国立大学独立行政法人化の諸問題国会
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第154回国会 文教科学委員会 第8号
平成十四年四月二十五日(木曜日)

なぜ独立行政法人化か?通則法なのか?積算校費と運営費交付金の違い競争的研究資金科研費インブリーディング国立大学は必要か?

○内藤正光君 大臣、そして両副大臣、ごぶさたしております。久しぶりにこの委員会に戻りまして、五十分の時間をいただき、審議をさしていただくことになりました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 先月の二十六日、私、持っておりますが、「新しい「国立大学法人」像について」が発表されました。まず申し上げておきたいのは、この内容については、私は全体的には評価できるものであるというふうに申し上げたい。しかし、若干疑問もないわけではございませんので、その点について何点か以下質問さしていただきたいと思います。

 まずお伺いをさしていただきたいのは、これは本当に大きな話だろうとは思いますが、大学改革と独立行政法人化との関係でございます。

 大学改革を進めていく上で一番大事なのは何だろうかと考えたときに、幾つかあるんですが、やはりその一つは、大学の自主性なり自律性をいかに守り高めていくか、これも大きな柱の一つなんだろうと思います。しかし、一方、独立行政法人とはどういうものかと考えたとき、これはやはり各政府が中期の目標を立て、そして目標に基づいてその配下の独立行政法人は淡々と業務をこなしていくものだと、つまり政府の配下にあると、これが独立行政法人でございます。

 このように考えてみますと、大学改革というものはそもそも独立行政法人化という枠の中で何かなじまないような気がしてしようがないんですが、この点に対する大臣あるいは副大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(遠山敦子君) 国立大学、長い歴史を持っておりまして、これは行政組織の一環として位置付けられております。そのことからくるいろんな制約があるというふうなことが本当に大学改革を行っていくのにいろんな桎梏になっているという現実がございます。

 大学は、もとより、優れた教育あるいは独創的な研究あるいは社会貢献、そういったことを担うわけでございますが、殊に国費を投入している国立大学におきましては、国が必要とする人材育成なり研究なり社会貢献というものをしっかりとやっていく必要があるわけでございますが、その角度から見ましたときに、やはり行政組織の一環として置いておくのはどうかということがほうはいとして議論の背景に起きてまいったわけでございます。そのようなことから、他方で、行政改革の一環としての独立行政法人化ということが一方で進んでまいりました。

 しかし、国立大学を、今おっしゃったように各行政組織の行政目的を遂行するための組織としての独立行政法人として位置付けるというのではどうであろうかというふうなことが、そもそも国立大学の設置形態について考える際の冒頭に議論されたと思っております。そのことから、今日は有馬元文部大臣、それから中曽根元文部大臣、おいでになっておりますが、そのことについての考え方を明快に国立大学長などを集めた会議でおっしゃられたのが平成十二年の五月の会議でのお話がございます。

 この中におきまして、国立大学がその機能を十分に発揮していくということを前提にしながら、大学の自主性、自律性というのを発揮しながら本来のあるべき機能を達成していくために、独立行政法人という行き方ではなくて、新たな国立大学法人というようなことも十分に考えてみてはどうかという、そういう御提案を正式にしていただいたわけでございます。

 その前に、閣議決定におきましても、大学の自主性を尊重しつつ大学改革の一環として検討するという決定があったわけでございます。そして、平成十二年の七月に有識者による調査検討会議を設けて、今申したような法人化の具体的な在り方に関する検討を行ってきたところでございます。

 したがいまして、国立大学が国費を投入して維持されている、これはどの国においても本当に大事に大学を扱っているわけでございまして、私は今後ともその姿勢というのは大事だと思っておりますけれども、そのことと、大学が自主的、自律的に改革を進めていくというところの二つの要請というものをどのように実現していくかということが今回の国立大学法人という構想の背景にあるというふうに私は考えているところでございます。

○内藤正光君 大臣のおっしゃる大学改革の実現のためには、話を聞いていますと、何も独立行政法人である必要はないと。法人化を取らせる必要はあるにしても、独立行政法人である必要はないと。

 ということは、ちょっと確認なんですが、いわゆる通則法の枠の中で今検討されているのか、あるいはまた、いわゆる通則法の枠の外で法人化を検討されているのか、お答えいただけますか。

○副大臣(岸田文雄君) 今議論されております国立大学法人の議論ですが、独立行政法人通則法では、例えば法人の長の任命につきましても、大臣が法人の長を任命、解任できる権限を持つということになっているわけですが、これにつきましても、国立大学法人では学長選考委員会による選考を経て学長の任命を行うというようなことを考えておりますし、また、独立行政法人通則法、この中期目標ということにつきましても、大臣は目標を定め、法人に指示することとしておりますけれども、国立大学法人では、あらかじめ大学が原案を大臣に提出し、大臣はこれを尊重し、大学の特性に配慮して定めることというふうなことも決めております。

 また、評価等につきましても、国立大学評価委員会等を設けるとか、それから教育研究については大学評価・学位授与機構の評価結果を尊重するとか、こういったことで通則法に比べまして国による事前関与というのは最小限にするということにしておりまして、そういったことによって大学の特性を踏まえた独自の制度を今この最終報告において提言されてきたというふうに認識しております。

 そういった認識でこれからその具体化に取り掛かっていかなければいけないと考えております。

○内藤正光君 今、副大臣がおっしゃったのは、通則法の枠の中で進めはするんだけれども、やはり大学にとって大事な自主性、自律性は最大限守っていかなきゃいけないということで、どんな工夫をされているかいろいろおっしゃったわけなんですが、やはり私は、ここで通則法の枠内でやると、進めていくと、今後もうおのずといろいろ限界にぶつかってしまうんじゃないかなと思うんです。いったんここで独立行政法人化やるわけですね。さらに、御検討されるかどうかは分かりませんが、もしかして地方移管だとか、あるいはまた私学化とか、更に先へ推し進めていかなければならないとなったときに、通則法の枠内でやると、この辺がかなり難しくなってくるんではないのかなという思いがあるんですが、もう通則法の枠内で、ちょっとさっきのもう一度確認さしてください、通則法の枠の中でやるということはもう確認されたということですか。決定されたということですか。

○副大臣(岸田文雄君) 調査検討会議の最終報告は、通則法を要はそのまま適用するんではなく特例措置を設ける必要があると、こういった提言だというふうに認識しております。

○内藤正光君 分かりました。

 じゃ、ちょっとこの辺はまた後から更に場所を変えて議論を深めていきたいと思いますが、次に、ちょっと順番としては後先になるのかもしれませんが、第四項目の「目標・評価」について何点かにわたって質問させていただきたいと思いますが、特に評価という点では、国立大学評価委員会というものが文部科学省の中に設置をされるわけですね、新たに。そして、この委員会が教育研究に関する大学評価・学位授与機構の評価結果を尊重しつつ国立大学法人の運営全体に対して総合的な評価を実施するというふうにあります。研究だとかについては学位授与機構が評価をし、それを尊重するということですね。

 それを加えて総合的な評価を下すということなんですが、研究だとか教育以外にどういった項目が具体的に評価項目といいますか評価の対象になり得るんでしょうか。その考え方を教えていただけませんでしょうか。

○副大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、国立大学評価委員会が大学評価・学位授与機構の評価結果を尊重しつつ運営全体に対して総合的な評価を実施するという提言が行われたわけです。

 その評価の内容ですが、中期目標の達成度について行うとともに分野別の研究業績等の標準評価について行うという指摘しておりまして、同時に、中期目標に記載すべき事項としまして、大学全体としての基本的な目標として、一つは教育研究等の質の向上に関する目標があるんですが、それ以外に、業務運営の改善及び効率化に関する目標、それから財務内容の改善に関する目標、それから社会への説明責任に関する目標、こうした事項が示されております。

 こうした提言を踏まえて、これから具体的な評価の方法、内容について検討していかなければいけないと考えております。

○内藤正光君 繰り返しになるんですが、教育研究のほかには、業務運営の効率化だとか財務内容、あるいはまた社会への説明責任、こういった大枠の中で更にまた具体化をこれから進めていくんだということですね。

○副大臣(岸田文雄君) はい。

○内藤正光君 じゃ、まだ具体的なことはほとんど決まっていないという理解でよろしいんですね。

○副大臣(岸田文雄君) 最終報告が出されてから、検討が進んでいるわけでありますから、これからまた更に努力を続けていかなければいけないと思っております。

○内藤正光君 そしてさらに、この評価結果の一部になるのか、また別物になるのか分かりませんが、この結果が運営費交付金の算定に反映されるというふうにも書かれております。

 そこで、現在、総額二千二百億円余りの積算校費というものがあるわけなんですが、この積算校費と新たに作られる運営費交付金との関係についてお尋ねしたいんですが、これは積算校費というものがそのまま運営費交付金へと衣替えをするという理解でよろしいですか。

○副大臣(岸田文雄君) 結論から言いますと、単なる衣替えではないと認識しております。

 といいますのは、積算校費、これは平成十二年度からは教育研究基盤校費というふうな形で措置されておりますが、これは教員数等に基づいて国立大学の管理運営や教育研究に要する物件費を包括的に措置するということになっています。一方、御指摘の運営費交付金でありますけれども、これは教育研究基盤校費以外の費目で措置されている物件費やさらに人件費も含め、大学運営に要する広範な経費を一括して運営費交付金として措置をするということになっていますから、これ、使途の特定も行わないというのがこの運営費交付金であります。

 ですから、さっき言いました物件費を包括的に措置している積算校費と今申し上げました運営費交付金というものは、これはその対象ですとか使途に関しまして随分異なっておりますので、衣替えということには当たらないと認識しております。

○内藤正光君 衣替えという言葉が私ちょっと適切でなかったと、言ってしまってから反省しているわけなんですが、要は、積算校費というものが廃止をされて、新たな考え方の下、運営費交付金というものが作り出される、そういうことでよろしいんですね。

○副大臣(岸田文雄君) ですから、要は、運営交付金、従来の積算校費という要素も含めて新しくこの運営交付金というものが登場するというふうに考えてよろしいかと存じます。

○内藤正光君 そこで、この運営費交付金なんですが、やはり各大学が注目をしているのは、評価結果が一体どのぐらい各大学の運営費交付金の増減に反映されるのかというところもあるんだろうと思います。具体的にまだ考えていないとおっしゃればそれまでなのかもしれませんが、これはある意味では、考え方、基本的な考え方にも通ずると思うんですが、これは数%程度の増減にとどまるものなのか、いやいや、そんなものじゃない、一割二割ぐらい増減があり得るんだぞというものなんですか。ちょっとこれ、今聞いて、通告していないんですが、教えていただきたいんですが。

○国務大臣(遠山敦子君) 今の運営費交付金、先ほどの話へちょっと戻りますけれども、積算校費というのは教育研究基盤校費なんですね。運営交付金というのは、そういうことに使われるもの以外にもっと大きな、人件費あるいは大学運営に要するような広範な経費を一括して言っている経費であるということを申し添えたいと思います。

 それから、運営交付金のこれから積算というものが各大学にとっても大変大きな関心事になってまいると思いますけれども、この交付金の中には、学生数などに基づくような客観的な指標に基づいて各大学に共通の算定方式で算出される標準運営費交付金のようなもの、それと、客観的な指標によることが困難な特定の教育研究施設の運営あるいは事業の実施に要する特定運営交付金というものを含んでいるわけでございます。したがいまして、客観的な指標を積算根拠としている部分については恐らくそれほどの大きな評価に基づく変更というものがないかもしれませんけれども、やはり運営交付金の算定に当たってはいろんな角度での評価というものも反映されていく可能性がございます。

 ただ、その割合が五%であるのか一割であるのかなどという点については、まだまだこれからその運用の在り方についていろいろな角度から検討していく必要があると思っておりまして、ここで明示的に何%というふうなことを申し上げる段階でもございませんし、また申し上げることはしない方がいいと思っております。

○内藤正光君 大臣の方、運営費交付金には標準交付金と特定交付金があって、客観的な指標に基づく標準交付金についてはそんなにはぶれはないんだろうということをおっしゃったわけなんです。

 じゃ、特定交付金については当然上下増減がある、しかしその幅についてはまだ分からないということなんですが、まだこの振れ幅はよく分からないということなんですが、私、やはりこれ、基本的な考え方なんだろうと思うんです。というのは、たかだか数%だったらば、果たしてそんなのやるべきことなのかと私は申し上げたいんです。

 というのは、なぜかというと、やはり一番大事なのは何度も言うように大学の自主性、自律性ですよね。自主性、自律性を担保するものといったらやはりお金なんだろうと思います、運営に係るお金。これを取り上げておいて自主性、自律性を上げろと言っても、なかなか難しいところがあると。これを果たして本当に競争にさらすべきものなのかどうかというのが私はひとつ疑問に思うんです。本来、競争にさらされるべきはもっと別の、競争的研究資金の方ではないのかなというふうに思うんです。

 もし本当に効率化を促そうと思ったらば、数%のこんな増減じゃなくて、もっととことんやるという考え方があってもいいと思うんです。ということは、この辺、基本的スタンスが定まっていれば、当然大きく増減があり得るということがありますよとか、あるいはまたそうではないんですよということが言えるはずだと思うんですよね。これから決めますというようなたぐいのことじゃないと思うんです。これは基本的な考え方がまずあればですよ、あれば。どうですか。

○国務大臣(遠山敦子君) 基本的な考え方としましては、国立大学法人におきます競争的な環境を醸成する、あるいは各大学の個性ある発展を促進するということが大変重要であるわけです。

 そういうことを考えますと、例えば中期計画終了時の第三者評価の結果というものを反映させて、次期の中期計画における運営交付金の算定というものが行われるというふうなことは、これは基本的な考え方として明示的にお話しできるわけです。

○内藤正光君 分かりました。

 これはなかなか数字のことを議論していても、まだまだ決まっていないようなので、ちょっと実のある議論もできませんので、次へ移ります。

 これまた、引き続き運営費交付金の話なんですが、大学の評価結果に基づいて運営費交付金を配分する、限られた資源をいろいろな大学に、国立大学に配分をすると。大学としてまとめて受け取るわけですね。その使い方については大学の判断にゆだねる、それは分かりました。これは大学の自主性、自律性を高めるものとして私は評価したいんです。

 しかし、ちょっとここで一つ引っ掛かるのは、いったん受け取った交付金、じゃ更にまた学内で資源配分する際、その資源配分の在り方について文部科学省としては何か一定の考え方をお持ちなんですか。これはもう完全にすべて、いや、大学の判断だよということでタッチしないのかどうなのか、お答えいただけますか。

○副大臣(岸田文雄君) 運営費交付金につきましては、いわゆる渡し切り費的なものだというふうに認識しております。ですから、使途を特定せず、各大学の判断で弾力な執行が可能となるものであります。

 ですから、学内配分につきましても各大学が主体的に判断すべき事柄でありまして、文部科学省が何らかの配分基準を示すことは適当でないと考えます。

○内藤正光君 基本的にはそれでいいと思うんです、基本的には。これに使え、あれに使えなんて言うべきものじゃないんです。

 ところが、学内配分について、すべてこれ競争力という観点から配分してしまったとしたならば、そういったことを許してしまったとしたならば、恐らくは、有馬先生もサンスクリット云々とおっしゃったんですが、少なからず人文系の学部の配分額が少なくなってしまうんじゃないのかと、そんなふうに思うんです。つまり、弱体化の道を歩んでしまうと思うんです。

 仮にも今回、学科の設置については大学の判断にゆだねるということなんですが、学部については、これは政令で定められるわけです。つまり、政府が関与しているわけですね。ですから、こういう学部はほかの私立じゃどうも採算が合わないからどこもやってくれない、だから国立大学、あなたのところやってくださいよということで設立をさせたとしますよね。設立させておきながら、後の資源配分については知らぬ存ぜぬということであるとしたなら、私は、ちょっとこれは一貫性が取れないんじゃないかなと思うんです。

 基本的な私の考えは、やはり学部の設置までも基本的には大学に自由な裁量権を与えるべきだと思うんですが、仮にも今回、この報告書では、学部の設置については政令事項になったわけです。であるならば、その資源配分についても何らかの一定の指針を出すべきだと私は思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(遠山敦子君) 正に大学の見識が問われるところですね。仮にもしここで文部科学省が、じゃ配分の基準を示すとか細々したことを示すとしたら、今回の改革の目的なり手法というものは大いに変質してくるのではないかと思います。

 しかし、それはそれぞれの大学が責任を持って、これは特に国費ですし、しっかりと使わない場合には、それは第三者評価によって厳しく批判されるということになると思いますし、私は、またその配分の仕方についても、むしろ透明にそれぞれの大学が外にも示していくということも必要ではないかなと、考え方については、そのように思うところでございます。

○内藤正光君 各大学の確かに見識が問われるところではあるとは思うんですが、やはりこれから、各大学法人、本当に経営的な側面も考慮しながらそれぞれの運営を進めていかなきゃいけないとなると、これから苦しくなる大学も当然のことながら出てくるんだろうと思います、場合によっては。そうなったときに、その見識というものがどこまで守られるのかどうかということですね。これはちょっと、ひとつ問題意識として持っておかなきゃいけないことなんじゃないのかなとは私は思うんですよね。

 やっぱり採算性が取れないところへの配分というのは、財政状況が苦しくなる中でおのずと私は少なくなってくると思うんですが、これ以上聞きませんが、何か問題意識として持っているかどうかということだけでも聞かせていただけますか。いや、そういうことはもう大学の見識に任せておけば大丈夫だよ、余り人気のないような学科であってもちゃんと学内への資源配分はしっかり行われるんだよと、そう信じて疑わないのか、いや、そういうこともあり得るかもしれないという問題意識を持っていらっしゃるのか。一言で結構なんですが、お答えいただけませんか。

○国務大臣(遠山敦子君) 個別の大学の内部的な配分については、私は大学の独自性ないし大学の英知を結集して決めるべき問題だとは思っております。

 ただ、もちろん、運営交付金というのが何か根拠がなくて額が出されるのではなくて、それなりの積算基礎を持って算定されて出されるわけですね。

 ですから、運営交付金などを出す場合の算定とか配分の基準あるいは方法というものをあらかじめ大学、国民に対して明確にしていく、それはあるわけでございます。だから、そういう鏡に照らしながらおやりになる大学もあり、あるいはその中でも重点を置きながらもっと違う配分のあれでやるというようなこともあろうかと思いますけれども、それは、国から出すお金の性質上、これは地方交付税の場合も同じですね、それは基準があって出しているわけですから。それと同じような作業はもちろんあるわけでございます。

 ですから、それ以上になお細かいことを国が言っていくというようなことは、今回のあれについては、新しい改革の方向性についてはどうかなとは思っております。

 ただ、もちろん、事態がいろいろ時間とともに変化していった場合に、より効率的に、より有効な形で使われていくのにどうしたらいいかというようなことについて、また何らか、いろんな形で英知を結集しながら、ある考え方をみんなで明らかにしていくというようなこともあるかもしれませんけれども、私は基本的には今申し上げましたような姿勢でいくべきではないかなと考えております。

○内藤正光君 では、今回のこの報告書からはちょっとそれるかもしれませんが、先ほど私はちょっと触れました競争的研究資金について若干お伺いをさせていただきたいと思います。

 私の競争的研究資金に対する考え方はと申しますと、本来、この競争的研究資金というのは、国立だとか私学だとかかかわりなく、あるいはまた、教授だとか助教授だとかあるいは助手だとかいうポストにかかわりなく、優れた研究テーマを提示した、そんな研究者の下に資金を配分し、もって日本の研究活動を活性化するものだと思うんです。

 そこで、私はこう思うんですが、大臣あるいは副大臣の競争的研究資金に対する考え方をお聞かせいただけませんでしょうか。

○国務大臣(遠山敦子君) 競争的資金は、もちろん今おっしゃったように、研究開発課題を広く募って、専門家を含みます複数の者によって科学的、技術的な観点を中心とした評価に基づいて採択をして研究者などに配分する資金であります。

 これは、その特色といたしまして、研究者の研究費の選択の幅と自由度を増大、拡大する、それから競争的な研究開発環境を形成するのに貢献する、あるいは研究者の才能を最大限引き出すということでございます。その意味で、これは私、研究者の属する設置形態にかかわりなくオープンにそれぞれ申請をして、公正、客観的に評価されるべき経費だと思います。

○内藤正光君 そこで、現在、大学関係者にとって最大の競争的研究資金と言われているいわゆる科研費についてお伺いしたいと思います。

 科学研究費補助金、科研費についてお伺いするんですが、現状をお伺いしたいんですが、まず、科研費の配分というのは一体どういうプロセスでもって決められているのか。そしてまた、科研費がいろいろな大学へどんどん配分されているんですが、ナンバーワンから、トップワンからトップトゥエンティーまで一体どんなもの、全部お答えいただく必要はないんですが、どんな感じになっているのか。そして、その中で私学は一体いつごろ顔を出すのか。そして最後に、一体、相対として、国立と私学との配分比率について現状をお尋ねします。

○副大臣(青山丘君) 競争的研究資金の約半分を科研費、科学研究費補助金が占めておるわけですが、これは御承知のように研究者の研究意識の発揚に大きく貢献してきていると思います。

 そして、その配分でございますが、科学研究費補助金が、研究者から自由な申請に基づいて、研究者からの申請に基づいて、科学技術・学術審議会、それと日本学術振興会科学研究費委員会における厳正な審査と評価に基づいて配分されているものであります。

 具体的に申し上げますと、約四千三百人規模の審査委員がそれに当たりまして、年間約十一万件にも上る申請課題がございます。これについて、ピアレビューによって書類、書面審査をまず行います。そして、科学技術・学術審議会等における合議審査によって採択課題を決定しているところであります。さらに、研究費規模の大きな種目については申請者からヒアリングを求めております。その決定を受けて、文部科学大臣及び日本学術振興会会長より研究機関の代表者を通じて研究代表者に配分されているものでございます。

 平成十四年度予算の中で、千七百三億円の配分については、審査を終了したものから順次交付内定を既に行っておりまして、四月現在、約三万九千件、約一千三百二十七億円の交付を内定しているところであります。

 それから、国公私立の配分総額の中における位置付けの問いがありましたが、平成十四年度科学研究費補助金のうち既にその交付内定を行った分につきましては、配分総額の上位二十大学のうち、私立大学は二校含まれております。

 具体的に申し上げますと、慶応義塾大学が第十一位に、早稲田大学が第二十位となっておりまして、国立、私立の別で見ますと、配分額、配分割合につきましては、国立大学が約九百六十五億四千万円、既に交付内定を行った額の七二・七%、私立大学が約百七十七億五千万円でございまして、配分割合は一三・四%となっております。

○内藤正光君 国立と私学の配分比率が、国立が七二%、私学が一三%。これなどは私学の数に比べると余りにも何か国立に偏っている嫌いがあるなというふうな思いがします。実際、この審査に当たる学術振興会ですか、この構成メンバーもほとんどが国立大学関係者だという話も聞いております。

 そうなってくると、やはり私は、何というんですか、競争的研究資金の持つ意味合いというのが半分ぐらいそがれてしまうんじゃないのかと。本来、競争的研究資金というのは、国立だとか私立だとかは全く関係なく、あるいはまたポストに全く関係なく、すばらしい研究アイデアを出してきたところに対して資金を上げる、これが競争的研究資金なんですよ。やはり最初から国立だけというふうに枠を作っちゃうということは、私は、この持つ意義が半分以上失われてしまう。これは余り深く議論するつもりはありませんが、やはり今後、こういった今の現状を見直していただきたいですね。もっと競争的研究資金の意味を開花させる意味でも、こんな一国立だけにとどまっていたら、もう日本そのものが沈没してしまうんですよ。

 ちょっと最後、この件に関して最後なんですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(遠山敦子君) 今ちょっと御質問の中に大変な誤解がありましたので手を挙げましたけれども、決して国立大学に枠があるわけではございません。

○内藤正光君 分かっています。

○国務大臣(遠山敦子君) これは恐らく副大臣が答えてくださると思いますけれども、そもそもの申請件数が全然違うわけですね。

 じゃ、この後はちょっとお願いいたします。

○副大臣(青山丘君) 本来的に国公私立に全く関係なく、厳正公正な審査に基づくものでございまして、結果としては御指摘のような結果があるかもしれません。

 今、大臣がおっしゃられたように、まず申請件数全体に占める私立大学の割合でございますが、全体の二五・三%、それから採択件数に占める私立大学の割合は二一・三%。その辺りは大体比例していると見るべきでしょうが、結果的に見まして、私立大学への配分額が例えば教員数の割合から見ますと非常に少ないかのように印象を受けますが、国立大学教員の申請率が九六・四%でございます。九六・四%。私立大学教員の申請率が三〇・九%にとどまっておりまして、私立大学研究者からの申請そのものがまず少ないということになっておりますので、これからは説明会等で私立大学の研究者から積極的な申請がいただけるようにしていきたいと考えております。

○内藤正光君 確かに、私学の方もそういった積極性がなかったのかもしれない。しかし、ただ厳然とした事実は、この審査に当たる審査員のほとんどが国立大学関係者だ、これは否定し難い事実なんです。この辺もやはり何らかの形で私は見直していくべきだと考えるんですが、青山副大臣。

○国務大臣(遠山敦子君) この点もやっぱり客観的な数字だけを押さえていただきたいと思うんですけれども、審査員の選考を依頼する段階、それから選考後に、選考する段階におきまして私学の研究者を十分配慮するようにということで私どもも言っておりますし、結果的には私学の関係者が二三・五%でございます。国立は六五・八%でございますけれども、その他の人も一〇・七%あるわけでございます。

 したがいまして、審査が国立のみで行われているかのようなことは、むしろそういうことについてはどんどん払拭していただいて、私はもっと私学の研究の、研究者の厚みが出てきた段階なんかはもっと増えてきていいとは思っておりますが、少なくともデータに基づいた御議論をしていただけたらと思います。

○内藤正光君 いや、データに基づいて言っているんです。もうこれ以上は、あと十分ほかにやりたいことがあるので余り触れませんが、データに基づいていない議論をしているようなちょっとその発言は私はちょっと聞き捨てならないんですが、しっかりその辺、また何だったら今度一時間時間をもらってやりたいと思いますので、最後ちょっとインブリーディングについてお話をさせていただきたいと思うんです。

 科学技術審議会の議論でも、日本の大学におけるインブリーディング率、いわゆる純血主義ですね。つまり、自校出身者がそのまま助教授だとか教授だとかのポストにぽんと上がってしまう、そのままストレートに、そういうインブリーディングの高さが指摘されているわけでございます。また、この審議会の議論の中でもこういった発言もあるわけなんですが、インブリーディングになっている研究室より、高い頻度で人材流動が起こっている研究室の方がグローバルスタンダードで良い仕事をしているんだというような指摘もあるわけなんです。

 実際に科学技術審議会の中で配られたこの資料を見てみましても、なるほどなと思いますね。日本の教官のインブリーディング率、平均してみると、大学院なんですが、大学院の教官なんですが、六二%あるんですね。高いところは農学部があるんですが、農学部については八四%、純血主義ですね。で、低いところ、理学部なんですが、その理学部ですら五一%という高さなんですね。

 一方、じゃこれが高いのか低いのかというのを判断する一つの材料として、これは同時に外国の、アメリカの数字も出されています。これは審議会の中で出されたちゃんとした数字ですので、大臣、聞いておいていただきたいんですが、カリフォルニア大学九校を平均してみると二二%だというんですね。かなり日本のインブリーディング率、いわゆる純血主義の高さが目立つわけなんですが。

 そこで、今回、この報告書、職員の身分を非公務員型にしたいだとか、あるいはまた任期制や公募制の積極的導入をしなさいとかいう内容をうたっていて評価はできるんですが、ただインブリーディングに対する考え方が見られないのはちょっと残念なのかなとは思うんです。

 例えばドイツなどでは教授に昇進するときにインブリーディングというものを一〇〇%禁止しているだとか、あるいはまたほかの国々でも何らかの規制があるやに聞いております。

 そこで、インブリーディングに対する大臣あるいは副大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。このままでいいのか、あるいは何らかのある一定の指針なり方針を作るべきなのかどうか。

○国務大臣(遠山敦子君) 私はその点は全く賛成です。

 私は、これからの国立大学及び、まあすべての大学ですけれども、それが本当に国際化しているか、あるいは国際的に通用できているかという点は、それはいかに純血主義から脱しているか、あるいは優れた外国人研究者を始めとする異質な方々、その大学にとっては異なった経歴を持つ人たちをどれだけ取り込んでいるかということが大変な大きなメルクマールになると思っております。

 このことは大学審議会におきましても、平成八年に既に、「大学教員の任期制について」の答申の中で、教員の流動性を一層高めていくことが必要であると言っておりますし、平成十二年の審議会の答申の中でも、例えば自大学出身の教員の採用率の自主的な上限を設定するなどの工夫を行えと書いてございます。

 私も、将来、大学の評価の中に、いかにインブリーディング率を下げていったかというようなことも、これは一つの見方として入れ込んでもいいくらいではないかと個人的には思っているわけでございますが。

 いずれにいたしましても、ただ努力はかなり最近行われておりまして、分野によっては、先ほどもおっしゃいましたように、特に理学系、工学系のようなところはかなり外国人を入れたりして自らその問題について対応しつつあると思いますが、なおこの点については加速をしてもらいたいと思っております。

 で、この法人化がそのことをやりやすくする、そういういい契機になるのではないかと思っております。

○内藤正光君 大臣が個人的にと強調されておっしゃったことを是非私は実現すべきだと思うんです、正に。私はすばらしい考え方だと思うんです。あるいは中期目標だとか中期計画の中にそれを入れ込まないともう認めないだとか、あっ、中期目標ですか、入れ込まないと認めないだとか、あるいはまた、着実にインブリーディング解消に向けて努力しているんだということが評価の対象になるんだとか、私は具体的に大臣のこの個人的な考え方を政策の中に反映していただきたいと思うんですが、御決意をお聞かせいただけますか。

○国務大臣(遠山敦子君) 微力を尽くしたいと思います。

○内藤正光君 分かりました。

 本当はもうちょっと一つ大きな柱をお伺いしたかったわけなんですが、残された時間も四分でありますので、ちょっと基本的な考え方を一つお伺いしたいと思います。

 私たち民主党の考え方は、やはりこれから本当に国立大学、こんなにもたくさん必要なのと。やはり私学だとか地方移転、移管、どんどん進めていくべきじゃないのか、で、どうしても国立じゃなきゃできないな、国立が果たすべき役割だなというものがあったときに限り国立大学としてそれを残すという考え方なんです。

 そこで、大臣にお伺いし、あるいは副大臣にちょっとお伺いしたいんですが、基本的な考え方なんですが、国立大学の意義って何なんでしょう。で、いや、私学じゃできないけれども、国立じゃなきゃできないものって一体何なんでしょう。それを一つお伺いしたいと思います。

○国務大臣(遠山敦子君) もちろん、絶対にできないかという確度で言うべきことであるのかというのはもちろんございますけれども、私としましては、日本の国立大学といいますものは、日本の研究、それから研究者養成の主力を担っていると、こういうことは一点ございます。また、大学教育の機会均等に資しているという点は言えると思います。これは国立大学の全国配置のことをごらんいただきますれば、私学がどちらかといえば主要都市に集まっているものに比べまして、これは配置の考え方が違うというようなこともございますし、特に理工系の人材養成、大学院の人材養成及び研究の内容、そういったようなこと、それから地域の活性化への貢献などの面でも重要な役割を担ってきていると考えています。

○内藤正光君 大臣のおっしゃったこと、なるほどなと思いながら聞く一方で、反面、でもやり方によっては必ずしも国立である必要もないわけなんですね。例えば、すべての人に学ぶ機会をというのであれば、それはバウチャー制度でもって対応すれば、それは私学であってもいいわけですよね。地域の振興という観点でも、じゃアメリカの大学、私学がじゃ地域振興に何も役割果たしていないかというと、結構、私学、私立の大学、地域振興にかなり大きな役割を果たしているわけですよね。

 やっぱりそう考えてきますと、国立大学が担うべき役割というのはかなり限定されてくるんだろうなと思います。例えば一つの考え方として、すごい大きな巨額な資金を要すようなビッグプロジェクト、これを果たしてじゃ私学でやれるかというと、これは難しいところがあろうかと思います。これなどはやはり国立大学がやるべきことなんだろうと。あるいはまた、国益に絡むことで国の意思を、例えばこれからバイオの分野を強化していかなきゃいけないというような、そういったところを具体化してくれるのが例えば国立大学であったりとかしてもいいと思うんですよね。

 ですから私は、やはりいま一度ここで、何も私は全部の国立なくせと言っているわけじゃないんですが、本当に国立じゃなきゃできないこととは何なのか、国立大学の意義というのをいま一度しっかり議論してみるべきだというふうに思います。

 大臣、私の今申し上げた考え方に賛成するかどうかは別として、いま一度省内でしっかりと各界の有識者も巻き込んで議論をし、国立大学のこれからの意義、じゃないと何年たっても同じような議論が出てきちゃうと思うんですよ、国立大学廃止だ廃止だなんて、そうならないためにも、いま一度ここでしっかりと議論をしていただきたいというふうに思います。もし何か一言あればおっしゃっていただいて、私の質問を終えます。