「意見広告の会」ニュース83


From: 意見広告の会 
Date: Wed, 14 Jan 2004 06:16:43 +0900

「意見広告の会」ニュース83

* 「ニュース」の配布申し込み、投稿は
  に、お願い致します。

*簡単なお知らせ

1 「サンデー毎日」が、先週号より石原都政批判のキャンペーンを行っています。
 良いものには身銭を切る、というのが「意見広告」の趣旨でした。
 どうぞお買い求め下さい。

2 都立七生養護学校についての人権救済申立人は3000名を突破しました。
  申立人にはどなたでもなることができます。前号、前々号をご覧下さい。

3 「イラク自衛隊派遣反対」の意見広告が15日付朝日新聞に掲載予定です。
 ご覧下さい。

4 国立大学運営費交付金問題についての「新首都圏ネット」からの提案がまもなく発表 されます。当ニュースで掲載予定。


目次
***
1 運営費交付金問題 年末・年始新聞論調
2 都立大学大学院国語学専攻OB・OGの会有志声明
3 都立4大学 「読売新聞記事」
4 次号予告 横浜市大からの投稿

**
1−1 『新潟日報』社説 2003年12月30日付

国立大予算 法人化の趣旨はどこへ

 来年四月に法人化を控えた国立大は、国の予算配分をめぐって揺れたまま年
を越す。
 問題の発端は、財務省が法人化二年目の二〇〇五年度以降、予算を毎年削減する新た
な方針を文部科学省に示したことにある。
 国立大は授業料収入や付属病院収入などの自己収入は歳入全体の半分以下にとどまり
、残りの半分強は国の一般会計からの繰り入れで賄っている。
 その繰入金は、これまでは額を増減する場合は制度や法律変更が必要な「義務的経費
」とされていた。法人化に伴い、繰入金は「運営費交付金」となる。
 財務省はこれを機に、運営費交付金を政策的に増減しやすい「裁量的経費」に変更す
るよう文科省に求めた。
 その上で、ほかの独立行政法人と同様に、毎年一定の割合で予算を削減する「効率化
係数」の導入も提起した。
 これに対して「話が違う」と国立大学協会が反発、財務省に方針の見直しを求めて抗
議している。国大協会長の佐々木毅・東大学長らは三カ月後に迫った法人化を前に「学
長返上も辞さない」との強い姿勢を見せており、そのため結論は年明けに持ち越された
。
 文科省は(1)係数の率を縮減する(2)効率化になじまない教育研究の基幹分野は対象外
とする―ことを求めて財務省と折衝している。全国の国立大学長を集めた会議でもその
方針が説明されたという。
 だが、学長の間からは「効率的な運営努力で浮いた予算を教育研究の質向上につなげ
るのが法人化の趣旨ではないか」として、係数の導入そのものに反対の声が出ている。
無理もない。
 これでは法人化を「国立大再出発のチャンスとして生かそう」と現場をリードしてき
た学長らの見通しが甘かったことになる。大事な基礎研究の衰退を招くと危ぐする声も
強い。
 国立大の予算が縮小されていくことになれば、地方国立大にとっても影響は大きい。
学費の値上げにもつながる。
 国立大法人法の成立過程で、国会は「法人化前の公費投入額を十分確保する」という
付帯決議を行っている。国立大の役割に期待し、自主性を尊重してのことだった。
 国立大がこれまで以上に厳しい経営努力を求められるのは言うまでもないが、新たな
スタートを前に国立大の意欲をそぐようなやり方は極めて問題がある。
 
1−2 国立大予算―角を矯めて牛を殺す愚
              朝日新聞ニュース速報

 「はじめに経費削減ありきの財政当局的発想が幅を利かせている」。東大の佐々木毅
学長が国立大学協会を代表して、先ごろ文部科学省に出した要望書には、そんな厳しい
言葉が並んだ。国立大学の予算を減らすな。それが聞き入れられ なければ、学長を辞
める。そんな覚悟である。
 来年4月から法人組織となる国立大学には、文科省から毎年運営のための交付金が配
られる。初年度は今年度とほぼ同額とするが、次の05年度からは事務費などにあたる
一般管理費は3%、教育研究費は1%ずつ毎年削減していく。財務省が文科省に対して
そう提案したのが問題の発端だ。
 法人化後は大学組織が効率的に運営されるはずで、交付金の額を一律に縮小していく
のは当然だ。財務省はそう主張する。
 文科省はこの提案をそのまま受け入れることには難色を示しているが、交付金の算定
ルールについては、削減も含めて来月中に決めたいとしている。法人化の前にはっきり
させておく必要があるというのだ。
 交付金は大学予算の根幹をなす。将来にわたる削減を財務、文科両省の取引でいっき
に決められそうな情勢に、大学側が危機感を持つのは無理もない。
 法人化された国立大学は、文科省がそれぞれについて中期目標を決める。6年間の実
績評価に基づき、各大学の予算配分に差をつけるのも文科省だ。法人になっても、文科
省の強い規制が残る。
 だからこそ、法人化を承認した国会は、大学の教育研究の水準に十分に配慮し、必要
な予算はこれまで以上につけるべきだという付帯決議をした。官僚の都合で大学の予算
や活動が左右されてはならないからだ。財務、文科両省はそういう国会の意思を余りに
軽んじてはいないか。
 国際的な大競争を生き抜いていくうえで、基礎研究がいかに大事かは言うまでもない
。それを担っているのが国立大学だ。すぐに成果が出ない分野にも安定した予算措置は
欠かせない。特殊法人から移行した独立行政法人とは別の法人とするのも、そうした特
質を重視したからだ。旧特殊法人が予算の一律削減をしているからといって、同じこと
を迫るのは無理がある。
 もちろん、大学側も反対を叫んでいるだけでは納税者の理解は得られない。学内に閉
じこもって既得権にあぐらをかき、意識の改革を怠っていないか。国民の目は厳しい。
効率的な運営で無駄をなくし、重要な教育研究は手厚く育てる。そうした努力をして、
結果を公表する必要がある。
 各大学がみずからどう変わっていくかは、いずれ見えてくる。財政の窮状は分かるが
、役所があわてて動くことはない。まずは大学側のお手並み拝見といこう。
 せっかくの法人化なのに、予算や権限をめぐって大学が委縮してしまっては、肝心の
教育研究活動を先細りさせかねない。角を矯(た)めて牛を殺す愚を思うべきだ。
[2003-12-29-00:05]
 
1−3 『東京新聞』社説 2004年1月9日付

国立大法人化 やはり出だしが肝心

 国立大学が四月から法人化される。大学や文部科学省には、思い切った意識の改革が
求められる。何を変え、何を残すか。この二、三年で枠組みをかっちりと築き上げ、確
固たるレールを敷きたい。
 国立大学の法人化は、一八八六年の帝国大学令公布や一九四九年の新制国立大学発足
以来の大改革だ。いわば、これまで誰も経験したことのない未知の世界へと突入する。
それだけにスタートが肝心だ。
 出足でつまずく恐れがあるのは、大学にとっては、法人化で強化される学長の権限に
絡む問題だ。それまでの意思決定機関である教授会や評議会の権限と、どう折り合いを
つけるか。旧来のやり方を引きずったままで、学長の権限だけが増大すれば、紛争の種
になりかねない。
 東京大は昨夏の評議会で、佐々木毅学長が法人化へ向けての所信を表明し、学長のリ
ーダーシップをより強化することで折り合いをつけた。
 折り合いがつかず、学長の辞意表明に至ったのが名古屋工業大だ。柳田博明学長は法
人化への所信を表明し、いったん信任されたものの、その後の教授会で、大学運営の在
り方について教授会による学内意見のくみ上げをせず、独断専行の色が濃いなどの理由
から、信任を取り消される事態に発展した。
 年明け後の学長選では、松井信行教授が次期学長に選ばれ、柳田現学長のトップダウ
ン路線を継承する、とあらためて宣言。意思の疎通にも力を注ぎたい、と強調した。
 国立、公立、私立を問わず、大学の生命線は、学問の自由と学内自治だ。学長のトッ
プダウンと自治は、時として背反することもあるが、両立できないことではない。教授
会や評議会の意見をくんだ上で最終判断は学長がする、という意思決定のルールを構築
することだ。
 文部科学省にとっては、これまでも指摘してきた通り、公正な評価が法人化成功の必
須条件となる。評価の結果が各大学の運営費交付金の額に反映される、とあってはなお
さらだ。なれ合いや情実評価などで、法人化の初年度から大学の現場に不満が鬱積(う
っせき)するようでは、改革も絵に描いた餅(もち)と化す。
 教育や研究の業績評価は難しい。客観性を少しでも高めるためには、同じ分野の研究
者に一人でも多く、評価に加わってもらう。そして、評価に至った過程を学内外に公表
する。これらの地道な作業を繰り返すことでしか公正さは保たれない。
 国立大の法人化は大学、文科省の、思い切った意識改革が伴わない限り、成功などお
ぼつかない。
 

2 「東京都立大学廃止と新大学設立案」に関する声明

東京都知事・石原慎太郎殿
大学管理本部長・山口一久殿

東京都立大学大学院国語学専攻OB・OGの会有志
平成16年1月7日

 2003年8月1日以降の新大学設立案は、あまりにも大きな問題点を抱えていると
考えます。我々は、それに対して以下のような意見を表明したいと思います。

1.東京都立大学大学院国語学分野は、国文学専攻の一部として、開学以来50年に渡
る伝統と歴史を有し、全国諸方言の研究、現代日本語の理論的・実証的研究、日本語史
の研究など幅広い分野で今まで多数の人材を育て上げ、その多くは、国内外の大学や研
究機関で研究者として活躍しています。今回の計画は、このような研究と教育の成果を
踏みにじるものであると考えます。

2.新大学設立にともない、東京都立大学は廃止される計画です。しかし、新大学には
、学部に文学科、そして国文学専攻がなく、大学院の構想は何も発表されていません。
このままでは、大学院も国文学専攻は完全になくなるのではないか、それによって、新
大学では国語学を学ぶ機会がなくなるのではないかと考えられます。

3.現在在籍している大学院生にとって、今考えられているような「東京都立大学の廃
止」は、非常に大きなダメージになります。現在のスタッフがいて、各種施設がそのま
ま使えることを前提に現在の大学院に入ってきた人たちは、その前提が崩れてしまうこ
とになりかねません。現在在籍している大学院生は、大学院修了・学位取得まで、きち
んと継続した研究ができ、指導教官からの指導が受けられるのでしょうか。

4.大学院入試において、国語学分野は、毎年多数の応募者があります。そのようなき
びしい入試に合格して入学した大学院生達は、大学院の課程のなかで、一層の教育・研
究者としての知識・経験を積むよう勉学と研究に励んでいます。我々としても、全面的
に後輩たちを支援したいと考えておりますし、また実際そのようにしてきました。東京
都立大学の廃止にともない、国文学専攻がなくなってしまえば、このような我々の活動
も期待もまったく無意味になります。

5.国語学をはじめとする言語研究は、言語そのものの研究とともに、言語を介した人
々のコミュニケーションも視野に入っており、現代社会の諸問題に密接に結びつく研究
分野です。このような社会的に有用な研究が、今回の計画により途絶することは、東京
都立大学だけの問題ではなく、東京都、さらには日本全体にとって大きなマイナスにな
ります。

6.国語学(日本語学)を学ぶ大学院生の中には、多数の留学生がいます。国語学分野
の留学生は、日本、日本語、日本文化を学ぶために、はるばる東京都立大学までやって
きた人たちです。これからの国際化社会を考えれば、留学生をもっと大事にするべきで
す。東京都立大学の留学生の多数は、国語学を学んでいます。(次に多いのは国文学で
す。)新大学で、国語学・国文学が学べないことは、留学生にとっては大きな打撃です
。

7.新大学の構想に関して、トップダウン設計は、まったく新たに大学を設計するとき
には有効な面がありますが、今回の計画は、東京都立大学など4大学を廃止するととも
に、その土地・建物・教員を活用して新大学を設計するものですから、完全に新しい大
学を設計するわけにはいかず、今までの大学にも配慮した計画が求められます。今の大
学管理本部のやり方は、大学側の意見を聞かず、密室の中で大学外の人間が中心になっ
て計画を策定するというもので、これでは、あまりに一方的です。是非、東京都立大学
など4大学の意見を聞き、十分な協議を積み重ねていただきたいと思います。

8.国語学を学ぶことができない新大学ですが、では、なぜそのような大学が考えられ
たのでしょうか。十分な実績があり、現在も学ぶ人が継続的におり、外部からの評価も
高いセクションが、大学管理本部のいう「設置者権限」で廃止されることはとうてい納
得できません。
 

3 「読売新聞」都立大学問題
 1     2004.01.12
NOと言われる新・都立大構想 人文学部縮小、経営感覚導入…都主導に教員反旗
東京朝刊 教育A
27頁 1611字 04段 写真

 東京都が四大学を統合して来年春に開校する新大学を巡り、教員側と都側の対立が続
いている。「トップダウン」で改革を進める都側の手法に、都立大を中心にした現場が
「NO」を突きつけているためだ。文部科学省に設置申請するタイムリミットが四月に
迫っており、このままでは新大学のイメージダウンにもつながりかねない雲行きになっ
ている。(赤池泰斗) 
 ■検討成果破棄された
 都が昨年八月に公表した新大学構想は、現在の四大学(都立大、同科学技術大、同保
健科学大、同短大)にある人文、法、理など七学部を、都市教養、都市環境、システム
デザイン、保健福祉の四学部に再編することなどを骨子としている。 
 これに真っ先に反発したのが都立大の人文学部だった。現在ある六学科十一専攻が「
社会学」「教育学・心理学」「国際文化」の三コースに“縮小”され、専任教員数も大
幅に減らされることになるためだ。 
 茂木俊彦学長も十月、「大学に何の相談も無く、それまで積み重ねてきた検討成果を
一方的に破棄した」などとする異例の声明を発表した。 
 その後も、教員や大学院生らの抗議声明や意見表明が相次いだほか、十一月から十二
月にかけては、今春開校する都立大の法科大学院(ロースクール)の専任教員になる予
定だった教授、助教授四人が相次いで退職届を提出、試験日程の見直しを迫られる事態
にまで発展した。 
 都主導の改革に対し、現場の意見の“バロメーター”になる数字がある。都は昨年九
月、四大学の全教員(教授、助教授、講師)に対し、開校準備作業に参加するかどうか
の意思を確認するため、「同意書」を送付。これまでに同意書を提出した教員は、全教
員五百四十七人の約半数の二百六十六人にとどまっている。 
 科学技術、保健科学、短大の三大学は全教員が提出したが、都立大は三百八十九人の
うち百八人。特に、人文、理学部に至ってはゼロの状態だ。 
 都大学管理本部の大村雅一参事は「同意書がなくても準備作業には参加できる。常に
門戸を開放しており、より多くの教員から意見を聞こうという姿勢は変わらない」と話
す。 しかし、改革の進め方が途中から変化したのも事実だ。新構想の発表直前までは
、都が二〇〇一年十一月に策定した「大学改革大綱」に基づき、都立大の教員を中心に
、既存の学部ごとに授業科目の設計などが進められていた経緯がある。 
 大村参事は、この点について、「当時の検討は、語学の授業を増やしたり、専攻を細
分化したりと、改革とは逆方向に進んでいた。八月の新構想は、改革の原点に立ち返る
もので『破棄』ではない」と説明する。 
 ◆石原知事「批判は保身」 4月には国に設置申請
 ■代替案出したい
 都側は、今回の改革のもう一つの柱に「経営感覚の導入」を掲げ、学長とは別に理事
長を置くことにしている。四大学は毎年、支出の七割にあたる約百五十億円を、都から
の拠出金でまかなっている。都が外部に委託した監査でも、「きめ細かい教育を行って
いるとしても、経営構造を抜本的に改善しなければならない」と指摘された。 
 都立大の南雲智人文学部長は「確かに経営改善は必要だが、都の方針はバランスを欠
いている。人材流出を起こせば、大学が教育・研究の場として機能しなくなり本末転倒
。近く代替案を提示したい」と、対決姿勢を強める。 
 一方、石原慎太郎知事は昨年末の定例会見で、「新構想に反対し、批判的な人たちの
主張は、現状の温存でしかない。保守、悪く言えば保身」と批判した。 
 工学部二年の男子学生(19)は、「都、大学、学部、それぞれ立場が違うのは分か
るが、もう少し話し合ってほしい。このままでは、落ち着いて学生生活を送れない」と
不安そうだ。 
 開校準備はスケジュール通りに進み、昨年末、文科省の事前申請もクリアした。現在
、カリキュラムの詳細設計など詰めの段階に入っているが、混乱のしわ寄せが、学生や
受験生にも押し寄せかねない状況だ。 
 
 写真=新大学の2学部が入る予定の都立大キャンパス(八王子市)