==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
富山大学意見広告 大学改革情報めーリングリスト[reform:02571]より転載

富山大学 独法化反対意見広告


   富山大学での独法化反対の活動についてお知らせします。
   富山大学では、1月14日に、教職員有志からなる「独立行政法人化を考える
富山大学教職員の会」が、学内の教職員317名の署名をもとに国立大学の独立行
政法人化に対する反対声明を発表するとともに、会の代表5名が、富山県庁記者室
に出向き、記者会見を行いました。翌15日には、「北日本新聞」(地元地方紙)
に意見広告を掲載し、広く県民に訴えました(さらに地元紙への掲載を予定してい
ます)。
  会見では、独立行政法人の性格と問題点、通則法と特例措置の関係、通則法での
法人化に全国の国立大学が反対していること、この問題に対する他大学の取り組み
状況等を説明しました。
  当日夕方の北日本テレビ(地元局)にはその記者会見の模様が報道され、翌日の
新聞各紙(北日本新聞、毎日新聞、朝日新聞、読売新聞、北陸中日新聞)には反対
声明の発表について報道されました。
   
   反対声明
  私たちは、富山大学の独立行政法人化と国立大学制度の廃止に反対します
  去る9月20日、文部省は、全国の国立大学を独立行政法人化するための検討に
入ることを決め、来年度早々にも具体的な設置形態を明らかにすると表明しました。
そもそも「独立行政法人」は、行政の企画立案部門と実施部門を分離し、実施部門
を独立の法人に切り替えることで、行政機関の効率化とスリム化を目指して検討さ
れてきたものであり、決して21世紀に向けた大学改革の議論の中から案出された
ものではありません。「独立行政法人」の性格と機構が、知を創造し、人材を育成
する使命を持つ大学に馴染まないものであるにもかかわらず、国立大学を「独立行
政法人」化しようという動きが急浮上したのは、国家公務員の定員を25%削減す
るという4月の閣議決定以降であり、約13万人の教職員を擁する国立大学とその
付属機関(病院や学校、研究所など)を削減の対象とすることで、25%の帳尻合
わせをしたいという政治的な意図によるものです。
  このような意図にもとづいて、国立大学の「独立行政法人」化が進められるなら
ば、21世紀におけるわが国の高等教育と学術研究が壊滅的な打撃を受けることは
必至です。まず、「独立行政法人」の根幹をなす企業会計原則によって、大学は
「独立」した法人として利潤追求を迫られるとともに、その成果が実を結ぶまでに
長い時間を必要とする自然科学の基礎研究、政府や企業のあり方を批判し社会に対
して警鐘を鳴らすような社会科学の研究、文化や文明の発展に寄与するとともに異
文化理解に欠かすことのできない人文科学の研究などは消滅してしまいます。また、
「独立行政法人」制度のもとでは大幅な授業の値上げが避けられず、学部や大学の
統廃合、地方大学の閉鎖も余儀なくされ、憲法に謳われている「教育の機会均等」
も保障されなくなります。
  さらに、「独立行政法人」の法的仕組みによって、官僚の天下りポストが増える
ばかりか、文部科学省の監査指導がこれまで以上に強化され、本来、時の政権から
一定の距離を保ちながら自主的・自律的に営まれるべき大学の教育・研究活動が、
著しく阻害されることになります。国際的視野に立った優れた人材の育成、国民生
活と人類の生存に貢献する真に有意義な研究の発展こそが、日本の将来を支えるも
のだと私たちは考えます。そのためには、国公私立を問わず大学における学術研究
と教育に、今こそ安定した国家的な財政支出がなされるべきです。ところが、一般
政府総支出に占める高等教育への支出の割合は、アメリカ3.3%、イギリス2.
7%、ドイツ2.1%に対し、日本は1.5%と先進諸国の中でも極端に低く、公
立・私立大学への助成金も年々削減されているのが現状です。このように不利な条
件にもかかわらず、わが国の学術研究が欧米に肩を並べる高い水準を維持している
のは、広く国民のなかに受け継がれている学問と教育に対する熱意がそれを支えて
いるからだと言えます。
   富山大学は、その前身である旧制富山高等学校、富山師範学校、富山青年師範
学校、高岡高等商業学校、高岡工業専門学校など、地域の発展とともに歩んできた
伝統ある教育機関が統合されて生まれた大学であり、開学以来50年にわたって地
域における産業の振興と文化の発展に貢献すべく努力を続けてまいりました。そし
て21世紀を目前に控えた今、私たちは地域社会との連携をさらに深めるとともに、
国民の幅広い要請に応えるために、新しい大学のあり方を模索しながら改革を進め
ているところです。その成果を見ることなく、また、国民的な議論もなしに、これ
まで営々として築き上げられてきた国民の共有財産でもある国立大学を、「独立行
政法人」化によって解体するような過ちを犯してはなりません。私たちは、多くの
県民の皆さんが私たちの活動にご理解・ご協力くださいますよう、ここにお願い申
し上げる次第です。
           12月10日
             独立行政法人化問題を考える富山大学教職員の会
   
   意見広告
   私たちは富山大学の独立行政法人化に反対します
   
  「独立行政法人」は大学になじまない制度だと私たちは考えます
   国の行政機関を企画立案部門と実施部門に分け、後者を法人として国から切り離
す、それが「独立行政法人」です。行政をスリムにし効率的にするのがねらいです。
しかし大学は教育研究機関であって行政機関ではありません。企画立案と実施を分け
ることは不可能です。効率性や経済性で測れないものが教育研究にはあります。
   
  「独立行政法人」は大学の研究を破壊します
   経済的効率性が求められてしかも企画立案の権限が奪われたとき、大学の研究は
間違いなく破壊されます。文化の領域にのみ寄与する分野、成果が社会に還元される
までに長い時間を要する分野、これらはまっさきに削減や廃止の対象となるでしょう。
応用的で短期に成果のあがる分野ばかりが優遇されることになるでしょう。
   
  「独立行政法人」は大学の教育を破壊します
   国立大学は地方に分散して存在し、その地域の子弟を多く受け入れてきました。
これが法人化されると、経営基盤の弱い大学や学部が統合されたり廃止されたりする
可能性が出てきます。いまでさえ高い学費がさらにあがっていくことも確実です。富
山大学のように地方にある大学がとりわけ厳しい状況におかれることになります。
   
   自主的な大学改革を県民・国民の皆さんとともに
    富山大学は、開学以来五十年にわたって、優れた人材をさまざまな分野に送り
出してきました。産業や文化の発展に寄与してきました。そしていま、新たな飛躍
をめざして全学をあげて改革に取り組んでいます。私たちは皆さんと力を合わせて
この改革をやりとげたいと思います。そのためにも、政府・文部省は国立大学を独立
行政法人化する計画を断念してほしい、二十一世紀にむけて高等教育を整備・充実す
る方向に踏み出してほしい−そう私たちは考えます。
   
                        富山大学教職員有志317名