科学技術システム改革専門調査会 (第13回2002.5.23 配布資料)
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/system/haihu13/haihu-si13.html
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/system/haihu13/siryo5.pdf
総合科学技術会議科学技術システム改革専門調査会第12回
産学官連携プロジェクト第12回合同会議議事録(案)
2002.4.24
総合科学技術会議科学技術システム改革専門調査会第12回
産学官連携プロジェクト第12回合同会議議事録(案)
1.日時: 平成14年4月24日(水)16:00〜18:00
2.場所: 中央合同庁舎第4号館共用第4特別会議室
3.出席者:
嘉数知賢大臣政務官
【委員】井村裕夫会長、桑原洋議員、石井紫郎議員、白川英樹議員、松本和子議員、青木昌彦委員、
市川惇信委員、岩男寿美子委員、小野田武委員、笠見昭信委員、亀井俊郎委員、
佐々木元委員(産学官連携プロジェクト座長)、山下義通委員、安西祐一郎委員、南谷崇委員、
堀場雅夫委員、山本貴史委員
【文部科学省】研究振興局学術機関課吉川晃課長、高等教育局大学課合田隆史課長
【事務局】浦嶋官房審議官、三浦参事官
4.議題:
大学改革について
5.議事要旨
●大学改革について
○井村会長
ただいまから第12 回「科学技術システム改革専門調査会」を開催します。本
日は、第12 回「産学官連携プロジェクト」との合同会議です。
本日は、主として大学改革の問題について御議論をいただきたいと考えています。
最初に資料の確認を事務局から。
○三浦参事官
(資料説明)
○井村会長
(3月15 日と4月4日の合同会議の議事録確認)
本日の課題は、大学改革で、これは今までいろいろ議論が出ている、大変重要な問題。
3月26 日に国立大学の法人化について検討してきた、文部科学省の調査検討
会議が、最終報告をとりまとめているので、文部科学省から説明をしていただ
きたい。
それでは、合田課長、よろしくお願いします。
○合田課長
(資料1に沿って説明)
○井村会長
ありがとうございました。それでは、文部科学省の説明に関して、御質問ある
いは御意見を。
では、南谷専門委員、それから佐々木座長。
○南谷専門委員[東京大学先端科学技術研究センター長]
今、スケジュールの御説明で、法人化は早ければ16 年4月という御説明であ
り、私も16 年4月と思い込んでいたが、よく読んでみたらどこにも明記して
いないことに気が付いた。実際には東京大学では昨日、評議会で、この3月26
日の最終報告を前提として準備作業に入るということを決めた。各部局では、
勿論この最終報告の内容は詰められていない点が多いので、必ずしもポジティ
ブな評価ではないが、準備作業には、早速入らざるを得ない。その場合、まず
移行時期が不明確というのは大変困る。これは早急にはっきりさせるべき。
もう一点、非公務員型ということについて、その制度をフルに活用した制度設
計をしたいと幾つかの部局では考えている。その場合に問題になるのは、それ
に伴う法制度が整うのかどうかだが、この最終報告では、非公務員型は受け取
る人によってさまざまで、内容がはっきり定義されていない。具体的に作業を
進めるに当たって、今の人事、給与制度などにしても、十分な周辺環境という
か法制度が整うのかどうかが大変問題だと思うので、その点をお聞きしたい。
○井村会長
それでは、できるだけ簡潔にお願いしたい。
○合田課長
我々としては、各国立大学に対して、16 年4月を目標にいろいろな作業を、
今から始めてほしいといっている。最終的には、このこと自体は国会で法律で
決まることなので、我々が一方的に決め付けるわけにはいかないが、それを前
提に準備を進めたいと思っている。
その中には、御指摘のあった、人事、会計など、さまざまな面での法的、制度
的な整備を今後詰めなければいけない。また制度を持っているそれぞれの官庁、
総務省や財務省などと協議をしながら進めている事柄がたくさんあるが、そう
いうことも含めて大急ぎで作業を進めていきたいと思っている。
○井村会長
それでは、佐々木座長。
○佐々木座長L[日本電気株式会社代表取締役会長]
2点ほどコメントしたい。第1点は、産学官連携プロジェクトの座長として、
先日まとめた中間まとめについては、最終的な調査検討会議の結論を踏まえる
ため、ある意味ではペンディングになっていた項目が幾つかある。したがって、
最終まとめの作成に当たっては、本日御説明いただいた内容も踏まえながらま
とめていきたいと思っているので、御協力・御支援方お願いするとともに、最
終的にはシステム改革専門調査会で御審議いただくことにしたい。
第2点は、資料1のE に、第三者評価による事後チェックがうたわれているこ
とについて。これは非常に重要なことだが、その中において、教育研究実績を
評価する側面と、もう一つは新たな法体系、制度がつくられることから、それ
がどう運用されているかの評価も重要だと思うので、その辺の仕組みについて、
しかるべき場でまた御議論いただければと思う。
○井村会長
ありがとうございました。何か文部科学省、ありますか。
○合田課長
また是非御示唆を賜りたいと思っているが、評価の仕組みに関して、若干補足
すると、この中では50 ページの上の○で、評価のプロセスについて若干説明
している。
まず、各大学が中期目標の達成度についていろいろな評価を活用しながら、ま
ず自己点検評価を行う。それを踏まえて、大学評価機構が主として教育研究面
での評価を行う。それらを受けて、文部科学省におかれる国立大学評価委員会
が、その教育研究面での評価とともに、国立大学法人の運営全体に対して、総
合的な評価を実施するという三段構えになっている。
こういったプロセスの中で、今の御指摘のような観点も踏めて、評価そのもの
なり、あるいはその評価についての検討が行われていくことになると考えてい
る。
○井村会長
ほかに、どうぞ、市川専門委員。それから、小野田専門委員、。
○市川専門委員[東京工業大学名誉教授]
かなりいい形ができたと私は思うので、この形にどうやって魂を入れていくか
という点と、形として少し不満なところがあるので、その2つを申し上げたい。
非公務員型にしたこと、それから教学と経営の分離は、形としては非常にいい
ものができた。ただ、これに魂を入れるのをどうするかは、かなり難しい問題
だと思う。先ほども御発言があったが、非公務員型にしても、今までの公務員
型で大学の外にあった規制を、そのまま大学の中に取り込んでしまう可能性が
十分ある。
殊に立ち上がりの時期に、しかも組合との交渉の下で制度をつくっていくこと
を考えると、とりあえず外のものを中に持ち込んでおこうということは、非常
にあり得るわけで、そこのところを一体どうやって歯止めをするか、法人に介
入して歯止めをするのか、別の方法を考えるのか、その辺は十分検討を要する
と思う。教学と経営の分離も、姿としては分離していても、実態としては従来
型をこの形の中で継続することが不可能ではないので、そこをどうしていくか。
結局は本当の意味での競争原理が働くようにするのが結論になると思うが、そ
こで気になることは、かなり国の、文部科学省の、パターナリズムがあること
である。大学の統合においても、こういうことができますよ、ああいうことを
やるといいですよ、文部科学省も相談に乗りますよという、実に温かい親心で
できている。現在の国立大学教官の体質から言ってやむを得なかったかと思う
が、本当は競争力のある大学をつくろうとするならば、競争力のない大学が消
えていくシステムをつくるのが一番いいわけで、その方向についての工夫が要
ると思う。
例えば、第三者評価機関がつくられるということになっているが、これを国の
レベルでつくるとすると、必ず何らかの均一性が入る。その均一の指標の中で、
勿論それぞれの大学ごとに重点は置くにしても、その均一指向の下で評価を受
けている。そこにパターナリズムが入っていることになると、必ずしも十分な
競争環境ができ上がるのかどうか心配になる。
あとは細かい点になるが、前回も申し上げた基金の点である。基金には、エン
ダウメントという寄付による基金と、稼いだものを繰り入れるファンドと両方
あるが、少なくとも私学においては、基金を繰り入れるのが基本金の3つの項
目の下でやらなければならない義務になっている。
したがって、国立大学の場合もできるようにしておくべきである。長い期間を
かけて、極端なことを言って200 年300 年かかれば、それが積み上がり、フロー
だけでなしにストックで仕事ができるようになる。その方向に動き出せるよう
に、何かの端緒が欲しい。これは今後の努力目標かと思う。
次はやや細かい指摘。文章の中に、学内コンセンサスに留意しつつというのが、
非常にたくさん出てくる。その次に、必ず学長はリーダーシップを発揮してと
なっている。現行の体質の中で、了解を得る上でやむを得なかったか思うが、
コンセンサスを得ながらというのが、アキレス腱にならないか心配である。
○井村会長
時間が余りないので、先に質問していただいて、後でまとめてお答えいただく
ことにしたい。では、小野田専門委員。
○小野田専門委員[三菱化学株式会社顧問]
私自身がこの会議のメンバーなので、言いにくい部分もあるが、特に44ページ
にある基本的な考え方というのは、実は目的・目標、あるいは評価に関して記
されているが、我々が議論した中でもやはり国が何で国立大学が必要なのかを、
よほどしっかりとしてグランドデザインを書かないと、市川先生のお話とも関
連するが、大学自身が、いろんなものに対して、本当に自ら選択する力が当面
あるはずがない。それに関しては、かなりの政策誘導も必要だろう。現状は、
90 を超える大学自身が、かなり均質で、こんなものが存在し得るはずがない
ので、そういう点で言えば、よりよい姿を加速するには、それなりのグランド
デザインを示すことが結構大事ではないかという思いが、私は個人的には大変
強く思っている。是非よろしくお願いしたい。
○井村会長
亀井専門委員、それから、山本専門委員。
○亀井専門委員[川崎重工業株式会社相談役]
資料1の2番目に、経営努力にインセンティブを付与とある。このインセンティ
ブというのは、具体的にどういうことを言っているのか。
「自己収入拡大など経営努力」とあって、大きなお金がここへ流れてくること
になると、5番の第三者評価にも関わる問題で、教育研究実績の第三者機関の
評価はよくわかるが、経営監査の点で、例えば上場された株式会社であれば、
証券取引所でのチェックとか、あるいは投資家に対する説明、IR等で経営が
チェックされているので、透明性は期待できるが、国立大学の独立法人は、そ
ういう意味での経営のチェックが、この第三者評価の中には入ってない感じが
するが、これについてはどのように考えておられるか。
○井村会長
では、もう一人質問をしていただいて、まとめてお答えいただく。
○山本専門委員[株式会社先端科学技術インキュベーション代表取締役]
私も単純な質問。先ほどから出ているが、第三者評価者は、だれがどのような
プロセスで決定されるのかが見えてこないと、先ほどのような疑問や不安が起
こるのではないか。それと、事実上の規制が本当になくなるのかだが、例えば
我々産学連携をやっていて感じるのは、もう少し研究者がいれば、更に大きな
成果が出せるということ。ところが、今は研究者の数を前提とした予算が配分
されて、なかなか研究者を送ってもらえないというところも、現実にはある。
要するに、人事と財務と法務が完全に独立して、自分たちで決定できることに
ならないと、独立行政法人と呼べないと思うので、定員制とか、研究者の数、
こういったものも自分たちで意思決定できるようになるのかが2点目。
3点目は、独法化前と後を考えなければいけないが、例えば独法化前の制度設
計で、まだ改善しなければいけないことが幾つかある。それで言うと、例えば
マテリアルトランスファーの、大学で何らかのマテリアルが生じた場合の帰属
については、今、文部科学省でも議論はしていただいているが、先日の発表を
聞いていると、国に帰属することを前提として議論されている。独法化後であ
れば、当然のことながらこれは機関帰属を前提として議論がされるはず。独法
化以前にも、産業界も研究者もどんどんマテリアルを移転することによって、
産学連携を進めて、産業界も大学もWinWinの関係がつくられると、研究
の内容もレベルアップし、産業界も恩恵を受けられるので、産業界も研究者も
マテリアルトランスファーをもっとフレキシビリティーを高くしてほしいと思っ
ている。しかし、これが国帰属という話になると、具体的には例えば遺伝子組
み換えのネズミとかは、国帰属で扱っている段階で、例えばネズミが死んでし
まうという現実的な問題があって、動かなくなってしまう。日本が諸外国の大
学の技術移転等、競争力を比較するときに、完全に遅れを取ってしまうのでは
ないかという危惧がある。そういう意味では、いつ独法化をするのか具体的な
日にちを決めて、それに向けて、それまではこういう措置をとるとしないと、
なかなか動かないのではないか。
もっと言うと、現在の独立行政法人はエクイティーは受け取れないようになっ
ている。ところが、欧米の大学は技術移転をして、その相手先がベンチャーで
あればエクイティーを受け取るのは一般的なこと。これがうまくできなければ、
日本の大学はアメリカの企業からは、相手にされないことが起こり得る、これ
も大学の競争力をなくすので、そういったことも独法化以前に詰めておかなけ
ればならないことではないかと思う。
○井村会長
最後の問題は、独立行政法人の問題ではなくて、むしろ知的財産の問題。今日
はシステム改革専門調査会なので、大学の問題に限ってお答えいただきたい。
○合田課長
大変多岐にわたる御質問で、それぞれ重要な問題なので、十分なお答えができ
るかどうかわからないが、できるだけ簡潔にお話をさせていただきたい。
最初のパターナリズムの問題は、率直に言って我々自己批判、自己反省がある。
今回は、それをむしろ手直したいというのが、率直な気持ち。そこに魂がこも
るかどうかという問題は、是非今後監視していただいて、またアドバイスをい
ただきたいと思う。
基金の問題、これは最後の御質問にあったエクイティーを受け取れるようにす
るかどうかといった、財務上非常に重要な問題が幾つかあって、国からも運営
費交付金が措置される機関として、どこまでの制度設計ができるかについては、
難しい面もあるかと思うが、今後財政当局との調整の中で、可能な限りフレキ
シブルで、将来展望を持った制度設計ができるように、努力していきたいと思っ
ている。
学内コンセンサスについての御指摘があったが、我々としては組織のリーダー
シップを取っていくときに、その組織内のコンセンサスを無視しては成立をし
ないという、ごく当たり前のことを一般論として言っているだけで、それ以上
の意味はないというふうに受けとめたいと思っている。
グランドデザインについては、この本文の中でも69 ページに、グランドデザ
インの重要性については御指摘をいただいている。全くそのとおりだろうと思っ
ている。
現在、中央教育審議会と科学技術・学術審議会との間で、両者の代表が出る改
革連絡会で、グランドデザインの検討に着手している。余分のパターナリズム
の混じり込まない限度で、鋭意検討を進めたいと思っている。インセンティブ
とは、具体的にどういうことかという御質問があったが、これも細かい点を挙
げていくと、たくさんいろいろある。基本的には従来は国立学校特別会計は、
人件費が出ていくといっても、それが特会全体として幾らかということはわか
るけれども、各大学で人件費を節約をしても、それが各大学に具体的に物件費
として、それなりのものが使えるという格好には反映をされなかった。それが
今度はそれぞれの法人ごとに収入と支出がきちんと管理されるようになるので、
その中でポイントは、自己収入を上げる努力をしたときに、自己収入が上がっ
たのだから、その分、運営費、交付金は減らしますという格好になってしまう
と、元も子もないことになるので、その部分は努力をすれば報われるという制
度設計をいろんなところで組み込んでいこうということ。
経営面のチェックについては、マクロの仕組みとしては、多分独立行政法人全
体の中で、総務省に評価委員会が置かれるので、総務省の評価委員会が、各省
の評価委員会のやっている評価の結果を評価するという仕掛けだと思うが、個
別の法人に関しては、今度は新しく大臣が発令する監事、会計監査人よりチェッ
クをするという、各機関レベルでもそういった仕組みも取り込むことになって
いる。
そういった仕組みが、今、例示された民間レベルでのチェックの仕組みと、十
分に対置し得るものになっているかどうかについては、また御指摘をいただき
たいと思う。
第三者評価をだれがやるのかを、だれが決めるのかという御指摘があったが、
これは非常に重要な問題だと思っている。その点を含め、この独立行政法人制
度、あるいは国立大学を法人化した場合の法人化制度が、きちんとその所期の
効果、ねらいを達成できるか、あるいは先ほどから御指摘のあった、国として
均一的な評価になってしまうといったことになっていくのか、あるいはこういっ
た仕組みの中で、息の長い、地味だけれども、非常に重要な基礎研究といった
ものが、隅に追いやられていくのではないかといった御指摘もある。そういっ
た弊害を生まないかどうか、いろんなことがすべて評価、つまり具体的にだれ
が、どういう方法で評価をしていくのかというところに掛かっていると思う。
その評価の仕組みについては、今後いろいろ御意見を承りながら、できるだけ
いいものをつくっていきたいと思っている。
諸外国をみても、100 %完全な評価システムはないと思うが、少しでもいいも
のに近付けていくように改善を続けていく必要があると思うが、そういった格
好で検討していきたいと思っている。
事実上の規制の問題は、これは冒頭市川先生からもお話しがあったように、相
当程度それぞれの大学が、どれだけ思い切って改革をしていただけるかに掛かっ
ている部分があるが、少なくとも今お話のあった、定員管理については、特に
非公務員型になると完全に自由になると思っている。したがって、与えられた
財政的なリソースの中で、少ない費用でたくさんの方を雇っていただく、ある
いは高給を出して、数は少ないけれども優れた人を雇っていただく、いろんな
ことが少なくとも制度的には障害なくやっていただけるという格好になると思っ
ている。今のマテリアルトランスファーの問題も含めて、法人化前に、あるい
は法人化するしないに関わらず、検討すべき事柄は、法人化がいつになるかと
は関わりなく、検討すべきことと思っている。
○井村会長
大学に配分されるお金は、一定の積算の基準があるかもしれないが、大学とし
てはブロックマネーとして受け取って、自由に使えるということで、人員を増
やしてくればどんどん増やすことも可能ですね。その代わり、どこかでお金の
節減をしないといけないわけだが、そういう形になると考えていいわけですね。
次の議題があるので、少し予定を超えているが、短い質問であれば、どうぞ。
○南谷専門委員[東京大学先端科学技術研究センター長]
先ほど言い忘れたが、根本的に中期目標の原案を大学が作成して、文部科学大
臣が中期計画を認定するということで、本来の法人化の目的が何だったかを考
えてみたときに、かえって現状よりも国の関与が予算措置につながるというこ
とであれば、強まるのではないかという疑念があるが、その点を。
○合田課長
通則法のルールをそのまま当てはめると、目標や計画についてほとんど国が一
方的にイニシアチブを取って決めていく。独立行政法人制度は、むしろ従来の
特殊法人が、国からのコントロールがなかなか及ばない世界で一人歩きをして
しまったということの反省に基づいて、入口の規制をきちんと掛けようという
考え方があると思う。
それをそのまま当てはめると、今おっしゃったとおり、むしろ大学に関して言
えば規制が強まってしまうことになると思う。そこで、今回の提案の中では、
大学の方が主体性を持って目標を設定をする、計画をつくるということが実質
的にできるような、そういう手続的な定めを置こうと。したがって、大学がき
ちんと原案をつくって、形式的に最終的には文部科学大臣が定めるけれども、
そのときにも大学の特性に配慮をするという法律上の義務規定を置こうとか、
そういう提案がされている。
実質的にどうかということになると、これもさっきの魂の問題になってくるの
で、監視していただく必要があるだろうと思うが、実際問題として我々毎年度
の予算編成の際に、大学との間でいろいろ協議をさせていただいている。
現在、大学が何でもかんでも自由にできているかというと、そういうことでは
多分ないと思う。国からお金が出ている以上、何らかの形での国の関与、その
お金の使い方について国が責任を持てる形というのが必要だと。その中で、大
学との間で、どちらがどれだけの役割を担うかという、その線の引き方の問題
だと思うので、これはまた今後とも問題があれば改善をしていきたいと思って
いる。
○井村会長
まだ、いろいろ御意見があると思うが、ほかの議題も予定しているので、この
辺でこの問題は終わりたい。いずれにしても、いかに魂を入れていくかという
のは、これからの大きな問題で、護送船団で慣れ切っている船が、はたしてひ
とり離れてうまく航海できるのだろうかという心配もある。やはりいろいろな
ところからアドバイスをしていただいて、まだ法律をつくる段階があるので、
その段階で変更の可能性があると思うので、意見があればまたお出しいただき
たい。この議題は、一応終わらせていただく。
次の議題は、教育研究基盤校費の問題。既に、この専門調査会でも、あるいは
そのほかのところでも何度か問題になった。特に、競争資金の在り方をこれか
ら変えていこうとすると、それと対を成すものとして、大学に基盤的に配られ
ている校費をどうするのかは、非常に大きな問題になる。
この内容を知りたいという御意見が、前からあったので、最近現状分析を、文
部科学省にしていただいた。それについてまず報告をしていただく。
○合田課長
(資料2−1と2−2に沿って説明)
○井村会長
ありがとうございました。皆さん十分御存じと思うが、少し追加すると、この
基盤校費は、実は過去20 年ほとんど上がっていない。物価と並行して上昇は
していない。それは、一つには科学研究費、いわゆる競争資金を増やす努力が
なされて、それが徐々に増えてきた。それとトレードオフのような形で、基盤
的経費は増やさなかった。過去20 年でおよそ2〜3%の増加ですか。
○合田課長
5%程度です。
○井村会長
5%ぐらいは増えたが、光熱費などは、その間に上がっているから、実質的に
は研究に使える金が少なくなっているという状況。これは、現状を調べていた
だくために、幾つかのサンプルを取っていただいたが、大体予想したような内
容ではないかと思う。御質問・御意見があれば。
○山本専門委員[株式会社先端科学技術インキュベーション代表取締役]
グラフの見方の質問だが、カラーの方の2枚目の見方がわからない。理学部と
医科・歯科と工学部は、全部320 万円で同じ額ということか。それとも、320
万円を平均値で出して、その内訳を出していられるのか、全部同じ額というの
が、何となく違和感がある。
○合田課長
先ほども申し上げたが、今は理学部なら幾ら、医学部なら幾らという単価設定
をしていないので、実際に理学部の先生がベースとして幾ら各大学で配分をさ
れているのかについての、根拠になる数字がない。したがって、11 年まで、
旧教官当積算校費の積算単価、この積算単価は理学部と医科・歯科と工学部で
同じであったため、一応仮に同じ額で置いている。
○井村会長
どうぞ、青木専門委員。
○青木専門委員[スタンフォード大学教授]
つまらない質問で申し訳ないが、旅費はこの中に入ってないのか。
○合田課長
旅費は別に積算されているので、これでもって旅費に当てるということもでき
ないし、旅費が余ったからこちらに使うということもできない仕組みになって
いる。
○佐々木座長
それぞれの項目については、なかなか評価が難しいかもしれないが、どれぐら
い価格競争力が働く仕組みがあり得るのかどうか。例えば通信料金にしても、
従来なら3分間10 円以外の選択肢はなかったが、今はいろいろIPテレフォ
ン等、新たな方法もあるので、その辺の硬直性がどの程度あるのか。これは感
覚的なものだが、その辺はいかがか。
○合田課長
その点が、実は従来の国立大学の一つの問題で、大学側で一生懸命経費節減の
努力をしても、その大学に配分される予算額は基本的に決まっているので、な
かなかそういう価格競争力を生かして経費節減をするというインセンティブが
効きずらい仕掛けになっていた部分はあったと思う。その結果としてやむを得
ず、国全体として一律に経費削減の割合を掛けて削減をしていくという手法が
取られてきたということだと思う。したがって、その点は今後大学ごとに経費
管理をしていくという、法人化になればそういうふうに移行するので、そういっ
たことが生かせるような格好に是非していきたいと思っている。
○石井議員
質問だが、こういう実績を似たような存在と比較してどうかというような材料
を持っていらっしゃるか。例えば私立大学の先生方の研究費がどのようになっ
ているか。あるいは国立試験研究機関がどうなっているか。後者については不
正確な話かもしれないが、こういう共通インフラ経費的なものは、一括して研
究所の方で払った上で、研究員には百数十万円の研究費が支給されていると聞
いたような気がするが、そのような比較データがあったら教えていただきたい。
○合田課長
我々もきちんとした、正確な資料を集めてみたいと思っているが、なかなか実
際には単純な比較は難しいと思う。今御指摘の、国の試験研究機関等について、
研究員当たり庁費というのが法人化まではあった。確かに伸び率を見ると、当
たり庁費の方がどんどん伸びているのに、大学の当たり庁費の方は単価が据え
置かれるといった時期が続いたことも事実だが、現在法人化に移行をした段階
で、なかなか単純な比較は難しい面がある。
公私立大学についても、国立と同じようなことで、一人ひとりの先生方が実際
に使える研究費として、幾らぐらいのものが実際にあるのかについて、なかな
か客観的なデータが得難い面があろうかと思うが、その辺は工夫をしてみたい
と思う。
ただ、もし私立大学でそれぞれの先生の研究費をこの程度しか用意していない
ということがあれば、恐らく文部科学省は、もう少し研究費を充実させなさい
という指導をしていたのではなかろうかという感じはする。
○井村会長
もう少し御質問を受けたいが、この後の議題があるので、この辺で終わりたい。
先ほど佐々木座長が御指摘になった、いわゆる経営努力は、余りしてこなかっ
たのは間違いないと思う。ただ、残念ながら日本の大学は、いろんな面で施設
や設備が不十分で、例えば図書館など、青木先生は御存じと思うが、アメリカ
と日本は非常に違うのではないか。図書館の経費が非常に少なくて、この共通
の経費から少しは出しているが、それでもなかなか本が買えない状況にある。
したがって、全体としてはかなり貧しい状況にあるのは間違いないと思うが、
これからこういう点の支援をどうしていくのか、しかも有効にしないといけな
い。ばらまきになってはいけないけれども、出すべきところには出していかな
いといけない、それをどうしたらいいのか、またいろいろと御意見を伺いたい
と思う。
例えば、オーバーヘッドのような、間接経費が増えていけば、その中から図書
館の経費も出していただいて、もっと本をそろえるとか、そういうこともでき
るようになってくるかもしれないと思うが、実際はかなり厳しい状況にあるの
は間違いないと思う。
後でまたフリーディスカッションの時間を設けるので、何かあればそのときい
ろいろ御意見を伺うことにしたい。
続いて、これからいよいよ大学改革について、科学技術システム改革という観
点から、御意見を伺うことにしたい。
そこで、まず事務局でどういう論点があるのかを整理してもらったので、それ
を簡単に説明していただいた上で、これから御意見を伺うことにしたい。
それでは、浦嶋審議官、説明を。
○浦嶋審議官
(資料3に沿って説明)
○井村会長
これはあくまでも事務局で考えた論点メモなので、これの中でも、これ以外で
も結構ですから、自由に大学をいかに改革すべきかということについて御意見
を伺いたい。
青木専門委員、どうぞ。
○青木専門委員[スタンフォード大学教授]
大変包括的なまとめだと思うが、1つ重要なことで欠けているのではないかと
思うのは、入試の制度のこと。アメリカと日本の大学を比べると、アメリカの
場合には御承知のとおりアドミッション・オフィスという組織があって、そこ
の親玉のディーンは、学部長並みで、そこで統括して学生の選抜を行っている。
それぞれの大学の理念が、これから必要になってくるので、そういう理念に基
づいて、それにふさわしい学生を集めていくには、これから専門的な知識なり、
能力なり、時間が必要になってくると思う。今、日本の大学を見ていると、大
学の先生が入試の時期になると、入試の準備とか、採点とか、入試の監督とか
で、この1月〜2月、時間を使っているのを、本当にやめないとだめだと思う。
入試制度の改革は、先ほども大学の新しい法人像の中にも触れられていなかっ
たが、この問題を是非考えていただきたいということが一つ。
もう一つ、先ほど南谷専門委員から、国立大学が独立行政法人になったときに、
いろいろな法規との関係はどうなのかという御意見があった。今まで大学に限っ
ては、私に間違いがなければ、例えば5年というような短期の契約が可能だっ
たと理解しているが、国立大学が独立行政法人になると、これは新しい法律を
つくるなり何なりしなければならない。我々経済産業研究所が、唯一の非公務
員型の研究所として発足して、一番困っているのはこの問題。
今までは、1年以上の短期契約はいけないということが法律になっていて、専
門職、専門的な技術とか知識を必要とする場合には、3年までいいということ
なので、我々の今の研究所では、この3年で雇用をしているが、それが来た段
階で、すべて期限のない終身雇用にするかどうかという問題が発生してくる。
アメリカみたいに例えば博士号を取得した後、助教授7年間というような期間
で研究教育をして、その上でこの教授にテニュアを与えるかというシステムを
考慮していく必要があると思うが、そういう意味で雇用契約の期間をフレキシ
ブルにする必要が絶対あると思う。これは国立大学法人についての付則という
ような法律改革ではなくて、その他の研究機関にも適応するように、研究職と
か教育職に関しては、今までの労働省の雇用を守るという発想から出てきた法
思想を変えて行えるよう、是非この総合科学技術総合会議のような調整組織で
イニシアチブを取っていただきたいと思う。
○井村会長
ありがとうございました。入試の問題は、確かに大変大きな問題で、大学審議
会でも繰り返し議論しながら、十分改善されていない。勿論、かなり変わって
はきているが、大変大きな問題だと思う。特に、科学技術の面で問題なのは、
大体入試は理系だと2科目にしてしまう。そうすると、物理と化学を取ると、
生物は一切勉強しないで大学に入ってきて、そのまま卒業してしまうという事
態が起こるし、文系だと数学をやらない。結局分数のできない大学生になって
しまう。早くから入試対策でシフトを決めてしまっているのが、非常に大きな
問題だろうと思うので、そういったことも含めて入学者選抜法の在り方は、か
なり大事になるのではないかと思う。
2番目の点も大変重要な問題だと思う。
それでは、小野田専門委員。
○小野田専門委員[三菱化学株式会社顧問]
入試とある意味では関係するが、学生の立場に立ってみれば、特に大学院の博
士課程の後期等々での奨学金の問題。30 才近い大の大人が、月謝を払いなが
らひたらすら研究する、勉強するというのも、ちょっと世界でもまれなスタイ
ルになっているのではないか。
その辺も含めて、日本の理系界も含めて、奨学金制度云々は、少し見直してい
かないと全体のバランスが取れなくなるのではないか。是非システムの一環と
してお考えいただきたいと思う。
○井村会長
ありがとうございます。それでは、笠見専門委員。
○笠見専門委員[株式会社東芝監査役]
遅れて来たので、最初のところは聞いてないが、この大学改革の論点は、確か
に幾つかの側面がたくさんあるが、そのたくさんあるのを網羅的に処理してい
くと、何となく魂が入らないところがあるのではないかと思う。
私は、基本的には今回の独法化、それから大学改革の中で一番重要なのは、や
はり大学のマネジーメントの強化だと思う。そこがしっかりして、自分たちの
大学のビジョンを決め、どういう先生を集めたらいい学生が来てくれるのか、
そういうことをスルーして責任が持てること。学長は5年なら5年、7年なら
7年、そういう期間をきちんとやっていけるように徹底してやらないと、本質
的な改革にならないと思う。
アメリカだけでなくても、今、中国ですら相当進んでいるが、1周遅れの現状
をオーバーカムしていくというぐらいの改革をやらないとだめで、その中核は
大学のマネージメント力だと思っているので、そこを徹底的に追及する必要が
ある。前の合田さんの説明で、16 ページに、理事会とか、運営協議会とかあ
るが、その運営協議会とは何ぞやと、やはり理事会自身がしっかりとして、そ
こに外部の人も入れてきちんとガバナンスを発揮していかないとだめではない
かと思うので、そこにかなりの焦点を置いていただきたい。
そのときに考えるのは、トータルの社会システムとして、結果として社会に貢
献できるのが大学の使命。社会が要求する人材や研究を、時間は別として輩出
していくことがすごく重要で、そういう視点をきちっと入れてほしいし、その
ためには、社会とのインタラクション、特に産業界とのインタラクション、そ
れをどうやって大学のシステムの中に入れ込むかがすごく重要で、それがセッ
トになって大学のマネージメントを強化できる。そこのコアの部分をかためて、
後は大学のマネージメントの中で責任が取れるように、自由はどこまで与えら
れるのかということでだと思う。
もう一つ言わせていただくと、最後の評価だと思う。評価は、やはり必要で、
これを今までみたいな評価ではなくて、我々産業界としては大学のいいところ
を是非評価していただきたい、その結果をオープンにしていただきたい。それ
によって入学する人も、私はああいう学科に行きたいというなら、それを選択
するだろうし、我々産業界もそういう評価結果がオープンになれば、こういう
学科だったら評価の良いところから取るとか、そういうのがポジティブ・フィー
ドバックになって、結果として世界と競争できるストラクチャーになっていく
と思うので、評価のマクロなデザインが非常に重要ではないかと思う。
○堀場専門委員[株式会社堀場製作所取締役会長]
我々のように、産学共同を前提としてやっている企業にとっては、今回の改革
は大変すばらしいことだし、個々の細かい話は別にしても、本当に先ほどから
出ている、魂が入るということに最大の期待をしている。ただ、この間も大学
の先生と話していたが、独法化すればどれだけ自由になるのだろうと、自由と
いうことを非常に期待もされ、逆にいえば不安もされているが、私企業を見る
と、何でも自由にできるのではないかという誤解が逆にあると思う。私企業と
いうのは、企業会計原則に基づいて、すべてやっているし、それも最近は国際
会計に基づくということになっているし、勿論がちがちの商法というのがあっ
て、その商法に基づく。
特に上場企業になると、監査一つでも社内の監査から、監査役の監査、公認会
計士の監査と3つ通らないと監査が終わらないし、報告もいっぱいある。しか
も株価という評価を受け、それからムーディーズのようなAとか、BBBとか、
いろいろな評価も受ける。
極めて厳しい評価をマーケットからも、株主からも、金融機関からも、それか
ら各省庁からも受けてやっていて、またダンピングの問題とか、輸出規制の問
題とか、本当にがんじがらめである。
これが、いいとか悪いとかは別にして、国立大学の株主は国で、国が株主の大
学が、独法化されたからといって、そんな自由というのはあるはずがないと思っ
たが、大学の先生が独法化することによって、何でも自由だと思われることは
おかしいと思う。
企業努力で利益が出ても、約60%近くは法人税と地方税で払う。残りを、また
資本準備金ということで必ず積み立て、その残りが株主の配当と役員の賞与と
退職金の積み立てになっていて、本当に10 億円利益が出ても使えるお金とい
うのは2〜3億円。
そういうことになっているので、是非独法化されたら何でも自由になるのに、
何だこんなに縛りやがってというふうな、変な考え方を持ってもらわないよう
なPRが、是非必要ではないかと痛感している。
○石井議員
今、堀場専門委員がおっしゃったことは、実は私も非常に心配していたことで、
別の面を言うと、倫理という言葉をもう少し大事にしなければいけないのでは
ないか。改革の問題というより、改革に伴うさまざまな病理的な現象が出てく
る恐れがかなりあることを、我々は相当考えておかなければならないのではな
いか。
大学の倫理、大学の先生の、あるいは科学者の倫理というものを、きっちりわ
きまえることが必要だろうというふうに思うわけで、産学官の連携が言われ、
またそれが自由化されればされるほど、その問題は深刻に考えておかなければ
いけないだろうと思う。
今までだって、少なくとも私の知っている限り、国立大学の先生で、危なっか
しいのがなかったわけではない。これが、今後一体どういうことになるのかと
考えると、やはり余り安心はしていられない。
ただ、この倫理の問題は、上から押し付けるというものではないので、むしろ
大学人がきっちり大学の倫理、大学の教員の倫理というものをしっかり議論し、
自分たちの問題としてわきまえるということについて注意喚起することが必要
だろうということが一つ。
もう一つは、勤務あるいは大学と教員との間の契約関係について、しっかりし
た枠組みを構築していかないと、大学の先生なのか、どこかよそにいる人なの
か、わからないような先生が、どんどん増えるばかりでも困る。例えばアメリ
カでいうバイアウトは日本に適しているのかどうか。つまり大学にたくさんお
金を持ってくれば、授業の負担をだんだん免除されるという形が、一体適して
いるのかどうかということから議論していかなければならないし、仮に採用す
るにしても、それはどういう条件で、どういうケースにおいてはそれが認めら
れるのかをきっちり枠組みを考えておく必要があるのではないか。
今までは、公務員という一律の制度で、しかも公務員の倫理法、あるいは公務
員法上のさまざま規制がかぶるという形で、かろうじてと言っては言い過ぎか
もしれないが、縛られていたものが全部ほどけると一体どういうことになるの
か、これが私は実は一番心配していること。
○井村会長
今日の論点で抜けているが、先ほどから御指摘があったように、大学、特に国
立大学は国民の税金をたくさん使っているわけで、国民がいわば株主である。
そうすると、やはり社会的責任は、かなり明確にしておかないといけないし、
それが今の倫理の問題ともつながってくるのではないかという気がするが、も
うちょっと議論を。では、市川専門委員。その次、亀井専門委員。
○市川専門委員[東京工業大学名誉教授]
大学の在り方の問題だが、ここでは、目指すべき大学像は個々の大学が個性あ
る戦略と目標を、となっているが、こういうことで本当にいいのかという問題
点がある。
言うまでもないが、高等教育の普及には、エリート、マス、ユニバーサルとい
う3つの段階があって、日本は今やユニバーサルの段階に達している。ユニバー
サルというのは、行きたい人はだれでも行けるという話だが、そのときに私が
知る限りの外国では、ユニバーサル化した高等教育においても、エリート及び
マスの大学を、しっかりと残している。ここで言うエリートとは、特権階級と
いう意味ではなくて、自分のこと自分のもの以外のために死ぬ人間を言うと、
ケンブリッジ大学のプロフェッサーは定義し、私は大変感心したが、そういう
人を養成する大学が存在しなければならないと思う。
当然そのことは、私は入試という言葉は使いたくなくて、入学者選抜という言
葉を使いたいが、入学者選抜にも教育内容にも関わってくる。
エリート養成の大学であるならば、大学学部4年間は、教養教育と言うか、哲
学を学んでもいいと思う。人生いかに生きるべきかという、解答のない問題を
考え続ける訓練を4年間受けてから初めて専門に入っていく。マスでは、教養
のレベルが下がって、ユニバーサルだったらすぐ手に職を付ける教育という話
だろうと思う。そういう違いを、社会として支えていく仕組みが必要だろう。
私は、日本社会が第二次大戦後しばらく保ったのは、ある種のエリート意識が
存在したからだと思う。新憲法になってから50 年経って、本当の意味のエリー
ト、特権階級意識ではなく、本当の意味のエリートがいなくなったのが今日の
社会の情勢で、やれ倫理とか何とかという話が出てきているのだろうと思う。
そういう高等教育の仕組みと在り方もここでは是非議論していただきたい。
○亀井専門委員[川崎重工業株式会社相談役]
今、市川専門委員の方から話が出たが、それを言おうと思っていたことなので、
重ねてお話したいと思う。今ここでたたき台に乗っているのは、大学という、
いわゆる日本の教育システムの中での最後の出口のところの議論。いわゆるセ
ンター・オブ・エクセレンスと言うか、世界の中で力のある研究者を育ててい
く上では、倫理のお話も出たが、人間教育が非常に抜けていると思う。これを
どこかに入れていかないといけない。ここで学部、大学院の運営とか、教育や
研究について考える前に、例えば大学院で工学基礎教育をやっている例もある
様である。先ほど井村先生からお話があったように、勉強していない人が入っ
てきているから、それをもう一遍教育するために基礎教育をやるということで、
教育制度に非常にロスがある様に思う。
したがって、この大学問題を議論する前に、もう一度今の日本の教育制度全体
を見直していかなければいけないのではないか。試験制度が先行した形で、高
校あるいは中学が非常に変形してきてしまっており、大学にしわ寄せが来てい
るのは非常に問題だと思う。
先ほども出ていたが、私は常々ノーブレス・オブリージュということを言って
いるが、例えば、指揮官は前に出て、弾の当たるところに出て行って、命を賭
して責任を取るという精神が必要だが、日本では指揮官が後ろに逃げてしまっ
ている。そういう人間を教育しないと、いくら先端的な科学技術を極めても、
今の倫理観の喪失は非常に危険な状態を招くことになるのではないかと思う。
例えば、昔は旧制高校の中で、哲学なり宗教なり芸術なりを議論し、人間教育
をした上で、その上に専門教育に進んできたわけだが、それが今、欠落してい
るので、学部の2年間ぐらい徹底してこの教育にあてる等、もう一度ここで見
直す必要があるのではないかという感じがする。
○井村会長
ちょっと弁解ではないが、申し上げると、ここでどこまで大学問題を踏み込ん
で検討するのかについて、若干我々の姿勢がまだ決まっていない。これは、総
合科学技術会議なので、科学技術の側面から大学教育について大いにものを言
うことはいいだろうと思っているが、基本的には文部科学省に中央教育審議会
があって、教育全般となるとそちらが最終的な審議機関になるのではないか、
その辺の問題があるので、今日は主として科学技術の観点からの大学改革の問
題点を出してもらった。
しかし、だんだんと本質論になってくると、そこが一番大事なところになって
くると思うので、もう少し御意見を伺いたい。
どうぞ、山本専門委員。
○山本専門委員[株式会社先端科学技術インキュベーション代表取締役]
技術移転をやっている立場から、あえて出口のお話をさせていただくと、アメ
リカの大学も大学の一番の重要な使命は教育であるというのは、明確にうたっ
ている。技術移転に関しては、大学で生まれた教育のプロセスや研究のプロセ
スの中で生まれた、ある種の派生物を、社会に還元していかなければ、タック
スペイヤーに対するアカウンタビリティーがない。大学の研究の多くは税金で
行われていて、この税金が社会に還元される仕組みを、例えばTLOもそうだ
が、アカウンタビリティーを明確な形で示すことによって、タックスペイヤー
に対しても非常に評価をされる。産業界とともに大学がいきいきし、なおかつ
お金もうけできるみたいな話が一般的によくされるが、それだけではなくて科
学技術の発展と産業界の発展が、両輪で進んでいくという議論だと思う。
それで考えたときに、この大学改革の論点に関しては、非常によくまとめられ
ていて、網羅的に入っていると思うが、例えば産学連携という観点で考えた場
合には、大学の内部で全部をやっていくのは、無理があると考えている。米国
の大学のTLO関係者は、大半が民間人。これは契約とか、特許法とか、マー
ケティングとか、こういったことがわからなければ、絶対に無理で、ほとんど
の人材は民間がやっている。
雇用形態とか、賃金形態も、いわゆるアドミとは全く違う。契約社員で、全く
賃金体系もアドミと違う報酬体系になっているということを考えていったとき
に、大学改革と産学連携を、大学がすべてやるということではなくて、どうい
う関係を取っていくのか、独法化された大学と例えばTLOやインキュベーター
が、どういう位置づけになるのかについては、私は外にあって業務委託、ある
いは大学が一部を使用するという形の方が、望ましいのではないかと考えてい
る。この観点は幾つかあると思うが、結果的にだれが行い、どういうスキーム
を描いていくかで幾つか問題が出る。例えば、外に置くとすれば、大学が出資
法という部分をいじらなければ、今は出資は独立行政法人はできないことになっ
ているので、そういった観点で何を検討しなければいけないのかという議論を
行った方が、建設的ではないかと考えている。
○井村会長
ありがとうございました。産学協力については、ある種の基本的なルールが必
要だろうと私も思っている。だから、そういう辺りも是非御意見を出していた
だいて、健全な産と学の協力体制をつくっていかないと、やはり問題が起こる。
先ほどからの倫理的問題も起こってくる可能性がある。これは、アメリカはか
なりいろいろな経験をして、今の形にまとめてきているのだから。
それでは、小野田専門委員。
○小野田専門委員[三菱化学株式会社顧問]
あえて申し上げたいと思うが、大学の方はよく御存じだが、大学以外の人間が
意外と忘れがちな点は、先ほど石井先生からお話のあった、大学と教員との勤
務に関わる契約のこと。大学は、教育機関と考えた場合に、大学と学生との契
約という、ものすごく大きいものがあるわけで、大学の持っている弾力性は、
あくまでもその契約を守る前提で考えていかないと、大学人以外の方がいろい
ろなことを言った場合に、大変大きな問題が発生するのではないかと思う。
それだけに、大学の問題を議論するときには、スパンを長くとらえながら、きっ
ちり考えていかないと、実質的には機能しないのではないかということ。
○井村会長
ありがとうございました。ほかに何か。いわゆるアカデミックフリーダムとは
何ぞやということを、きちんと押さえないといけない、何でもやれるのではな
いということですね。
○笠見専門委員[株式会社東芝監査役]
アカデミックフリーダムと、その対角に社会への貢献があって、そのバランス
を大学マネージメントがやっていくことが必要だと思う。
その上で、初めてアカデミックフリーダムが認められると思っている。
○井村会長
それでは、大変貴重な御意見をいろいろいただいたので、これらを取りまとめ
て、また更に御意見をいただく機会をつくっていきたいと思う。大学の改革は、
科学技術システム改革の中でも最も重要な問題であろうと思うし、国立大学も
ようやく独立行政法人、特別な形の法人になると思うが、法人格を持って動き
出すのだから、先ほどからいろいろ御意見があったように、これを極めて実質
的なものにしないといけない。
組織は、どのようにでもつくれるし、法律で決めることは大筋だけになってし
まうので、やはり内容のある改革が行われるように、我々もできるだけ側面か
ら支援していく、あるいは、また意見を言っていくということが必要と思う。
そういう意味で、またこれからもいろいろと委員の皆様の御意見を伺わないと
いけないことが多いと思うが、どうぞよろしくお願いします。
(会議資料について公表の確認)
以上
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