==> 国立大学独立行政法人 化に抗して
北島@高エネルギー加速器研究機構です。
#本記事は、he-forumに投稿したものを加筆・修整したものです。
#法律に関しては素人ですので、誤りがあったらご指摘下さい。
先行して独立行政法人化されることになっている国研等に関しては、11月8日に個
別法(案)が一括して国会に提出され、11月17日から衆議院の行政改革特別委員
会で審議されています。個別法案の骨子については、[reform:02143]でも紹介されて
いる通りですが、実際の条文が見当たりませんでしたので、特に文部省傘下で国立学
校設置法で位置づけられている“大学入試センター”の個別法と“特例措置”に関し
て紹介します。
「独立行政法人大学入試センター法」(案)で、“特例措置”が規定されているのは、
第10条 文部科学大臣は(中略)理事長を任命しようとするときは(中略)大学教
育に関し学識経験を有する者その他の文部科学省令で定める者の意見を聴くものとす
る。
第11条 通則法第22条の規程にかかわらず、教育公務員で政令で定めるものは、
非常勤の理事又は監事となることができる。
附則第11・13条「外国人教員の任用等に関する特別措置法」及び「大学の教員等
の任期に関する法律」の一部改正(独立行政法人大学入試センターへの準用)
附則第12条「一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律」
の一部改正(適用除外)
程度しか見当たらず、例えば、中期目標や評価委員会等については、何も書かれてい
ません。
また、個別法案と同時に提出されている「独立行政法人の業務実施の円滑化等のため
の関係法律の整備等に関する法律」(案)というものがあり、その第12条は、以下
のようになっています。
独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律(案)
(教育公務員特例法の一部改正)
第12条 教育公務員特例法(昭和24年法律第1号)の一部を次のように改正する。
(中略)
第22条(中略)の次に次の1条を加える。
第22条の2 文部科学大臣が所管する特定独立行政法人で政令で定めるものの職員
のうち専ら研究又は教育に従事する者(次項において「独立行政法人研究教育職員」
という。)については、第4条第1項及び第5項、第7条、第8条の2第1項及び
第2項、第19条、第20条並びに第21条の規程中国立大学の教員に関する部分
の規程を準用する。この場合において、第4条第5項中「評議会の議に基づき学長」
とあり、「教授会(国立学校設置法第2章の2の規程によりその組織が定められた
大学にあっては、人事委員会。第12条第1項において同じ。)の議に基づき学長」
とあり、並びに第7条及び第8条の2第1項中「評議会の議に基づき学長」とある
のは、「当該職員の勤務する特定独立行政法人の長」と読み替えるものとする。
2 特定独立行政法人研究教育職員(補助的な業務に従事する者として当該独立行政
法人研究教育職員の勤務する特定独立行政法人の長が定めるものを除く。)につい
ては、前項に規定するもののほか、第21条の2の規程中国立大学の教員に関する
部分の規程を準用する。
現状では、大学入試センターには、教授・助教授・助手合わせて18人の教育職員が
在籍しており、教育公務員特例法第22条で準用されることになっていますが、個別
法(附則第9条)で大学入試センターへの準用が削除され、上記の第22条の2が適
用されるようになると考えられます。
教育公務員特例法の各条文との対応は各自で確認していただきたいのですが、要は、
準用の範囲が、
第4条第1項(教員の採用・昇任)及び第5項(教授会等による選考)、第7条(休
職)、第8条の2(教官の定年)、第19条・第20条(研修)、第21条(兼職)
及び第21条の2(共同研究のための休職に関する退職手当の特例)
に限定されていることで、
第5条(転任)、第6条(降任及び免職)、第9条(懲戒)、第11条(服務)、第
12条(勤務成績の評定)
等は、準用されないということになるようです。
また、読み替えにより、第4条第5項は、
教員の採用及び昇任のための選考は、評議会の議に基づき学長の定める基準により、
教授会(国立学校設置法第2章の2の規定によりその組織が定められた大学にあつ
ては、人事委員会。第12条第1項において同じ。)の議に基づき学長が行う。
が、
教員の採用及び昇任のための選考は、当該職員の勤務する特定独立行政法人の長の
定める基準により、当該職員の勤務する特定独立行政法人の長が行う。
に読み替えられます。
すなわち、「評議会の議」「教授会の議」が削除されています。
既に審議の始まったこの法律が成立すると、国立大学及び大学共同利用機関等の先例
にされかねないのではないでしょうか? 文部省の「検討の方向」に言う「適用すべ
き範囲」が、この程度だということかもしれません。
北島 義典 @ 高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 放射光研究施設
Yoshinori KITAJIMA Photon Factory, Institute of Materials Structure Science
High Energy Accelerator Research Organization (KEK-PF)
Address: Oho 1-1, Tsukuba, Ibaraki 305-0801, JAPAN
E-mail: yoshinori.kitajima@kek.jp
「独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律」(案) 第12条は、以下のようになっています。 独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に関する法律(案) (教育公務員特例法の一部改正) 第12条 教育公務員特例法(昭和24年法律第1号)の一部を次のように改正する。 (中略) 第22条(中略)の次に次の1条を加える。 第22条の2 文部科学大臣が所管する特定独立行政法人で政令で定めるものの職員 のうち専ら研究又は教育に従事する者(次項において「独立行政法人研究教育職員」 という。)については、第4条第1項及び第5項、第7条、第8条の2第1項及び 第2項、第19条、第20条並びに第21条の規程中国立大学の教員に関する部分 の規程を準用する。この場合において、第4条第5項中「評議会の議に基づき学長」 とあり、「教授会(国立学校設置法第2章の2の規程によりその組織が定められた 大学にあっては、人事委員会。第12条第1項において同じ。)の議に基づき学長」 とあり、並びに第7条及び第8条の2第1項中「評議会の議に基づき学長」とある のは、「当該職員の勤務する特定独立行政法人の長」と読み替えるものとする。 2 特定独立行政法人研究教育職員(補助的な業務に従事する者として当該独立行政 法人研究教育職員の勤務する特定独立行政法人の長が定めるものを除く。)につい ては、前項に規定するもののほか、第21条の2の規程中国立大学の教員に関する 部分の規程を準用する。 問題は、教育公務員特例法の各条文との対応なのですが、要は、 準用の範囲が、 第4条 学長及び部局長の採用並びに教員の採用及び昇任は、選考によるものとする。 5 教員の採用及び昇任のための選考は、評議会の議に基づき学長の定める基準に より、教授会(国立学校設置法第2章の2の規定によりその組織が定められた大学 にあつては、人事委員会。第12条第1項において同じ。)の議に基づき学長が行 う。 第7条 学長、教員及び部局長の休職の期間は、心身の故障のため長期の休養を要す る場合の休職においては、個々の場合について、評議会の議に基づき学長が定める。 第8条の2 国立大学の教員に対する国家公務員法第81条の2の規程の適用につい ては、同条第1項中「定年に達した日以後における最初の3月31日又は第55条 第1項に規定する任命権者若しくは法律で定められた任命権者があらかじめ指定す る日のいずれか早い日」とあるのは「定年に達した日から起算して1年を超えない 範囲内で評議会の議に基づき学長があらかじめ指定する日」と、同条第2項中「年 齢60年とする。ただし、次の各号に掲げる職員の定年は、当該各号に定める年齢 とする。」とあるのは「評議会の議により学長が定める。」と、同条第3項中「臨 時的職員その他の法律により任期を定めて任用される職員」とあるのは「臨時的職 員」とする。 2 国立大学の教員については、国家公務員法第81条の3の規程は、適用しない。 第19条 教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなけ ればならない。 2 教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研 修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなけれ ばならない。 第20条 教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。 2 教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研 修を行うことができる。 3 教育公務員は、任免権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる 研修を受けることができる。 第21条 教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若 しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場 合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務 に従事することができる。 2 前項の場合においては、国家公務員たる教育公務員にあつては国家公務員法第 101条第1項の規定に基く命令又は同法第104条の規定による承認又は許可を 要せず、地方公務員たる教育公務員にあつては地方公務員法第38条第2項の規定 により人事委員会が定める許可の基準によることを要しない。 第21条の2 国立大学の教員及び国立高等専門学校の教員(政令で定める者に限る。 次項において同じ。)が、国以外の者が国と共同して行う研究又は国の委託を受け て行う研究(以下この項において「共同研究等」という。)に従事するため国家公 務員法第79条の規定により休職にされた場合において、当該共同研究等への従事 が当該共同研究等の効率的実施に特に資するものとして政令で定める要件に該当す るときは、当該休職に係る期間については、国家公務員退職手当法(昭和28年法 律第182号)第7条第4項の規定は、適用しない。 2 前項の規定は、国立大学の教員及び国立高等専門学校の教員員が国以外の者か ら国家公務員退職手当法の規定による退職手当に相当する給付として政令で定める ものの支払を受けた場合には、適用しない。 3 前項に定めるもののほか、第1項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定 める。 <第21条の2は、独立行政法人の業務実施の円滑化等のための関係法律の整備等に 関する法律第12条前半によって若干変更される> に限定されていることで、 第5条 学長、教員及び部局長は、学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつて は学長の審査の結果によるのでなければ、その意に反して転任されることはない。 2 評議会及び学長は、前項の審査を行うに当たつては、その者に対し、審査の事 由を記載した説明書を交付しなければならない。 3 評議会及び学長は、審査を受ける者が前項の説明書を受領した後14日以内に 請求した場合には、その者に対し、口頭又は書面で陳述する機会を与えなければな らない。 4 評議会及び学長は、第1項の審査を行う場合において必要があると認めるとき は、参考人の出頭を求め、又はその意見を徴することができる。 5 前3項に規定するもののほか、第1項の審査に関し必要な事項は、学長及び教 員にあつては評議会、部局長にあつては学長が定める。 第6条 学長、教員及び部局長は、学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつて は学長の審査の結果によるのでなければ、その意に反して免職されることはない。 教員の降任についても、また同様とする。 2 第5条第2項から第5項までの規定は、前項の審査の場合に準用する。 第9条 学長、教員及び部局長は、学長及び教員にあつては評議会、部局長にあつて は学長の審査の結果によるのでなければ、懲戒処分を受けることはない。 2 第5条第2項から第5項までの規定は、前項の審査の場合に準用する。 第11条 国立大学の学長、教員及び部局長の服務について、国家公務員法(昭和2 2年法律第120号)第96条第1項の根本基準の実施に関し必要な事項は、同法 第97条から第105条までに定めるものを除いては、評議会の議に基づき学長が 定める。 第12条 学長、教員及び部局長の勤務成積の評定及び評定の結果に応じた措置は、 学長にあつては評議会、教員及び学部長にあつては教授会の議に基づき学長、学部 長以外の部局長にあつては学長が行う。 2 前項の勤務成積の評定は、評議会の議に基づき学長が定める基準により、行わ なければならない。 等は、準用されないということでしょう。 また、読み替えにより、例えば第4条第5項は、 教員の採用及び昇任のための選考は、当該職員の勤務する特定独立行政法人の長の 定める基準により、当該職員の勤務する特定独立行政法人の長が行う。 となります。すなわち、「評議会の議」「教授会の議」が削除されるということです。
Date: Wed, 1 Dec 1999 02:08:04 +0900 To: he-forum@ml.asahi-net.or.jp, reform@ed.niigata-u.ac.jp From: KITAJIMA Yoshinori Subject: [he-forum 419] [訂正]教特法準用範囲 このメールはhe-forumとreform-MLの両方に送っています。 先にお送りしたメール[he-forum 386][reform:02347]及び[he-forum 390][reform:02 356]で“大学入試センター”の独立行政法人化に関して、教育公務員特例法の準用に ついて書きましたが、現状の認識が間違っていましたので、訂正します。 先のメールでは、 >現状では、大学入試センターには、教授・助教授・助手合わせて18人の教育職員が >在籍しており、教育公務員特例法第22条で準用されることになっていますが、個別 >法(附則第9条)で大学入試センターへの準用が削除され、上記の第22条の2が適 >用されるようになると考えられます。 と書きましたが、現在の教育公務員特例法第22条では、条文の末尾に“政令の定め るところにより、この法律の規定を準用する”と書かれており、準用の範囲は、教育 公務員特例法施行令第3条の2第3項で定められていました。それによると、大学入 試センター(及び、大学共同利用機関、学位授与機構、国立学校財務センター)の長 並びにその職員のうち専ら研究又は教育に従事する者については、まさに改定される 教育公務員特例法第22条の2に示されている条文のみが準用されることになってい ます。 つまり、少なくとも大学入試センターに関しては、現状維持になっているということ です。 改めて、まとめますと、既に明らかにされている国大協総会における資料[he-forum 405][reform:02382]にある通り、大学入試センターの独立行政法人化に関しての“特 例措置”は、 >法案においては、大学入試センターの業務や目的の特性に鑑み、 >(1)理事長の任命にあたって、文部科学大臣は、大学教育に関し、学識経験を有 >する者等の意見を聴くものとすること >(2)大学入試センターは、業務を円滑に遂行するため、大学、高等学校その他の >関係機関及び関係団体との緊密な連携協力体制の整備に努めなければならないこと >(3)教育公務員特例法、国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関す >る特別措置法、大学の教員等の任期に関する法律の所要の規定については、独立行 >政法人化後も準用されること >等の規定を措置したところ。 ということです。これら個別法・整備法は、11月25日に衆議院を通過しました。