==> 国立大学独立行政法人 化に抗して
鹿児島大学長殿
1999年10月5日
教育学部教授会
1)国立大学を独立行政法人化しようとする今回の動きは、大学改革の延
長線上で提起 されたものではなく、10年間で国家公務員を25%削減する
という行革の方針がまずあ り、それを最も定員数の多い公的機関の一つ
である国立大学に犠牲を強いることによっ て乗り切ろうとの意図にもと
づいている。これは、本末転倒の議論であり、現在全国的に 進められて
いる自主的な大学改革の試みをかえって阻害するものであると考える。
2)独立行政法人化を進めるにあたって制定された「通則法」は、効率的
な定型的業務の 促進をうたい、企業会計原則の採用を求めている。たし
かに、高等教育における効率性や 自由競争の一定の重要性、社会と密接
に関連し社会に直接的に寄与する研究の意義を否 定することはできな
い。しかし、通則法の大学への適用は、非定型的で創造的な学術研究 や
社会から相対的に独立した基礎的な諸研究、学生・院生への非営利的な教
育活動等を 大きく損なう危険がある。また、通則法+特例措置で法人化
をめざす文部省方針も、な お、検討すべき事項をあまりに多く残してい
るために、今後の政府・与党との折衝の中で 限りなく通則法にもとづく
措置へと近づいていく危惧を禁じえない。
3)通則法や文部省方針では、主務大臣が定める3〜5年(文部省方針で
は5年)の中期 目標、主務大臣の許可を受けなければならない中期計画、
主務大臣に届けなければなら ない年度計画、さらには主務省におかれる
「評価委員会」による法人の業績評価、等々が 提示されている。大学が
自ら営む研究・教育の中長期的な計画を公にし、研究・教育活動 の成果
を定期的に厳しく自己点検・評価することには重要な意義がある。また、
大学に対 する社会からの批判や期待を謙虚に受け止め、管理運営や研
究・教育にかかわる自己改 革をなおいっそう大胆におし進める必要があ
ると考える。だが、目標・計画・評価につい ての今回の措置は、その対
象が教育研究だけでなく業務や予算にもわたり、従来にはな かった国立
大学への新しい監視・統制の性格をもつために、大学の自主性や自立性を
侵 害する恐れがきわめて大きい。
4)設立にあたって法人の長を主務大臣が指名すると規定している「通則
法」はいうに およばず、評議会による学長選考をかかげている文部省方
針も、これまでほとんどの国 立大学が実施してきた学長公選制を否定す
るものであり、こうした上からの民主主義的 な学内ルールの一方的な改
廃は許されるものではない。
5)25%の定員削減を避けるために独立行政法人へと移行したとしても、
今後法人化さ れた大学の定員が守られる保証はなく、また、予算につい
ても、行政コストを10年間に 1/3削減するとの行革の方針が示されている
以上、法人化された大学の定員や予算はま すます縮減される心配があ
る。こういう不確定な見通しのもとでの独立行政法人化は、 日本の高等
教育に壊滅的な打撃を与えると考えられる。
――教育学部教授会は、今回提起されている国立大学の独立行政法人化が
以上のような 看過できない問題点を持っている、と考える。鹿児島大学
長はこの意思表明を深く受け 止められ、あらゆる機会に従来の批判的姿
勢を広く学内外に訴えられるよう、強く要望 する。