2003年12月04日

東京都立大学「廃止」に対する新英米文学会抗議声明

・・・・・ 大学を突然「廃止」するなどという措置は、何よりも時の為政者による大学運営への直接的介入を禁じた、憲法・教育関連諸法規上の学問の自由、大学の自治にかかわる条項を踏みにじる行為であり、違法の疑いが濃い。にもかかわらず都はあえて欺瞞的かつ恫喝的言辞を弄し、とりわけ、在学中の学生、院生にはかりしれぬ不安を与えている。この明らかな権利侵害の脅威に対して、在学生や保護者から憤激の声が出てきても当然である。・・・・・
東京都立大学「廃止」に対する抗議声明

                 2003年11月  新英米文学会

石原慎太郎東京都知事殿
山口一久東京都大学管理本部長殿

 報道によれば、東京都は去る8月1日、「都立の新しい大学の構想について」(以下、「新構想」)を発表した。これにより、石原慎太郎氏が都知事に就任して以来追求してきた都立4大学(東京都立大学、科学技術大学、保健科学大学、都立短期大学)統合計画は、最終段階に入ったと受けとめられる。都はそれまで、「東京都大学改革大綱」にもとづく検討を進めていたが、曲がりなりにも大学関係者を加えて具体化してきたこの「大綱」すら突然廃棄して、8月1日以後は密室で構想を練りながら、都立4大学の全教員に、教員配置や詳細設計の内容について一切口外しないことを約束させる「同意書」の提出を要求したと聞く。このようなやり方からは、都知事や大学管理本部が「設置者」と称して専断的に大学の存廃を決定し、大学構成員に対してだけでなく都民にも都議会にも十分な説明もせずに、「新構想」を強権的に進めようとしていると判断せざるをえない。

 大学を突然「廃止」するなどという措置は、何よりも時の為政者による大学運営への直接的介入を禁じた、憲法・教育関連諸法規上の学問の自由、大学の自治にかかわる条項を踏みにじる行為であり、違法の疑いが濃い。にもかかわらず都はあえて欺瞞的かつ恫喝的言辞を弄し、とりわけ、在学中の学生、院生にはかりしれぬ不安を与えている。この明らかな権利侵害の脅威に対して、在学生や保護者から憤激の声が出てきても当然である。

 上記のような手続き上の問題に加え、現在示されている「新構想」にしたがえば、教員定数が大幅に削減され、人文学部とりわけ英文学専攻ほか文学・語学系学科が廃止される。このことに本会は、同じ分野の学会として重大な関心を寄せるものである。文学・言語の専門的な研究教育は、学問や文化の枢軸であり、大学の名にあたいする機関になくてはならぬ営みである。たしかに、今日、文学や言語の研究教育、とりわけ英語教育は、さまざまな批判にさらされ、多くの大学改革でこの分野の改組が焦点になっているし、改革は必要である。だが、現在都が進めようとしているような、実用性や速効性に偏重した「社会貢献」や大学経営の経済効率を最優先させて、言語・文学の研究教育切り捨てとリストラを柱とする「改革」では、この必要に応えることはできないと言わなければならない。それどころか、都立大学の文学・語学系諸専攻が創設以来果たしてきた教育・研究上の社会貢献が無に帰され、文化や学問への敬意欠如も甚だしい破壊と混乱がもたらされるのみである。

 東京都による今回の強圧的な大学の改革が断行され、それがこのまま見過ごされた場合、独立法人化を目前にした他の国公立大学をはじめ、日本全国の大学改革に悪影響を及ぼすのではないかと懸念される。それは、都立4大学だけの問題にはとどまらず、各学界に大きな打撃を与えるとともに、この国の「知」を根底から揺るがしかねない。都知事と大学管理本部が強行しようとしているこの乱暴な都立大学「廃止」の企てに対して、本会は、これをただちに中止するよう要求するとともに、ここに強く抗議する。 

以上
     新英米文学会
              会長    瀧澤正彦
              事務局長  村山淳彦

tjst |12月04日 |URL:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000325.html |東京都の大学支配問題
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