産学連携から見た日米技術系大学の比較・評価の概要


1.調査内容

産学連携による研究開発推進のための大学の組織・制度を日本の9大学(東北 大、筑波大、東大、東工大、京大、慶大、早大、東海大、立命館大)と米国の 6大学(マサチューセッツ工科大、カリフォルニア大バークレー校、イリノイ 大、スタンフォード大、カリフォルニア工科大、カーネギー・メロン大)につ いて、点数化して評価。

2.調査方法(参考資料1参照)

(1)前提条件

本調査は、A(産学連携の成果)=B(科学技術的潜在能力)×C(そ れを引き出し、  社会経済的価値に転換する能力)と定義した上で、Cのみ を対象としている。

*従って、組織的な対応は全くないが、個々の教員の「科学技術的能力」 によって、結果としてたまたま「産学連携」が実現されていたという状態は、 評価されない。

また、個々の教員の「科学技術的潜在能力」を測定し、大学として その総和を求めるようなことは、できるはずもない。これに代わるものとして、 論文の数に被引用回数を乗じたものを用いる試みもあるが、論文偏重主義を助 長する等のおそれがある。

(2)評価の方法

評価にあたっては、産学連携を「戦略」、「プロセス」、「組織」、 「資源」の4つ の構成要素に分解し、各大学がどのレベルにあるかを「大学 に対するインタビュー」、 「企業に対するアンケート」、「一般公開情報の 収集」を基に、9段階に評価。

この9段階評価を基に、アーサー・D・リトルが独自に開発した概念「第 n世代の産学連携」を用い、各大学を評価。

*「第n世代の産学連携」とは、企業の競争力に大学の研究活動がいかに寄 与しているかを「大学の研究活動が企業の競争力に役立つ  かどうかは、結 果論」を「第1世代の産学連携」とした上で、「企業戦略と大学の研究活動が 完全に連携し、大学の成果が企業戦略に100%生かされる状況」を「第 3世代の産学連携」と定義したもの。

*「産学連携」の9段階評価と「第3世代の産学連携」との関係

                  
構成要素の9段階評価11.522.533.544.55
第n世代の産学連携11.251.51.7522.252.52.753



  3.調査結果(別紙2、3参照)

(1)総合評価

マサチューセッツ工科大やスタンフォード大などの米国の大学が評価が高 く、国内の国立大学の評価が低い一方、立命館大や東海大が両者の中間に評価。

総合評価(第n世代)大     学     名
2.9 マサチューセッツ工科大
2.8 スタンフォード大
2.7 カリフォルニア大バークレー校
2.6 イリノイ大学、カーネギー・メロン大
2.5 カリフォルニア工科大
2.1 立命館大
1.9 東海大
1.8 筑波大
1.6 東北大、慶大、早大
1.5 東大、東工大
1.4 京大



  (2)日米の評価の差の源泉は、「社会的な差」に負うところが大きい。すなわち、 米国の大学の方が

4.産学連携に向けての方策

(1)「産学連携」の社会的役割の確認

米国においては、大学において蓄積された知的資産を産学連携を通じて醸成 し、企業を通じて実用化していくことにより、社会に貢献していく姿勢が明確 になっている。国から大学へのグラントに基づく研究成果は大学に帰属すると する1980年のベイ・ドール法が制定され、これにより技術を産業界へ移転 していくという機運が一気に高まり、今日の米国の産学連携が生み出されてい る。

これに対して、日本においては、大学に蓄積された知的資産をどのように社 会の中で活用していくかが、十分議論がなされておらず、学会への論文発表に のみ依存したものとなっている。

日本はまず、国家レベルでの大学の役割の確認作業、コンセンサスづくりに 取りかかるべきである。

(2)テクニカルに実現可能な対応策

国の行うべきもの

大学の行うべきもの