国立大学独立行政法人化の諸問題
内閣府意見募集:「日本学術会議の在り方について 中間まとめ」(PDF)について、に送付した意見

「日本学術会議の在り方について 中間まとめ」についての意見

辻下 徹

2002.12.3

意見
「(1)基本的機能」について

科学技術政策を、政治的に独立した立場から監視し勧告できる権限を持つことが不可欠である。従って「勧告」権は今後も必要である。

補足説明:

近年、日本における学術研究活動への政府の影響力が法的に強化され、総合科学技術会議を通し経済セクタと内閣の発言力は巨大なものになりつつあり、少数の特定分野への重点的国費投入が進み、また、大学における研究活動全般に対する財政誘導が強化されている。いわば、企業と政府が一体となって私的利益のために科学研究活動が動員される傾向が顕著になっている。

また、世界的にも、少数の巨大企業による科学・技術の知識支配が進行しており、昨年以降、軍事研究に科学・技術が動員される恐れが再び高まっている大国もある。

このような状況の中で、日本学術会議を単なる提言機関に退化させ、研究者の社会を制度的に政府の完全な支配下に置くことには大きな危険がある。

戦前、科学者集団が軍事研究に動員され協力したことへの反省から、科学者が将来再び利用されることを防止することも使命の一つとして日本学術会議は設立された。専門調査会の議事録に、学術会議が設立されたのは、戦時中の軍事研究体制が統一性を欠いていたことが理由であった、という 意見 はあったが、科学者の戦争責任については全く、言及されていない。中間まとめがこの重要な点に触れていないのは、検討が狭い視野でしか行なわれなかったことを示している。それどころか、科学研究の人的資源を利用しやすいような法的環境を整備しようとしている勢力が、日本学術会議の在り方に関する専門調査会にも影響を与えている懸念さえ感じられる。


第一回(2001.5.22)議事録
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/gakujutsu/haihu02/siryo6.pdf
【市川惇信委員】
「松尾先生の意見と関連して、これから白紙の上に図面を書き、その上で、日本学術会議のあり方を考えていくという立場において、日本学術会議ができてから今日までの歴史的経緯も十分調査分析して役立てる必要がある。私が日本学術会議会員になったとき、成立の過程を調べたことがあった。GHQの日本の科学技術政策担当であったケリー氏が、日本の戦時中の科学技術政策を調べて、例えば核分裂の研究を海軍と理研とで独自にやっていたことなどを見て、科学技術には統合的な政策がなければならない、それを実現しようということで、紆余曲折を経て、日本学術会議ができた。まさに、政府に戦略を具申する組織として日本学術会議はできた。これが、なぜ今日の日本学術会議になったか。そのことを歴史の教訓として踏まえておかないと、白紙の上に書いた組織もまた同じ轍をふみかねない。」