国立大学協会への53国立大学193名の共同意見書2003.6.11 現在 55国立大学245名連署
平成15年5月14日
国立大学協会会長
長尾 真 殿
国立大学協会会則28条(*1)に従い、わたくしたち、53国立大学の教
員197名は、国立大学協会に対する以下の意見書を提出します。迅速な対応
をよろしくお願い申しあげます。
連絡先:辻下 徹
北海道大学大学院理学研究科
〒060-0810 札幌市北区北10条西8丁目
----------------------------------------------------------------------
意 見 書
国立大学法人法案の国会審議が開始されて1月が経過したが、国立大学協会は、
総会を開催し日本社会に向けて法案について意見表明することを回避しつづけ
ている。国立大学全体を代表する役割を実質的に果たす存在としての責務を放
棄したまま、5月7日に石副会長は、国立大学法人法の運用において政府等に
求めるべき夥しい配慮事項のリストを全国立大学に送付し、その検討を要請し
た(*2)。
締め切りの5月15日までに全国立大学からこれを容認・支持する回答が集
れば、全国立大学が法案を容認していることが間接的に確認されたと解釈され、
5月16日の文部科学委員会における強行採決を後押しするものとなりかねな
い。しかし、問題はそれだけではない。その要望項目リストは、国立大学法人
法案の欠陥のリストであると同時に、この法案により来年4月に法人化された
場合に国立大学が強いられる違法行為(*3)のリストにもなっているのであ
る。
すなわち、中期目標・中期計画における大学の自主性・自律性の尊重に不安
があること、国立大学法人評価委員会の性格が法案では明確になっていないこ
と、評価を受けるために大学に過度な負担がかかること、運営費交付金の算定
基準が明確でないこと、高等教育への公財政支出の充実に関し何も保障がない
こと、労働関係法規・医療機関関係法規等の適用に伴う各種届出に必要な規約
整備等の準備が間に合わず法人化後しばらく違法状態が避けがたいこと、労働
衛生法適用で必要となる環境整備のために不可欠な財政措置が検討されていな
いこと、医療過誤や医療事故による賠償責任システムなどが未整備であること、
等々を、そのリストは明らかにしているのである。
このような数々の根源的問題が国立大学法人法案にあることを当事者として
認識していながら、国会と日本社会に警告する義務を国立大学協会が果すこと
を阻む一方で、法人化後の違法状態を看過するよう政府に要請する準備を行う
協会運営は、国立大学協会に、政府との癒着・国会軽視・法の無視等の由々し
い過ちを犯させるものであり、国立大学と国立大学教職員全体の社会的信用を
著しく傷付けるものである。
それだけでなく、国立大学協会の現運営者は、これまでも、法人化推進の強
引な運営により、国立大学社会を混乱させてきた。2001年6月の国立大学
協会総会後の記者会見では総会で合意されていない「法人化容認」を長尾会長
が記者に伝えたため、会長自身が文書で発言を訂正するまでの一ヶ月間、国立
大学全体で混乱が続いた。また、2002年4月の臨時総会では、調査検討会
議の最終報告について議論が行われている最中に強行採決をおこない法人化を
「容認」した。また、この2月中旬には、法案概要について種々の問題点が各
国立大学から指摘されているときに、石副会長が自民党のヒアリングにおいて
国立大学協会の意見が法案了承でまとまったと発言したことが自民党の機関誌
で報じられている。以上は、国立大学協会の現運営者が、個人的信念を協会の
意見としてしばしば表明してきたことを示すと言っても過言ではない。
以上のような協会運営は、国立大学協会が現実に担っている重い公的責務を
ないがしろにするものである。よって、わたくしたち、53国立大学の教員1
97名は、運営責任者である長尾会長、松尾副会長および石副会長に、職を辞
することを求めると同時に、国立大学協会に対し、次のことを求める。
1)臨時総会をただちに開催し、国立大学法人法案の持つ問題点を
明らかにすること。
2)来年4月からの国立大学法人への移行は違法行為なしには実現
できないことを明らかにすること。
3)法案とスケジュール撤回を文部科学省に直言すべきこと。
4)日本社会と国会に対し、当事者として証言すること。
以上
|