第156回国会 文教科学委員会 第16号
平成十五年五月二十九日(木曜日)
午後一時四分開会
○草川昭三君 草川であります。
まず最初に、国立大学法人化の問題に関する有識者、大学関係者等による検討の場では、日本の大学が著しく国際競争力を失ってきたこと、優秀な研究者が海外に頭脳流出をしていること、優秀な高校生までが日本の大学に進学せず欧米の大学に入学していることなど、日本の大学の空洞化していくということへの危機感が背景に様々な議論がなされてきたと思います。
今回のこの国立大学法人法案の成立によってこのような心配はなくなるのかどうか、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 日本の大学は、特に九〇年代以降、国公私立を通じまして着実に改革が進められてまいっておりまして、いろんな成果が最近では出ていると思いますけれども、今、委員御指摘のように、様々な問題がまだあるということも確かでございまして、特に国立大学の場合には、大学審議会自体の答申の中にもよく出てまいるわけでございますが、どうも研究中心であり過ぎる、あるいは学生に向けた魅力的なカリキュラムという意味では十分な計画を持っているかどうか、さらにはその運営の在り方が学部自治ということにとらわれ過ぎて閉鎖的である点など、様々な問題も指摘されているところでございます。
将来を見ますと、日本の大学がより国際的な競争力も持ち、魅力的な大学としてインターナショナルな評価も受け得るような存在になってもらう必要がある、そのようなことの危機感及びあるべき方途というものを見詰めた上で、大学人とも様々な協議を重ねた上で今日の法案に至っているわけでございまして、今回の法案を成立させていただきますれば、私は、大学がその特性である自主性を高めて、各大学が互いに切磋琢磨しながら一層その個性化を図り得る状況を醸成していくというふうに思っているわけでございます。
それを担保するために、中期目標、中期計画による目指すべき理念の明確化、学長のリーダーシップの下で戦略的大学運営を実現するための運営体制の整備、国の予算制度や公務員制度による規制、制約の緩和、定期的な評価の実施による改革サイクルの確立などを実現することで教育研究の更なる向上に向けた様々な取組を可能とするものでございまして、したがいまして国立大学の法人化がなされればそのような課題の改善に大いに資すると思いまして、最も大事なことは、各大学が法人化のこうしたメリットを十分に活用して積極的に教育研究の向上に取り組んでいただくことであるというふうに考えます。
○草川昭三君 今そういう御答弁があったわけでございますが、この法案を作るに当たって国立大学協会と十分な意見交換をされてきたと思うんでございますが、いろいろの御質問等を聞いておりますと、かなりの経過があったように思います。
〔委員長退席、理事仲道俊哉君着席〕
この間の議論の経緯を簡単に問題点だけ御報告願いたいと思います。
○副大臣(河村建夫君) 国立大学の法人化は、我が国の高等教育機関における歴史的な改革でございます。そういう意味で、委員御指摘のとおり、検討の節目には国立大学長の全国会議あるいは地区別会議を開催して直接意見交換をやってきたものでございます。また、国大協との意見交換も積み重ねてまいりまして、その意見も勘案をしながら制度設計を行うなど、国立大学関係者の意思疎通と合意形成には特に意を配ってきたところでございます。
今御質問のございました経緯を御説明申し上げますと、平成九年の十月に行政改革の柱の一つとして独立行政法人制度の創設が提唱された、この段階では制度設計の詳細が明らかになっていなかったと。このため、国大協においては、行政事務の効率化を目的とした独立行政法人制度をそのまま大学に当てはめるということは大学の特性に照らして相ふさわしくないという意見が取りまとめられた。有馬委員もそのことを言っておられました。反対であるという意見が高かったわけであります。
その後、次第に独立行政法人制度の制度設計が明らかになるとともに、平成十一年四月の閣議決定において、国立大学の法人化については、行政改革の観点よりもむしろ大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討すべきであると、こうされたわけでございます。これを受けまして、平成十一年六月には、国大協内部でも国立大学を法人化する際に必要となる特例等に関する検討を始めることとなったわけでございます。
さらに、翌十二年六月には、独立行政法人制度の下で大学の特性を踏まえた法人制度を検討するために置かれた文部科学省の調査検討会議にも国大協も積極的に御参加をいただいたところでございます。このため、調査検討会議においては、国立大学協会関係者も多数参加をされ、約一年八か月にわたって大学改革に資する制度設計を検討してきた結果、昨年の三月に新しい国立大学法人についてと題した最終報告がまとめられたわけでございます。
御指摘の平成十四年四月の国大協の会長談話、最終報告がまとめられた直後に発表されたものでありまして、最終報告で提言された、国立大学法人の制度設計が真に大学改革に資するものとして国大協から一定の評価が得られた結果であるというふうに認識をいたしておるところでございます。全体として見るとき、二十一世紀の国際的な競争環境下における国立大学の進むべき方向としておおむね同意できる、国立大学協会は、この最終報告の制度設計に沿って法人化の準備に入ることにいたしたいという報告が談話としてなされたわけでございます。
その後、最終報告を踏まえた法案の作成段階におきましても、その概要を国大協に示しながら意見交換等を行ってきたわけでございます。その結果、二月二十四日の国大協理事会では、国立大学法人法案の基本的な枠組みは最終報告を尊重して立案されているとの法人化特別委員会の見解が了承されました。また、法案提出直後の地区別学長会議や国大協の委員会においても法案に対する特段の異論はなかったところでございます。
以上でございます。
○草川昭三君 そういうことだとは思いますけれども、その後、いろいろと衆議院でもいろんな議論があったわけでございますが、その中で、この国立大学法人制度が実施をされるようになると独創的な研究の芽が摘み取られることになるのではないか、あるいは我が国はいつまでも基礎研究へのただ乗りの国から脱することができないのではないか、むしろ国際競争力が低下する、あるいは本制度の下では真の研究は困難であり、我が国の学問は衰退するという反論が依然としてあるわけでございますが、その点についてどのような反論をされるのか、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 先ほど来の御議論でもあったところでございますけれども、私は、国立大学の法人化といいますものは組織運営のシステムの改革を図るものでございまして、法人化後の国立大学も、自らの判断と責任において基礎研究の推進といった使命を果たすことが求められております。学問の自由なり、あるいは研究の自由なり、そういったことは、より自由になれこそすれ、それが何ら妨げられることは全くないわけでございます。
〔理事仲道俊哉君退席、委員長着席〕
それを具体的に申しますと、教育研究の組織でございますけれども、これまでといいますか、現在もそうですけれども、法人化されるまでは法令や予算で厳格に定められているわけですね、組織。これが今後は各大学の判断で機動的に編制できるようになります。省令とか様々なかっちりした法体系の中でなくて、それぞれの大学において、社会の動きあるいは学問上のニーズに応じて改編できるようになるわけでございます。それによって研究者の独創性を生かした先駆的な研究を推進する体制を柔軟に整備することが可能になります。
また、資金の面でも、運営交付金が出されますと、それは渡し切りでございまして、中の使い方は自由でございます。六年間ほぼその自由が確保されるわけでございまして、これまでのように毎度、文部科学省あるいは財務省と相談をしながらということも必要でないわけでございます。さらに、その運営交付金以外に外部の資金もいろいろあるわけでございまして、例えば科学研究費補助金は最近は大変な伸びを示しておりまして、今や国公私を通じてではございますが千七百億あるわけでございますし、その他我が省でも研究費持っておりますし、他省庁にも様々な研究費が用意されているわけでございます。
研究者は自らの優れた発想によって研究テーマを出し、そしてそういう外部資金も堂々とお取りになって、ますます自由な形での基礎研究というものをおやりいただきたいと思いますし、私は非公務員型になること、あるいは人事、会計上のいろんな制約をなくすということにおいて、基礎研究はより発達、前進、あるいは言葉を換えれば進化、高度化する、またそうでなくてはいけないというふうに思っております。
○草川昭三君 今の大臣の答弁を聞きますと、今までいろんな疑問点というものがきれいに払拭されるという、そういう御答弁だと思うんですが、元々この法案についての反対論の方々は、大学は競争に本来なじむ世界ではないということを言っておみえになるのではないだろうかと私は推察をするわけですが、この点についての反論はどのようにお考えか、お伺いします。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 我が国の大学の教育研究の活性化を図って世界のトップレベルの大学と伍して発展していくためには、大学の教育研究の特性を十分踏まえた上で適切な競争的環境を整備することが極めて重要でございます。
そのため、今回の法人化によりまして、そういうことがしやすいということで、各大学の自主性、自律性を高めるという点、あるいはその評価のシステムの確立という点の制度にしておるわけでございまして、こういったような制度の下で競争的環境の醸成を図っていただければと、こう思うわけでございまして、例えば学生の立場に立ってカリキュラムを改善した大学により多くの学生が集まるといったようなこともあるわけでございまして、適切な評価や大学の教育研究の多様性を踏まえた競争というものは大学になじむものだというふうに私どもは思っておるわけでございます。
○草川昭三君 では、次に移ります。
先ほども学長の任命について質問がございました。それで、いわゆる学長選考会議の申出によりという、こういうお話であったようでございますが、それで大臣が任命される。大臣は申出を拒否することは将来あり得るのか、ないのか。あるいはまた、任命された学長が仮に、大変御無礼な、誇り高き参議院の委員会上なじまない言葉か分かりませんが、先ほど来の議論を聞いているとかなり乱暴な御発言があるようですから私も許していただいて、例えば、任命された学長が仮に独裁的な暴君だと、仮にですよ、仮に暴君となった場合、学長の解任はどのように行われるのか、またそのとき大臣はどのような対応をされるのか。大変御無礼な見通しでございますが、お伺いしたいと思います。
○副大臣(河村建夫君) 通常の独立行政法人では、法人の長は大臣の裁量で任命することになっているわけでありますが、国立大学の学長については、大学の自主性、それから自律性尊重という立場で、学長選考会議の選考結果を大学が申し出て、それに基づいて行う、こうなっておりまして、したがいまして文部科学大臣は、大学の申出に法的に拘束をされて、例えば所定の手続を経ていないとかの申出があった場合に、あるいは学長に誠にふさわしくない著しい非行がある、申出に明白な形式的な違反性がある、そういう違法性があるというような場合、明らかに不適切と客観的に認められる場合、これを除いては拒否することができないと、こうなっておるわけでございます。
したがいまして、今御指摘があったように、学長が独断専行になった場合、暴君だと、こういうような場合、学長が意思決定を行うに当たっては、経営協議会あるいは教育研究評議会、これが審議や役員会の議決を踏まえる必要があるなど、一定のチェックの仕組みはあるわけでございます。しかし、万一、学長個人の職務執行に起因して学内が混乱をしたというようなケース、それから正常な教育活動ができない、これが長期にわたるという場合に、学長が交代しない限り改善の余地がないと、こうなった場合には、第十七条に基づいて学長選考会議が学長の解任を大臣に申し出ることが可能になっておるわけでございます。
このように、学長選考会議の申出があった場合には、大臣は所定の手続を経ているからといった点や、解任要件に当たって、当てはまるかといったチェックは一応いたしますが、申出に従って学長を解任することができると、こういうふうになっております。
○草川昭三君 それから、もう一つ、監事というのがございますね。各法人ごとに二名大臣が任命することになっている。法人業務を監査し、必要があるときは大臣に意見を提出することができるとされているわけですが、これも非常に皮相的なというんですか、嫌な質問になりますけれども、これは文科省のお目付役的な位置付けになるんではないだろうか、いわゆる法人の自主性というものを阻害する立場に立つのではないだろうかという心配があると思うんですが、その点はどうでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) この国立大学法人制度におきましては、大学の自主性を踏まえて、法人運営の責任者である学長の任命は法人の申出に基づいて行うということ、あるいは、その法人の業務運営の目標でございます中期目標を定めるに当たりましては法人の意見に配慮するということなどが規定されておりまして、こういった制度設計の下での法人化であるわけでございますけれども、監事につきましては、そういう事後的に運営状況の監査を行うといった職務にあるわけでございまして、こういう職務の性格を考えますと、監事の任命を大臣が行うということでその大学の自主性が損なわれるということはないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○草川昭三君 じゃもう一つ、こういう質問をしたいと思うんですが、監事が文科省から派遣されるということはあるのかないのか。あるいは、現在の国立大学の事務局長などは本省人事の一環として管理職クラスが出ておみえになると思うのでございますが、管理職クラスが監事として出向することがあるのか。また、その場合は戻るということになると思うのでございますが、そうなるのか。あるいは、言うところの退職者、本省の退職者の方々が監事として天下っていくようなこともあり得るのかどうか、お答え願いたいと思います。
○政府参考人(玉井日出夫君) お答え申し上げます。
まず監事についてでございますが、先ほど監事の職務を御説明いたしましたとおり、運営状況の監査を行う、こういうことから、通常の独立行政法人と同様に各法人に二名ずつ置くという形になっているわけでございます。今後、この法案が成立して、そして具体のことがこれからになるわけでございますが、監事の現在のところ抱いているイメージとしては、例えば一名はやはり会計監査に精通した者、これは企業監査の経験が豊富な公認会計士等が考えられるわけでございます。もう一名は当該大学の行う業務に精通した者を任命するということなどがイメージとしては持っているわけでございます。その任命に当たりましては、以上のような監事に求められる能力、適性を踏まえて、適材適所の考え方に基づいて官民を問わず幅広い分野から適切な者を起用していくということが重要だと認識をしております。
したがって、今申し上げたような幅広い分野、官民を問わず幅広い分野から適材適所を考えていく、その際に文部科学省関係者というものもそれはあり得ると思っているわけでございますが、先ほど申したとおり、あくまでもその職務の性格に基づいて幅広く適任者を選任する、これが基本だというふうに考えているわけでございます。
それから役員、いわゆる理事ということでございますが、これは今回の法人のまず基本的な性格からいいまして、学長が正しくそこをきちんと任命するということが基本になっているわけでございます。したがって、学長自らがその考え方に基づいて幅広い分野からこれもまた任命するということになりますので、具体的には、恐らく副学長や学長補佐など、現在の学長を支えて大学運営を担っている者、そのほか経済界や私学関係者、さらには高度な専門職業人など、幅広く有識者を登用することが見込まれているわけでございます。そういう、あくまでも学長が自らの考え方に基づいてきちんと任命するということでございます。その際、学長が適材適所の観点から自らの判断により、例えば現在の事務局長等を理事に選任することもそれはあり得るというふうに考えているわけでございます。
いずれにせよ、先ほど来申し上げているとおり、国立大学法人、正に自律性を持つわけでございますから、学長がきちんとした任命権を持って、自らの人事戦略の下で適切に対応していく、こういうことになるわけでございます。
○草川昭三君 では、今度は評価の話でございますが、これはもう皆さん何回かお尋ねになっておられますが、大学に対する評価といっても、組織全体に対する評価と個人の業績に着目した評価ということになりますと、その手法はかなり変化があると思うんですね。
例えば、大学に六年間の中期目標を、中期計画を一体的に検討、立案をさせる、これはもう御答弁もありましたね。そういう目標に対して評価する仕組みと言っておみえになるわけですが、個人を対象とした評価と組織を視点に当てた評価のどちらをウエートを重んじられるのか。難しい話だと思いますけれども、非常に抽象的な質問ですが、問題点だと思うので、お答え願いたいと思います。
○副大臣(河村建夫君) 国立大学法人の評価は、国立大学に対して所要の財政措置を行うことを踏まえておりまして、その国費が有効、適切に使われたかどうか、国が検証しなきゃならぬ、こういう観点もございまして、大学の組織全体としての中期目標、中期計画の達成状況を評価する、こうなっておるわけでございます。
したがって、研究面の評価についても同様の観点から行われるものであって、例えば学部等の組織を構成するその教員の個別業績といいますか、その教授の持っている業績というものを基にいたしますが、それらを総合した研究水準が中期目標に照らしてどのぐらいのものなのか、組織としての中期目標、中期計画の達成状況を評価するという観点でございますから、どちらにウエートがあるかと言われれば、組織にウエートが掛かっている、こういうことでございます。
○草川昭三君 それで、衆議院の参考人の佐和さんの話が先ほども取り上げられましたが、ちょっとそれに参考して御質問なさらなかったようでございますので、私、少し砕いて分かりやすい質問をしたいと思うんですが。
例えば、A大学とB大学において同じ分野を専攻する学科を比較するという場合があったとします。その場合に、A大学はいわゆるノーベル賞クラスの非常に評価の高い研究者が一人お見えになるけれども、その他の研究員の方々は、これもまあ言葉は悪いですが、余りぱっとしないという場合があったとします。これはもう仮定の話ですからね。もう一つのB大学には世界に名の知れた研究者はいませんけれども、教員あるいは研究員一人当たりの論文だとか、あるいは学会誌に取り上げられた論文の数はA大学に比べてはるかにB大学の方が多いという場合の査定もあり得ると思うんですね。
という場合にどのような評価がなされるのか、お伺いをしたいと思うんです。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 大変難しい御質問でございますけれども、国立大学法人を評価するに当たりましては、御指摘のようにノーベル賞クラスの研究実績の有無、あるいは論文の被引用回数ということも評価の要素の一つだと考えられるわけでございますけれども、こうした研究水準に関する要素だけではなく、ほかにも、例えば研究の実施体制はどのように整備されているか、あるいは大学の研究活動が地域の産業や文化にどの程度貢献しているかといったことなど、各大学の中期目標、中期計画に照らしまして、様々な要素を勘案して大学全体としてその達成状況はどうであるかということを評価するということになると考えております。こうした研究面の評価は、その特性に配慮しまして、専門的評価機関である大学評価・学位授与機構が専門家によって実施をするということでございます。
御指摘の事例につきましては、大変どちらの大学がどうというのは難しい問題だと思いますし、やっぱり専門家がそれぞれの大学の状況を総合的にとらえた上で判断されるべきものではないかと。したがいまして、今この立場では、今どっちというのはなかなか難しいかなというふうに思っております。
○草川昭三君 少し嫌みのある質問でございましたので、ですけれども、御関心のほどは実は一番深い問題ではなかろうかと思ってあえて質問をしたわけであります。
組織というものは個人の集合体だと思うんです。研究を行う主体は組織ではなくて個人の方々の創造性が発展をして研究成果になっていくのではないだろうかと、私は素人ですけれども思うわけであります。研究評価における個人と組織の関係についてどのようにお考えになっておられるのか。先ほど河村副大臣の方からも御答弁があったんですが、いま少しお答えを願いたいと思うんです。
また、大学の経営状況というものも一つ評価の中に入れるべきではないだろうか。あるいは、教育研究面とともに業績全体を総合評価する、そして予算配分にそれが反映をしていく。これらをどのように連携をしていくのかということが非常に関係者には模索をしておみえになるんではないだろうかと思うんです。そういう点で、先行事例である諸外国における大学評価をやっている国々があるわけでございますが、少し事例をお示ししていただきたい、このように思うわけです。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 最初に、外国の事例につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
イギリスでございますけれども、ここは準政府機関である高等教育財政カウンシル、HEFCEと言っておるようでございますが、ここが大学の研究面を評価しまして、その結果を基に研究資金を配分しているということでございます。その各大学では、所属教員の研究業績に関する資料を学問分野ごとにHEFCEに提出しまして、HEFCEがこの資料を基に大学ごとに七段階で評点を付けて研究資金を傾斜配分しているということのようでございます。大学が提出する研究業績については、どの学問分野を提出するか、どの教員の業績を出すかといったようなことについては大学の判断であると、こうされているようでございます。
アメリカでございます。アメリカはいろいろでございますけれども、サウスカロライナ州の州立大学での評価ということでございますけれども、その州の審議会が教員の質、授業の質、産学の連携、管理運営の効率、研究資金等々の視点から、大学の業績全体を五段階で評価をして、その結果に応じて予算を増減させて配分しているということのようでございます。
アメリカでは、州立大学ですと、研究費というのはよそからもらってくると。大体、その運営、教育費を州が支出しているということでございますから、研究の評価というのも、それ自体じゃなくてどれだけ資金を取ってきたかということで評価をしているということのようでございます。
それから、フランスの国立大学は、教育内容、学生の学習、生活条件の改善、施設整備計画など、大学における教育研究活動全般にわたる活動方針につきまして国と四年間の契約を結びまして、これに基づいて大学運営を行っておりまして、国はそれに必要な財政措置を行っているということのようでございます。四年間の契約期間終了後にその実施状況を国が評価をしまして、次の契約内容及びそれに伴う財政措置に反映をするということでございますが、ただ、その評価結果あるいはどう反映しているかということについては非公表ということで、残念ながらその内容、中身については分かっていないという状況でございます。
今回の国立大学法人の評価でございますけれども、研究評価における個人と組織の関係につきましては、先ほど副大臣が御答弁を申し上げましたように、研究組織を構成する教員の個別業績を基に、それらを総合した研究水準が中期目標に照らしてどのくらいかといったようなことなど、組織としての中期目標、中期計画の達成状況を評価をするということになると、こう考えておる次第でございます。
また、評価は、研究面だけではなくて、業務運営や財務内容等を含め、法人としての業務実績全体につきまして総合的に行うものでございまして、評価結果が当該国立大学法人に対する予算措置に適切に反映されるよう、その具体的な在り方につきましては、これからできます国立大学法人評価委員会における検討結果を踏まえて決定をするということにしておりますが、基本的には、評価結果を反映させた次期中期目標、中期計画が策定され、その内容に応じてその業務の確実な実施を担保するための所要の予算措置を講ずるということになるものと考えております。
○草川昭三君 時間がもうあと二、三分しかありませんので、二つ続けて質問しますから、まとめて答えていただきたいんですが。
一つは、今の答弁にもあります大学法人に配分する資金は、一つは人件費等の運営交付金ですね。それからもう一つは、いわゆる研究費補助金、科研費と言われるものになるんですが、いわゆる競争的研究資金に分類されるわけですが、どうしても若手研究者の、本当に若い芽が出たというような研究は非常に取り上げられないような制度ではないだろうかと私は想像するわけでございますが、法人化後のこの配分について、若手研究者を積極的に支援するような配慮を是非考えてもらいたい、どのようなお考えかというのが一つと。
それからもう一つは、もうこれは本当に、いわゆる債務の話になりますけれども、大学の附属病院を持つ法人は、この債務を非常に多く抱え込んで承継することになると思うのでございますけれども、ひとつ法人化と同時に引き継ぐ債務の総額は、例えば十四年度末に幾らぐらいになるのか、そしてそれをどのように承継されていくのか。
その二点を質問して、私、時間が来ましたので、終わりたいと思います。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 私の方から最初に、若手研究者の件についてお答えさせていただきます。
これまで国立大学におきましては、若手研究者に対しまして、国立学校特別会計におきまして若手教員研究支援経費と、こういうものを計上をしているのが一つございますし、また各大学で学長裁量経費というものがあるわけでございますけれども、それを学長の裁量によりまして若手研究者の支援に充ててきた大学が多かったわけでございます。それからもう一つには、御指摘のように科学研究費補助金等の競争的資金により若手を支援してきたということでございます。
法人化後の国立大学につきましては、教育研究等の実施における必要な経費としまして、運営交付金を交付するということでございます。運営交付金の算定、積算におきまして、これまでに引き続き若手研究者の独創的、萌芽的研究への支援や、次世代を担う有望な若手研究者への支援など、様々な取組が可能となるよう十分配慮をしていきたいと、こう思っておりますし、あわせて、科学研究費補助金における若手研究者の支援の一層の充実も図っていきたいと、こう思っております。
○政府参考人(玉井日出夫君) 御指摘の十四年度末におきます国立学校特別会計の有する債務、附属病院に限って申し上げますと、附属病院整備に係る長期借入金残高及びこれに係る予定利子額という形になりますが、合計約一兆二千六百億円という形になっております。
これらの附属病院に係ります債務につきましては、今回、法人化後でございますか、独立行政法人国立大学財務・経営センターに一括して承継させるとともに、関係の国立大学法人、すなわち病院の収入を前提に借り、また病院の施設整備をやってきたものですから、その附属病院を持つ国立大学法人が同センターに対して一定の債務を負担するという仕組みになるわけでございます。
そして、その償還も、これまでもその病院の収入を前提として着実に償還してきておりまして、平成十三年度でいいますと償還額一千三十億円、平成十四年度でも償還額約一千三十二億円と、着実に償還しているわけでございまして、十四年度末の既存債務だけを見ますと、平成三十九年度で償還するという、そういう予定を立てているわけでございます。もちろん、新たな借入れがあればそれがまた変わってくるわけでございますが、いずれにしても、今までも着実に償還をしてきておりまして、法人化後も当然着実にこれをまた償還していくと、こういうことで、支障のないようにきちんと対応してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
○草川昭三君 以上です。