられるが、限界があったことは否定できない。

  その意味でも、今回の報告は、あくまで初めの一歩にすぎない。大学にふさ
わしい法人を作る努力は、これからも、不断に続けていかなければならない。

  国、文科省には、できる限り抑制的な対応を求めたい。設置主体が国であり、
カネを握っているからといって、安易に権限を振りまわしてはならない。独創
的な、価値ある研究は、国の「指揮命令」的感覚からは生まれない。


 
NHK 2002年3月28日00時00分〜00時10分 [he-forum 3665] 

NHK「あすを読む・国立大学法人化に一歩」(早川信夫解説委員)

 国立大学が独立行政法人に移行したあとのあり方について議論してきました 文部科学省の調査検討会議は、おととい、最終報告をまとめて遠山文部科学大 臣に提出しました。116年におよぶ国立大学の歴史の中で、設置形態にまで手 を加えるのは初めてです。今夜はこの報告の内容と課題について考えたいと思 います。  法人化されると国立大学はどう変わるのでしょうか。国の行政組織の一部に 過ぎなかったものが、大学ごとに法人として独立した存在となります。つまり これまでは自治は認めつつも国立大学全体の舵取りは国が面倒を見てきました。 各大学は保護者の手を離れ、自分の責任で歩んでいくことになります。人生に たとえるならば、親離れ、子離れにあたるのかもしれません。かといって私立 大学になるわけではありません。大学の予算は国からのお金でまかなわれ、名 称も国立大学のままです。お金の使い道について縛りがゆるめられますけれど も、大学ごとに収支が問われることになります。これからはお金は自分でやり くりしなければなりません。しかしその分、自分でがんばって儲けたお金は自 由に使えるようになります。自立性を認める代わりに自己責任が求められると いうわけです。  では今回の最終報告では、法人化に向けてどんな提言をしているのでしょう か。柱は四つです。  まず、トップダウン方式の強化。学長を中心に役員会を作り、責任をもって 経営を担ってもらうことにします。大学は議論ばかりしていてなかなか改革が 進まない、これでは時代の変化のスピードに追いつけない、と批判されてきま した。教授会の決定を通さなければ何も決まらない、という今の方式を改め役 員会の決定に委ねようというのです。学長のリーダーシップの強化が狙いです。  二つ目ですけれども、外部パワーの導入です。役員会には学外の専門家を必 ず招き入れることを求めています。外の知恵を借りて大学を活性化させ、「大 学の常識、世間の非常識」と揶揄されないように狙っています。必要ならば、 非常勤とすることも考えます。  三つ目は能力主義の徹底です。そのために教職員は非公務員とするとしてい ます。これによって学長に経営手腕のある外国人を登用できるようになります。 日産自動車のゴーン社長ですとか、サッカー日本代表のトルシエ監督のように、 る外国人が大学を引っ張る日がくるかもしれません。また、社会的に活躍して いる著名人を、名物教授として何年間か採用することも考えられます。さらに、 兼職や兼業の縛りがなくなり、教授がビジネスマンを兼ねる、といったことが 当たり前になるかもしれません。ただし、みなし公務員として引き続き贈収賄 の対象にはなります。  四つ目ですけれども、事後チェック方式への移行。大学はみずからどういう 大学を目指すのか、6年間の中期目標と中期計画を立てるように求められます。 この計画にもとづいて予算が配分されます。そして六年後、目標と計画がどれ だけ達成されているのか、第三者機関によって評価され、その結果に応じて次 の予算配分が決まる仕組みです。評価は教育研究の内容が理解できる専門家が 行います。評価項目をどうするのかといった、具体的な詰めは今後の検討課題 です。  最終報告が出たことで、国立大学は法人化に向けて一歩を踏み出します。し かし、一年八カ月におよぶ今回の議論、けして平坦なものではありませんでし た。といいますのは、今回の議論は行政改革の論議から出てきたものだからで す。会議では時間をかけることで行政改革の呪縛から離れ、自分たちの改革の ペースに持っていこうと、次第に変わっていったという印象を受けました。し かし、地方の国立大学を中心に依然として根強い抵抗感があります。評価結果 による予算配分によって、有力大学にばかり重点配分されるのではないか、と いう心配は解消されませんでした。国から引き継ぐ資産の格差も不安の種です。 また、六年間で結果を出しにくい学問分野が切り捨てられ、基礎研究の低下を 招きかねない、という危惧も払拭されてはいません。その一方、厭戦気分も広 がっているようで、私には気になります。どうせ良くはならないと、若手研究 者を中心に、先行きが見通せるようになるまで、研究条件の良い海外の大学や 研究所に職を求めようという情報が飛び交っているという話を耳にしました。 頭脳流出の加速が心配です。  こうした中、法人化反対を叫んでいた大学も、それぞれに学内の論議を活発 化させています。去年の六月に大学の構造改革プランが文部科学省から打ち出 されました。法人化に加え、国立大学の再編・統合、世界的な水準の研究への 重点的な資金配分、という方針が示されたことは、改革論議に拍車をかけてい ます。すでに今年の一〇月には山梨大学と山梨医科大学、筑波大学と図書館情 報大学が、それぞれひとつの大学に統合する予定です。また来年の統合を目指 して、九州大学と九州芸術工科大学など、八組一七大学が検討を進めています。 この他にも、県域を超えた統合の動きが出始めています。  増えつづけるだけだった国立大学は、再編の時代に入っています。今回の最 終報告を受けて、文部科学省は来年の通常国会を目指して関連法案の作成に取 りかかり、早ければ再来年の春には国立大学法人が誕生する見込みです。そこ で、今後の課題を三点挙げたいと思います。  まず、教員と職員が一体となって改革に取り組んでほしいと思います。検討 会議の議論を聞いていますと、教員だけで大学を経営しているという錯覚に陥っ ているのではないかと感じることがたびたびありました。教員と事務職員が一 体となって知恵を出しあってこそ、大学としての力が発揮できるのではないか と思います。  二つ目は、やはり経営感覚が大事です。法人化によって土地や建物といった 資産が国から大学に移され、大学ごとに収支をとる必要が出てきます。山種証 券の社長から早稲田大学の財務担当の理事になり、多額の債務の処理にあたっ てきた關昭太郎さんは、大学の内側に入ってみると、財務のことをあまりに知 らなさすぎるのに驚かされた、帳簿を読めるまでに職員を一から育て上げるの に七年かかったと話しています。国立大学といえど、財務のプロが必要な時代、 対応が急務です。  第三ですけれども、改革の本義は、受益者である学生や社会にたいして、大 学がどういったサービスを提供できるか、といった問題があります。そうした 配慮のひとつとして、大学ごとに安易に授業料を値上げしないようにとの歯止 めが、報告に盛り込まれた点は評価できます。しかし、法人化がどうサービス 向上につながるのか、といったことはいまだに見えてきていません。競争的な 資金配分、ということが言われだしたとたんに、先生の多くが資金の獲得のた めに、研究、研究と走りはじめたと聞きます。大学の先生たちには、急速な改 革の動きの中で、肝心の教育を忘れないでほしいと思います。また、産学連携 を通して、社会還元を考えることも必要です。  法人化まであと二年。時間はあるようで案外ありません。政府や文部科学省 には、国立大学を法人化することで、大学全体をどうしたいのかといったプラ ンを示すよう求めたいと思います。その上で、大学への投資が充分なのかも含 めて、改革に取り組みやすい条件整備をすすめてほしいと思います。また、大 学関係者には、自分たちの思惑を先行させることなく、大学が果たすべき役割 を考えながら、改革に取り組んでほしいものだと思います。  それでは今夜はこれで失礼いたします。






3/26 共同:国立大の裁量広げ競争促す 法人化で最終報告

 法人化後の国立大の組織・運営について検討していた文部科学省の調査検討 会議(主査・長尾真京大学長)は26日、学科設置を自由化するなど大学の裁 量を大幅に拡大する一方、第三者機関の評価によって国から各大学への資金配 分を増減、大学間の競争を促すことを柱とする最終報告をまとめた。最終報告 の焦点となっていた教職員の身分については、全員を「非公務員」とすること で決着した。文科省は03年の通常国会に関連法案を提出する方針で、法人運 営による新たな国立大は2004年春にも誕生する見通し。しかし、大学評価 の方法によっては国の関与がかえって強まる懸念があるほか、教育研究の条件 整備が不十分な地方の大学や小規模な大学の中には、競争原理の導入に対して 反発も残っている。


3/26
毎日:国立大独法化:学費、給与にも格差 大学間の競争激しく

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020327-00000192-mai-soci  全国の国立大学が国の規制を外れ、民間的経営手法を取り入れる「独立法人」 の骨格が、26日固まった。民間企業と二足のわらじを履く教授が出たり、 「金もうけ」を視野に入れた大学運営が可能になるなど、大学の自由度が大き くなる。一方で、大学に交付される予算や学生の授業料、職員給与に格差が生 じ、「非公務員」となる教職員の身分も不安定化するため、ぬるま湯体質を指 摘されてきた国立大学は競争を強いられる。独法化で国立大学はどう変わるの か。  ◇教職員は非公務員  独立法人化された国立大の教職員は「非公務員」となり、原則として各大学 ごとに採用される。民間企業との兼業が可能になり、教官が民間研究所で研究 をして報酬を得たり、企業のトップと二足のわらじを履くことが可能になる。  国立大教官の民間企業との兼業をめぐっては、99年に当時一橋大教授だっ た中谷巌・多摩大学長がソニーの社外取締役に就任する際、国家公務員法など に抵触すると問題になった。その後、人事院規則が緩和され、00年4月から 民間企業の監査役などとの兼業は認められたが、法人化で活動の幅はさらに広 がる。  先端企業の研究をすることができると評価する声がある一方、学生への教育 がおろそかにならないかという懸念もある。独法化と合わせて教員の任期制を 採用する大学が拡大する可能性も高く、短い期間で成果を出せない学問が先細 りするという指摘もある。  事務職員も、公務員としての身分保証はなくなるが、非公務員化後も公務員 宿舎を使用でき、従来の保険も継続できる。これまで職員は大学間を異動した が、大学ごとの採用では、優秀な職員を大学が手放さないなど、人事が停滞す る恐れもある。このため、最終報告では各大学が連携して人事を工夫するよう 求めている。  ◇学費に格差  学生の授業料は、国がある一定の幅を作り、その中で各大学が自由に定める。 これまでは、文学部でも医学部でも同一の学費だったが、今後、金のかかる医 学部など理工系学部で学費が値上がりし、同じ大学の学部間で格差が生まれる 可能性がある。  学費を上げても学生の集まる大学は学費を値上げできるが、魅力のない大学 は学費を抑制せざるをえず、学費の大学間格差が広がる恐れがある。学費を上 げられないと収入が減り、教育、研究環境も整備できないという悪循環に陥り、 大学淘汰(とうた)の引き金になるかもしれない。  一方、大学が勝手に学費を急激に値上げした場合、安い授業料で学べる国立 大学の特質が失われ、国民の反発が強まることも予想される。こうした事態を 防ぐため、奨学金制度の充実を求める声も大きい。  ◇収益事業が解禁  これまで、国立大の収入は学生が納める学費も含め、すべてが一度国庫に入 り、再分配されていた。法人化後は、独自に教育研究に関係する収益事業を行っ て、その収入を運営費に回せる。新製品を開発したり、大学の教育成果を出版 して販売することなどが考えられる。  しかし、都市部の大学と違って、周辺に企業の少ない地方の大学は資金も集 めにくく、この点でも格差が広がる恐れがある。運営の効率化を図るため、大 学がすぐに収入を上げにくい基礎研究や文学、考古学などの学問分野を縮小す る可能性もあり、人文科学などが衰退するという指摘も出ている。 ◇「学問の自由」「大学の自治」尊重し検討  国立大学の独立法人化は、98年に「中央省庁等改革推進本部」が打ち出し た国家公務員の削減計画の中で具体化した。01年度から10年間で国家公務 員を25%削減する計画で、当時対象となった国家公務員は約55万人(公社 化の郵政現業職員30万人は除く)。国立大の教職員は約12万5000人と 約23%を占め、目標達成には法人化が不可欠とされた。  すでに、国立近代美術館や大学入試センターなど83の事務事業が01年4 月に独立行政法人に移行しているが、大学はこれらと違って「学問の自由」や 「大学の自治」を尊重すべきだとの意見があったため、文科省は大学にふさわ しい法人化案を検討してきた。  他の独立行政法人は、法人の長は所管する省庁の大臣が任命し、大臣が3〜 5年の中期目標を決めて指示するが、最終報告では大学の長(学長)は、これ まで通り学内の選考を経て大臣が任命し、中期目標の期間も6年と長くした。 目標やその実施計画も各大学が作り、大臣はそれを十分尊重することも明記さ れている。  独立法人化後の主な制度変更          現在    法人化後 位置付け  国の下部組織   独立した法人 運営費   国が使途定め配分 国が使途定めず配分 組織改編  法令などで規制  大学独自に策定 収益事業  認めない     教育研究と関連すれば可 教職員身分 国家公務員    非公務員 学長選考  学内評議会で選考 学外者も選考に参画 幹部職員  文科相が任命   学長が任命 給与    法律で規定    大学ごとに規定、業績給など可 勤務形態  法で兼業等禁止  兼業等が可 授業料   全国一律     一定幅の中で大学が決定


3/26 朝日:国立大、04年度にも法人化 検討会議が最終報告

http://www.asahi.com/national/update/0326/024.html  国立大を国の組織から独立した法人にする基本制度を検討していた文部科学 省の調査検討会議は26日、最終報告を同省に提出した。学長の権限を強化、 大学運営に学外識者を加えるほか、収益事業を認めるなど民間的な経営手法を 導入。あらゆる面で大学の裁量が拡大する一方、競争は激しくなり、経営責任 や説明責任を負うことになる。早ければ04年度にも、1大学を1法人として 一斉に移行する。  報告をもとに同省は法案を03年の通常国会に提出する方針だ。  最終報告は大学の組織、人事、予算、評価面などに及ぶ。組織・運営面では、 学長が任命する学外役員を必ず含む役員会を制度化する。役員会は事業計画、 予算など最重要事項について議決し、それに基づき学長が最終決定。トップマ ネジメントを強化する。  学長の決定を補助するため、経営面では学外者を含む運営協議会、教育研究 面では学部長らで組織する評議会が重要事項を審議する。  人事面では、約12万人いる大学教職員のすべてを「非公務員」とし、外国 人学長の登用や、民間企業役員との兼職などが可能になる。各法人固有の職員 となるが、法人の枠を超えた幅広い人事交流が可能な仕組みを整える。  法人化後の予算は、国の交付金を基本とするが、使いみちは大学にまかされ る。長期借り入れや、自己収入も認められる。学科以下の組織改編は認可の必 要がなくなるなど、裁量が大きく広がる。  一方で、6年間にわたる数値目標などを含む具体的な内容を盛り込んだ中期 計画などを策定。達成度や研究業績の水準を有識者からなる「国立大学評価委 員会」(仮称)が評価し、国からの予算配分の算定に反映させる。


3/26 毎日:国立大独法化:教職員「非公務員」に 検討会議が最終報告

Mainichi Interactive 2002年3月26日付(2)  国立大学を法人化する際の基本制度を検討してきた文部科学省の調査検討会 議は26日、教職員の身分を「非公務員」にして自由度を増したり、学外の有 識者を運営に参画させて、民間の手法を導入することなどを柱とした「国立大 学法人」の最終報告をまとめた。国から独立させることで、大学の裁量を大幅 に増やし、競争力を高める狙い。同省は報告をもとに法案を作成し、早ければ 04年度にも全大学が一斉に独立法人化する運びで、明治初期に発足した国立 大学制度の歴史的転換となる。  現在の国立大は、国から人件費や研究費など細かく使途を決められた予算で 運営され、教員の兼職が禁止されるなどの規制を受けている。  法人化後は、経常費はこれまで通り国からの運営費交付金でまかなうが、使 途は特定されず、目標などに応じて大学独自に使えるようになる。各大学は教 育、研究などについて6年を原則とする中期目標・計画を策定し、外部の評価 を受ける。これをもとに、有識者でつくる「国立大学評価委員会」が各大学の 実績を評価し、運営費の配分額を決める。  新製品を開発して売り出すなどの収益事業も可能になり、これまで全国全学 部一律だった授業料も、国が定める一定の幅の中で各大学が設定できるように なる。  教職員数や学生定員、学科の設置も大学の判断に任せ、付属学校などを独立 させることも可能になる。  組織面では、学長が法人の長となり、教育研究と経営の両面で責任を負う。 主に経営を審議する「運営協議会」と教学面を担当する「評議会」を置き、学 長は双方の代表からなる選考委員会で選ぶ。運営協議会には学外者を半数ほど 加え、学長を補佐する「役員」にも学外の有識者を加える。  教職員は国家公務員の身分を外れ、「非公務員」となって、各大学ごとに採 用される。兼業も可能になり、教授が民間会社の役員になったり、外国人が学 長になることもできるようになる。


3/27 読売:外国人の学長可能、国立大法人化で最終報告

 国立大の改革を検討してきた文部科学省の調査検討会議(主査・長尾真京都 大学長)は26日、国立大の法人化を提案した最終報告を遠山文部科学相に提 出した。昨年9月の中間報告で結論が出なかった教職員の身分は、柔軟な人事 制度を実現するため、「非公務員型」とし、外国人の学長就任も可能とした。 報告を受け、文科省は国立大学法人法案を来年初めの通常国会に提出する予定 で、早ければ2004年度から移行する見通しだ。  報告は、教職員の給与体系といった人事制度や、新学科の設置などの組織運 営を大学独自の決定に任せるのが大きな柱だ。これにより、国立大の活性化と 能力主義の徹底を図り、競争力強化を目指す。  教職員約11万8000人の身分については、〈1〉能力や業績に応じた給 与体系が導入できる〈2〉企業の役員・職員と兼業できる〈3〉外国人が学長、 学部長などの管理職に就任することが可能――などの長所から、非公務員型と した。  弾力的に人材を活用することで、大学の活性化を目指す。併せて、大学側か ら懸念の声が上がっていた医療保険や年金などの待遇について、国家公務員と 同水準とすることで「身分保障」にも配慮した。  組織運営の面では、各大学は中長期的な目標、計画を作成、各自の責任で実 行する。事業も独自に行えるようになり、研究で取得した特許に伴う収益は自 己収入として使えるほか、共同研究を行う企業への出資も可能で、研究や経営 努力への見返りがある仕組みとなる。  こうした運営を円滑に進めるため、学長を最高責任者と位置づけ、最終決定 権を付与し、リーダーシップの発揮を期待している。  各大学は幅広い裁量が認められる一方、説明責任も重くなる。教育や研究の 実績、財務内容は、文科省に設置される「国立大学評価委員会」(仮称)がチ ェックし、公表する。その結果は国からの交付金に反映され、大学間に競争原 理が働くシステムを目指している。


3/26 日経:国立大教職員の身分、非公務員に

 国立大学を法人化する際の基本制度を検討していた文部科学省の検討会議は 26日、教職員の身分を「非公務員」としたうえで能力主義人事を徹底すること や、企業統治型の意思決定機関である「役員会(仮称)」の制度化などを盛り 込んだ最終報告書をまとめ、遠山敦子文科相に提出した。文科省は国立大再生 の起爆剤にしたい考えで、来年度に法案を国会に提出、2004年度当初からの法 人化移行を目指す。  報告書によると、新たな法人制度は人事、予算面などで制約の多かった国立 大に一定の裁量権を与えて、大学の個性を伸ばすと共に競争力の向上も目指す のが狙いだ。教育・研究面の成果に対し第三者評価を行い、その結果で国から の予算配分の割合も変化する。教職員の身分については産学連携を推進し、企 業役員等との兼職・兼業など多彩な活動を可能とする観点から「非公務員型が 適当」と明記した。これに伴い、公務員では不可能だった外国人の管理職登用 も可能になり、国立大に外国人学長が誕生することもあり得る。


3/27 日経:国立大法人化最終報告  「外部の目」活用 経営課題審議に有識者

 国立大学改革の最大の目玉ともいえる法人化問題で、文部科学省の検討会議 が二十六日まとめた最終報告書は、役員会の新設などのほかにも新たな視点を 盛り込んでいる。第三者の「外部の目」を活用しようとしているのが大きな特 徴だ。 ■経営強化  法人化後は学内の資源配分や人の配置を戦略的に行うことも可能になる。従 来足りなかった「経営」的視点が求められることを受けて「運営協議会(仮称)」 も新設。学内代表者に一定数の学外有識者を加え、経営課題の審議に当たる。  一方で、教育・研究面の課題は学内代表者で組織する「評議会(仮称)」が担 当する。議決権を持つ役員会のメンバーが協議会や評議会のメンバーを兼ねる ことは認めるという。 ■中期目標  法人化後、大学側は地域特性や教育・研究の特色を踏まえて重点的に取り組 む事業などを中期的な目標として定める。全国九十九の国立大が一斉にこうし た目標を作るのは初めてのことだ。  中期目標については大学側が事前に文科相に原案を提出、大臣は原案を尊重 して目標を定める。確定した目標に基づいて中期計画も作成、大臣が認可する という。文科省側は「九十九もある大学の目標や計画について逐一国が指示す るつもりはない」としており、大学の独自性が問われる。 ■国立大学法人  法人の形態については「国立大学法人」という名称が使われている。文科省 は「広い意味では独立行政法人の一種だが、学外者の運営参画を制度化するな ど性格が異なる面もある」として他の独立行政法人とは分けて考えている。 【解説】 透明な評価法の確立課題  法人化の最終報告書は、地域の高等教育の拠点とされてきた国立大学に競争 原理を持ち込み、活性化を狙った内容だ。今後の課題は、公正な競争の前提と なる透明性と信頼性を兼ね備えた評価方法を確立できるかどうかだ。  新たな法人化制度では教職員は業績評価で収入に差が付く。このため、大学 はその評価の基準を明確にする必要がある。大学も教育・研究の成果や経営効 率に対する評価で、翌年度の国の交付金の額が決まる。  ただ、評価制度自体がまだ始まったばかりだ。教育・研究に対する第三者評 価を担う大学評価・学位授与機構は先日、二〇〇〇年度に初めて実施した国立 大学の評価を公表したが、評価する側にもされる側にも戸惑いの色が濃かった。  現状では同機構の評価方法は、各大学ごとに定めた中期目標の達成度に対す る自己点検評価をベースにしている。しかし、報告書は同機構の業務見直しも 明言。分野別に各大学の研究業績がどの程度の水準にあるのかを評価するよう 求めており、この部分が大学の「成績表」となる可能性がある。  最終的に総合評価を行い予算配分についての意見を大臣に述べる国立大学評 価委員会(仮称)とも合わせ、評価機関側は評価基準を明示し、ブレのない評価 方法を確立することが求められる。


3/27 東京新聞:国立大法人化 教職員、非公務員に

 ■検討会議が最終報告 競争促し裁量拡大  国立大学の法人化後のあり方について論議していた文部科学省の調査検討会 議(主査・長尾真京大学長)は二十六日、学科設置の自由化など大学の裁量を 拡大する一方、すべての教職員を「非公務員」とし、第三者機関の業績評価に より運営予算を配分するなど大学間の競争を促すことを柱とした最終報告をま とめた。同省は二〇〇三年の通常国会に関連の「国立大学法人法」(仮称)案 を提出し、〇四年四月にも全国一斉に法人化を目指す。  最終報告では、焦点となっていた法人移行後の教職員の身分について、「法 人化のメリットを生かし、弾力的な人事制度を実現する」との点で、「非公務 員型」を採用。非公務員となることで民間企業の役員の兼職兼業なども可能に なる。  能力や業績に応じた給与システムを導入し、法人ごとに定めるルールで採用 を行う、とした。  教員採用には公募制や任期制も導入し、選考基準も公開する。外国人の学部 長など管理職への登用も可能とした。  法人移行後の学長は教学と経営のトップとして強い権限を持つため、学外有 識者を含めた経営代表者でつくる「運営協議会」と、教育研究分野の学内代表 者でつくる「評議会」のメンバーで構成する「学長選考委員会」で選ぶ。また、 大学間競争を促すため、六年間を原則とした全学的な目標や計画づくりを求め た。  法人移行後は、国から使途を任された運営費を交付されるが、業績評価が低 いと運営費の削減も行われる。授業料は国が示した範囲で、大学ごとに金額を 設定できる。学科以下の設置については、大学の裁量で改廃できるよう規制緩 和した。


3/27 西日本:国立大法人化文科省最終報告  学科設置を自由化 全教職員は非公務員に

 法人化後の国立大の組織・運営について検討していた文部科学省の調査検討 会議(主査・長尾真京大学長)は二十六日、学科設置を自由化するなど大学の裁 量を大幅に拡大する一方、第三者機関の評価によって国から各大学への資金配 分を増減、大学間の競争を促すことを柱とする最終報告をまとめた。最終報告 の焦点となっていた教職員の身分については、全員を「非公務員」とすること で結着した。  文科省は二〇〇三年の通常国会に関連法案を提出する方針で、法人運営によ る新たな国立大は〇四年春にも誕生する見通し。  しかし、大学評価の方法によっては国の関与がかえって強まる懸念があるほ か、教育研究の条件整備が不十分な地方の大学や小規模な大学の中には、競争 原理の導入に対して反発も残っている。  最終報告は、国立大学法人法を制定、すべての国立大を早期に一斉に法人化 するとした。  人事面では能力主義の徹底を打ち出した。教職員の身分は非公務員とするこ とで、研究者が企業の経営者を兼ねたり学長を外国人にしたりすることが可能 とした。  ただし、非公務員型となることで教職員に不利益がないよう身分保障に対す る配慮を求め、退職金の算定期間を通算するための法的措置も必要とした。