==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
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国家公務員としての国立大学教職員の義務

辻下 徹


人事院規則の運用方針により、国家公務員が禁じられている政治的行為は「日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする」ものと定められている(・・・この運用方針なしには人事院規則は憲法との整合性がない)。国立大学教職員は独立行政法人化批判をすることが自由にできるだけでなく、逆に、批判しないことは公務員の義務に反していることに注意すべきである:「国立大学法人(文部科学省案)」が実現すると、憲法23条を法的に補強する教育公務員特例法が大学について失効する一方、政府の徹底した大学監督権が法的に保障され、さらに、学外者が強い権限を持つトップダウンな大学運営形態が法的に義務付けられ、憲法23条は法的に無効化することになるため、同案の違憲度は極めて高く、国立大学教職員が同案の実現に協力し批判しないことは憲法99条が国家公務員に課している憲法擁護の義務を怠っていることになるし、それ以前に、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」と憲法12条が国民に課す義務をも怠っていることになる。なお、言うまでもないことだが、「国立大学法人(案)」をまとめ法案化を進めている文部科学省の職員の行為は憲法99条との整合性を問われる。
(推奨文献:豊島耕一氏「国家公務員の政治活動の制限・禁止について」(1996.3.2))

○日本国憲法第99条(憲法尊重擁護の義務)天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

○国家公務員法百二条(政治的行為の制限)>5 人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
人事院規則14ー7(政治的行為)5.政治的目的とは、次に掲げるものをいう。
  ・・・五 政治の方向に影響を与える目的で特定の政策を主張し又はこれに反対すること。
人事院規則一四−七(政治的行為)の運用方針(五)第五号関係 
  本号にいう「政治の方向に影響を与える意図」とは、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思をいう。「特定の政策」とは、政治の方向に影響を与える程度のものであることを要する。最低賃金制確立、産業社会化等の政策を主張し、若しくはこれに反対する場合又は各政党のよつて立つイデオロギーを主張し若しくはこれらに反対する場合或は特定の法案又は予算案を支持し又はこれに反対する場合の如きも、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとするものでない限り、本号には該当しない。


2002.5.15 tjst@earth.interq.or.jp