第156回国会 文教科学委員会 第16号
平成十五年五月二十九日(木曜日)
   午後一時四分開会

○有馬朗人君 有馬朗人でございます。
 実は、質問を一時間半する予定だったのが一時間になりましたので、たくさん多くの質問をさせていただくことになろうかと思いますが、なるべく手短にお答えを賜れれば幸いでございます。
 まず、今回の国立大学法人化は、一八七七年に東京大学が、一八九七年に京都大学が、ともに国立大学として発足して以来の大改革と言ってよいと思います。それだけに、単なる経済原理だけで変革をしてはならないのであります。しっかりとした理念、理想を実現するためのものでなければなりません。
 一九九七年九月、行政改革会議で国立大学の独立行政法人化が提案されましたとき、私は直ちに反対いたしました。独法化の理由が国の財政の軽量化のためであったからであります。そしてそのとき、国はもっと財政的にも国公私立を通じて高等教育を大切にすべきであると主張いたしました。
 また、当初、独立行政法人は非公務員化が予想されたことに対しまして、私は批判的であり、また、教育研究は独立行政、行政になじまないと考えました。その点、今回の法律が国立大学法人であることを大変喜んでいます。
 しかし、その後、アメリカやヨーロッパを始め、他国の大学がほとんど法人格を持っていることを知り、日本の国立大学が真の自主性を持つために法人格を持つことがよいと判断をいたしました。
 そこで、第一問といたしまして、今回の改革の理念をどう思っておられるか、また、国立大学は本当に自主性を得ることができるのか、その自主性とは何を意味するのか、文部科学大臣にお聞かせいただければ幸いであります。
○国務大臣(遠山敦子君) 誠に大学の在り方は一国の未来を決めると思います。特に、知の世紀と言われる二十一世紀におきまして、知の拠点である大学がその本来の機能を十分に発揮していただくということが大変重要であるわけでございます。特に、国立大学は国民の税金で賄われる大学でございまして、そのことをしっかりと考えながら私どもといたしましては今回の法案を提出しているわけでございます。
 国立大学の法人化は、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討するという平成十四年四月の閣議決定を踏まえまして、平成十一年ですね、大学の教育研究の活性化を図るという、正に大学改革の観点から行われるものでございまして、優れた教育やあるいは特色ある研究に積極的に取り組み、より個性豊かな魅力ある国立大学を実現することを目的とするものでございます。
 現在の国立大学は、様々な工夫はいたしておりますけれども、基本的には文部科学省という行政組織の一部として位置付けられておりますので、国の予算制度あるいは国家公務員法制の下で日常的に文部科学大臣の広範な指揮監督下に置かれているわけでございます。欧米諸国においては既に法人化があるということは議員の御指摘のとおりでございまして、今回の法人化は、そういった状況にかんがみまして、日本におけるこれまでの国と国立大学との在り方を大きく見直そうとするものでございます。
 一つは、国立大学を独立した法人とすることによりまして、国の枠組みから外して各大学の運営上の裁量を制度上大幅に拡大するということをねらいとしておりますし、国の関与につきましては、中期目標、中期計画といった六年間の入口の部分と、それから事後的な業績評価などの出口の部分に制度上限定しようとするものでございます。このように、法人化による各大学の自主性の拡大といいますものは、正に大学における創造的な教育研究の実施を促進することを目的といたしております。
○有馬朗人君 ありがとうございました。
 大変適切なお考えをお持ちで有り難く思います。
 私は、高等教育のみでなく、初中教育も含めた教育に対する公的財政負担が余りにも少ないと思っております。
 そこで、GDPで日本及び主な国々の高等教育並びに初中教育に係る公的財政負担率を教えてください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 国によりまして条件が様々でございますので単純な比較は困難だと思いますけれども、OECDの調査によりますと、一九九九年における我が国の高等教育の公財政支出、学校教育費のGDPに対する割合は〇・五%でございまして、アメリカが一・一%、イギリスは〇・八%、フランスが一・〇%、ドイツが一・〇%となっております。初等中等教育についてでございますが、日本が二・七%、アメリカが三・五%、イギリス三・三%、フランス四・一%、ドイツは二・八%となっております。
○有馬朗人君 ありがとうございました。
 私が調べたところでは、高等教育はGDPに対する割合で、今もお返事がありましたが、日本は主な国の中で最低、アメリカに比べて半分以下でありました。初中教育はそれに比べるとまだよいのですが、それでもアメリカに比べて八割になっています。そして、アメリカに比べて〇・六%も少ない。今お答えいただいた数字に近いものであります。
 このように、初中教育費が少ないにもかかわらず日本の初中教育の質がそろっているということは、教員の給料に対する国庫負担と国としての学習指導要領の存在によります。それを地方交付金にしようという動きに対しまして、私は反対であり、大変危惧を感じております。
 私はアメリカで子供二人を近くの小中学校に入れ、地方地方によって教育の間に極めて格差があるということに驚いたものであります。国庫負担について文部科学大臣が大変な御苦労をなさっておられる御努力に心から感謝いたしますが、この点に関しましてどのような方向を今後お取りになろうとしておられるか、お聞かせいただければ幸いであります。
○副大臣(河村建夫君) 有馬委員御指摘のように、義務教育費国庫負担制度、これは国の責任によって最低保障の、義務教育の平準化といいますか、そういうものを保障する制度でございまして、御案内のとおり、教職員の給与等の二分の一を国が負担をすると、こういうことになっております。その結果、全国的な観点からも教育の機会均等や教育水準の維持向上が図られてきた、有馬委員御指摘のように、高い水準でといいますか、保ってきたものだと、こう思っています。
 これを地方に移管という話でございますが、仮にこの制度を廃止するということになりますと、全額一般財源化というような方向になりますと、これは地方の自由でありますから、首長さんの考え方いかんにもよるわけでございますが、ほかの用途にも、道路に化けるかもしれない、こういうことも可能になってくるということでございまして、義務教育の水準確保の保障がなくなるということが、そういうような懸念があるわけでございます。
 義務教育費に係る経費負担の在り方については、昨年十二月の三大臣合意におきまして、教育改革の中で義務教育制度の在り方の一環として検討を行うということになっておるわけでございます。このため、文部科学省といたしましても、中央教育審議会において義務教育制度全体の中で御議論をしていただく、こういうことにいたしておりまして、先日、五月十五日でございますが、今後の初等中等教育改革の推進方針についてということを諮問をいたしておるところでございます。
 中教審での御論議も踏まえながら今後検討いたしていくわけでございますが、その際には、一般財源化の問題点が指摘をされているということも念頭に置きながら、義務教育について国としての責任をしっかり果たしていくという観点に立たなきゃならぬと思っておりますが、私も、有馬委員御指摘のとおり、やはり義務教育、この国庫負担制度、この根幹を堅持するということは、やっぱり私は義務教育の保障を国がするという基本認識を持たなきゃいかぬと、こう思っておりますので、私はそれを堅持すべき方向でなければいかぬと思っておりまして、これから中教審の議論も十分踏まえながらその方向で我々としては考えてまいりたいと、このように思っているところであります。
○有馬朗人君 大変力強いお考えで安心いたしました。是非それをお進めいただきたいと思います。
 また、高等教育は私立大学に大変依存していまして、高等教育費をしたがって国としては余りにも少なく抑えているということを一体文部科学省はどう御認識になり、どう改善しようとおられるかについてお聞かせいただきたいと思います。
 国立大学の法人化の理念を実現するために最も必要なことは、財政的基盤を強化することではないかと私は考えております。そしてまた、私学の助成を増やしていく、これが極めて日本の高等教育において大切なことではないかと思いますが、どうお考えでいらっしゃるか、副大臣、お聞かせください。
○副大臣(河村建夫君) 高等教育が果たしている役割、人材の養成等大きなものがあるわけでございまして、さらに、これからの二十一世紀を考え、知の時代を考え、高等教育を更にこの面で投資をしていくということは極めて重要な課題であると、このように思っておるわけでございますが、特に、高等教育に対する公的財政支出、先ほどございましたが、これは制度の違い等もあって一律には比較はできませんが、確かに欧米先進国と比べて日本のGDP比等も低いこと、このとおりでございます。
 それは、やっぱり私学に非常に大きなウエートがあるということは紛れもない事実でございまして、そういう意味からいっても、やっぱりこの高等教育への投資が未来への先行投資であるという観点に立つならば、厳しい経済財政情勢の中にあることは分かっているわけでございますけれども、やっぱり教育投資、未来の投資だという御理解は私は国民にも広くいただけると、こう思っておりますので、必要な高等教育予算は伸ばしていかなきゃいかぬと、このように思っておりますし、それにあって当然私学助成というものも更に強めていかなきゃならぬ、そのことによって高等教育に対するいわゆる資本の投資といいますか、それが増すわけでございまして、文部科学省挙げて取り組んでまいりたいと、このように思っております。
○有馬朗人君 ありがとうございました。
 小泉総理は施政方針演説の中で米百俵の精神を説かれました。私はそれを聞いて本当にうれしく思いました。教育を大切にするこそ政治の一番大切なことだと思ったからであります。
 そこで、ここの数年間にわたって国の支出する教育費はどのように上昇したのか、特に高等教育費についてどう変化してきたかをお教えください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 文部科学省の一般会計予算で見ますと、平成十五年度で六兆三千二百二十億円でございまして、厳しい財政状況を反映して義務教育国庫負担金の対象経費の見直しということもございまして、平成十二年度の予算に比べまして四年間で二・九%の減と、こうなっておるわけでございますけれども、高等教育関係で申しますと、国立学校特別会計、これにつきましては予算額が三・八%の増加になっておりますし、私学助成につきまして、これも高等教育の部分でございますが、予算額が四・四%の増加となっておる次第でございます。
○有馬朗人君 まだまだ満足できる数字ではありませんけれども、でも、こうやって御努力になっていることに対して感謝いたします。是非とももう一歩、もう二歩、ひとつ頑張ってお進みいただきたいと思います。
 ここで、法人化の際、大きな問題をはらんでいると私が考えております中期目標と中期計画についてお聞きいたします。
 三十条関係の中期目標には教育研究の質の向上に関する事項があり、三十一条関係、中期計画にも教育研究の質の向上に関する目標を達成するために取るべき措置が述べられています。それぞれの意味するところは何か、短くお聞かせください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 中期目標、中期計画につきまして、「教育研究の質の向上に関する事項」と、こう書いておるわけでございますけれども、これは各国立大学が教育や研究の面におきまして目指します教育目標や研究水準、その実施体制などに関する事項を想定しているわけでございます。
○有馬朗人君 文部科学省、特に旧文部省の優れている点は、ボトムアップ方式を大切にして、大学の各教員の考え、そしてそれを集約した大学の考えを大きく取り入れ、推進してきたことでありました。このボトムアップを大切にする方針は、中期目標、中期計画の達成の際に、今後も十分に考慮していただきたいと私は考えております。そうしませんと、大学の自主性が十分にその良さを発揮することができないと思います。
 法律では、トップダウン的に中期目標が立てられ、それに基づいて大学が中期計画を立てることになっています。予算とか教職員数、学生数など、ある部分はトップダウン的な点もあってよいと思いますけれども、しかし、教育の方針や内容、研究の主題や進め方などはボトムアップ型でなければ実行できないのではないかと私は思います。もちろん、トップダウン的な方針をお示しになる、研究の上でも教育の上でもお示しになることも必要でありますけれども、やはり各教員一人一人、個々の大学それぞれがボトムアップ的にやりたいと思っていることを実行すべきだと私は思います。中期目標を立てる際に十分に大学の考えを聴いていただきたいのです。この点、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。
○副大臣(河村建夫君) 今、有馬委員御指摘のボトムアップ、私もこれ大事なことだと、全く同感の思いで今伺っておったわけでございますが、これまで、現在の国立大学、先ほど大臣の答弁にもありましたように、国、文部科学省の行政組織の中にあったわけでございます。したがって、教育研究、組織、予算、最終的には国、政府の責任で定めておるわけでございますけれども、有馬委員御指摘のとおり、文部科学省といたしましても、教育研究、組織の編成については十分国立大学の御意向というものを踏まえながら予算措置を行ってきた、かなり綿密な連携を取ってやってきた、そして大学の意向や自主性を尊重してきた、そのことを御指摘をいただいたと思うんでありますが。
 国立大学の法人化に伴って、これは、国は所要の財政措置をやるわけでありますが、国立大学は法人化することによって、この運営上の裁量は、これは非常に大幅に拡大をして、そしてその結果、自主性、自律性を高めてまいりたいと考えております。そういう点からいきますと、大学の意向や自主性を尊重するということについては今後ともいささかも私は変わらないものだと、このように思っております。
 そういう意味で、これからも中期目標を立てる、策定することになっておるわけでございます。これは文部科学大臣がと、こうなっておるわけでございますが、これは、大臣に対して、御案内のように、第三条では大学の教育研究の特性への配慮義務がございますし、三十条三項には国立大学法人の意見、いわゆる原案への事前の聴取義務、さらに国立大学法人の意見への配慮義務ということも、法律上の義務を課しているのも正にそれでございます。中期目標の実際上の作成主体というのは、これは当然国立大学法人と解されるわけでございますから、これ、大学の方がこれをきちっとやってくるということでございまして、一方、高等教育全体の在り方や財政上の観点から文部科学大臣も関与していかなきゃならぬということで、ともに中期目標を形成していくと、こういう仕組みになっておるわけでございます。
 また、各大学は中期目標などに基づいて魅力的で個性ある教育研究を展開するに当たりましては、これまで以上に各国立大学との連携を十分に取りながら、それぞれの理念や使命感、そういうものをお伺いをしながら、その自主性を十分尊重して、中期目標を軸にして各大学の個性や特色を一層伸ばしていく、これができるようにということで文部科学省として取り組んでまいらなきゃならぬと、このように思っているところであります。
○有馬朗人君 ありがとうございました。安心いたしました。
 各大学が自主的に、最も良いと考えた中期計画を中期目標で積極的に採用し援助する方針で進んでいただきたいと思います。この考えを大切にしていただけますでしょうか、お聞きいたしたいと思います。もう既にある程度お答えいただきましたが、高等教育局長、お聞きします。
 また、その際に、中期目標、中期計画は本質的なものであるべきで、数値目標の中に論文の数を幾つにせよとか特許の数を幾つにせよとまではお決めにならないようにしていただきたい。あるところでやって困っているところがあるようでありますので、ここまできめ細かいのはきめ細か過ぎると思います。この点につきまして、高等教育局長、お考えをお聞かせください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 中期目標、中期計画、各大学で最も良いと考えたものをということでございます。
 今、副大臣が御答弁したとおりでございまして、文部科学大臣が中期目標を策定するに当たりましては、国立大学における教育研究の特性を十分に踏まえ、各大学の意見を事前にお伺いし、それに配慮をするということになっておりまして、御指摘のように、各大学における創意工夫や意欲をしっかりと受け止めまして、それを支援する観点から取り組みたいと、こう考えております。中期計画の認可もこのような観点から行うこととしておりまして、各大学がその個性や特色を一層伸ばしていくことができるようにしてまいりたいと思っております。
 御心配の点でございますけれども、私どもはそこまで細かなことが入ってくるということは予想はしておりません。
○有馬朗人君 大学の自主性や自治で最も大切なことは、法を犯さない限り教育の内容、研究の主題を自由に選べること、大学がその目的を達成するために最も適切な教員を選ぶ人事の自主性であります。このことは法人化したときにも守られるだろうと思っておりますが、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) それは当然のことでございまして、まず我が国の憲法は第二十三条で学問の自由というのをしっかりと定めております。これは、それぞれの研究者が真理の探究の下に自らの研究活動をすること、またその結果を公表することについて何ら外からの力によって妨げられないということをきちっと保障しているわけでございまして、その憲法の下にいろんな制度があるわけでございますが、大学における自主性の中で最も大事なのはその教育研究の自由、教授が持つ自由であろうと思います。当然ながら、それは新たな法人化いたしましても、正にそれがより自律的に自主的に行われるようになるということでございます。
 さらに、人事の面につきましても、当然ながら、大学の教育研究に携わる者につきましては、現在は法制上、文部科学大臣が国立大学の教職員については任命権を持っているんです。事実上それを委任をしているわけですね、学長に。新たな法人の下におきましては、制度上、もうその教職員の任命権を大臣から学長に移行するわけでございます。大臣による任命というのは学長と監事に限られておりまして、その学長につきましても学長選考会議の議を経て大学の申出に基づき行うということでございまして、今、有馬委員が御心配の点は、更にその方向に行きこそすれ、何ら御心配はないということでございます。
○有馬朗人君 ありがとうございました。
 ところで、学長の選考問題でありますが、学長の選考は学長選考会議によって行われるようになりますが、学内の意向が十分反映できるようにしていただかなければならないと思います。全学をまとめていく学長は構成員の信頼と尊敬を受けるような人でなければならないと思うからであります。
 どのようにして学内の支持を得られるように工夫してやるか、その方策についてお聞かせください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 法人化に伴いまして、国立大学の学長には教育研究に関する識見のみならず、優れた経営手腕が要求されるということになるわけでございます。これからの国立大学を社会に開かれた大学としていくことも求められておるということで、こうした責務を担う学長を選考するに際しましては、学内のみならず学外者の意向を反映させると、こういう仕組みが取られているわけでございます。
 このため、学長の選考でございますが、学部長など学内者により組織される教育研究評議会の代表者と協議会の学外委員の代表の同数で構成される学長選考会議が行うということになっておりまして、学外者とともに学内者の支持を前提として選考が行われるという仕組みとしているところでございます。
○有馬朗人君 ありがとうございました。
 ところで、この法律には教授会に関する条文がないと思うんです。学校教育法の条文が用いられるのでしょうか。教授会の在り方についてどうお考えか、お聞かせください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 国立大学法人制度におきましては、各法人の自主性、自律性を高め自己責任の拡大を図っていくという観点から、内部組織につきましては可能な限り法人の裁量にゆだねて、法令等での規定をしないということを原則としているわけでございまして、これまで教授会の設置の単位とされてきました学部あるいはその研究科につきましても法律上規定を設けていないということになっているわけでございます。
 こうした点を踏まえまして、どのような教育研究組織の単位にどのような形で教授会を置くかということにつきましては法人の定めにゆだねるということとしたものでございますが、学校教育法第五十九条の規定に基づいて法人化後の大学に教授会が置かれるということには変わりはないわけでございます。
 現在、教授会につきましては、国立大学については、国立学校設置法におきまして、学部又は研究科の教育課程の編成に関する事項、学生の入学、卒業又は課程の修了その他その在籍に関する事項及び学位の授与に関する事項、その他当該教授会を置く組織の教育又は研究に関する重要事項を審議すると、こういう規定をされておるわけでございますが、法人化後も引き続きこうした役割を担うというふうに理解をしておるわけでございます。
○有馬朗人君 ここで話題を大きく変えさせていただきます。
 大学の改革は、単に教員のみを対象として考えることはいけません。やはりそこで学ぶ学生のことを考慮して、学生の教育がより良くなることを図らなければならないと思うんですね。今回の法人化によってどのような点で教育が目に見えて良くなるのでしょうか、お聞かせください。
○副大臣(河村建夫君) 今回の大学法人化に伴う大学改革、大きな改革でございますが、それによって、有馬委員御指摘のように、教育、受け手側である学生にとっての教育が良くなるというものでないと意義がないと思っております。
 既に大学、高等学校、高等教育への進学、大学への進学率が五〇%を超えるという、こういう時代でございます。そういう意味で、学生の能力、関心、適性というものも非常に多様化している、そういうものに対応して、やっぱり学生が自らの関心や将来の進路を踏まえて目的意識を持って大学で学ぶ、そうした環境をきちっと整えていくということが何よりも大事な課題になってきておるわけでございます。そういう視点で、やっぱり大学側も思い切った今回の法人化に伴って意識改革をやってもらわなきゃいかぬと、こうも思っておるわけでございます。
 今回の法人化によって、いわゆる教育を受ける側の学生の立場に立って大学運営をするということで、具体的には、この法人化によって、まずは各大学が学生のニーズに応じた柔軟な学科コースを編成するということが可能になっていくわけでございます。これまで一々そういうものを文部科学省にお伺い立てなきゃできないというような、こういう仕組みもあったわけでありますが、こういうものが大きく緩和されるということでございます。
 それから、この法律の三十二条にも、学生に対し、修学、進路選択及び心身の健康等に関する相談その他の援助を行うということで、いわゆる学生に対するカウンセリングとかそういうサービスも徹底してもらうということが、そうした改善を図るということもうたっておるわけでございますし、あわせて、学生による授業評価、これをきちっとやる、それが評価対象に含まれているということも業務として法案できちっと明記をいたしているわけでございまして、正に学生の立場に立った学校、大学運営、この実現が期待をされるわけでございます。
 このことは、正に学生が本当に勉強しやすい環境を作っていく、しっかり学ぶということ、これは世界の大学に比較して日本はまだその点後れていると、こう言われておりますから、そういう点が、私は大学が開かれていく、そして法人化、それぞれの自主、責任を持って法人化していくことによって正に競争関係にも入っていくわけでございまして、そういうことで、今回の法人化の趣旨を踏まえて、学生の教育の充実ということを特に重視をしてこれからの教育機関としての責任を十分ひとつ果たしていってもらいたいし、そのために文部科学省も十分力を注いでいくという方針でございます。
○有馬朗人君 学生による評価というのは私はもうさんざん受けまして、これは絶対やるべきだと思っております。それを今回積極的におやりくださるようになったことは有り難く思っています。
 また、私は長年、宿題の採点や授業の理解を深めるためにティーチングアシスタンツをもっと活用したらどうかということを主張し、この十年、不十分ながら日本の大学でも実行されるようになってきました。その現状は現在どのような様子でしょうか。
 アメリカの大学院学生は、このティーチングアシスタンツかリサーチアシスタンツとしての収入によってアルバイトをせずに自立して生活し、勉強を続けています。日本でもこのような水準までティーチングアシスタンツあるいはリサーチアシスタンツを雇うようにできないものでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) ティーチングアシスタントの仕組みでございますけれども、平成四年度からティーチングアシスタントの経費を計上してやっておるわけでございまして、年々その充実を図っておりまして、平成十五年度予算におきましては約五十八億円、予算上の大学院生の数にしまして二万二千人強ということで、学生数の約一割でございますけれども、措置をしているということでございます。
 それから、研究補助者としての機会の提供のためのリサーチアシスタントの経費でございますが、平成八年度から予算に計上しておりまして、平成十五年度予算におきましては二十四億四千万、数にしまして四千七百三十六人分ということで措置をしているところでございます。
 学生に手渡る月額でございますけれども、ティーチングアシスタントでいいますと約四万円程度、リサーチアシスタントにつきましては約八万円ということで、これから充実ということになると思いますけれども、これとともに育英奨学制度あるいは日本学術研究会特別研究員制度の充実などを行いまして、そういう学生の支援という意味での各般の施策の充実に努めていきたいと、こう思っております。
○有馬朗人君 随分数が増えてきたことを喜んでおりますけれども、まだ足りませんね、金額の上でも。よろしく御努力を賜りたいと思います。
 そこで、大学としてはやっぱり教育費をきちっと確保するということが非常に重要だと思うんですね。それからまた、少なくとも学部では研究以上に教員の教育での努力を評価していくということが必要だと思うのです。そういう意味で、教員の人たちが更に教育に熱心になれるような工夫はできないものでしょうか。
 この点、遠山大臣が教育で努力をする大学を選んで顕彰してくださるというようなことをしてくださったようでありまして大変喜んでおりますが、その辺についても手短にお聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 学生に対して法人化どうかということで、先ほど副大臣御答弁されましたように、この法人化を契機にやはりより以上に教育に力を入れてほしいと思っておりまして、先ほど副大臣から申し上げましたように、評価というところにおきまして、例えば休講の状況だとか学生による授業評価を取り入れるといったようなこと等々、教員の教育への取組をやはり多面的に評価をするということで教育活動に対する教員の意識が高まり、そして授業内容の充実、指導方法の改善といったようなことが促すことになろうと、こういうふうに私ども考えておる次第でございます。
○有馬朗人君 学生のことについてもう少しお聞きいたします。
 それは、入学金や授業料のことであります。私が教授を務めておりましたニューヨーク州立大学にしても、フンボルト賞で招待されました客員教授であったドイツのチュービンゲン大学にいたしましても、入学金はなかったと記憶しております。アメリカでは、私立大学も州立大学も、授業料は取っていましたが入学金は取らなかったと思います。チュービンゲン大学を始めヨーロッパ諸国の大学、それが、ほとんどがイギリス、フランスのように国立かドイツのように州立でありますが、授業料はゼロかゼロに近かったと思います。もっとも、イギリスは最近授業料を少々取るようになりましたが。アジアの国々は日本の状況に似ています。
 そこで、ヨーロッパ及びアメリカ各国の大学の入学金のありなし、授業料の金額についてお聞かせください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) アメリカ、イギリス、フランス、ドイツともに入学料は取っておりません。授業料ですが、アメリカの州立総合大学で平均四十四万六千円、それからイギリスでは十九万三千円、フランスにつきましては授業料という形ではなくて登録料という形で一万三千円、それからドイツにつきましては、一般には無償でございますが、一部の州で十二万円程度の授業料を取っているということがあると理解しております。
○有馬朗人君 ドイツの場合もごく一部ですね。
 日本の国立大学の使命の一つは、やはり貧しい家庭の学生も教育できることでありました。それは、入学金も授業料も安かったからであります。しかし、先ほどのお答えが示しておりますように、もはや日本の国立大学の授業料はアメリカの州立大学より高くなっている。同じかむしろ高くなっております。
 そこで、まず入学金は欧米並みに取らない方法はないのでしょうか、そこまでいかなくても、法人化する際、入学金や授業料はもっと安くできないものでしょうか、お聞き申し上げます。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 大学におきまして入学金徴収するかどうか、あるいは徴収する場合にどの程度とするかということにつきましては、各国の大学制度あるいはその歴史的発展の経緯によるところが大きいと、こう考えておりまして、我が国の国立大学につきましては、大学教育を受ける者に一定の負担を求めるという考え方から、明治以来、入学金を徴収をしてきておるわけでございます。
 従来から、教育の機会均等の理念を踏まえ、私立大学の水準や社会経済情勢等を総合的に勘案して設定をしてきているということでございまして、近年、授業料と入学料を国立大学隔年で改定をしてきたという経緯がございますが、厳しい経済情勢を踏まえまして、平成十六年度の入学者、これは入学料を上げる番ではあったんですけれども、今回改定を行わないと、こうさせていただいたところでございます。
 今後とも、入学料の取扱いについては、法人化になりましても、そういったようなことで適切に対処してまいりたいと、こういうふうに思っております。
○有馬朗人君 私は、中学校の三年生のときに父親を亡くしまして、しかも収入のない母と祖母と三人で非常な貧乏生活をいたしました。旧制の四年生のとき、中学四年生のときに家庭教師として住み込むというふうなことで、高校、大学、大学院とも、午前もとは言いませんが、午前中は大学に来ておりましたけれども、午後はほとんどアルバイトにアルバイト、そして週末は完全にアルバイトをしてきました。そのときに助けられたのは、奨学金と授業料免除、授業料免除という制度でありました。辛うじて高等学校と大学を卒業し、大学院三年を修了したわけであります。
 そこで質問ですが、育英会が学生支援機構に変わったとき奨学金のための予算が減ることはないということをひとつ言っていただきたい。
 そのことと、もう一つ授業料の免除、せめて入学金。授業料をどうしても取らなきゃならなければ、授業料の免除枠を増やしていただけないか、そしてまた、入学金を免除するというふうな制度が導入できないか、お伺いいたします。
○政府参考人(遠藤純一郎君) まず、奨学金についてでございますが、御指摘のように、日本学生支援機構法案ということで現在御審議をいただいているところでございますけれども、独立行政法人移行後におきましても、これまでの奨学金事業をしっかりと継続をしまして、教育を受ける意欲と能力のある学生が経済的な面で心配することなく安心して学べるよう更なる充実に努めてまいりたいと、こう考えております。
 それから、授業料免除の制度につきましては、その経済的理由などにより授業料納付が困難である者などを対象に、修学継続を容易にし教育を受ける機会を確保するという意義を有しておりまして、法人化後もこのような観点から授業料免除の仕組みにつきましては維持をする必要があると、こう考えております。
 入学料につきましては、既に災害等の特別な事情がある場合、免除できる制度を現在既に実施をしているということがございます。
 免除枠につきまして拡大できないかということでございますが、私ども努力をしていきたいと、こう思っておりますけれども、厳しい財政状況の下でございますので一層の努力をしたいと、こう思っております。
○有馬朗人君 ありがとうございました。
 次に、話題をまた少し変えますが、私が今回の法人化で一番心配していることの一つでありますが、実学系のものは今後も大いにサポートされていくだろうと思います。工学、薬学、医学等は大丈夫だと思うんですが、人文科学、私はしょっちゅうサンスクリットと言うものですからサンスクリットの先生におしかりを受けておりますけれども、人文科学、特に例えばサンスクリット、自然科学で申しますとごくごく基礎的な化石の研究であるとか素数、素数の研究であるとか、私のように理論物理学の研究というのはすぐには実用化されません。利益を生み出さない分野の教育と研究を法人化した後にどうやって守っていくのか、この点、私は非常に心配しているわけであります。
 しかしながら、そのようにすぐに応用の利かないことでありましても、しかしながら人類の好奇心を満足させる、そういうもの、そして人類の英知として継承していくべき分野の教育、研究は国が何らかの方法で支えていかなければならないと思いますが、今後法人化した際に、そのような基礎的で非実用的分野の研究と教育はどうやって支持していくことができるのでしょうか、お考えをお聞かせください。
○国務大臣(遠山敦子君) 大学の基礎研究の重要さといいますものは言うまでもありませんで、冒頭にお答えしましたような学問の自由ということでその研究者の研究活動は保障されているわけでございますが、日本の大学、国公私を通じて基礎研究は大事だと思っております。特に国立大学の場合は、学問研究を通じて様々に、人類の英知に新たなフロンティアを付け加えるなどの大変な成果を上げてきてくれておりまして、最近ではそうした成果がノーベル賞受賞者の三年連続というような形で結晶してまいっております。
 私は、法人化後も大学の、特に国立大学のこういう基礎研究の重要性というのはますます増してまいりこそすれ、これを何か妨げるようなことになっては決して日本の未来はないというふうに思っているわけでございます。
 じゃ、どうなるのかということでございますが、これは、今回の法人化といいますものは国からの一定の財源措置を前提といたしております。各大学の自律的な運営を確立するということを目的といたしておりますので、例えば予算の執行あるいは教職員の配置などの面で各国立大学の裁量が大幅に拡大するわけでございます。したがいまして、各国立大学は、基礎学術の推進というものをしっかりその大学の重視する政策として置きまして、そして中期目標の策定あるいは中期計画の中に優先順位を高くして出していただきたい、国としてはそういう中期目標、中期計画というものをしっかり支えていく、そういう関係になろうかと思います。
 私は、これまでいろんな束縛があったものから、より大学が自由な判断でやっていただきたいし、正にそこにこそその大学ないし法人の見識が問われる、そのような時代になると思います。
○有馬朗人君 大変心強いお考えをお聞かせいただきまして、ありがとうございました。
 ボトムアップの精神を大切にすること、基礎の学術の教育と研究の重視、これがないと野依さんの触媒不斉合成や小柴昌俊さんのニュートリノ天文学の研究は生まれなかったと思います。トップダウンの方式では絶対このような研究は生まれないのです。
 基礎研究の成果の多くはすぐには役に立ちませんが、例えばニュートリノの研究がそうであります。しかし、ノーベル賞で代表されるような世界に誇ることができる基礎研究の成果は、日本の若者たちを元気付け、文化国家としての日本の在り方を世界に示す上で大いに役立つものであると思っております。
 サンスクリットのような基礎中の基礎の教育と研究で世界じゅうの中心になることも、文化国家として日本が世界の人々に貢献することではないかと思っています。これは文部科学省が今まで大切にしてこられた方針であります。このことが法人化された国立大学でも今まで以上やりやすくなるようになるということが大学改革の一番重要なことではないかと思います。先ほどの文部科学大臣のお考えを心より感謝しながらお聞きした次第であります。
 次に、教職員の身分について論じさせていただきます。
 行政改革会議で、国の行政組織の軽量化のために、独立行政法人で非公務員化が前提でありました。このことが国立大学独法化に私が反対した理由でありました。しかし、後に、公務員型独法化が大勢を占めましたので、私は、その点では考えを変え、大学の法人化により自主性が強化できるという考えに立ち、公務員型の国立大学法人について検討してほしいという要請を一九九九年九月二日の国大協の席上でいたしました。
 しかし、今回の法案では非公務員型になっております。この方針の変化はなぜ生じ、非公務員型を良しとする理由は何でしょうか。
○政府参考人(玉井日出夫君) お答え申し上げます。
 法人化後の国立大学の教職員の身分の在り方、これ大変重要な課題でございます。
 御指摘のとおり、様々な角度からの御議論がなされ、関係者の間でも慎重な検討がなされたわけでございます。特に、国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議、これは多くの大学関係者に入っていただいた会議でございますが、そこにおきまして公務員型と非公務員型とを比較して慎重な検討が行われました。
 その結果、国家公務員法等にとらわれないより柔軟で弾力的な雇用形態、給与形態、勤務時間体系が取れるのではないか、外国人の学長、学部長等管理職への登用が可能になるのではないか、兼業・兼職の弾力的な運用ができるのではないか、試験採用の原則によらない専門的な知識、技能等を重視した職員の採用が可能になるのではないか等々の弾力的な人事制度を実現し得ると、そういう点で非公務員型の方が公務員型よりも優れた面が多いというふうに判断し、非公務員型とすることが適当というふうにこの会議において判断をされたわけでございます。
 したがいまして、法人化後におきましては、各国立大学がこのような非公務員型のメリットを最大限に生かして、正に各国立大学、今まで言われてきた正にもっと自律的なあるいは自主的な運営ができるように、そういうことから、内外からの優れた人材の確保あるいは教職員の能力を十分に発揮させ産学連携や地域貢献を行う、こういった大学及び教職員が社会から期待される責務を全うしていくことを私どもとしては大いに期待を申し上げているわけであります。
○有馬朗人君 ありがとう。
 次に、それでは非公務員化した教職員の身分は何で保障されるのでしょうか。特に教授のテニュア制は大切であると思いますが、どうやって保障されるのでしょうか。テニュア制は、時代の流れに流されず教員が自主性を持って教育や研究を行う上で絶対必要なものであります。ファシズムのあらしの中でのアインシュタイン、そしてまた東京大学の矢内原忠雄先生たちの戦争中の苦悩を考えますと、このテニュア制は絶対必要なものと私は思っておりますが、この点、文科省はどうお考えでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) これまで国立大学の教職員の任命権が文部科学大臣にあったということで、先生御指摘のようなことのないようということで教育公務員特例法が制定されまして、教授会の議に基づいて学長が行うと、こういう仕組みになっておったわけでございます。
 これに対しまして、法人化後の国立大学におきましては、教職員の任命権はすべて学長が持つということになっておるわけでございまして、しかもその学長の選考が学内の学長選考会議によって行われると、こういう仕組みになっておりまして、言わばその法人化後の教員人事につきましては法律によって公権力による影響を排除すると、こういう従来の考え方を取る必要がなくなったということがあろうかと思います。
 このため、国立大学法人法におきましては現行の教育公務員特例法のような規定を設けておらないわけでございますが、教員の身分取扱い、こういうことにつきましては各大学におきまして自主的に決定をすると、こういう仕組みになったわけでございます。
○有馬朗人君 次に、教職員の定年についてお聞きいたしたいと思います。
 今までは、教育公務員特例法によって教授、助教授は自分たちで定年を決められました。今後はどうなるのでしょうか。
 しかし、職員は、普通の公務員法で六十歳と定められていました。私は、最近、東京大学が定年、教官の定年を、何年か掛けてではありますが、六十五歳にするといったときに反対いたしました。その理由は、職員の人たちの定年も同時に延長を図るならばいいよというわけであります。もし、両方が六十五歳にできるのであれば、私は反対いたしませんでした。
 できる限り早い時期に教員と職員の定年を平等にすべきだと私は考えております。そこで、職員の定年はどうやって決めるのでしょうか。
○政府参考人(玉井日出夫君) 現在の定年制度、国家公務員関係は国家公務員法及び大学関係は教育公務員特例法、この世界で決められているわけでございますが、ここは非公務員型になりますので、法人化後の教職員の定年年齢につきましては、各国立大学法人が就業規則を定めることになるわけでございます。
 その中で定めていくということになりますけれども、御案内のとおり、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律がございますし、さらには、やはり年金との関係などもバランスを考えながら各大学法人において適切に御判断なさる。ただ、そのとき、やはり各法人が教職員の職務の性格に応じて自主的、自律的に決定されると、こういう仕組みになろうかと思っております。
○有馬朗人君 職員の方たちのこともよくお考えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、共同利用研究所のことについて論じさせていただきます。
 まず、この制度は、湯川秀樹先生のノーベル賞受賞を記念いたしまして京都大学に一九五三年に創立されました基礎物理学研究所から始まっております。そこで大学を異にする大学院生も含めた全国の研究者が、ここで旅費を支給されて自由に勉強、研究ができるようになったわけであります。大学の壁を越えたわけでありました。
 私も、東京大学の大学院学生時代からこの恩恵を十分に受けました。そこで大学院生や若手が湯川、朝永、両大先生を始め、そうそうたる先輩とちょうちょうはっしの討論ができたことは私たち若手にとって大変な恩恵でありました。
 これが更に発展し、スーパーカミオカンデで有名な宇宙線研究所や、小柴昌俊さんや私が若いころ、全く同じころに勤めた原子核研究所が東大附置の共同利用研究所として創設されました。この大学共同利用研究所は世界で注目される制度であり、特に乏しい時代、乏しきを分かち合いながら世界的な成果を上げてまいりました。
 この共同利用の制度が発足し、一九七〇年代になって高エネルギー研究所が大学から独立して現在の国立大学共同利用研として確立し、さらに、東大から宇宙科学研究所や天文台が独立して東京大学から離れ、国立大学共同利用研究所群に加わりました。
 さて、共同利用研究所のうち大学附置のものは、法人化した際、一体どのような運営形態を取るのか。今回、提出の国立大学法人案には書かれていないので心配をし、御質問申し上げます。
 ちょっと待ってくださいね。
 それでもう一つ、大学附置の共同利用研究所が今まで以上にその活力を発揮するためには、大学の運営交付金にその大学の運営を超える共同利用部分への配慮が必要だと思います。
 例えば、共同利用のための施設設備費、特に共同利用のための旅費が必要であります。例えば、スーパーカミオカンデはどのように今後支援していってくださるのでしょうか。
 このような大学附置の共同利用研究所の運営をどう考えておられるか、文科省のお考えをお聞かせください。
○政府参考人(石川明君) 共同利用の形態の研究所についてのお尋ねでございます。
 このように、今お話しのございました共同利用という研究所の形態、これは研究遂行上、大変大きな意義を持つものだというふうに私どもも考えておるところでございます。
 今回の法人化に当たりましても、引き続きこのような共同利用の形による研究活動の仕組み、そしてまた、この体制といったようなものはしっかりと維持していくべきものというふうに考えております。
 こういう観点から、私ども文部科学省といたしましても、我が国の学術研究において中核的な研究組織、そういった位置付けのものにつきましては、例えば国立大学法人の意見vに配慮をして、中期目標あるいは計画において適切に位置付けるなど、引き続き十分にその役割を果たしていけるような、そういったような対応をしてまいりたいと思っております。
 それから、先生から、この共同利用に係る経費といいましょうか予算上の御心配、お話ございました。
 もう先生、既に御存じと思いますけれども、こういった共同利用のために掛かる経費につきましては、現在、その附置研究所やそういった研究施設につきましてそういった経費が措置されております。
 共同利用の形態の研究活動というものの重要性にかんがみまして、これをきちっと維持をしていかなければならないというふうに私ども思っておりまして、こういった経費につきましては、今後とも所要の措置を行うことが必要であるというふうに考えておるところでございます。
○有馬朗人君 是非よろしくお願いいたします。
 大変重要な研究所、例えば先ほど申し上げました京都大学の基礎物理学研究所、東京大学のスーパーカミオカンデを持っている宇宙線研究所、そして地震研究所、東北大学の金属研究所、こういうものがすべて伝統ある大学の共同利用研究所でございますので、是非ともこれの存在をお忘れなくお願いをいたします。
 最後に、二分いただきまして、施設のことについて御質問申し上げます。
 私は、長年、大学貧乏物語を展開いたしまして、大学や研究機関の教育研究施設設備の改善と充実及び教育研究費の増大を訴えてまいりました。最近、文部科学省の御努力で随分改善されてきたことを有り難く思っています。しかしながら、今後の国立大学施設の整備充実に関する調査研究会協力者会議の主査をやらせていただきまして、しみじみ見たところ、いまだに化学実験室など危険な施設が残っております。
 しかし、法人化した後には、労働安全衛生法の基準を満たさなければ、今まで以上に厳しく満たさなければならないようなことがあると思います。それを法人化する前に満足させようとすると、現在の各大学の努力だけでは不可能だと思います。特別な予算措置が必要ではないかと私は考えておりますが、差し支えない程度、この点に関してどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 そしてまた、二〇〇一年の科学技術基本計画によれば、国立大学の施設費として五か年に一・六兆円が予定されております。この使用状況と、法人化が行われた後の施設設備の改善充実は、そして、保守、メンテナンスはどのように行われるのか、御説明ください。法人化したら終わりということではないでしょうね、この点を確認させていただきます。
○政府参考人(萩原久和君) 国立大学等施設についてお答えいたします。
 国立大学等における安全管理の問題でございます。安全衛生管理につきましては、教職員、学生等の安全と健康を確保するとともに、快適な教育環境を形成する上で非常に重要なことと認識しております。
 既に、国立大学等におきましては、昨年、文部科学省から発出しました通知に基づきまして改善計画が立案され、対策に着手しつつ、ところでございます。
 今回その大学等の進捗状況、実施状況を確認調査を行いました。その結果、施設に関しまして、施設整備の改善に要する費用が総額で三百六億円必要ということが集計で分かっております。これらを踏まえまして、五月二十八日、昨日でございますが、文部科学省としての改善対策を取りまとめ、公表したところでございます。
 その内容を、主な内容をお話ししますと、まず一つには、安全衛生管理対策の速やかな実施や具体的な改善に向けての取組等を各国立大学に更に指示をするということでございます。
 二つ目としましては、施設整備の改善についてでありますが、国立大学等に既に配分されております予算で対応できない部分については、今年度、文部科学省が確保している施設関係予算の中から追加配分をしていくということを発表しております。その追加配分の額でありますが、大学要望でございますが、約百六十億円と認識しております。
 これらの対策に基づきまして、各国立大学等に対し積極的な取組を求めるとともに、文部科学省としましても、今年度中に安全衛生管理の改善が行われるよう万全を期していきたいと考えております。
 もう一点、緊急整備五か年計画の御質問でございますが、第二期の科学技術基本計画の指摘を踏まえまして、文部科学省においては国立大学等施設緊急整備五か年計画を策定して、国立大学施設の老朽化、狭隘化の解消に重点的、計画的に行っているところでございます。同計画におきましては、平成十三年度から五年間、事業量で六百万平米を施設目標としております。それから、所要額で、先生御指摘のように、一兆六千億を見込んでいるところでございます。最大の所要額でございます。現時点におきましての実施状況でございますが、事業量で約五五%の達成率でございます。
 今後、国立大学等が法人化になってどうなるかということですが、引き続き法人化においても本計画の着実な実施をするとともに、国立大学等施設の改善充実に向けて最大限の努力をしていきたいと考えております。
○有馬朗人君 時間が参りましたのでここで終わらせていただきますが、日本の大学は大変経済的につらいですけれども頑張っています。非常に世界的でもいい地位に今入っておりまして、最近アメリカのISIという研究所が調査した中でも、日本の大学は物理や材料科学では世界一の論文数及び被引用度を示しておりますし、その他の分野でも随分日本の大学は頑張っております。
 こういう意味で、国立大学の法人化は国立大学が更に活性化をできるように、活力を増すようにするものであってほしいと思います。一層、国が教育を、そして大学を大切にしてくださることを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。