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第1常置委員会拡大小委員会(議事メモ)


  日 時

           平成12年10月25日(水) 10:30〜13:00
  場 所

           学士会分館(本郷) 6号室
  出席者

           阿部委員長
           宮腰,小早川各委員
           (第1常置委員会)北原,貴志,赤岩,町田,示村,山本,森満各委員,
           北村,板橋各専門委員
           (設置形態検討特別委員会専門委員会A)馬渡委員
           (オブザーバー)石井紫郎国際日本文化研究センター教授


 阿部委員長主宰のもとに開会。

 〔議 事〕

 1. 報告事項

         委員長から,去る10月3日開催の文部省調査検討会議∩反ザ般外儖Q顳(第4回)の審議状況等及び
        10月11日開催の設置形態検討特別委員会の審議状況等について説明があった。

 2.「国立大学と独立行政法人化問題について(中間報告)」について

         委員長から,本委員会が昨年取りまとめた「中間報告」を土台に,独立行政法人化についてのその
        後の経過をも踏まえ,どのような問題があるか論点整理を行うためのたたき台を用意したので,これ
        について説明し,ご意見を伺いたい旨述べられた。
         ついで,宮腰小委員会委員から,配付資料(『国立大学協会第1常置委員会「国立大学と独立行政
        法人化問題について(中間報告)」(平成11年9月7日)の「法人の基本」に関する論点整理(
        案)』)について説明があったのち,次のような意見交換が行われた。

(0)  学校教育法との関連で,国立大学と国との関係について,東京大学の「報告書」(資料6 「国立大学の独立行政法人化について」(平成12年10月3日,国立大学制度研究会))はどう いう考え方をとっているか。 (1) 国が設置者になるべきという前提で書かれているのではないか。 (2) 第1常置委員会の「中間報告」の段階では,設置者について明記はないが,国立大学の独立行 政法人化というのは学校教育法第2条のスキームの中での,法人が学校を設置するという独立行 政法人通則法どおりの独立行政法人をはめ込むということを前提としていたように思われる。 「東京大学報告書」のような,「国が大学を設置し,その大学に法人格を付与する」という理 論構成はあり得ると思うが,ただ,そういう理論構成が通則法と両立するかどうかという問題 がある(明らかに矛盾するとはいえないが)。「中間報告」と「東大報告書」は軸足の置き方 が違っていると思う。 (3) 1法人で全部の国立大学を作るとか,地域的連合体を一つの法人にするという考え方というの は,国ではなく法人が大学の設置者だということを暗黙のうちに認めていることになる。99 大学を1法人にするということになると,国が大学の設置者だという理屈はもっていきにくい のではないか。 (4) その点は,「中間報告」の段階でも法人二層制というイメージはあった。各大学を法人とする けれども,その全体の経営については連携の域を超えた総合的経営があり得るということであ る。 (5) 「東京大学報告書」は,1法人1大学を前提にして,それのフェデレーションを考えておいた 方がよいという考えである。 (6) 国が直接大学を設置し,それが同時に法人格を有するというのは,それが実現できれば,国が 予算を保障し管理運営は大学の権限ということだから,大学にとっては申し分ないが,それは 世の中一般から通用することかどうか。仮にそうなったとして,その場合の法人というのは, 新しく設ける特殊法人になるのか,あるいは公的法人ということになるのか。公的法人だとす れば,その法的スキームをどうつくるのかということが問題になってくる。 (7) 独立行政法人というスキームを使うと法人が大学の設置者だということには必ずしもならな い。独立行政法人のスキームを使ったとしても,設置者が国なのか法人なのかということは, 別途法律をつくらなければならないことだ。 (8) 法人が大学を設置するというのが今までの支配的な考え方であるとすると,その方が私立大学 との対比からしても,独立行政法人化の根底にある行政法人の論理からしても,独立行政法人 通則法の枠組みにおさまるので受入れられやすいであろうが,法人と大学を分けるということ は結局,経営と教学を分けることに繋がる。それは,法人の意思決定と,法人によって運営さ れる大学の教員集団の意思決定とが別のものになることになり,疑問である。その点に関し, 「中間報告」では,法人が大学を設置するという考え方をとった上で,経営と教学を一致させ るべきとしているが,それは制度設計として無理があるように思える。 (9) 合議制の機関である大学が独立行政法人の仕組みとどう噛み合うかが問題である。国が設置者 という原則が貫かれるならば,現行の国立大学設置法がもっている大学にとっての強みをその まま継承できると思っている。もし国が設置者でなく法人が設置者だとすると,新たにに国立 大学法人法なり特例法を作らなければならない。そのときに,独立行政法人のスキームと大学 の合議制とがマッチできるものか。独立行政法人の場合には,明らかに機関の長がトップダウ ンで運営していくという発想でできているから,合議制の原則をその法律の中に入れていくの は大変なことであろう。 (10)(!?) 国が設置者であって,国が管理し経費も負担していたのを,管理だけ法人で,経費負担は国の 責任というのは,学校教育法第5条(学校の設置者は,その設置する学校を管理し,経費を負 担する)の超例外になり,それは虫がよすぎる話として世間の納得が得られるものか。そこ は,第5条はそのまま受けておけばよいと思う。国の管理ということについては長年,文部省 との間に慣行があり,それが尊重されればよいのであって,敢えて管理は我々の方が取るのだ と頑張る必要はないのではないのか。 (11)(!?)    そう思う。従来,国が設置者であり,国が国立大学を管理していたが,その管理の内容につい ては,当然大学の自治による制約が及ぶわけで,そういう形で国と国立大学の関係が保たれて きた。そこを,この際,国からの大学の自治を拡充するのだということであれば別だが,従来 の線を維持するのだというのであれば,用語はそのままとし,国の管理の中身に自ずから制限 があるということにしておきたい。大学の自治自身は,国家に対する自治であるから,私学に あっては,教学が経営に従属するのはどうかという問題は憲法問題ではないが、国立大学と国 との間では憲法問題になる。ただ,最高裁判決では,憲法の枠内で大学の自治を認めており, それほど心配はしていない。 (12) 国が直接大学を設置する方がいい面もあると思うが,国が法人を設立し,その法人が大学を設 置するというのにもいい面があると思う。今の状況の中で,どちらがいいか,どちらの可能性 があるか,それぞれのメリット,デメリットを整理してはどうか。 (13) 大学の設置者が国になるか法人になるかは大事な議論の分かれ目になりそうで,ここの委員会 がどういう考え方をするかによって,その他の,中期目標,中期計画,評価,人事,財務等の 議論が変ってくるのではないか。この問題を議論するについて,2つに分けて全体像を描かな いと議論がしにくいと思う。 (14) いずれにしても論点を整理しておく必要があると思うので,小委員会を動かしたい。また,で きれば,「東大報告書」について,そのまとめの中心になられた方から詳しい説明を伺いた い。 (15) 大学が何か新しい計画を立てて経費の負担を国に求めても,それが実現できなければ意味がな いわけで,そうすると,経費の負担ということと管理ということとは截然と分かちがたいよう に思う。法人格を持つにしても,国が大学の設置者ということであると,今と殆ど変らない形 になるのではないか。 (16) 文部省は当初から,法人化はそれがいかなる形であれ,できる限り学校法人に近い形にはした くないと言ってきた。両者の違いを強調しようとすれば,法人が設置者であることの必要性は ない。そう考えれば,現行の中で何が我々にとってよいことかということを前提において,そ れに適合的な法人の形態はどのようなものか,あるいは法人化しない方がいいのか,両方を重 ね合わせながら考える必要があるのではないか。 (17) 独法化によって,中の組織を自由に変えられることを文部省はメリットと言っていて,それに 期待をかける向きも少なくないが,仮に,定員管理の縛りがなくなったとしても,予算面から の絞めつけができたときに,どういう状況になるかということを十分想定しておかなければな らない。何か定員制とか講座制ということが桎梏のようにとられているようだが,それは大学 を縛っているというよりも国に対する義務づけになっているということを考えたい。それがな くなるということは,予算の配分が減り,人も減るということがあり得るというのが論理的な 帰結である。だから,独立行政法人化の問題は,そういう問題とリンクさせながら考えないと いけない。 (18) 国大協全体として,独立行政法人化問題について合意を得ることはなかなかできにくい。現時 点でほぼコンセンサスがあると言えることとしては,昨年末に行った学長宛のアンケート( 「わが国の高等教育・学術研究の将来像を考える場合の大学が具備すべき基本的要件につい て」)結果に示された,大学の自主性・自立性の確保,財源(公的政支出)の保障,身分保障 などの点であろう。 (19) 独立行政法人化すれば大学への公費の投入が増えるという保障はない。場合によっては当初は 多少増えることはあるかもしれないが。やはり,教育研究組織についての別の規定をつくった 方がよい。 (20) この5月に財政の問題を議論した際に,初めの中期目標,中期計画から次の中期目標,中期計 画に移るときに資源配分配がどうなるかということが問題になった。通常の教育研究について は中期計画の例外扱いができればよい。 (21) 今,組織制度の上で固いのは定員管理の部分であり,そこを緩めてほしいという声が強い。こ れも問題の一つであろう。 (22) 国大協全体ということになると,独立行政法人化に対する対応はディフェンシブだから,なか なかポジティブな青図を描くことはやりにくい。 (23)(!?)  基本的にはディフェンシブの姿勢でよいと思う。どういう大学が望ましいかというイメージが はっきりあって初めて,そのスキームでいいか悪いか分かるわけだから,いろいろシミュレー ションは必要だが,それは表てに向けて言う必要はないのではないか。必要なのは,言われて いる種々の独立行政法人のメリットが本当に言われている通り期待できるのかどうか見極める ことだと思う。 (24)(!?)    国大協を取り巻く状況は,かつて国鉄の民営化が問題になった時と似ていると思う。今のまま でいようとすれば,外の強い力が働いてくることは必定だ。そういう中で,各大学が自主的な 努力で改善できる余地,改善されるならそこに予算がつくという余地,それに対して国が支援 するという方式,そういうシステムによってダイナミズムを大学が持つ方向に向かわないとい けない。国立大学が法人格を有していないがゆえに,意思決定に大きな制約があって,たとえ ば,裁判において当事者になり得ないということとか,大学自治についても,教官人事,学 問・研究等学部自治の根幹を支える予算,会計,組織などの面で自由度がなく,大学として責 任をもった管理運営をしていく仕組みになっていないということがある。そこを,自分たちの 努力・工夫で大学をよくしていけるような制度として,法人格をもつことを考えたい。 (25) これまでに出ていないが,部局の問題も重要だ。大学がどう変っていかなければならないかと いうとき,部局を抜かすことはできない。 (26) 法人化したら,どこがどうよくなるか,そのへんが出てくるよう論点整理をお願いしたい。 (27) 基本に戻って,国立大学のどこに問題があって,それをどう変えていけば,日本の高等教育・ 学術研究が21世紀を欧米諸国に伍していけるかという議論をしないと,国民の理解は得られ ないのではないか。
 以上のような意見交換があったのち,委員長から次のように述べられた。  本日は,法人化問題について,法人化の目的・意義,法人と大学の関係を中心に種々議論いただい たが,次回までに各委員からこれらの問題について改めてご意見を頂戴し,いただいたご意見を踏ま え,「法人の基本」に関する論点整理を進めたい。なお,可能であれば,次回,「東京大学報告書」 の取りまとめに中心的に関わられた方にオブザーバーとして出席していただくこととしたい。 以上をもって本日の議事を終了した。