--[hu-news 02-4-12 目次]------------------------------------------- [1] 国立大学協会臨時総会10/29意見書抜粋 [2](転載)中村睦男学長:「通則法のスキームはまぬがれなかったが・・・」 [3](転載)独法化学習会4/12 「国立大学はどうなるのか?」 [4] (東京新聞4/11)佐藤学「崩壊し続ける教育 国立大のリストラが標的に」 --------------------------------------------------------------------------- --[begin hu-news 02-4-12-1]------------------------------------- [1] 国立大学協会臨時総会10/29採択「「新しい『国立大学法人』像につ いて(中間報告)」に対する意見」抜粋 http://www.kokudaikyo.gr.jp/iken/txt/h13_10_29.html --------------------------------------------------------------------------- ♯(国立大学臨時総会10月29日の主たる要求項目が最終報告で実質的にす べて退けられた今、来る4月19日の臨時国立大学協会総会が、最終報告を容 認するなどということがあって良いのだろうか。そのような没理的容認は大学 軽視の流れを加速させるだけでなく、文部科学省と「二人三脚」で法人化を進 める一部の大学人の挙動は官学癒着を広く印象付け、国立大学無用論の新たな 強い根拠を作ることになろう。) --------------------------------------------------------------------------- ◆財政的基盤の問題 「「中間報告」は法人化を「大学改革」の推進のためとしているが、もともと法人化 は行財政改革の一環として出てきたので、その影響が残っている。すなわち、国立 大学に対する支出総額が削減されるとか、国の財政事情との関係で大きく変動 するおそれがあるという点である。そうなると、他の主要国の半分と言われる 高等教育支出がさらに減る中で、学術研究と高等教育等の国際競争に勝ち抜く ことはおろか、学術研究と高等教育の現在の基盤さえ喪失してしまうことにな りかねない。」 ◆自律性低下の懸念 「本当に国立大学の自主・自律性と自己責任を樹立することになるかというこ とについては、なお懸念すべき点が少なくない。とくに目標・評価の仕組みや 人事の仕組み等について学術研究と高等教育の特性にさらに配慮していく必要 がある。」 ◆政治的思惑への懸念 「法人化による大学改革、これによる教育研究の向上、という観点以外の観点 で決着がつけられることを避けねばならない。」 ◆国の関与の最小化の必要性 「国が国立大学法人の計画に従ってその達成度を事後的に問う間接管理へと移 るものとすべきであろう。その点を明確にした上で、これを目標評価システム の設計等につなげて行かねばならないし、「自主性・自律性」を論じる際にも (3ページ)、国の管理を最小化するといった観点が必要であろう。」 ◆運営協議会の審議事項を具体的に制限 「他方、「運営協議会」を構成する「学外の有識者」は、非常勤とならざるを えないであろうから、そこに過大な役割を担わせることは適当ではない。従っ て、「運営協議会」が「経営」事項として審議する事項は、明確に列挙し特定 すべきである。」 ◆役員会の議決制は不可 「法人化に伴って学内予算・学内組織・職員人事・給与水準などの多くの事項 が大学の自律的決定と執行に移されるのであって、役員組織を学長を中心にし た機能的・機動的な執行意思決定の機関とすることが必要である。この点、C 案の「役員会」方式が幾分参考になる。しかし、議決制で学長を縛ることのな いようにすべきである。」 ◆中期目標の大臣策定は非常識 「そもそも個々の大学の中期的な目標を大臣が「策定」するような国はないの ではなかろうか。独立行政法人通則法での主務大臣の「中期目標」の「指示」 というスキームなしでは出てこなかった案である。ところが、独立行政法人通 則法は定型的な行政業務を1独立行政法人で行うことを前提にしているのに、 大学の場合、目的や業務がある程度違いうる多数の法人があり、それぞれが個 性的な「中期目標」と「中期計画」を掲げて予算を獲得し、実績において切磋 琢磨しあうところに特徴があるのであって、この「中期目標」を大臣が「策定」 してしまっては、個性化や競争、自主性や自己責任ということが阻害されてし まう。」 ◆認可事項の制限 「「中期目標」「中期計画」に掲げる事項は「認可」対象の法令・予算事項と いう点から限定され、その法令・予算事項の範囲も明確でなければならない。 「中期目標」の記載事例(22ページ)には、その限定がない。法令・予算事項 として「認可」の対象となる事項と「参考資料」としての記載事項とを、はっ きり分ける必要がある。そうでないと、「大学としての基本的な理念・目標」 まで文部科学大臣の「認可」を得なければならないという、およそ他に類を見 ないぶざまな制度になってしまう。」 ◆教育公務員特例法の実質的維持1 「学長、副学長、学部長や教員の選考・任免等は、国が設置者・管理者である 大学の教育研究職の特質に鑑み、基本点を法律(例えば、「国立大学法人法」) に定めることが適切である。」 ◆教育公務員特例法の実質的維持2 「学部長、研究科長、研究所長等の部局長および教員は、各教授会等の専門的 な教員集団の審査にもとづき、学長(法人の長)が任命する。部局長と教員の 懲戒については、関連教授会等の議を経て、評議会の審査により、学長が行う。 「国立大学法人法」等でこれらについて規定することが必要ではないかと思わ れる。」 ◆高等教育予算の拡大が不可欠 「しかし、このような制度が期待通りの効果をあげるためには、大学運営にとっ て重要な基盤的経費を含め、全体のパイ(国費投入の総額)を現状より相当程 度大きくすることが不可欠である。「高等教育や科学技術・学術研究に対する 公的支援の拡充」(2ページ)に触れているが具体性を欠く上に、他方では、 資金交付は「中期計画」の事業実施を前提とするものの、国は「必要に応じ中 期計画の変更を行いつつ」財政状況・社会状況に対応するとしている(39ペー ジ)。総額を欧米主要国並に引きあげるという観点がないばかりか、「中期計 画」の途中でも財政事情で約束を守れない場合もあるというのであるから、総 額は少なく不安定になるという強い懸念が生じる。評価を反映した配分方式に し、効率化をはかり、自助努力に努めるにしても、総額の減額や大きな変動が あっては、「世界水準の教育研究の展開」(4ページ)はできなくなってしま う。」 --[end hu-news 02-4-12-1]----------------------------------------- --[begin hu-news 02-4-12-2]------------------------------------- [2]中村睦男学長:「通則法のスキームはまぬがれなかったが・・・・」 北海道大学教職員組合三役と学長との4/9会見の記録より http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/htm/gakuchokaiken0409.html --------------------------------------------------------------------------- 組合:最終報告に対する考え、対応について伺いたい。 学長:国大協を通して大学の意見を反映していきたい。北大の意見を出すことはし ない。国の方針であり止むを得ない。法案化の段階で大学の裁量、大学の自 主性・自立性の余地が残されることを期待している。 組合:北大の最高責任者及び研究者として最終報告をどのように評価しているのか。 学長:中期目標は大学が原案を作るから文科省も配慮・尊重してくれるだろう。結 局は大学がきちんとした中期目標を作れるかどうかの力量が大事。通則法の スキームはまぬがれなかったが、大きな流れの中でこのような結着になった のは止むを得ない。 組合:最終報告のスキームは通則法そのものだ。大学人がどう発言していくかが大 事だ。 学長:民営化ではない。国立大学は税金で成り立っているから、国が責任をもつ通 則法の大枠がある。自主性・自立性ばかり言うと大学は自分でやれと国から 言われる。 組合:教職員の非公務員化、大学の管理運営方式については。 学長:国大協の委員は「公務員型」を主張したが少数で受け入れられなかった。非 公務員型になっても、従来の身分保障は貫かれる。教特法の精神は大学の就 業規則で定めることになる。非公務員化で「兼業」のメリットも否定できな い。止むを得ない。 組合:制度が大きく変わろうとしている。毅然たる態度が必要だ。 学長:大学の管理運営に学外者が参加するが、現在でも運営諮問会議に学外者が参 加している。大学教官だけで大学を経営できるのか。経営のプロ、外部の意 見も必要。問題はどういう人を入れるかだ。大学の自主性が生かされるよう にすることが大事。 組合:最終報告のなかで、良いと思う点はあるか。 学長:この報告のめざすところは教育の活性化だ。国立大学は、学生サービスでは 私大より劣っていた。コスト意識、事務職員の専門性等も弱かった。 組合:学内の機関や国大協等で最終報告の問題点を指摘し、毅然たる態度をとる必 要があるのではないか。 学長:道内7大学長会議で出された要望は国大協理事会に提出する。 組合:最終報告に対する国大協の態度が非常に重要。よって4月19日の国大協臨時 総会で国大協がどういう判断をするか注視している。また、学内の教職員へ 説明会等を検討してほしい。 学長:説明会の要望は、要望として承った。 組合:学長の考え、対応は不満だ。50年に一度の大改悪が行われ、大学の自治・民 主主義が崩壊しようとしている。 学長:止むを得ない部分もある。大学の自治が崩壊しないようにしていく。 組合:教特法の対象からもはずれることになる。 学長:教特法ははずれても、憲法ははずれない。学問の自由は守れる。国大協の委 員は頑張ってくれた。 --[end hu-news 02-4-12-2]----------------------------------------- --[begin hu-news 02-4-12-3]-------------------------------------- [3]独法化学習会「国立大学はどうなるのか?」 http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/htm/gakusyu0412.pdf 日時:4 月12 日(金)18 時〜20 時 場所:百年記念会館(大会議室) 内容:「新しい『国立大学法人』像について」解説など 主催:北大教職員組合(内線3994) --[end hu-news 02-4-12-3]--------------------------------------- --[begin hu-news 02-4-12-4]-------------------------------------- 佐藤学「崩壊し続ける教育 国立大のリストラが標的に」 ---------------------------------------------------------------------------- 『東京新聞』2002年4月11日付夕刊 背景小泉首相殿 政権この一年を採点(3) 崩壊し続ける教育 国立大のリストラが標的に 佐藤 学 一年前、「米百俵」を政治信条とする小泉内閣は教育改革の期待を抱かせた。 「米百俵」は山本有三が戦時下に創作したフィクションであり、戊辰戦争に敗 れた長岡藩の家老・小林虎三郎が貧窮生活に苦しむ藩士を説得して、三根山藩 からの救援物資である米百俵を学校(国漢学校)創設にあてたという教育美談で ある。しかし、小泉首相の唱える「米百俵」は、未来の教育への投資を意味す るのではなく、彼の推進する「構造改革」のために「我慢と忍耐」を要請する ものでしかなかった。 小泉内閣の構造改革は「小さな政府」の実現であり、端的に言えば、国家公 務員の三割削減である。その最大の標的にされたのが国立大学のリストラであっ た。国立大学を独立行政法人に移行すれば18%の国家公務員削減が実現され、 あとは郵便貯金を民営化するだけで十分である。ところが、いくら独立行政法 人に移行しても国費で運営されるのだから、国民を欺く「構造改革」と言えな いでもない。しかし、この単純な論理で、全国の国立大学は、平成十六年度に 断行される独立行政法人化を前にして存亡の危機に立たされている。独立行政 法人化のすぐ向こうには民営化の路線が待ち受けているからである。 冷静に、世界を見渡してほしい。ヨーロッパの大学の大半は国立、アメリカ の大学の大半は州立である。日本の大学は例外的に私立に依存してきたが、そ の結果、大学予算のGNP(国民総生産)比は欧米と比べて著しく少ない。国立大 学を法人化し民営化する政策は、大学の財政基盤を悪化させ、高額の授業料を 学生に要求する結果をまねくことになる。すでに、大学の安定した基準経費は 約三割に抑制されて残りは競争的に配分され、日本育英会の奨学金から免除職 が外されて、すべて貸し付けに変更された。小泉内閣の「米百俵」は、教育の 未来の解体であり、教育崩壊の推進に「我慢と忍耐」を要求するものでしかな い。 もっとも深刻な事態は、文部科学省が政策能力と責任能力を失っているとこ ろにある。確固とした長期的政策がないから、教育政策に一貫性がなく場当た り的な政策が続いて現場を混乱させることになる。すでに十年以上、文部科学 省は政治家とマスコミの意向を先取りしながら財政と人員の獲得に奔走してき た。ティーム・ティーチングによる人員の確保、スクール・カウンセラーの予 算の獲得、少人数指導の非常勤枠の獲得、企業のリストラ社員の活用など、取 れるものはすべてとるという政策で対処してきたと言ってよい。そうなると、 政治家とマスコミの素人談議によって教育改革は翻弄され、学校現場は混乱を 重ねることとなる。この数年、学校現場を困惑させてきた日の丸・君が代の強 制、一校あたり三人に達するリストラ社員の受け入れ、学力低下が懸念される 教育内容三割削減、それに対応する習熟度指導の導入などによる学校現場の混 乱は、文部科学省の政策能力の衰退から生じた結果である。 文部科学省も諸般の批判により崖っぷちに立たされている。たとえば、文部 科学省は、学術研究と高等教育の危機を、「競争的環境」において評価される 「トップ30」の学部に予算を重点配分して乗り切る方針である。ところが、こ の「競争的環境」によって、経済性と効率性にはなじまない教員養成学部が解 体の危機へと追い込まれ、国立大学の教育学部は二年後には半数に激減しかね ない状況である。ここでも教育がリストラの標的になっている。 小泉内閣の一年は教育破壊の一年であった。財政赤字によって地方の教育は 大幅に削減され、公立の幼稚園は大都市を中心に廃園へと追い込まれ、小中高 校の教育予算は人件費に限定される惨状である。その一方で、青少年をめぐる 危機は深まるばかりである。十年前に百六十万人であった高卒求人数は昨年十 五万人にまで激減し、高卒者の35%、大卒者の27%が就職できていない。学齢 期の子どもを抱える夫婦の離婚が加速度的に増加する中、今年、厚生労働省は、 母子家庭の児童扶養手当の大幅削減を決定した。「構造改革」は経済不況と家 族の危機にあえぐ青少年を直撃している。 小泉首相は教育改革の中心を教育基本法の改正に求めているが、教育基本法 の改正は民主主義と平等の理念の空洞化を促進するだけである。今必要なのは 子どもと教師を救出する具体的政策であり、未来を開く積極的な政策を可能に する教育振興基本計画の決定である。「米百俵」を政治信条に掲げた小泉首相 ならば、これ以上、子どもと親と教師を欺くべきではない。 さとう・まなぶ 1951年生まれ。東京大学大学院教育学研究科教授。専門は 学校教育学。東京教育大卒。東大大学院博士課程修了。主な著書に『学び そ の死と再生』『教育改革をデザインする』『身体のダイアローグ』など。」 --[end hu-news 02-4-12-4]-------------------------------------- ------------------------------------------------------------------------ 配信数 1482 発行人 辻下 徹 |