==> 国立大学独立行政法人 化に抗して
11/12北大理学研究科教授会での独立行政法人化の議論

11/12北大理学研究科教授会での独立行政法人化の議論


11/12の北大大学院理学研究科定例教授会で、独立行政法人化についての議論が 若干あった。(これは北海道大学大学院理学研究科の公式な記録でも報告でも ない。)
  • [1]動議内容
  • [2] 報告
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    [1] 動議内容
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                           北海道大学大学院理学研究科教授会 動議
    
    (1)以下の内容について、教授会から代表を選んで可及的すみやかに案文をつくり
    ,国立大学協会総会(11月17日)開催前に報道発表する.細部については代表に
    任せる.代表は、専攻長会議メンバーを中心とする数名とする。
    
    「当研究科は、文部省が通則法の枠内で検討を進めている独立行政法人化は、基礎科
    学の研究教育を著しく困難にする危険性を孕んでいると考える。独立行政法人化問題
    の帰趨に責任のある位置におられる方々、特に国立大学協会と文部省に対し、この重
    大な問題について拙速に結論を出さないないように要望する.世紀に一度あるかない
    かという制度改革をわずか1年で結論を出すような無思慮とも思える日程を放棄し、
    国立大学のあるべき姿を根本から検討しなおすことを要請する。
      なお、その検討過程では、社会の発展に応じた教育・研究の在り方を検討し国民の
    期待に答えるために国立大学自身の手で大学を改革してゆくことが何より重要である
    。真剣な相互評価はそのために不可欠であるが、その形骸化を避けるために、評価行
    為自身を評価する方法を検討し始めることも必要と考える。」
    
    (2)全構成員の参加する拡大教授会を開催し、独立行政法人化問題を議論し北海道
    大学理学部・理学研究科の現時点での意思を表明する。
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                                             【趣旨説明】
    
    国立大学の独立行政法人化問題は、バブル経済崩壊後の混乱に端を発している。
    
    バブル経済を惹起し推進させた官庁・金融機関・大企業の責任はいつの間にか不問に
    伏される一方、金融機関・大企業の弱体化は国難と認定され、莫大な国家予算が不良
    債権処理という形で金融機関に流れ、数十兆円の公共事業費という形で大企業に流れ
    ている。そのために、種々の理由をつけて他の予算縮小が叫ばれ、最も効果的な手段
    として官庁以外の国家機関のアウトソーシングが模索され、前処理として用意された
    のが独立行政法人化であり、国立大学も今それを強要されようとしている。
    
    しかし、国立大学全体を民営化したところで浮く予算は1兆5千億円程度であり焼け
    石に水である以上、意図は別の所にあると思わざるを得ない。一つはバブル経済の責
    任追及から国民の関心を外すためのエスケープゴートとして国立大学が選ばれたとい
    う見方があり得るが、最も明確と思われる意図は、国立大学の独立行政法人化により
    、大企業の下請け研究会社を豊富に準備し、大企業の弱体化を食い止めるようことに
    あると思われる。
    
    以上は甚だ思慮に欠ける政策であり、それを黙過することは、国民から国立大学を委
    託されている我々にとっては許されることとは思われない。
    
    しかしながら、我々は国立大学で行われている諸活動の意義を国民に対して真剣に提
    示する努力を怠ってきたことは否めないし、また、米国に見られるような真剣な相互
    評価を行う努力を怠ってきたことも否めない。国民に対して研究教育の内容を明確に
    呈示する努力を惜しまない意思と、相互点検への意思を明確にすることは、独立行政
    法人化問題とは独立にも、急を要することと思われる。なお、評価機構を評価する活
    動の欠如は、評価の形骸化を招く恐れがあり、設立に向けて検討をはじめることが急
    務と思われる。
    
    さて、当研究科は8月30日に独立行政法人化受け入れがたいことを表明し、その理
    由として次の点を挙げた。
    
    1)国家の基盤として重要な組織である大学は,国の機関としてきちんと位置付けさ
    れるべきであり,行政法人のような不安定な基盤の上におくべきではない.国の行政
    機関を企画立案にかかる部分と実施に係る部分を分離し,後者を独立行政法人とする
    基本構想の中で,大学を後者に位置づけるのは大学の存在意義の理解に誤りがある.
    その意味で,国立大学を法人化しようとする論理自体に無理がある.大学における高
    等教育にあっては,企画立案と実施は不可分である.その分離は高等教育の衰退を招
    き,ひいては国力の衰退につながる.
    
    2)効率・経済性が重視される行政法人の枠組みの中では,特に理学分野のように短
    期的には国の財政などに直接役に立たない非実学分野の教育研究は,不当に過小評価
    される危険性が大きい.(現在の枠の中での行政法人化では,理学研究科の危機感は
    特に大きい)
    
    さらに「万が一」独立行政法人化されるとすれば何を要望するか、という学長からの
    諮問への回答の中で最重要用件の一つとして「重点化された大学の場合は,学部およ
    び大学院博士課程の年限和に相当する期間が教育研究に関する中期計画の最短の期間
    であり,評価は少なくともそれ以後でなければ意味がないことになる.従って,少な
    くとも大学院大学の場合には,中期計画は10年程度,長期計画は20年程度とする
    のが適当であろう.」を要望したが、10月8日の北海道地区学長会議において、文
    部省は通則法の枠内で国立大学独立行政法人化を検討する意図を明確にし、中期目標
    期間5年は文部省の今後の提案の中で動かない部分であることが明かになった。
    
    以上の事情から、性急な国立大学の独立行政法人化へが日本の高等教育・学問を広汎
    に損傷する危険を伴うこと、そして、我々が国立大学を改善する決意を新たにしてい
    ることを国民に伝えておくことは、当研究科の義務と思われるので、議題として取り
    上げ審議の上議決することを要望する。
    
    数学専攻 辻下 徹
    
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    [2](以下の報告は他の出席者の協力により作成した。報告
    は公的なものではない。)
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                    【報告】
    
     評議会や部局長会議の報告の後,辻下の動議提出を受けて,1時間程議論があった。
    動議の扱いについての理学研究科教授会の規定がないため、扱い方に関する議論から
    始めた。結果として、前例としないということで、動議は取り上げられた。
    
    (1)については修正案「理学研究科教授会が32大学理学部長/理学研究科長会議
    声明を支持する,という文言をhome pageに載せる」が承認された.辻下の提出した
    動議は,国立大学協会の会議(17ー18日)前にマスコミへ意見を発表することが
    日程的に無理であること、 動議で主張された内容は理学部長会議声明とほぼ同じで
    あること、議論を尽くして教授会声明を出したほうがよい,ということで,採決を見
    送った.今後,理学部・理学研究科で議論を尽くすための方策は専攻長会議で検討さ
    れることとなった.討論では,国民の理解を得るために簡潔に見解をのべるなどの工
    夫をする必要があるとの指摘もあった.
    
    (2)について、制度上「拡大教授会」は選挙の時だけであるという指摘が研究科長
    からあったため、他の方法を複数提案したが、上記の議論で時間を取ってしまい,議
    論されなかった。