国立大学独立行政法人化の諸問題
[Reform 4345]

教育基本法の改悪に反対する決議

愛知教育大学教職員組合 秋季大会

2002.12.5

 中央教育審議会は、2002年11月14日に、教育基本法の「見直し」という名の改
悪答申にむけた中間報告をまとめた。

 戦後の日本において教育基本法は、すべての子どもたちに民主的で平和的な人
格として発達する権利を保障するための根拠として、また、教育と学問の自由を
守る砦として数多の役割を果たしてきた。今回の「見直し」は、これらの発達保
障や教育・学問の自由の破壊を目論むものであり、到底容認できるものではない。

 まず、その拙速な審議の進め方に問題がある。教育基本法は、日本国憲法と不
離一体であり準憲法的性格を持つことからしても、また、教育に対する国民の幅
広い関心からしても、時間をかけて国民的議論をふまえながら検討されるべきも
のである。それにもかからわらず、教育基本法「見直し」を審議する基本問題部
会が、中間報告直前の2回、定足数に達せず成立もしないままで「見直し」が中
間報告に盛り込まれるなど、その審議のあり方においても、委員の真剣さにおい
ても全く不十分であり、およそ我が国と人類の未来を左右する教育の根本的な問
題を議論しているとは思えない杜撰さである。同時に、「見直し」が、審議会と
いう形式的手続きすら蔑ろにして政府・官僚主導で進められていることも看過で
きない。公聴会の開催の量・質も不足しており、公聴会における意見公述の人選
手続きにも疑問があり、それで「国民的議論」のお墨付きが与えられるものでは
ない。

 次に、教育基本法の「見直し」の根拠の欠如に問題がある。そもそも、国民の
自信喪失、モラルの低下、青少年の凶悪犯罪、学力低下、いじめ・不登校、中途
退学・学級崩壊などの諸問題の責を教育基本法に負わせることは明らかな誤りで
ある。このような諸現象は、教育基本法の成立直後から、政府・文部(科学)省
が教育基本法の精神の具体化をサボタージュしてきたこと、それどころか、教育
基本法の精神を蹂躙する諸施策を「国家戦略として」遂行してきたことにこそ原
因があるのであり、その点こそ「見直し」すべきである。

 最後に、その「見直し」の方向性に問題がある。第一に、「教育の在り方を根
本にまでさかのぼって見直す」としながら、現行教育基本法における教育の本質
的・根源的な把握とは異なり、今回の「見直し」は、教育を卑近な国家目標や一
時的な社会的諸現象との関連で捉えようとする傾向が強く、基本法という性格に
そぐわない。第二に、教育問題の主要因となってきた差別・選別教育をいっそう
推し進め、すべての子どもの発達保障を怠ることで、子どもたちを「人間」とし
てではなく、「人材」として育成する方向が強く打ち出されていることである。
第三に、「日本人」や「国」や「公共」を所与のものとして前提し、それに対す
る同化を求める「国を愛する心」や公共心が強調されていることである。第四
に、教育振興基本計画を教育基本法の中に位置づけることを通して、国会での審
議を経ることなく、教育におけるフリーハンドを政府に与える仕組みが作られて
いることである。

 以上の観点から、愛知教育大学教職員組合は教育基本法の改悪に反対するとと
もに、現行教育基本法の理念を実現することを強く要求するものである。


 2002年12月5日                  愛知教育大学教職員組合