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第154回国会 文教科学委員会 第8号
平成十四年四月二十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     辻  泰弘君     神本美恵子君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     泉  信也君     扇  千景君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     大仁田 厚君     松山 政司君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     松山 政司君     大仁田 厚君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     大仁田 厚君     舛添 要一君
     加納 時男君     小泉 顕雄君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     金田 勝年君
     後藤 博子君     岩城 光英君
     舛添 要一君     大仁田 厚君
     山本 香苗君     鶴岡  洋君
     畑野 君枝君     市田 忠義君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     岩城 光英君     後藤 博子君
     金田 勝年君     有村 治子君
     鶴岡  洋君     山本 香苗君
     市田 忠義君     畑野 君枝君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     小泉 顕雄君     加納 時男君
     後藤 博子君     伊達 忠一君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     藤井 基之君
     伊達 忠一君     後藤 博子君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     藤井 基之君     有村 治子君
     輿石  東君     内藤 正光君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         橋本 聖子君
    理 事
                阿南 一成君
                仲道 俊哉君
                小林  元君
                風間  昶君
                林  紀子君
    委 員
                有馬 朗人君
                有村 治子君
                大仁田 厚君
                後藤 博子君
                中曽根弘文君
                岩本  司君
                神本美恵子君
                鈴木  寛君
                内藤 正光君
                山本 香苗君
                畑野 君枝君
                西岡 武夫君
                山本 正和君
   国務大臣
       文部科学大臣   遠山 敦子君
   副大臣
       文部科学副大臣  青山  丘君
       文部科学副大臣  岸田 文雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房長       結城 章夫君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   近藤 信司君
       文部科学省初等
       中等教育局長   矢野 重典君
       文部科学省高等
       教育局長     工藤 智規君
       文部科学省研究
       振興局長     遠藤 昭雄君
       文部科学省国際
       統括官      白川 哲久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関
 する調査
 (国立大学の法人化に関する件)

    ─────────────
○委員長(橋本聖子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十一日、辻泰弘君が委員を辞任され、その補欠として神本美恵子君が選任されました。
 また、去る十二日、泉信也君が委員を辞任され、その補欠として扇千景君が選任されました。
 また、昨二十四日、輿石東君が委員を辞任され、その補欠として内藤正光君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(橋本聖子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会に文部科学大臣官房長結城章夫君、文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、文部科学省高等教育局長工藤智規君、文部科学省研究振興局長遠藤昭雄君及び文部科学省国際統括官白川哲久君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(橋本聖子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(橋本聖子君) 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○有馬朗人君 皆さん、おはようございます。
 今日は、国立大学の法人化について中心に御質問申し上げたいと思います。この問題を論ずる際にいつも私は自己批判をしているようなところがありまして、今までの一生のことを総括するような気がして、今日御質問申し上げます。
 まず、英国のエージェンシーの日本版である独立行政法人の考えが初めて浮上しましたのは、当時の橋本龍太郎総理を会長とする行政改革会議においてでありました。そして、一九九七年九月には東京大学と京都大学を独立行政法人化しようという提案が会議の中で水野清事務局長よりなされました。
 私は、直ちに反対いたしました。その主な理由は、日本は高等教育への公的、財政的支援をもっと強化しなければ国際競争に負けてしまうこと、欧州先進国では大学の九〇%以上が英仏のように国立かドイツなどのように州立であること、私学が多いのは日本とアメリカで、どちらも大学総数中七五%あるが、日本では七五%の学生を私学に依存しているのに反してアメリカでは四〇%にすぎず、校数は少ないが州立大学が六〇%の学生を教育していることでありました。私は、国立大学の独立行政法人化を図るのではなく、もっと高等教育への財政的援助を増大し、私学助成を強化すべきであると主張いたしました。
 また、当時より国公私立大学は大学の改革に積極的に取り組んでいましたから、一九九七年十二月の最終報告では、国立大学の改革の方策の一つとしての可能性を独立行政法人化も視野に入れて考えようという結論になりました。一九九九年四月の閣議決定ではこの報告の結論を一歩進め、国立大学の独立行政法人化については、大学の自主性を尊重しつつ大学改革の一環として検討し、平成十五年までに結論を得るということになりました。
 文部省としてもこの線に沿って検討を進め、一九九九年の八月より有識者による国立大学等の在り方に関する懇談会を発足させ、その審議の結論を考慮に入れて、一九九九年九月二十日に国立大学の独立行政法人化を検討する際の基本的な方向を私及び高等教育局長より国立大学の学長会議に提示し、この線に沿って検討を始めるべく要請いたしました。その際、身分は公務員型といたしました。
 ここで、私が行政改革で反対したのにその考えを変えたのはなぜかと申しますと、文部省及び私自身の調査によって、欧米先進国の多くの国立、州立の大学が法人格を持っていて、そのことにより大学が独立性、自律性を持っていることを知ったからであります。
 以上、私自身が強くかかわったことについてまとめて申し上げました。このようなことを前提にして幾つかの質問をさせていただきます。
 まず第一問は、その後、文部科学省及び国立大学協会で検討され、先週の四月十九日金曜日に国大協臨時総会が行われ、一つの結論に達したと伺っておりますが、そのことについてお教えください。
○政府参考人(工藤智規君) 先週、四月十九日に国大協の臨時総会があったわけでございますが、これは、先月、三月二十六日にこれまで調査検討会議で進めてまいりました国立大学の法人化の方向についての最終報告が取りまとめられたのを受けて、国大協としての御審議をいただいたものと承知してございます。
 調査検討会議の最終報告では、既に御承知のとおりと存じますけれども、主な内容としまして、大学ごとに法人化することによりまして自律的な運営を確保し、各大学の切磋琢磨による国際競争力の育成を図ること、それから二番目には、教職員の身分を非公務員型とすることによりまして、各教職員の努力と実績に応じた処遇の実現でございますとか、あるいは産学官連携など教員の多彩な活動を活発化させること、三つ目に、学外者を役員等に参画いただきまして、役員会によるトップマネジメントを導入することによりまして透明で機動的、戦略的な大学運営を実現すること、さらに四つ目としまして、第三者評価の導入によりまして事後チェック方式に移行することによりまして、各大学の個性に応じたそれぞれの努力や実績が適切に評価されて個性的な発展が図られることなどをうたったものでございます。
 この最終報告を受けた国大協での御論議の結果、会長談話が取りまとめられまして、その談話の中でこう述べてございます。二十一世紀の国際的な競争環境下における国立大学の進むべき方向としておおむね同意できるというのが第一点、さらに国大協として最終報告の制度設計に沿って法人化の準備に入ることということなどが明らかにされたところでございます。
○有馬朗人君 今お聞きしたところでは公務員型ではなく非公務員型ということでありましたが、非公務員型を良しとする理由は何でしょうか。
 その際、非公務員型でも、国としての財政的支援が今までどおり、願わくばそれ以上に行われる保障はどのようにして約束されるのでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 法人化後の国立大学の教職員の身分でありますが、調査検討会議の最終報告において、国家公務員法等にとらわれないより柔軟で弾力的な雇用形態、給与体系、勤務時間体系、さらには外国人の学長あるいは学部長等管理職への登用、あるいは兼職・兼業の弾力的な運用、さらには試験採用の原則によらない専門的知識、技能等を重視した職員の採用、こうした点で、弾力的な人事制度を実現し得るという点で非公務員型の方が優れた面が多いというふうにされているところであります。メリットとしては、ここに挙げられている点が挙げられると存じます。
 また、国からの財政支援につきましては、これは公務員型あるいは非公務員型、いずれの場合でも取扱いは異なるものではないと考えておりますので、その運営費交付金等において必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
○有馬朗人君 そこのところは是非しっかりやっていただきたいと思います。外国人が多く採れるとか外国人を学長にすることができる、こういうことは私は非常に評価をいたします。
 私は、教育や研究を行う大学が独立行政法人として、行政の一環として取り扱われることには終始反対をしてまいりました。
 そこで、国立大学を法人化したときの名称はどのようなものになるのでしょうか。また、その際、国立大学法人のための法律は、独立行政法人法とは別個に新たに作られるのでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) 今後、更に政府部内等で検討しながら、また御審議を賜りたいと思ってございますが、先般まとめられました最終報告で御提言いただいておりますことによりますと、法人化後の大学の名称でございますが、先行しております独立行政法人は独立行政法人何とかかんとかということでございますけれども、国立大学につきましては、一つには、高い自主性、自律性を前提にしながら大学教育、それから学術研究を主体的に展開する法人であるということ、二つ目には、従来から国立大学の総称が社会的にも広く定着しているということ、三つ目に、所要の財源措置が前提とされておりまして、学校教育法上の設置者としては国立とする方向で整理する必要があるということ、ということなどを総合的に勘案しまして、国立大学法人何とかかんとかという方向が示されているところでございます。
 それから、実際の法案でございますけれども、これも今後の検討によるのでございますが、最終報告での御提案は、独立行政法人通則法とは別に国立大学法人法あるいは国立大学法というような形で制定するのが適当であるという御提言をいただいているところでございます。
○有馬朗人君 私も、是非その方向でお進めいただきたいと思っております。
 例えば、国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議、ただいまお話がありました報告、新しい国立大学像についてという報告書などにおける国立大学法人化の議論において、いささか実行策の策定に中心があり過ぎるように感じております。
 そもそも大学とはいかなるものか、その本質についてどう考えるかが重要だと私は思います。この点についての文科省のお考えをお聞かせください。
 私は、社会ですぐ役立つような教育研究も大切ですが、すぐには日に当たらないような基礎的なものも大切だと思っています。各大学は、その理想とする理念、目的等、言わば建学の精神を持つべきであり、それを長期目標とすべきであります。
 ところが、今回の調査検討会議では、中期目標について論じられてはいますが、長期目標には触れられていないのはどうしてでしょうか。大学は、人類の英知を継承し、発展するための教育研究の中心の場であるべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。この点に関しては、遠山大臣より御見解をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 大学のあるべき姿といいますか、大学の持つ使命といいますものは、私は今、有馬委員が御指摘になりましたように非常に大事なものがあると思っております。
 一つは、教育を通じて優れた人材を輩出することでございます。これは大学の使命の中で最も大事なことだと思っております。同時に、大学におきましては、優れた研究を展開をしまして独創的な研究を行う、あるいは人類の英知が積み重ねてきた知の体系というものを継続させていく、そういった大変重要な使命があると思っております。同時に、それは研究者が自ら満足して研究するということだけではなくて、その研究を通じて社会に役立っていくという面も大変大事ではなかろうかと思っております。
 したがいまして、教育研究というものを立派に遂行していただくのと同時に、社会貢献ということも近時では特に大事になっておりますし、これからの日本を考えましてもそのことは大変重要と思っております。その中で、社会に役立つ研究、あるいは実際の産業にも役立っていく分野ももちろん大事だと思いますし、しかし、より長期的な目を持つといたしますと、五年後、十年後のことだけではなくて、五十年、百年先の人類の知にどう貢献していくか、あるいはその後、そのころにおける日本の知的存在感というものを増していくために大学がどうあったらいいかというようなことも含めますと、基礎研究というものは非常に大事だと思っております。
 そうした私は三つの大変重要な機能が大学にはあるわけでございまして、そのこと自体は言わば余りにも自明なことと考えております。今回の報告におきましてそのことが取り上げられておりませんのは、むしろ余りにも自明であるということで、その後にあるいはそのことを本当に達成していくためにどのような組織、どのような予算形態、あるいはどのような設置形態であればいいのかということが論じられたものではないかと思っているところでございます。
 したがいまして、それぞれの大学はそうした本来大学が持つべきいろんな機能の中から、自らの大学の特色としてうたい上げる理念あるいはその設置の精神というものを明確にしていく、そのようなことは大変大事な時代に入ったと思っております。
○有馬朗人君 ありがとうございました。
 自明ということは時々忘れるということでもありますので、これ、是非とも自明なことをきちっと自明にしておいていただきたいと思います。
 国立大学法人化に際し、具体的な問題について更に質問をさせていただきます。
 大学における自己点検、自己評価はかなり各大学に浸透し、実行されております。さらに、第三者評価、外部評価も抵抗が少なくなったと思います。一九九三年に東京大学の学長として、東京大学理学部で初めて外部評価を実行いたしました。外国人を含めて実行いたしましたが、その際、大学の自治が侵されるというような学内外の強い批判や反対を考えますと、今昔の感に堪えません。
 法人化されると文科省に評価機関が設置されることになります。その際、どのような人によってどのようなことが評価されるのかお教えください。その際、私は、教育研究に自ら携わる人々による、すなわち同僚による評価が大切と思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) 御指摘のように、これまでの各大学における自己点検・評価、それから外部評価の経験を踏まえましてこの最終報告での御提言もなされてございまして、国立大学の事後的な評価をするに当たって、文部科学省にこれまで置いております独立行政法人評価委員会とは別に国立大学評価委員会を置くべしということが提言されてございまして、その構成につきましては、社会、経済、文化等の幅広い分野の有識者の方々を含めまして、大学の教育研究や運営に関しまして高い識見を有する方によって構成すべしということが言われているわけでございます。
 また、具体的な評価の手続につきましては、各大学がその中期目標の達成度等につきまして、自ら点検・評価を行いまして、それを御報告いただく。その御報告いただきましたものを、特に教育研究に関する部分につきましては専門的な観点から大学評価・学位授与機構を活用してそこでの専門的な評価をお願いし、更に運営面なども含めた全体について、先ほども申しました評価委員会で総合的な評価を行うというような方向が提言されているところでございます。
○有馬朗人君 目的が比較的狭く定まった研究所と違いまして、大学では広い分野について教育研究が行われ、時にはごくごく少数の専門家が研究教育をしていることも多いのであります。そのような分野についてはどのように評価をなさるのでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 調査検討会議のその最終報告を見ますと、今、先生御指摘のように、大学が多様な活動を行っていることを踏まえて、国立大学評価委員会による評価に先立って、まず各大学における自己点検、自己評価を実施する、そして、そのうち教育研究に関する評価については外部の専門的な機関である大学評価・学位授与機構を活用する、その上で国立大学評価委員会が総合的に評価するという仕組みが報告の中で盛り込まれております。基本的には、こういった仕組みの下にそういった様々な多様な分野の活動を評価していくということになると存じます。
○有馬朗人君 私はよくサンスクリットについての教育や研究を例に取りますが、このような地味な、日の当たらない、しかし重要な分野の教育研究をどのようにして今後推進していったらばよいか、お考えをお聞かせください。
 このような分野は、応用の利く科学や技術の分野と違って外部より財政的支援を受けにくいと思いますが、どのようにして支援していただけるのでしょうか。このような、すぐに利益を生まない人文科学や自然科学の中でも極めて基礎の教育や研究、これこそ国として育てていかなければならないと私は考えますが、この点いかにお考えでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 国立大学というもの、御指摘のような分野も含めて我が国の学術研究の推進に大きな役割を担っております。この役割は今後とも強化をしなければいけないという認識でおります。
 そこで、今回の法人化は、このような国立大学に期待される機能を十分発揮するため、国としての一定の財政措置を当然の前提としつつ、その自律的な運営を確かなものにするためにいろいろ工夫を行うというのがこの提言の趣旨であります。ですから、最終報告で、事前の規制を緩和し、各大学の創意工夫により教育研究の柔軟な展開が可能とするよう提言をしている一方で、各大学の目標、計画の策定の認可ですとか、国立大学評価委員会による業績評価ですとか運営費交付金の措置ですとか、こうした仕組みによって設置者である国がしかるべき責任を果たすための仕組み、こうした仕組みも併せて提言されているわけであります。
 こうした仕組みを十分活用して、御指摘のような分野を含めた教育研究についても充実強化が図られるよう、その具体化、進めていかなければいけないと考えております。
○有馬朗人君 実は、イギリスに行ったときにイギリスの大学の状況を聞いたのですが、ケント大学であったかと思います。フランス語が非常に評判が悪い、そこでフランス語の教官の後任を採れないという状況になっているというようなことがありました。こういうことにならないように、やっぱり基礎的な学問分野についてはお守りいただきたいと思います。
 個々の大学ごとに設置された場所、規模、目的に違いがあり、それぞれの大学が特徴を持っています。そこで、大学評価・学位授与機構などによる評価は十分きめ細かく多様でなければなりません。共通の尺度で測ることも必要でありますが、それぞれの大学に即した尺度も必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) おっしゃるとおりと考えてございます。
 現在、大学評価・学位授与機構が評価の試行をしているわけでございますけれども、各大学の特色や個性に応じた自己点検・評価を基にしながら、かつ大学関係者と相談して、機構が設定した多様な観点から行ってございます。今度、法人化後の評価の在り方についても、このようなスキームを大体想定してございまして、大学の教育研究、専門的な観点から、この評価機構が評価するに当たりましては、各大学による中期目標の達成度等につきましての自らの点検・評価を基にしながら、大学の特色等を踏まえて一層きめ細かく、多様な観点から実施する必要があると考えてございます。
 いずれにしても、今、日本の場合になかなか、評価の仕組み、システム全体が欧米諸国に比べましてまだまだ未定着な部分もございますので、この大学評価・学位授与機構の試行段階でテストランをびっちりやっていただきまして、この制度設計に合うように、かつ御指摘のように各大学の個性や特色が失われないような適切な評価が行われるように努めてまいりたいと思っております。
○有馬朗人君 評価を受けた大学が、それに対し質問し、説明し、時には反論できるようにしておかなければいけないと思っています。そして、評価機関はそれに対して答えるべきであり、善処すべきであると思いますが、どうお考えでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) これにつきましても御指摘のとおりでございまして、最終報告書の中でも、国立大学評価委員会及び大学評価・学位授与機構は、評価を決定する前にその結果を大学に示して、大学からの意見の申立ての機会を設けるべしということとされているところでございまして、相互の意見交換の下に適切な評価が実施される必要があると考えております。
○有馬朗人君 次に、非公務員型になることに関して二、三質問をいたします。
 大学外の職を併任でき、報酬を得ることも自由にするために非公務員型を導入するという御説明でありました。本当にそれができるのでしょうか。
 私自身が理事長をしていた理化学研究所は特殊法人で非公務員でありました。あるとき、某私企業の社外監査役に私は任命されました。そのとき、理研が属していた科学技術庁は、監査役になることは許可するが、給料はもらってはならないとのことで、私は無給で数年監査役を務めました。国立大学が法人化したときには、このような制約は本当になくなるのでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 現行の兼職・兼業制度ですが、国民全体の奉仕者であります公務員という基本性格を大前提として定められておりますので、例えば勤務時間を割くこととなるような兼業は、職務の遂行に支障を生じるおそれがあるというようなことから基本的に認めないとか、いろいろと制限があったわけであります。
 法人化後におきましては、各大学法人が教員等の勤務形態、兼職・兼業のルールを自ら定めるわけですから、このルールの中で多様な勤務形態を導入したり、あるいは学外における産学官連携活動に従事することができるとか、こうした場合を規定することができる、要するに広く認めることが可能になるというふうに考えております。こうしたそれぞれの大学のルールの中で、より弾力的な兼職・兼業制度というものが作られていくものだと考えております。
○有馬朗人君 繰り返し申しますけれども、理化学研究所は特殊法人で非公務員型でございました。今でもそうなんです。非公務員だからといって、直ちにこういう制限がなくなるわけではないと私は考えているので御質問した次第であります。
 省庁によってどうも取扱いが今でも違うようなところがあると聞いております。兼業に関してアメリカの大学は自由だといいますが、私が勤めていたニューヨーク州立大学ストーニーブルックではかなり制約がありました。もちろん、御承知のように、アメリカの大学の給与は十か月分だけが支払われます。そして、あとの二月は何をやろうと自由であります。私は、その二か月の給与はアメリカのエネルギー省よりもらっておりました、研究費ももらっておりましたが。この給与をもらっている十か月内の兼業はやってもよいが、週末であるとか、月曜日より金曜日までの間であれば、外よりの給与の分だけ大学よりの給与を減らすと言われたことがあります。アメリカの例であります。また、休講はなかなか許可してもらえませんでした。
 国立大学法人では、どのように産業界などとの併任、兼任を許可するのでしょうか。
○政府参考人(結城章夫君) まずアメリカの州立大学の場合でございますが、教員の兼業についてはそれぞれの大学において異なるルールが決められておるというふうに聞いております。御指摘のように、兼業期間や給与についての制約を設けている大学もあると承知しております。
 そこで、これからの我が国の国立大学法人の場合でございますけれども、兼業を全く自由に行えるようにするということはちょっと考えにくいわけでありますが、国家公務員法体系の下で人事院承認などを必要としております現在の兼業許可制度と比べまして、各大学法人がそれぞれ定めます就業規則などで弾力的かつ迅速に各大学法人のそれぞれの御判断で兼業許可がなされていくことになると考えております。
 したがいまして、法人化後は、各大学法人の責任と判断において、それぞれの個性や特色に応じた兼業に関するルールが定められ、産学官の連携が積極的に柔軟に展開されていくことを期待しているところでございます。
○有馬朗人君 兼任するような活力のある教員が多いことは望ましいと思います。しかし、大学本来の目的であり義務である教育と研究がおろそかになってはいけません。緩いことが望ましいのですが、何らかの歯止めの条件があるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(結城章夫君) 国立大学の法人化後におきましても大学の教員による教育と研究がおろそかになってはならないということは、正に御指摘のとおりだと考えます。
 法人化後は、どのような場合に兼業を認めるのかについては、最終的には各大学法人が本務との関係や利害相反関係などを勘案して定めます就業規則などによることになるわけでございます。各大学法人の良識の下で、学生に対する教育研究指導とか各教員の研究活動に対する時間が十分に確保されるということで、言わば本務に支障のないということで兼業を認めていくということになるものと考えております。
○有馬朗人君 教員は、本来、どんどん働く場所を変えていく大きな流動性を持つべきだと私は思っています。したがって、教員は、非公務員型であろうとなかろうと、教育研究についての環境が良ければ満足するでしょう。
 私は、事務系・技術系職員の身分が心配です。現在、公務員として身分保障されている人々を非公務員型へ移行するにはどのような手続を踏まなければならないのでしょうか、お伺いいたします。
○副大臣(岸田文雄君) 事務系・技術系職員の身分の取扱いですが、個別法において、法人成立の際に、当該国立大学法人の職員に身分を移行する旨の措置を講ずることになるというふうに考えております。そして、医療保険、年金、宿舎などについては引き続き国家公務員と同様の扱いをするほか、退職手当の在職期間通算のための所要の法的措置を講ずる必要があるというふうに考えております。
 また、身分保障という点につきましては、各大学の就業規則によって労働条件や解雇事由が定められるということになることから、この辺りは各大学で適切に定められることを期待したいというふうに考えております。
○有馬朗人君 大変細かいことで恐縮でありますが、移行時の明年四月の新規採用者にはどのような条件を示すべきでしょうか。その採用の仕方をお教えいただきたいと思います。特に、大きな大学では相当の人数を採りますので、どのようにして採用すればよいのでしょうか。今までどおり公務員試験で合格した人々から採用してよろしいのでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 明年は、四月の新規職員採用については従来どおり国家公務員採用試験の合格者から採用することとなります。ただ、その際に、採用者に対して、将来、国立大学が法人化に移行する際、国家公務員の身分を失うことになる、この旨を十分説明し、移行の際に混乱が生じないよう配慮をすること、これが大切だと思っておりますので、是非この辺りをしっかりと配慮していきたいと考えております。
○有馬朗人君 良い人が採用されれば有り難いと思っています。
 報告にも指摘されておりますが、流動性の確保のため、数大学を含むブロック中で事務・技術系職員の交流が考えられていますが、これに対してはどのような法律が作られるのでしょうか。単に関係大学間の合意だけで行われるのでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 法人化後におきましても、事務系職員等の能力の向上とか組織の活性化を考えますときに、この大学の枠を超えた幅広い人事交流が可能な仕組みを整えること、これは重要な点であります。
 地域や分野、機能等に応じて、各大学等を始め、幅広い人事交流を促進するための協力体制、仕組みの整備、さらには各大学間等の退職手当の相互期間通算、国等との交流の場合の退職手当の期間通算等の措置、これらの方策の検討が必要であるというふうに考えております。
 なお、その非公務員型の人事交流につきましては、就業規則に具体的な取扱いが定められることとなっておりまして、各法人において、人事交流の意義を踏まえて、この就業規則に基づいて法人間の人事交流が円滑に行われるよう期待したいと考えております。
○有馬朗人君 兼業の可能性の少ない事務系・技術系職員は公務員型でということは全く不可能なんでしょうか。一つの法人の構成員が、一部は非公務員、残りは公務員ということは煩瑣には違いありませんが、まず、制度の急変を避けるために、第一期に公務員型で、やがて非公務員型へ移行するというようなやり方は全く考えられないのでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 独立行政法人通則法、この法律によりますと、職員に国家公務員の身分を与えるかどうかは、当該法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して決定するということになっております。したがって、この法律に従いますと、同一法人の職員の中に国家公務員の身分を有する者と有さない者を混在させることは独立行政法人の制度上想定されていないものということになります。
 そうしますと、国立大学法人についても、同一法人の中で事務・技術系職員だけ教員と区別して公務員としての身分を与えるということ、これは制度上なかなか難しいというふうに考えております。
○有馬朗人君 しかし、ひとつお考えいただきたいと思います。
 国立大学の統合を推進しようとされていますが、その理由をお聞かせください。目的とするものが、志を同じにして統合することは望ましいのですが、私は、総合大学で、目的の違う、やり方の違う学部がただ併存しているだけで、総合性が発揮されていないような大学もあると見ております。特に、設置の場所が離れている学部を持つ大学です。そのようなところは専門性を考慮してむしろ独立させた方がよいのではないでしょうか。特に、ポリテクニック型の徹底的な技術教育について私はそう考えておりますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) 私ども、大学と御相談しながら今検討しております再編・統合は、統合ありきではございませんで、再編・統合と言っておりますように、これだけ財政事情が厳しい中で、せっかく、国立大学全体を通じますと定員、予算含めて相当のリソースがあるわけでございまして、かつ、各大学は教育上あるいは研究上の事情で、いろいろ、あれを入れたい、これをやりたい、大変ニーズがあるわけでございますが、なかなか対応し切れていない部分がございます。したがいまして、一足す一が三にも四にもなるような、そういう教育あるいは研究上のパワーアップのために大学で御検討いただいているところでございます。
 いたずらに総合大学を目指すとかあるいは短期大学をなくすとかいうことではございませんで、今申したような趣旨で各大学が、例えば先般、今国会で御賛成賜りました統合でいえば、山梨大学と山梨医科大学、あるいは筑波地区の統合ございますけれども、医学部と工学部の関係者による言わば近接した研究領域が新たに開拓されて、それに対する体制整備でございますとか、教養教育の充実でございますとか、そういうそれぞれの大学の教育研究上のメリットをよく吟味しながら対応していただいているところでございまして、私どもも今後とも目配りしてまいりたいと思っております。
○有馬朗人君 山梨大学と山梨医科大学の合併に関しては、私は賛意を表します。それは、元々山梨大学が医学部をつくろうとして予算要求の準備をしておったところに、各県に一医科大学をという方針が国として定まったために分けられたという歴史がありますので、それが元に戻って一緒になることは私は賛成いたします。ただ、今、局長言われたように、統合ありきではなく、やっぱり慎重に各大学の目的をよく聞いた上で、必要があれば統合、必要があれば独立というふうなことをお考えいただきたいと思っております。
 戦後の新制大学は、高等教育の普遍化で国民の質の向上、国力の増大に非常に役立ちました。が、一方、余りに急いで全く性質や気質の違うものも統合したために失敗したことがあります。師範学校、高等学校、すべて旧制でありますが、工業専門学校の統合などがそれに当たります。そして、アメリカのリベラルアーツ・アンド・サイエンスをまねをして教養部をつくったことは後々まで禍根を残しました。まず、アメリカと違い日本の初中教育の質がそろっていること、新制大学発足時から一九七〇年代まで高校への進学率が低く、それだけ大学へ進学する学生の質が高く、大学で教養や一般教育を教える必要がなかったのに、教養部を導入したことにより、学生が大学に来たのにまた高等学校と同じ教養の勉強かという不満が大きかったのであります。そしてまた、大学人ほど公平性、平等性を大切にする人々はないにもかかわらず、専門学部と教養部との間には待遇や研究費などに格差が大きかったのであります。一方は学部、一方は部と呼ばれていたことからもそのことがよく分かります。
 この問題が一応解決したのは、一九九一年の大綱化によってでありました。しかも、皮肉なことに、日本の高等学校がアメリカのように大衆化しほぼ一〇〇%の進学率になり、大学もまた大衆化し五〇%の進学率になり、これからいよいよ教養教育が必要なとき教養部を解体してしまいました。このような失敗の、前車の轍を踏まないようにしなければなりません。
 お願いは、大学の構造を変えるときには、是非とも熟慮に熟慮を重ねられ、将来に禍根を残さぬようお願いをいたしたいと思います。また、不都合があったときには、何十年も待つのではなく、即刻善処できる仕組みを準備しておいていただきたいと思います。
 法人化の際の運営について質問をさせていただきます。学長の選出はどのようにして行われるのか。その際、教育研究で教員が活力を発揮しやすいよう、そして大学の歴史も考えに入れて教員の希望を酌み取る方式を作っていただきたいと思っております。この点についてお聞きいたします。
○政府参考人(工藤智規君) 法人化後の学長のお立場、役割というのは大変重いものがございます。教学面の最高責任者でありますほかに、これまで所管大臣に属しておりました権限の移譲などもございますので、経営面の最高責任者としてのお立場もあるわけでございます。
 そういう意味で、大変重いお立場の方を選ぶに当たりまして、かつ国立大学として国民の理解とサポートも得る必要があるわけでございますので、学内外の方々の意見も反映させていただきながら適切に選ぶ必要があるという方向で御提言をまとめていただいたところでございます。
 具体的には、教学に関する学内の代表者から成ります評議会と、それから学外の方もお加わりいただいた経営に関する重要事項審議機関であります運営協議会の双方で学長選考委員会を構成して、学内外あるいは国内外から最適任の方を御選考するような手続を進めていただく。その学内における具体の手続はそれぞれの大学がお決めになることでございますけれども、いずれにしても、ぽっと選ばれて学内の信任が得られないということでは学内の運営なりませんので、何らかの形で学内関係者の信任を確保しながら、リーダーシップのある学長が選ばれることを期待しているところでございます。
○有馬朗人君 私は、大学の自治は教授会の自治という考えには長年反対してまいりました。今日の大学の自治、そして大学の意思は評議会で決められるものと考えています。ここで大学の自治とは、社会の動きと全く関係なく行われているとは決して思いません。当然、良識を大学が持つべきであります。
 私は、大学の自治ということは、二つの点にあると思うのです。第一は、何を教育し、何を研究するかの自由であります。仮にその時代の雰囲気に反しても、学問の自由を守らなければなりません。戦時中のドイツのナチズムによるドイツの大学の崩壊の惨たんたる歴史、そして日本の戦時中の大学の苦悩を考えると、私はこのようなことが二度と起こらないよう教育と研究の自由を大学では確保しておくべきだと思っております。しかし、大学が社会の要求に常に注意と関心を持つべきであるということは言うまでもありません。
 大学の自治のもう一点は、最も優れた人を選び推薦する役割であります。もちろん、決定は、あるいは任命は学長等によるべきだと考えております。国立大学法人では、教育研究のみでなく経営を独立してやっていかなければなりません。そこで、学長を補佐する仕組みが必要であります。
 外部の意見も酌み入れる上で、外部の人も含めた運営協議会が設置されると思いますが、評議会と運営協議会の役割分担及び協力の仕方についてどのようにお考えでしょうか。もし両者の意見が割れたときにはどうするかについても、お考えをお聞きいたします。
○政府参考人(工藤智規君) 報告書でもその辺りは大変熱心に御議論いただいたところでございまして、大学の自治の基本でございます教育研究のプログラム、それから教員人事の在り方等については、学内の関係者で構成されます評議会で教学関係について重要事項を審議をすると。他方で、経営面については、学外の方々もお加わりいただきました運営協議会で重要事項の御審議をいただくということになってございます。
 ただ、経営と教学といいましても、かなりの部分で重なる案件がございます。したがって、別々に御議論して学内で衝突するということは避けなきゃいけないわけでございまして、その意思決定プロセスの透明性の確保あるいは適正な意思決定の担保といった観点からいろいろな御提言がございますが、例えば運営協議会と評議会、同じような案件については合同で会議を開くとか、それぞれの大学の御工夫が期待されているところでございまして、何も二つの審議機関が設けられるから別々にいつもやらなきゃいけないということではないと考えてございます。
○有馬朗人君 私学で理事会と教員側がよく意見が割れることがありますので、この点、慎重にお考えいただければ幸いであります。
 大学が活力を持つか持たないかは、教職員、特に教員の質によります。そこで、教員の選考は、最もその教育や研究を知っている同僚教員たちの考えを十分に反映することが必要であります。教員についての選考は、教授会及び評議会の最も重要な役割と思います。ただし、現在の国立大学では、完全に教授会の意見で決まってしまいます。学長の方針を反映できるようにしておかなければなりません。教員の選考はどのようにして行われるようになるか、お考えをお聞かせください。
○政府参考人(工藤智規君) 大学の自治、学部の自治というのは努めて長い歴史と伝統の中で定着している部分がありまして、しかも個々の大学によって取扱いが違う様相もあるわけでございますけれども、御指摘のような実態が見られることの反省にも立ちまして、この報告書では、それぞれの学部の、学部というか部局の人事につきましてはそれぞれの部局での教授会で御議論はいただくわけでございますが、全学的な人事方針あるいは戦略がありませんとせっかく法人化した意味がございませんので、全学的な立場からの人事方針について評議会で御審議いただき、学長やその部局長のリーダーシップの下に人事補充あるいは選考等が行われるべきであるというような御提言がなされているところでございます。
○有馬朗人君 教育研究のテーマ及び内容の選択についても教授会が重要な役割を演じると思いますが、その点についてどうお考えか、手短にお答えいただきます。
○副大臣(岸田文雄君) 個々の教員はそれぞれ教育研究に関する自由を有するものではありますが、各学部としてその教育研究に関する重要事項について審議をするということ、これが教授会に期待されている役割だというふうに思っております。また、大学全体としては戦略的な教育研究目標、計画、こうしたものを評議会での審議を踏まえて、最終的に学長が責任を持って決定するという形になると存じます。
 こうした個々の教員の教育研究の自由を保障しつつ、社会の変化とかニーズに的確に対応する、大学が組織として一体的に機能するということ、これが重要だと考えておりますので、そうした運営が行われるよう促していかなければと思っております。
○有馬朗人君 平成十一年、学校教育法等の一部改正により、評議会、教授会の役割を明確にするなど、やっと大学、特に国立大学の運営方式が整合性のあるものになりました。
 しかし、国立大学法人化に際し、この学校教育法の大学に関係する部分は不要になるのでしょうか、それとも法人化された大学でも活用されるのでしょうか。この法律の成立に大臣として当たった者といたしまして大変気になります。お考えをお聞かせください。
○国務大臣(遠山敦子君) 結論から申せば、そこに定められたものはそのとおり踏襲していくべきだと考えております。
 お話しのように、平成十一年の学校教育法等の改正におきまして、国立大学におきます組織運営の機能分担の明確化を図る観点から、評議会と教授会との権限を見直したところでございます。
 今回の最終報告では、主に教学面を担当します評議会と並びまして、法人化に伴って経営面の体制を強化するために、主に経営面に関する重要事項や方針を審議する運営協議会を設ける、あるいは特定の重要事項については学長の意思決定に先立って役員会の決定、これ仮称ですが、決議を経るということなどが提言されているところでございます。また、教授会については、その審議事項を真に学部等の重要事項に精選すると指摘されているところでございます。
 したがいまして、今回の最終報告を見ましても、法人化に伴う新たな運営組織の整備が必要ではございますけれども、全体としては平成十一年の学校教育法改正で示された学内の機能分担の明確化の考え方が一層徹底されるべしとされておりまして、私どももその方向でいきたいと考えております。
○有馬朗人君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、高等教育の公財政について国際比較等を含めてお聞きいたします。
 日本の初中及び高等教育に対する公財政支出のGDPに占める割合は幾らでありましょうか。また、アメリカや欧州の主な国はどうか、比較をしていただきたいと思います。ごく簡単にお願いいたします。
○副大臣(岸田文雄君) 一九九八年の数字が最も新しい比較できる数字でありますが、日本の初等中等教育及び高等教育に対する公財政支出のGDPに占める割合、それぞれ二・七八%と〇・四三%です。
 そして、国際比較ですが、OECD調査によりますと、初等中等教育の場合、アメリカが三・四〇、イギリスが三・四〇、フランスが四・一四、ドイツは二・七八、日本は先ほど申しました二・七八です。高等教育段階では、アメリカ一・〇七、イギリスが〇・八三、フランスが一・〇一、ドイツが〇・九七、日本が先ほど申しました〇・四三です。
 以上でございます。
○有馬朗人君 日本は非常に教育の費用が少な過ぎると私はかねがね思っております。日本はそもそも国家予算がGDPに占める割合は一六ないし一七%であり、アメリカは一八ないし一九%、イギリスは二八ないし三三、フランスは一七ないし二〇%に比べて低いのです。その分、日本の教育への公財政支出が少ないという説がありますが、ドイツの国家予算のGDP比は日本よりももっと小さく、一一ないし一二%です。この事実を反映して、先ほど副大臣がおっしゃられましたように、初中教育の公財政支出は日本が二・七八%に対して、ドイツは二・七九でほとんど同じであります。しかし、高等教育に対しては、ドイツは〇・九七%、日本はその半分の〇・四三%にすぎないのであります。ですから、国家予算がGDPに占める割合が低いからといって、教育費が低いという理屈は私は成り立たないと思います。
 ここで、今述べたこの数字は正しいかどうかお聞きし、そして日本の教育、特に高等教育への公財政支出が極めて少ないのはなぜかお聞きしたいと思いますが、時間がなくなりましたので、またいつかお聞かせいただければ幸いであります。
 小泉総理は米百俵の精神を提唱されました。私はその考えに全面的に賛成しております。どうぞこの内閣で教育費を抜本的に増大してくださることを心から希望いたしております。
 高等教育から離れますが、初中教育についてお聞きいたします。
 私が会長をさせていただいた第十五期の中央教育審議会の答申で、二十一世紀の初頭において欧米並みの人数のクラス編制にすることを提案させていただきましたが、まず、欧米のクラスの平均値はどのくらいでしょうか。
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のように、平成八年七月の中教審答申におきまして、教員配置の改善を進めるに当たっては、教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準に近付けるという御提言をいただいたところでございまして、諸外国における教員一人当たりの児童生徒数について見ますと、小学校については、アメリカ十八・〇人、イギリス二十二・七人、フランス十九・一人、ドイツ十八・一人となっておりまして、中等学校では、アメリカ十四・二人、イギリス十六・六人、フランス十二・六人、ドイツ十五・〇人となっている、そういう状況でございます。
○有馬朗人君 人口千人当たりの小中高の教員数は、一九九八年に日本は百万、丁寧に申しますと百一万一千人であったと思います。アメリカは三百二十一万七千人であります。この人数は総人口に対して、アメリカは一・二%、日本は〇・八%であります。やはり日本は教員が少な過ぎると思います。教員を増やすことについて文部科学省の御努力をお聞かせいただきたいと思います。
 その際、教員一人当たりの平均生徒数は、今、局長が言われましたように、確かに日本も少なくなりました。ただ、これは過疎地帯も含めているからであります。東京や大阪など大都市の人口が稠密な地区では依然四十人学級が多いと思います。
 そこで、教員一人当たりの平均生徒数はどのくらいでしょうか、東京、大阪の中心部を例にして、もしお分かりであれば教えていただきたいと思います。これを減らすためにどのような努力が行われているか、お聞かせいただければ幸いであります。
○政府参考人(矢野重典君) 教職員定数の改善につきましては、教科等に応じた少人数指導等の指導方法の工夫改善を実施できますように、第七次の公立義務教育諸学校教職員定数改善計画によりまして、平成十三年度から十七年度までの五か年計画でトータル二万六千九百人の教職員定数の改善を図ることといたしておりまして、この改善計画が完成した段階では、教員一人当たりの児童生徒数で見ますれば、小学校で現在の十九・〇から十八・六人に、中学校では十六・一人から十四・六人と欧米並みの水準となる見込みでございます。
 私どもといたしましては、この改善計画の、今後ともきちんとした計画どおりの推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○有馬朗人君 ただ、お聞きしたいことは、全般では確かに改善されていると思うのですが、巨大都市において依然としてやっぱり四十人学級が多いというふうなことについてどうお考えかをお聞きいたしたいと思ったのでありますが、また改めてお聞きいたします。やはり、巨大都市の学校を少し考えていかなければならないと私は思っております。
 最後に、一分ぐらい残りましたので、私立大学への助成についてお聞きいたしたいと思います。
 今日の質疑応答の初めで、私は日本と欧米の大学設置の違いについて述べました。欧米の大学の設置者は、欧州の場合、かなり国ないしは州であり、ほとんどがと言ってよいかと思います。私学が多いアメリカでも学生数は圧倒的に州立が多いということを申し上げた次第であります。そのことを考えますと、要するに日本では、私学に余りにも大きく日本の高等教育が依存し過ぎていると思うのです。そこで、私学助成を増やすべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
 今現在、この額はどのくらいになっているのか、そして各大学の経営にどのくらい寄与しているのか、そして配分法についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(工藤智規君) 御指摘のように、日本の場合に、大学、短大を含めますと、学生数で約八割が私学でございます。私学振興の重要性にかんがみまして、大変財政事情が厳しい中ではございますが、私ども、その予算充実に努力しているところでございまして、今年度の予算では対前年度五十五億円増の三千百九十七億円余を確保しているところでございます。
 また、その配分方法等でございますが、できるだけ各大学の特色に応じた傾斜配分でございますとか、特色ある教育研究活動への助成に重点的にということで努力しているところでございます。
○有馬朗人君 私学助成を是非とも増やしていただきたいと思いますが、今、局長もおっしゃられておられましたが、一般的な配分ではなく重点的配分を増加すべきだと私も考えております。まだ重点的な配分の割合が低いと思いますので、その点を是非ともお伸ばしいただきたい。
 最後に、遠山文科大臣にお聞きいたしたいと思いますが、遠山文科大臣は大学の研究を活性させるためにいわゆる遠山プランを提唱されたことを心から賛意を表しております。
 そこで、研究は活気付いてまいりましたが、私は、教育を活性するために教育トップ30大学を選ぶというようなことをお考えいただければ幸いであります。この考えに対する御見解と日本の大学の教育力強化へのお考えをお聞きして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 先ほどもお答えいたしましたように、大学の第一の使命は優れた人材の輩出でございます。その角度からいって、私は、大学における教育活動というものをより活性化し、より充実したものにしていく必要があると思っております。
 教育についてのトップ30ということの重要性について御指摘がございました。
 私もそういう角度での振興策も効果があるかと思っておりますが、教育につきましてはなかなか評価が難しいという面がございます。また、教育につきましては、教養教育の場合、それから専門教育の場合、あるいは研究者養成の場合、いろんな教育の中身もございますし、そういうことではございますが、私は、これからの日本の在り方の一つとして、大学についてもきちんとアカウンタビリティーを持つ必要性があると。
 その意味では、まだ日本では評価機構が十分ではございませんけれども、この問題についても私も就任以来ずっと繰り返し言っておりまして、評価機構をきちっとした上で、優れた教育を展開しているものについては何らか重点的に援助をしていくなり、社会的な評価をきちっと明確にしていくなりということが大事だというふうに考えておりまして、今、目下研究中でございますし、中央教育審議会におきましても評価の在り方について御検討いただいているところでございまして、またどうぞ有馬委員からもいろんなアイデアをお寄せいただければ大変有り難いと思っております。
○有馬朗人君 四分超過いたしましたけれども、これで終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○仲道俊哉君 自由民主党の仲道でございます。
 ただいま前文部大臣の有馬委員から、今回の国立大学の法人化についての、当初は反対であったけれども今は賛成をしているという御意見もございました。
 我が国の国立大学は、明治維新以来それなりの、それぞれの大学の特徴を生かしながら伝統を持ってまいりました。また、戦後、教育改革によって、駅弁大学と言われながら、それぞれ地域に根差した大学が誕生をいたしてきました。また、この委員会には、戦後、文部大臣をされた方が三人もいらっしゃるわけでございまして、そういう意味では今回のこの問題は、国立大学の法人化というのは、私は非常に戦後教育の中でもまた一つの大きな節目になるんではないかなと思っておりますが、まず冒頭、大臣にお聞きをいたしたいと思いますが、今、有馬委員の方から自分の考えなりで今回の法人化についての御所見を述べられました。大臣として今回のこの法人化について基本的にどのように考えられておるのか、大臣のまず冒頭御所見をお伺いをいたしたいというふうに思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 私も、大学があるべき本来の使命を十分に発揮していく、そのために、このたびの法人化というものは意味がないと私は大きな制度の変革についての意義がないと思っております。逆に申し上げれば、大学の優れた教育、研究あるいは社会貢献というものをより活発にしてもらうために、今回の新たな設置形態の改変という大変大きな制度変革を契機としてそういうことのねらいを発揮してもらいたいと思っているところでございます。
 法人化の議論といいますものは、今、有馬議員の方から冒頭にその経緯がお話しございました。そのように長い経緯と、それからかなり慎重な議論の下に今日の法人化に向けての構想が固まってまいっていると思います。その意味で、私といたしましては、ここまで結実しつつあるこの構想というものを現実に移す際に、本当にそれぞれのこれまでの大学が培ってきたいろんな伝統、歴史、蓄積、そういったものをベースにしながら新たな展開を促す、そういう改革でありたいと思っているところでございまして、そうでなければ日本のこれからの国際的な存在というものもあり得ないというふうに思っているところでございます。
 その意味で、大変責任の重い事態に今私は当面しているという、そういう所感を持っております。
○仲道俊哉君 大臣の基本的な考え方は理解をいたしますし、また、日本の教育のためにも是非頑張っていただきたいというふうにこう思うわけでございますが、そういう今回の法人化についての私なりに考えた問題点について今から質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど申しました、戦後、四十七都道府県にそれぞれ国立大学を設置をいたしました。これは、向上心に富む若者にとって身近に大学があるということで、授業料もしかも私立に比べれば安いということで、私は戦後の高等教育についての大きなやはり功績があったというように、こう思うわけですね。しかも、地域の教員養成や高度医療や、また文化の発信基地として地域社会に大きく貢献をしてきたというように思うんですが、これから法人化されてしまいますと競争力のない地方大学等は自然淘汰されるのじゃないかなという、こういう危惧があるわけですね。そうしたときに、先ほど申しました従来の国立大学の持つ優れた、そういう地域に立脚したという、こういう機能はどうなるのか、その点を心配するわけですが、御所見をお伺いをいたしたいというふうに思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 日本の大学制度は、国立、公立、私立の大学がそれぞれの設置形態の下で役割を果たしてまいりました。それによって日本の高等教育あるいは研究水準の向上ということに全体としてこれまで貢献をしてもらったところでございます。
 国立大学はじゃどうなのかということでございますが、今お話にもございましたように、今日まで日本の中で全国的に均衡の取れた配置によりまして地域の教育、文化、産業の基盤を支えてきた、また学生に経済状況に左右されないで進学機会を提供するなど重要な役割を果たしてまいったと思っております。
 こうした国立大学の重要性というものは法人化それ自体によって変わるものではないと考えます。むしろ、各国立大学におきまして、法人化後、より弾力的ないろんな制度を活用することによって、競争的な環境の中でそれぞれの使命や機能というものを十分に発揮していく、あるいはそれぞれの大学の使命なり機能なりというものを明確化していくということが大事ではないかと思っております。
 したがいまして、もちろん大学は常にその大学の機能を発揮するために努力をする必要があると思いますけれども、その努力を続けていく限り、何か衰退とかそういったような心配というのにはつながらない、しかし全体の競争的な環境の中で十分に力を発揮していく、そうしたことに向けてのいろんな尽力というものがこれから大学を挙げて必要になってくる時代であるというふうに思います。
○仲道俊哉君 そういうふうになれば良いがなというように思いますし、心配の種も実はあるわけでございますが。
 次に、大学法人の公益性の在り方、この点についてお聞きいたしたいと思うんですが、従来の国立大学による教育というのは、どちらかといいますと、郵政三事業とか各種公団、公社などと同様に、どんな地方でもひとしく高等教育が受けられるように、本来的に経営効率や採算性などは度外視をした高度な公益性を持つ事業として私は位置付けられたんじゃないかなというように思っております。そうしますと、この法人化によって民間的な経営手法が導入されてまいります。営利活動も緩和される結果、これまでの国立大学の持つ高度な公益性は相当に失われるんじゃないかなというふうに、こう心配をしておりますが、国立大学法人の将来的な公益性の在り方についてのお考えをお願いをいたしたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 今回の最終報告におきまして、国立大学の法人化の際に、例えばトップマネジメントですとか、戦略的な経営の実現ですとか、あるいは自己収入拡大など経営努力に対するインセンティブの付与ですとか、あるいは非公務員型とするなど能力主義に立った人事制度の導入ですとか、言わば民間的発想の経営手法を導入するということが提言されております。しかし、この提言は国立大学の担う教育研究活動の公共性、公益性を当然の前提としつつ、そこに運営システムを大幅に見直すことによって、教育研究の高度化とか運営の活性化を図るということがその基本的な考え方だというふうに認識しております。
 ですから、こうした従来の公共性、公益性は当然前提としながら運営システムを見直すということでありますから、その公共性、公益性というものは損なうものではないというのが基本的な考え方だと考えております。そして、むしろこれを契機にその機能は各大学の創意工夫によって充実強化が図られること、これがやっぱり好ましい姿だというふうに認識しております。
○仲道俊哉君 その考え方には同意見でございますが、是非そういうふうにやってもらいたいというふうに思います。
 法人化の後の国の関与について、在り方について質問したいと思うんですが、今後、国立大学は従来の今までのような護送船団方式から完全に脱却をいたして、大学の裁量権が飛躍的に私は拡充されると思いますが、業績の評価によって国の予算が配分されるわけですね。評価によって国の予算が配分される。すると、国家による何らかの統制、監督は国の予算が配分される以上必要であるというように、こう考えるんですが、国立大学法人に対する国の指導監督権はどのような形で担保されるのでしょうか。
 文部科学省による統制の在り方についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(岸田文雄君) 国立大学の法人化というもの、先ほど申し上げましたように、各国立大学がその自律性の下で創意工夫を重ねて、教育研究の高度化ですとか、あるいは個性豊かな大学づくりに取り組むことを可能として、資源の有効活用や戦略的大学運営を実現するということで大きな意義があると思っておりますが、その一方で、やっぱり国立大学として果たすべき公共的な役割があるわけであります。
 この役割を確実に実施させる観点から、例えば中期目的、中期計画への大臣の関与ですとか、学長や監事の任命・解任手続、国立大学評価委員会による評価の実施、あるいは評価結果を反映した国費の投入、これは運営費交付金等で行うわけですが、こうした国費の投入、こういった形によって国による関与が前提とされているわけであります。こういった点で、私立大学とは異なった制度であるということが言えると思っております。
○仲道俊哉君 分かりました。
 次に、基礎研究とか長期研究についてなんですが、法人化によって研究の効率性のみが重んじられるようになって、すぐに経済効果につながらないような地道な基礎研究とか長期研究が軽視されるのではないかと恐れているわけですが、こういう点について幾つか評論家が指摘をしておりますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(遠藤昭雄君) お答えします。
 大学におきましては、幅広い分野にわたっていろんな学術研究が行われておりまして、そこで未来を開くような発見とかあるいは創造、こういったものによりまして我が国の発展に大変重要な役割を果たしてきているというふうに考えております。第二期の科学技術基本計画、これにおきましても、やはり基礎研究の重要性ということについてはかなりスペースを割いて指摘をしていただいております。
 法人化後の大学におきましても、こうした役割というものは決して変わらないと思っております。基礎研究とか長期的な研究の重要性というものを十分認識しながら、これらの研究活動が一層効果的に行えますよう運営交付金等の財源措置を講じていきたい。また、科学研究費補助金の拡充という面におきましても今後とも努力をしていきたいというふうに思っております。
 今回の国立大学の法人化は、各大学に法人格を付与するということによりまして大学運営の自主性とか自立性を高め、そして国際競争力のある教育研究活動の展開を目指そうというものでございますので、学術研究の活性化という観点からも大きな意義があるというふうに私ども考えております。
○仲道俊哉君 その心配がないように、是非そういう方向で持っていってもらいたいと思います。
 次に、部外者の参画をめぐる問題について、先ほど有馬委員の方からもかなり詳しく質問がございました。
 部外者の参画は認められるとの結果、大学自体が経営手腕に優れた部外者によって実質的に支配をされて、経営が学問の自由を侵害するような事態も起こらないとは限らないと憂うわけですね。経営からの圧迫に対して大学の自治と学問の自由はどのように担保されるのか、その点についてお伺いをいたします。
○国務大臣(遠山敦子君) 法人化いたしますと、外部の人の意見を取り入れながら民間的な経営の発想を持って運営をしていくということが一つ特色として出てまいるわけでございますが、おっしゃるように、そのことと、それから大学の本来の使命といいますか、大学の自治で守ってきたような分野とのバランスをどう取っていくかということが一番大事だと思っております。
 そのことに関連しまして、私は、今回の調査検討会議においては非常に慎重な議論がされてまいったと思っております。その結果で提言されておりますものが、一つは学外有識者も参画する経営面に関する運営協議会を設置して、そこで役員として広く学外から有識者、専門家を招請するということ、これによって外部の意見を運営に積極的に反映させながら、大学がその持てる力を十分発揮しているかどうかというようなことをチェックしていくという考え方でございます。同時に、例えば教育課程、教育研究組織、教員人事、学生の身分などの教学面に関する重要事項とか方針につきましては、教学に関する学内の代表者だけで構成される評議会において審議することになっております。
 これらの二つの組織体が相互に機能を発揮しながら、全体としての大学をうまく運営していく、そのために役員会があったり、学長のリーダーシップとか、いろんな総合的な組織形態が考えられておりますけれども、私は、この両翼がきちんと機能していく、そのことが大変大事でございまして、その意味で学長のリーダーシップなり、あるいは最終的な意思決定に至る役員会の役割とか、そういったものが大変大事なことになってくるのではないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、その調和、バランスというものをきちっと取りながら社会に対する説明責任も果たしていく、そのことが大事ではないかと思っています。
○仲道俊哉君 次に、教職員の非公務員たる身分をめぐる問題、これも先ほど有馬委員の方からも関連して質問が出ましたが、教職員の身分が非公務員となるわけですが、非公務員型としますと、学問の自由を制度的に保障する教育公務員特例法、教特法の適用がなくなって、教育や研究の自由が侵害されるおそれが出てくるという指摘もされております。この点についてどういうふうになりましょうか、所見をお伺いをいたします。
○副大臣(岸田文雄君) 教育公務員特例法という法律、国立大学の場合、国家公務員法の原則により文部科学大臣が教員等の任命権を有するのに対して、大学の自治に由来する教員人事の自律性を保障するために特例を定めたものと解されております。他方、今回、国立大学の法人化がもし行われた場合に、教員の任命権は、文部科学大臣ではなくして学長が有しておりまして、また、任命権者である学長は、学内での選考に基づき、大臣から任命されるということになるとされております。したがって、このような任命関係の変化を前提としますと、教育公務員特例法の適用の余地というものはなくなるというふうに解しております。
 なお、学問の府として大学の特性を踏まえれば、法人化後も教員人事については各大学の良識において適切な学内のルールが定められ、適正に実施されるということ、これは是非期待したいと考えております。
○仲道俊哉君 そうしますと、学内のルール、それがそれぞれの各大学に任せられるルールになるということで、今まではどちらかといいますと教特法によってある一定の縛りがあったわけですけれども、それがそれぞれ各大学によっての自治のルールに従うということになりますと、日本の国立大学としての、法人化されますけれども、一定の、先ほど言いましたように、予算を一応出す、国からも予算を出すということになりますと、そこのところに今までの教特法のような、そういう面についての法律的な、法人化の、非公務員型の先生方というのはどこによってどのように学問の自由が保障されたり、又は教特法に代わるようなそういう法律というものが、もう任せきりに、大学に任せきりになるのかどうか、そこのところがちょっと心配な面があるものですから質問するんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) 先ほど副大臣の方から御答弁申し上げましたように、教特法あるいは大学の自治というのは、戦前における残念な事件などを契機にいたしまして、任命権者である大臣と各国立大学の教員の人事との関係を手続として整理した法律だと理解してございます。
 ところが、今度の大学の法人化といいますのは、できるだけ国の関与を少なくしようという前提になっておりまして、大臣が任命する方というのは理事長である学長と監事だけでございます。その他の教職員はすべて学長に人事権がございますので、学長、監事以外の方々について国である大臣との緊張関係というのはなくなるわけでございまして、そういう意味で教育公務員特例法のような手続を国との関係で規定する必要がなくなってくるということでございます。
 ただ、教育研究の事業の確保というのは大事な視点でございまして、その教員の人事のルールというのは各大学自身の就業規則等のルールの中で定められる、かつ、先ほども有馬先生の御答弁で申し上げましたけれども、教学に関する事項を御審議される学内の組織として学内者で構成される評議会が置かれる前提でございますので、そこでの御審議の中で、教員の人事を従来どおり全く同じにするのか、従来のルールで若干問題があるところがあればそれを改善しながらやるのか、それぞれの大学の御見識に基づきながらルールを定めていくことであろうかと思いまして、教特法がなくなるから直ちに大学の自治が侵害されるとか教員人事が無鉄砲に行われるとか、そういうことではないということは御理解賜りたいと思います。
 現に、例えば私学というのは教特法とは関係のない世界でございますが、早稲田、慶応の教員人事を引き合いに出すまでもなく、それなりの良識ある教員選考がなされているというふうに承知しているところでございます。
○仲道俊哉君 はい、分かりました。
 では次に、先ほど有馬委員からもかなり評価の問題について質問があったようですが、大学評価の先進地であるイギリスの評価システム、この概要をこの機会にちょっと説明願えればというふうに思うんですが。
○政府参考人(工藤智規君) イギリスにおける評価は言わばサッチャー政権下で育って定着してきたものと承知してございますけれども、大学の第三者評価は、資源配分のための研究面の評価と、それから大学の教育の改善による質の向上を促すための教育面の評価と、二つございます。
 研究評価につきましては、イギリスのファンディングの仕組みというのは、デュアルサポートシステムという言われ方をしてございますけれども、一定部分の基礎的な研究上必要な経費の配分と、それから競争的な申請と審査によりまして配分する二つの資源配分による助成活動が行われているわけでございますが、そのために、研究評価については、一つには、国の機関でございます高等教育財政カウンシル、というのは日本語訳でございますが、向こうの頭文字で言いますとHEFCE、ヘフケと言っておりますが、そのHEFCEによります常勤職員や施設設備などへの補助というのが一つございます。もう一つは、幾つかの分野ごとにリサーチカウンシルというのが設けられてございまして、そのRC、リサーチカウンシルを通じました研究プロジェクト経費でございますとか奨学金への援助がなされていると承知してございます。
 このうち、HEFCEにつきましては、その前身機関により一九八六年から研究評価が実施されてございまして、六十ほどの研究分野ごとに大変たくさんの数の評価員によります評価委員会が設けられてございまして、四年から五年ごとに各大学の評価が行われると。書面の評価、実地評価などを踏まえまして、基本的にはピアレビュー、大学人を中心にしたピアレビューの評価で、最終的に七段階ほどのランク付けをしながらの評価をして、その結果を補助金の配分に反映させているというふうに承知してございます。
 また、教育評価につきましては、研究評価に後れまして一九九〇年代に入りましてから開始されたものでございます。エージェンシーの一つでございます高等教育審査機関、QAAと言ってございますが、このQAAがHEFCEから委託を受けて実施してございまして、先ほどと同様のように、学問分野別あるいは機関別の評価を約六年ごとに実施してございまして、評価の手順、手法等は先ほどと同様でございます。
 いずれにしても、必ずしも、イギリスでこのようなことが行われておりますが、まだ完成型というわけじゃございませんで、これまでも制度導入以来いろんな改善がなされていると承知してございますが、最近におきましても、特に教育評価につきましては、大学側の負担が大変重いのでもうちょっと見直してくれないかという大学側からの要望などが寄せられて、検討されている最中であると承知してございます。
○仲道俊哉君 評価に関連して、米国の教育学者のジャック・ゴーマン博士の「ゴーマンレポート」というのがございますですね。その手法と概要についてお願いしたいのと、その「ゴーマンレポート」によりますと、我が国の東大が六十七位から百一位に転落して、我が国の大学すべてが百位以内から全部転落したというようなことが書かれておりましたが、何を根拠にそういうような結果になったのか、もし分かっていればその範囲で説明をお願いをいただきたいと思いますが。
○政府参考人(工藤智規君) 御指摘のような報道がなされているのは私ども承知しているのでございますが、私どもで手元にございます資料で把握してございますと、「ゴーマンレポート」、今、先生もおっしゃいましたように、一九六七年にカリフォルニア州立大学のノースリッジ校の政治学科の教授でいらっしゃいましたゴーマン教授が個人のレベルで行っているものございまして、個人レベルでいろいろ世界の各大学の資料をお集めになって順位付けをして、それ以降、定期的に発表していると承知してございます。
 その中で、私ども手持ちの資料では、一九八八年版のちょっと古いデータでございますと、今、先生おっしゃいましたように、日本の大学の中で東大が六十七位というのがございますけれども、十年後の一九九八年のデータによりますとそれが四十三位というふうに、若干上がったような形になってございます。
 ただ、新聞報道によりますと、さらに、いや、百位以内に入らなくなったのではないかということが言われておりますが、実際にどうしてそうなったのか。評価の手法、それから内容等について必ずしもつまびらかでない部分はございますので、残念ながら不明でございます。
 ただ、御承知のように、評価についてはいろんな切り口からいろんな機関、団体等が行ってございまして、研究面の評価については、例えば同じアメリカでかなり権威のある研究所が行っております論文の引用回数での研究、アクティビティーといいましょうか研究のポテンシャルのある機関の評価によりますと、総合で百位以内に東大とか京大、阪大、東北大などが入っておりますし、あるいは分野別に見ますと、物理では東大が一番、一位でございますとか、材料化学では東北大が一位でございますとか、分野によりましてはかなり日本の幾つかの大学も世界的な比肩し得る実績を、頑張っていらっしゃるんじゃないかというふうに感じているところでございます。
○仲道俊哉君 次に、高校教科書の検定をめぐる問題について質問をいたしたいと思うんですが、昨年の八月、検定の途中で、指導要領を超えるものに書き改めることを認める、いわゆる発展的内容を認める方針を打ち出しましたですね。その理由は何でしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 平成十三年度から新しい学習指導要領に基づきます高等学校の教科書の検定を実施しているところでございます。
 昨年八月以降、教科書の発行者に対しまして、高等学校の教科書のうち、選択履修科目の教科書についてはいわゆる発展的な学習内容についても記述を認めていこうと、そういうことを明らかにいたしまして、説明を行ったところでございます。
 これは、理由といたしましては、高等学校の選択履修科目といいますものは、生徒の能力、適性、あるいは興味・関心、それから進路志望などに応じた学習が行えるということが目的であるわけでございまして、そうした科目の特性を重視したこと、それから教科書の上でも、したがって、学習指導要領に示された内容以外の発展的な学習内容について記述を認める方がむしろ生徒にとって適切な教育効果を生むのではないかというふうに判断したところでございます。
 これらの科目のほとんどのものが、教科書が平成十四年度以降に検定が行われるということを踏まえまして、それらの申請図書の編集が本格化する時期をとらえて説明を行ったところでございます。
○仲道俊哉君 修正意見の四割が理科に集中をしておりましたですね。その理科に集中した理由はなぜか。また、子供たちの深刻な理科離れが叫ばれているわけですが、今回の検定作業において理科離れ現象は配慮されたのかどうか、その点についてお伺いをいたします。
○政府参考人(矢野重典君) 教科書の検定におきましては、いずれの教科につきましても、学習指導要領や検定基準に基づきまして同一の方針で実施したところでございまして、御指摘のような検定意見数の差異は、一つには理科の申請点数が最も多かったわけでございます。普通教科三百二十七点中、理科は六十一点、全体の約二割といったような申請点数自体が最も多かったということが一つにはあろうかと思うわけでございますが、そのことと併せて、今回の学習指導要領の改訂によりまして、少し技術的な話で恐縮でございますが、従来の物理TBなどTBを付した科目から、物理UなどUを付した科目に移行した内容が、にもかかわらず物理TなどTを付した科目に記述されておりますなど、学習指導要領の変更に伴います学習内容の変更が十分反映されていなかったことなどによるものというふうに私どもは考えているところでございます。
 また、理科離れ等の指摘に対しましては、今回の学習指導要領の改訂に当たりまして、観察、実験、また課題学習等を重視して、児童生徒の学ぶ意欲や知的好奇心あるいは探求心を高め、さらには理科好きな児童生徒が増えるように内容の改善を図ったところでございまして、これらの改善が十分反映されていない教科書の申請図書、申請本につきましては、そうした観点から検定意見を付し、修正を求めたところでございます。
 すなわち、今回の高等学校の検定では、生徒の能力、適性、また興味・関心等に一層配慮するなどの観点に立ちまして、学習指導要領の目標や内容等の趣旨に沿ったコラムあるいは読み物については記述を許容したところでございますし、また実験、観察、探求など、生徒が自ら考え活動したり、科学的な思考を養うことに資する記述も充実しているところでございまして、これらの記述を通じまして、生徒が興味を持って学習を進め、科学的に探求する能力や態度、そして科学的な自然観が育成されるものというふうに私どもは考えているところでございます。
○仲道俊哉君 次に、近隣諸国への配慮についてですが、アジア諸国への配慮を求めたいわゆる近隣諸国条項が適用される案件はあったか、なかったか。あったか、ない、どちらでも、その点についてだけ。
○政府参考人(矢野重典君) 直接的に近隣諸国条項に該当する、近隣諸国条項を検定基準の理由として検定意見書に付したものはございませんでした。
○仲道俊哉君 そうしますと、今回の高校の教科書の日本史などの検定方針が中学校歴史教科書のときに比べてかなり後退をした、例えば李氏朝鮮の国号を朝鮮に改めたり、また東京裁判についての申請本にあった表現で、ちょっとその当時の申請本を読みますと、当時から勝者が敗者を一方的に裁くこの裁判の在り方に強い批判があったというのを、国家の指導者個人が戦争犯罪人として裁かれたのは例のないことであったと修正をされておるわけですね。
 従来の検定方針に比べて近隣諸国に不必要な配慮をした、明らかに配慮をしたわけであって、明らかに私は後退をしたのじゃないかなというふうに思うのですが、その点については先ほどないということだったんですが、そういうふうに変えたということについてはどのように解釈をしますか。
○政府参考人(矢野重典君) まず一点、近隣諸国条項について少しきちんと御説明をさせていただきたいのでございますが、教科書の検定はいわゆる近隣諸国条項を含む検定基準のすべての条項に照らして実施しているところでございますが、具体の検定意見は、従来からそれぞれの欠陥の趣旨を最も的確、具体的に指摘でき、申請者による修正が最も適切に行われやすい条項、例えば誤解のおそれのある表現、あるいは一面的な表現といったような該当の条項を一つ選んで検定意見書に記載することとなっているわけでございます。
 そういう意味で、今回の検定については、検定意見書の記載としてはいわゆる近隣諸国条項は取り上げていないということでございまして、近隣諸国条項を基準として検定を行ったことについては従来どおりでございます。その点が一つでございます。
 それから、御指摘の件でございますけれども、少し、これも少しお時間をいただいて恐縮でございますが、李氏朝鮮あるいは東京裁判についての御指摘が具体の例としてあったわけでございますが、まず李氏朝鮮につきましては、昨年度の韓国からの修正要求に含まれていたところでありまして、当時、我が国の教科書検定制度にのっとって検討した結果、我が国におきましては、朝鮮史学会において、近年、朝鮮王朝あるいは朝鮮などと呼ぶことが一般的になっているわけでございますが、日本史学会等を中心に李氏朝鮮と呼ぶことなども行われていたわけでございます。
 そういう意味で、その時点、昨年の時点においてはこれは明白な誤りとは言えないということから、検定済教科書について訂正ができるのは、これは誤った記述の記載がある場合に限られている、そういう検定制度にかんがみまして訂正を求めることができないということをその当時の判断として行ったわけでございます。
 他方、平成十三年度の高等学校教科書の検定におきましては、このような我が国の学説状況を勘案し、また高等学校の教科書におきましては中学校に比べまして歴史事象についてより正確かつ詳細な記述が求められるなど、生徒の発達段階を踏まえまして、原稿に李氏朝鮮の名称を単独で表記しているそういう申請図書につきまして、生徒のより適切な理解を図る観点から、少なくとも朝鮮王朝あるいは朝鮮の名称が併記されるように検定意見を付したところであるわけでございます。私ども、そういう意味におきまして、中学校教科書の検定のときよりも譲歩しているという指摘は当たらないというふうに考えているところでございます。
 また、東京裁判についての例をお引きになりましたけれども、東京裁判につきましては、申請図書の記述は東京裁判の否定的な側面のみを具体に記述しておりましたことから、様々な議論のあることを踏まえまして、東京裁判について様々な議論のあることを踏まえた記述となるような検定意見を付したところでございます。これにつきましては、昨年の中学校の歴史教科書の検定におきましてもほぼ同様の検定意見を付しているところでございまして、中学校歴史教科書の検定と取扱い上変わることはないというふうに考えておるところでございます。
 そういう意味で、今お引きになりました例も含めて、私ども、昨年の検定のときに比べて譲歩しているというふうな指摘は当たらないというふうに考えているところでございます。
○仲道俊哉君 今の件についてはもう少し論議をしたいんですが、ちょっと時間の関係もございますので、また後日に譲りたいと思います。
 次に、教科書採択をめぐる問題について、高校の教科書の採択権の所在です。地方教育行政の組織及び運営に関する法律や、また昭和三十一年九月十日付けの初等中等教育局長通達で、教科書採択の責任の所在は教育委員会にあると解されております。にもかかわらず、実際には高校の教科書は教育委員会でなくて個々の高校によって採択をされておるわけです。ですから、その法的な根拠について説明をお願いをいたしたいというふうに思います。
○政府参考人(矢野重典君) 公立高等学校における教科書の採択につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、いわゆる地教行法でございますが、地教行法第二十三条第六号に基づきまして、設置者である都道府県等の教育委員会に権限があるところでございます。また、このような考え方は、地教行法が制定されました昭和三十一年以来何ら変わるものではないわけでございます。委員が引用されました局長通知におきましても同様の指摘をしているところでございます。
 そこで、高等学校の場合、各学校の実情が様々であるわけでございます。そういうことなどから、実際、高等学校におきましては、教科書の採択につきまして学校ごとに教科書についての調査研究が行われていることが多いわけでございますが、私どもといたしましてはこのような実態を踏まえながら、採択権者である、先ほど申し上げたように採択の権限は都道府県の教育委員会にあるわけでございます。そういう意味で、採択権者である都道府県教育委員会の最終的な権限と責任の下に適切に採択が行われるようにこれまでも各都道府県教育委員会を指導してきているところでございますので、今後ともそういう観点に立って都道府県教育委員会に対して適切な採択が行われるように指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
○仲道俊哉君 僕が質問したのは、各高校で採択をされていることについての法的な根拠があるのかどうかですね。今のお答えでは、一応そういうことはない、法的な根拠はない、教育委員会にあくまでもこの通達どおりにあるんだと。だから、現実に今行われている高校での採択については違法であるということになるわけですが、その点についてはいかがですか。
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申し上げましたように、法的な制度といたしましては、都道府県の教育委員会に高等学校の教科書についての採択についても権限があるわけでございます。
 ただ、実際の現場におきましては、先ほど申しましたように高等学校の事情が様々であるということから、採択について各高等学校ごとにどの教科書を採択したらいいかといったような、そういう意味での調査研究がなされていて、そしてそれを踏まえて高等学校側の意向なり希望としてこの教科書が望ましいといったようなことをそれぞれの教育委員会に申し出て、そして制度論としてはそれぞれの教育委員会がそれを了承あるいは決定する形で教科書の採択がなされているということでございまして、教科書の採択が、今、先生お話しになりましたが、高等学校が権限を持って採択をしているということではございません。
○仲道俊哉君 現実には県によっては各高校でそのまま採択をされておるという実情があるわけですから、その点については十分、今おっしゃったようなことで各教育委員会に実際には採択権があるわけですから、そこのところは十分、そうでないところについては指導し、助言し、又はそれなりの通達を是非出していただきたいというふうに思います。
 そこで最後に、大分県における教育改革についてですが、これまで県教委とそれから県の教職員組合の異常な関係が指摘されてきた大分県ですが、本年の一月二十一日付けで県教育長名をもって、今後、教育委員会がその責任において主体的に意思決定し、事業を執行していくこと、又は県教委が新しく事務事業を実施し、又は従来の事務事業を変更する場合においても、従来行ってきたところの県教組との事前協議の慣行を廃止することを骨子とした県教組との癒着体質の決別書ともいうべき通知を最近出しました。この大分県の英断に対する大臣の評価をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(遠山敦子君) これまで大分県におきましては、各種事務事業の実施に当たりまして教職員組合と事前協議を行う慣行がありますなど、学校管理運営上様々な問題があったところでございます。このため我が省といたしましては、大分県教育委員会に対し、学校管理運営の適正化などについてずっと指導してまいったところでございます。仲道委員にも随分御心配をお掛けしてまいりましたが、こうした経緯を踏まえて、大分県教育委員会は、本年の一月二十一日に市町村教育委員会や学校長、教職員組合に対しまして、教職員組合との事前の慣行を廃止する、そして今後は県教育委員会の責任において主体的に事務事業を実施することなどを明記した通知を発出したところでございます。
 こうした大分県教育委員会の取組については、私といたしましては、大分県のこれからの教育の改善に資するというだけではなくて、地域住民から信頼される公教育を確立するために、これまでのような教職員団体との不透明な関係あるいは不適切な慣行というものを見直して、主体的かつ積極的な教育行政を展開しようとするものでありまして、大変意義深いものであると評価をいたしております。
 我が省といたしましても、今後ともこういう姿勢を明らかにしてくれました大分県教育委員会に対する指導あるいは支援に努めてまいりたいと考えております。
○仲道俊哉君 大臣の力強い御所見をお伺いいたしたわけでございますけれども、戦後教育の中で教育委員会と組合との関係はいろいろな形で私は変遷があったと思うし、それはそれでその時、その時代の一つの教育の姿ではなかったかと思うんですが、ただ時代が進むにつれて、特に北海道も含めて、大分県教委の場合はどうしてもこれまで事前にすべて教組と事前協議をするものですから、それが通らないと実際には執行できなかったという、こういう姿があったわけで、そういうところのない県につきましてはそんなことがあったのかと恐らく驚くんじゃないかと思いますが、そういうことで実は私も先日当委員会で小樽市の不正加配を取り上げました。その背景には、やはり道教委と北教組との取り交わした確認書、これがやはり存在をしておったと。その違法行為の温床になっているということがその確認書で、先日の私の質問でもはっきりいたしたわけでございます。
 そういうこれまでの教職員組合の本来の趣旨を逸脱した教育行政への不当な干渉を許すこのような教委と教組の癒着体質を是非文部科学省としてもメスを入れていただきたいと思うんですが、今回の大分県のこの大英断の勇気を得て、先ほどの大臣の力強い御答弁もございましたが、全国的な癒着体質の解消の取組が是非必要だと思うわけでございますが、その点についてはいかがでございましょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 近時、各地でいろんな過去の慣行なり不適切な状況がありましたことが逐次改められてまいっております。やはり教育委員会というのは、主体的かつ積極的な教育行政を展開して、そして地域住民の信頼を得て、すぐれて学校教育なり、教育そのものが振興されるように努めるのが責務でございます。そういうふうに考えますと、教育委員会がその本来の使命を達成するために、あるべき教職員団体等との関係はきっちりと立て直してもらう必要があると思っているところでございます。
 我が省といたしましては、従来から職員団体との不透明な関係あるいは不適切な慣行については直ちに是正を図るように指導してきたところでございます。特に、昨年十月から十二月に掛けまして、直接各都道府県教育委員会等から個別に職員団体との間の確認書の状況などを聴取いたしまして、法令違反や法令の趣旨に反するものについては早急に破棄するよう指導したところでございます。
 今後とも、公教育の確立という観点から、教育の正常化に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。
○仲道俊哉君 以上で終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(橋本聖子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十分開会
○委員長(橋本聖子君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続きまして、教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は大学問題の集中審議ということで、私も大学というのは本当に大事な課題だというふうに思っております。とりわけ、二十一世紀は情報の時代あるいは知の時代というふうに言われておりますけれども、正にその主役がこの大学ではないかという観点で、私は今日の集中審議、非常に楽しみに臨んでまいりました。
 今、大学改革が相当なエネルギーで進められておりますけれども、これ振り返ってみますと、日本に帝国大学令というのが出ましたのが一八八五年、明治十八年、これ森有礼文部大臣のときに帝国大学というものができました。そして、一九四九年、昭和二十四年でございますけれども、国立学校設置法というのができまして、帝国大学でいろんな帝国大学、東京帝国大学とかできまして、二十四年に帝国が外れて東京大学になったんだと。来年になりますのか再来年になりますのか、時期は定かではございませんが、この少なくとも数年以内に午前中以来御議論があります国立大学法人に移行すると。そういう意味では、本当に世紀の大学改革議論というのが今行われているというふうに理解をいたしております。
 我々ここに集っているすべての方々はいい大学をつくりたいということで、そこについては全く同じ思いを持っておられるというふうに思いますが、結局、私はとどのつまり、いい大学をつくるというのは、志が高くて、人間的にも魅力があって、そして聡明な、そうした老いも若きも、学生もそして先生も、そこに集まる場をつくっていくということに尽きるのではないかなと。正に、学生と教員と、そしてそれを支えるファシリテーター、マネジャーとしての、あるいはプロデューサーとしての職員、この三位一体がうまくいったときにいい大学ができるんだろうというふうに思っております。
 そのためには、いかに、何がいい学生かというのはその大学の建学の精神、アイデンティティーによって違うと思いますけれども、いい学生を入学させて、そして充実したキャンパスライフを送っていただいて、そして卒業していただく、あるいは教員の方もいい人材を採用して、そして気持ちよくといいますか、非常にモチベーションを高く、すばらしい教育環境あるいは研究環境の中で頑張って仕事をしていただく、こういうことに尽きるんだろうというふうに思います。
 そういう観点で見ましたときに、やっぱり日本の大学というのはそういう意味での、集まり参じてという言葉もございますけれども、様々な多様な、志高く人間的にも非常に魅力的で聡明な人材が世界じゅうから集まっているかというと、そこが少し、今、日本の大学の、何といいますか、国際的に見ていろんな疑義が呈されておりますけれども、やはりアメリカなんかに行きますと、本当に世界じゅうから集まっているなという気がいたしますし、それからそのバックグラウンドあるいはその年齢、世代ということを見ても、本当に多くの多様なすばらしい方々が集まっている。
 そういう意味では、やはり日本の大学、解決すべきは、これ学生、教員ともどもでありますが、やっぱり外国人とかあるいは社会人といった人たちがもっともっと入ってくるというようなことも非常に重要かなというふうに思います。
 この点についてはちょっと後でお話をもう一度させていただきたいと思いますが、今日午前中からずっと問題になっております「新しい「国立大学法人」像について」の国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議の報告書、これが三月二十六日にまとめられまして、昨年の九月に中間報告が出されましたけれども、それ以来、我々民主党の意見もかなりごしんしゃくをいただきまして、充実した議論がおおむね進んでいるのかなということは高く評価をしたいわけでございますけれども。
 この大学を議論する上で、東大ができたのが一八七六年でありますが、百年以上日本人の中に染み付いてきたいろんな固定観念というか思い込みというのが、この議論をしていますと非常にばらついているなと。ここのまず思い込みを、現状どうなっているのかというのをきちっともう一回確認をさせていただくところから進めていきたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、いかにいい学生を入れて、そしていいキャンパスライフを送ってもらって、そしていい先生と出会って、そして卒業してもらうか、これが恐らく大学教育の真髄だと思いますけれども、最初にお尋ねをしたいのは、入学試験といいますか、どういう学生を入れていくかという入学選考の問題でございます。
 日本にいまだにこびりついております固定観念の一つに、大学入試はいまだにいわゆる知識偏重型の能力を問うているという固定観念がございますが、これが現状どうなっているのか。やはりそれはそうなのか、そうでないのか、現状についての御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(工藤智規君) 入試というのは、御承知のように入学定員がございまして、それに志望する学生があふれますと選抜試験をしなきゃいけない。合格者を決定するプロセスであるとともに、不合格者を出すプロセスでもございます。したがいまして、すべての方々に御満足いただける絶対解がない、なかなか難しい課題が入試問題でございます。
 各大学いろいろ御工夫いただいているわけでございますが、昭和四十年代など、随分受験競争、しかも難問奇問も含めた各大学の知識偏重の受験競争の中で大きな問題になってきたわけでございまして、それ以降、御承知のように共通一次試験の導入でございますとか、大学入試センター試験の導入でございますとか、いろんな大学入試の改善の試みが進められてきてございます。
 現在でも、各大学のそれぞれの御工夫によりまして、もちろん学力検査で行っているところもございますけれども、センター試験との組合せによりまして、面接、小論文、あるいはリスニングなどを課している大学でございますとか、あるいは推薦入学で、学力試験をむしろ傍らに置いた形での、高校レベルでのいろんな御本人の健闘の具合を見て合格を決めるような仕組み、あるいは帰国子女とか社会人の方々向けの特別選抜を行っている大学なども増えてきてございます。
 さらには、近年注目すべきはアドミッションオフィスという入試制度でございまして、これは平成二年に、先生御存じの慶応の藤沢キャンパスで始められた試みなんでございますが、それぞれの受験生の能力、適性を、高校時代の活動状況などを多面的に評価いたしまして、きめ細かな選抜を行うわけでございますが、そういうアドミッションオフィス入試を行う大学も大変増えてきているところでございます。
 私どもとしては、大学の各努力を助長しながら、かつ志願者の多面的な能力、資質が適切に判定されますように、入試改善に今後とも努めてまいりたいと思っております。
○鈴木寛君 昨日、文部科学省から教えていただきましたところによりますと、今も局長から面接、小論文と。要するに、知識だけではもう駄目なんですね。要するに、非常に広範な思考力とか論理力とか、それがないと小論文は作れませんし、それからコミュニケーション能力とか表現能力、そういう意味で面接とかあるいは実技検査というのがかなり導入をされているという実態について教えていただきました。
 面接について申し上げますと、九六%の大学で導入をされている。学部ベースで申し上げても七八%。小論文で言っても九六%、九五・八%の大学で導入をされ、七七・八%の学部ベースで見ても、要するに八割に上る大学が、国立大学で見ても面接とか小論文とか、正に基礎知識はもう前提として、それを更に総合していく力が問われているということでございます。正に机にかじり付いて勉強しているだけではもう大学は受からないんだということであります。
 今、局長から御紹介いただきましたように、私も慶応藤沢キャンパスで入試に携わっておりました。そういう意味で、アドミッションオフィスも含めて、入試をどうデザインするかというのは正に大学づくりの根幹にかかわるところでありますから、大学側もそれなりに努力をしているし、これは国公私立を問わずやっているわけでございますが。
 お尋ねをしたいのは、こうしたいわゆる机にばかりかじり付いていたんでは大学は受からないんだということが、高校の教師にはもちろん進路指導しなければいけませんので伝わってはいるんですけれども、これ、小学校とか中学校の先生、あるいは保護者の方々にどれだけきちっと御理解をいただいているのかなというところになりますと、いささか首をかしげないわけではないわけでありますが、その辺の情報提供あるいは啓発ということについては今どのような状況でいらっしゃるんでしょうか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(工藤智規君) 御指摘のように、ちょうど大学を志願する直接の対象でございます高校関係者あるいは受験生御本人や保護者の方々への広報はいろいろな形で、例えば説明会でございますとかパンフレットの作成でございますとか、あるいは大学に実際おいでいただいてオープンキャンパスという形で体験をしていただくというような試みも含めていろいろやっているわけでございます。
 そのほかに、近年、いわゆるIT社会でございまして、各大学、国立大学でいいますとすべてになるのでございますが、それぞれの大学ごとにホームページを作成してございまして、そこで入試情報でございますとか大学の建学の精神等をPRしながら志願者に呼び掛けているということもございますし、あるいはパンフレットも広く広報してございます。
 その中で、今御指摘のような小中学校の関係者なども含めて一般の方を対象にしているわけでございますが、もう少しきめ細かくどうするかというのは確かに御指摘のようなこともございますので、今後更に工夫してまいりたいと思ってございます。
○鈴木寛君 それでは、入試についてもう少しお尋ねをしたいんですけれども、固定観念その二に、大学側は文部省に気兼ねをして自由に入試の設定ができないという固定観念がございます。これは実は私はそうじゃないかと思っているんですが。
 毎年、局長通達で大学入学者選抜実施要項というのをお出しになっていると思います。その中で、学力検査は学習指導要領に準拠し高等学校教育の正常な発展の障害とならないように十分留意して実施するものという条項が毎年あると思いますけれども、これは大学側はやっぱり相当気にしております。本来でありますならば、もう少し自由に様々な問題の設定とかしたいという意向はあるんだと思いますけれども、この実施要項、実は私立大学長にも、国公立の大学長に出されるのは当然だと思いますけれども、私立の大学にもこの通知が来ております。
 繰り返しになりますが、やはり入試というのは本当にその大学のアイデンティティーにかかわる非常に重要な問題でありまして、大学の個性というのはまずどういう学生を集めるかということに懸かっていると思います。正にその創意工夫の余地が一番出るのがこの入試あるいは入学者の選考ということでございますので、私は、この通知、やめるべきではないかと思います。特に私立大学に対してはこの行政指導は改めるべきだというふうに思いますが、文部省のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 大学入学者選抜といいますものは、大学側が学生を受け入れるに際しまして、大学教育に必要な能力、適性があるかどうかを見るというものでございますが、学生にとりましては、高校から大学への接続といいますか、継続した形での教育を受けるということを踏まえますと、大学教育に必要な能力、適性などの判定におきましては、高校におきます学習の成果を通じて判定することが基本となります。
 今、委員がおっしゃいましたことは本当にある意味では説得力を持つと思うんでございますが、実はこれは、本当に入試の問題については長い歴史がございまして、先ほどもちょっと説明がございましたけれども、かつて受験競争による高等学校教育への悪影響というのは大変な問題、社会問題になったわけですね。本当にもう難問奇問が出て、高校の生徒たちは本当に難しい受験勉強に、過度の受験勉強と言っていいぐらいのに挑まざるを得なかったというような歴史がございます。
 そのようなことから、共通第一次学力試験、それから大学入試センター試験というのが導入されました。これの出現によりまして、各大学が個別試験を適切に組み合わせながら、先ほど来説明しましたようないろんな方法をもってそれぞれの大学が欲する学生たちを受け入れるということで現在進んでまいっているわけでございます。
 こういうことを踏まえますと、それぞれの大学がそれぞれのやり方において学力を見ればいいのであってというふうなことになりますと、また私どもが大変な思いをしてくぐり抜けてきた大きな問題というのが生じてまいるということは、これは必然的であると考えます。しかし、今はセンター試験がございますから、基礎的な学力というのはあれで見て、その上で、自分のところは例えば物理について深いものを知りたいと思えば、面接なり、特定分野に関するいろんな学生、生徒の持っているこれまでの、何といいますか、経験なり、あるいはそこで蓄積されてきた才能といったものについて見ながら選ぶというようなこともできるわけでございます。
 したがいまして、私どもは、その通知の中でそういうことの自由まで束縛しているつもりは全くございませんで、従来の経緯もあり、しかしそれぞれの大学の特色を踏まえながらといううまい調和の下に、それぞれの大学がいい学生、自らの大学にとっていい学生を取るように努力をしてもらいたいものだと思います。
○鈴木寛君 この通知は国立大学法人化後も基本的にはお出しになるということなんでしょうか、お伺いをしたいと思います。
 大臣のおっしゃることはもちろん歴史的な経緯から分からないわけではないわけでありますけれども、午前中も有馬先生の御議論の中にもありましたけれども、いろいろなアクレディテーションを第三者機関がやっていくとこういうことになるわけですよね。それで、大学側も、もちろん過度な受験戦争が日本に及ぼした弊害ということについて関係者も理解をしていると思います。要するに、文部省の通知がないと、指導がないとまた戻ってしまうのかというと、そうでもないと。大学人はもうちょっと見識があるということを私は申し上げたいと思いますし、それから、それは今は、例えばいろんな教育評論家の関係者の方々とか、それから第三者機関のアクレディテーションの中でも当然入試というのも対象になるわけですよね。でありますから、文部省が一律に行政指導をしてそうした受験勉強の弊害というものをなくすという手法自体を今回の国立大学法人化の議論というのはしているのではないかと。
 私は、その精神において、大学のことは基本的には大学の自律性あるいは自主性というものを尊重し、そして、あくまでも難問奇問を出し続ける大学は、文部省によって淘汰されるのではなくて、そうしたアクレディテーションのプロセスとか、あるいはいわゆる当時とはかなり学習者といいますか入学者、あるいはその保護者の入手できる情報、これは玉石混交の問題はまた別にありますけれども、文部省以外にも様々な見識ある主体によって今の日本の大学づくりというのは担われているのであって、そうした、何といいますか、勢力の力を総合的に活用していく。そのためには文部省が一律に学習指導要領に基づいた入試をやりなさいというこの通知が引き続き必要なのかなと。
 これは一回外してみて、ゼロベースでいろいろ考えてみて、そしてまずは大学の創意工夫を出してみると。で、明らかに問題のある場合については、そういうことはこれから少なくなると思いますけれども、政府は一番最後に出ていくというふうにすべきではないかということが私の本意でございますが、いかがでございましょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 先生おっしゃるように、大学入試、どんな学生を集めるかということは、特色ある大学、個性ある大学をつくる上で大変重要なポイントだと思います。ですから、大学入学者選抜というもの、基本的にはそれぞれの大学が教育理念ですとか教育内容等、それぞれの考え方に応じて入学者受入れ方針を決めて、それに基づいて自主的に行うというのがあるべき姿だというふうに思います。
 そういった中にあって、今御指摘の大学入学者選抜実施要項、こうしたガイドラインを文部科学省としては今発しているわけですが、この要項の中身、ポイントとしましては、能力、適性等を多面的に判定するということ、それから適正かつ妥当な方法を使って実施するということ、それから入試に当たって高等学校教育を乱すことがないように配慮するということ、こういった辺りを求めるというのがこの要項のポイントであります。
 国立大学法人がスタートして、それぞれ新しい体制がスタートするわけでありますが、今申し上げましたようなポイントにおいては、やはり引き続きまして配慮というものが必要だと考えております。ですから、国立大学法人、スタートしましても、この辺の配慮だけはしっかりとしていただくようお願いはしていかなければいけないのではないかと認識しております。
○鈴木寛君 それでは、入試に続きまして、今度は入学をいたしますと単位を取らなければいけません。その点についてでございますが、今、大学で必要履修単位数とか必修科目というものがございますが、このいわゆるカリキュラムの内容について現在文部省はどの程度関与をしているというか、ということについて教えていただきたいと思います。
 これは実は世間の誤解の方が強いのじゃないかというふうに思っておりまして、平成三年にかなり事情が変わっているようでありますし、それから三月二十九日の閣議決定の中でも何か変更があればその辺りの政策の変更について、現状とそれから今決まっているところの内容を教えていただきたいと思います。
○政府参考人(工藤智規君) 戦後、先ほど先生御紹介ありました学校教育法が設置されまして、いわゆる新制大学が発足いたしました。その新制大学の理念は、しっかりした幅広い教養教育と深い学識、言わば専門知識、両様大学レベルで深められるだろうということなのでございますが、そのために、発足当初はいわゆる一般教育科目として、例えば人文、社会、自然の分野にわたって一定の単位が必要ですよね、あるいは保健体育、外国語の単位がどれぐらい必要ですよねということなど、大学設置基準という形でお示ししてまいりました。その後、幾たびか変遷しながら弾力化を図ってまいりまして、きっちりした区分けというよりはもう少し融通しながら各大学の工夫、努力ができるような仕組みにしてまいりました。
 今御指摘ありましたように、平成三年、それまで大学審議会で随分御議論いただきまして、これからの大学の教育の在り方というときに、もう自己責任で全部やってもらおうじゃないかと。大学設置基準の大綱化と言われてございますけれども、最低卒業所要単位は百二十四単位ということだけはお決めしてございますけれども、その中身について、それぞれの大学のそれぞれの学部、もちろん必要な科目というのはそれぞれの分野であるわけでございますけれども、一般教育に相当するような科目を区分しながら、何単位設けなきゃいけないとか、それを何年度に配置しなきゃいけないとかいうことも含めまして、すべて大学の自己責任の世界に任せられるようになったわけでございます。
 したがいまして、私ども文部科学省としても、それから法令の上でも、大学のカリキュラムの内容については一切口を差し挟んでいないというのが現状でございます。
○鈴木寛君 昔はよく四年生になって体育が取れなくて留年をするというケースが、今でもございますが、それは文部省のせいではなくて各大学の自主判断だと、こういうことだということを確認させていただきました。
 それで、教員の任用についてお伺いをしようと思ったんですけれども、これは午前中の有馬先生の御質疑の中で、これからは非公務員型ということになる、その中で大変自由で弾力的な採用ができるようになって外国人の採用も可能になる、こういうことでございますので、この点についてはちょっと飛ばして、次に行きたいと思います。
 次に御質問をさせていただきたいのは組織、特に学部、学科の新設あるいは再編、改編の問題でございます。
 この学部、学科の再編といいますか、どういう学科あるいは学部をつくるか、これも大学の個性を発揮する非常に重要なポイントの一つ、入学試験と並んで大事なポイントだというふうに思います。どの大学にも目玉学部というのがございまして、この目玉学部をめぐっていろいろな有為な人材が集まってくるということもありますし、そういう意味でこの学部、学科、どうするか、大変重要だと思います。
 私がおりました慶応大学の湘南藤沢キャンパスでも、一九九〇年に環境情報学部と総合政策学部、これはいずれも新しいタイプの学部を文部省にお認めをいただいて十年間やってきまして、そして二〇〇一年から看護医療学部というこの三学部体制で湘南藤沢キャンパスの運営がなされているわけでありますけれども、私はこの国立大学の法人化後のいわゆる学部の新設、学科については相当程度緩やかにするということはお伺いをしておりますが、この学部、学科新設が国立、公立、私立それぞれどういうふうに変わっていくのか、少し教えていただきたいというふうに思います。
○政府参考人(工藤智規君) これは日本だけでなくてアメリカやヨーロッパも含めまして、それぞれの国の公教育制度の中での大学の位置付けということで、大学の発足あるいは学位の授与資格について、国等の、国あるいは連邦制の場合は州が多いのでございますが、公の認定あるいは認可という行為がなされてございます。
 私ども、国公私の大学についてでございますが、国立大学は自らが設置者なものですから、自らが認可するというのも変でございまして、御承知のように予算で措置されたもので、学部レベルにつきましては国会での御承認を得て法改正で従来やってまいりました。それを学科は省令とか、法令規定は違いますけれども、一応法令の改正によって国立大学の場合は学部、学科の改廃をしてございます。ただ、公私立に準じまして、関係の審議会の御審査は事実上経ながら同等にやっているわけでございます。
 それから、公立大学、私立大学は正に認可の対象なのでございますが、その組織によりましていろいろでございまして、例えば公立の場合は、学部の場合、学部の改廃が認可事項でございますが、学科は届出事項でございます。対して、私立大学につきましては学部、学科とも認可事項となってございます。これは以前、公立大学と同じく届出事項だった学科につきまして私学振興助成法が制定されたのを機会に公の関与を憲法上の関係から強める必要がございまして、届出事項を認可事項にした経緯がございます。
 昨今、私どもは中央教育審議会の方で御審議いただいておりますのは、規制改革会議の御提言などを受けまして、今のような器といいましょうか、学部、学科等の組織の認可というよりは、学位の課程による、その法学部で法学士を出すということであればいいんですけれども、法経学部であるいは政経学部でも法学士を出すという場合に、法学士を、新しく学位を出す課程について認可の対象にして、それをどういう学部、学科でやるかというのは大学に任せるような仕組みにしてはどうかという御検討をいただいてございます。
 他方で、そういう意味で事前の関与をできるだけ簡略化いたしまして、事後的に、大学人等によるアクレディテーション団体を育成することによって事後的な評価の仕組みを育てていきたいというのが今の方向でございます。
○鈴木寛君 実は、三月の中教審の報告が出るまでは私はこの件、大変懸念をいたしておりました。ただ、中教審がかなり、今、局長からお話があった方向で検討されるということでございますので、大変期待をいたしておりますが。
 先ほども申し上げましたけれども、やっぱり学部をつくるときの文部省の認可を取る手続というのは、これ相当大変なんですね。看護医療学部をつくるときも相当大変でございましたし、それからもちろん、文部省の御説明によりますとそうでもないというふうにおっしゃっておりますけれども、新しい学部をつくるときは学年進行が完成するまで、ですから、要するに四年間ということですね、大学であれば、四年間は非常に年次ごとの具体的な計画、教育課程あるいは教員組織、そしてどういう人が先生をやるかとか、あるいは施設整備など、事細かに計画を出させられるわけでございまして、最初の特に四年間は相当大変だというのが新しい学部をつくるときの大学側の思いでございます。
 それから、そういう思いがあるものですから、先ほどの、ちょっと湘南藤沢キャンパスの例にまた戻って恐縮でございますが、看護医療学部というのが新しい学部なんですけれども、実態上、環境情報学部と総合政策学部というのはもう完全に同じ学部のような位置付けで大学運営が最近なされております。それで、それこそ大学内の自治でもって、今、実はクラスター制というものを導入いたしまして、ここは自由にやらせていただけるわけでありますが、十五のクラスターで完全に両学部が一体となったキャンパス運営というものが実態上はなっているんですけれども、であればそれでいいではないかというふうに思われるかもしれませんが、一つ問題がございまして、いわゆる高校生などに対して、十五のクラスターがあって、ここは一体的にとかということをなかなか説明するのは難しいんですね。
 であれば、本来であれば環境情報学部、総合政策学部が一体となって、新しい、これは学部と言うのかどうかということの議論もありますけれども、そうした再編をきちっと認可手続をやってやればいいのかもしれませんけれども、現在の、率直なところ、学内の状況も大変多忙を極めているということもありますし、そうした手続を踏む上で相当な事務的負担といいますか、手続的負担がある中で、ややゆがんだ実態と、それから世の中に対する説明と、ゆがんだ実態になっているというところがございまして、この点については、そういう状況もある中で学部運営というもの、あるいは学部の新設あるいは再編というものについて、是非中教審の御議論を一層進めていただきたいなというふうに思います。
 それからもう一つ、国立大学の方の学部の話でございますが、実は私、東京大学の情報学環、学環ですね、学部ではなくて、の設立にも少し横で見させていただいたといいますか、私自身も情報学環への参画を勧誘をしていただいたわけでありますが、これは非常にすばらしい学環、新しい組織だというふうに思っております。
 是非中教審の御議論の中で反映をしていただきたいと思いますのは、これは情報学環という新しい試みでありますけれども、できたプロセスを見ると、やっぱり東大だったからできたというのはあると思うんですね。文部省と何といいますか対等に議論をしながらいろんな議論をぶつけて、そしてできたということであります。
 実は、学部のありようというのは、行政組織上のあるいは国立大学設置法上の行政的な観点からの議論というのももちろん当然必要なわけでありますけれども、私は、どういう学部、あるいは今回は学部ではなくて学環だということで東大の場合はできたわけでありますけれども、学問のありよう自体、どういう学問クラスターをくっ付けていって教育なり研究をやるかという、本当にその学問領域のありよう自体を議論するという、単に一大学組織の組織論をやっているわけじゃないわけですね。
 だから、そういう意味で、正に新しい学をつくり出す、あるいは新しい知恵をつくり出すという意味で学部の新増設あるいは再編というのは大変重要な議論でありまして、これはしかし、現状の、先ほどのことが続きますと、最終的には文部省あるいはその前提となります審議会ということ、設置審ということになりますが、設置審は、率直に申し上げると非常に重鎮の、大御所の先生方が最終的には判こを押されると、こういうことになっています。東大の情報学環のときもそうだったんですけれども、若手の助教授とかあるいは若手の教授とか、非常に学問の最先端領域のメンバーが本当に昼に夜に集まって、これから情報学というのをどういうふうにつくるんだという大議論があった結果成っているわけでありまして、そうしたことを私は、九十九の国立大学、どの大学でもそういう現場の英知を結集して、新しい学問領域あるいはその研究組織あるいは教育組織のありようという議論が起こっていくことこそが、新しい国立大学法人体制における学の活性ということの観点からも大変重要なことだと思いますので、是非、学部の新設あるいは再編についての、自治権といいますか大学の自治ということについては一層の御配慮をいただきたいと思いますし、中教審の議論を議論としてとどめずに、是非、具体的なスケジュールに落とし込むまで早急に御議論をいただきたいな、できますれば国立大学法人化の議論と併せてその方向性が御提示をいただけるような御議論をしていただきたいというふうに思いますが、その点、再度お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(工藤智規君) 中教審の中間報告は今パブリックコメントを求めているところでございまして、約一月ほど各界の御意見を賜りながら、できればこの夏前、六月中にもその答申をいただきまして、早ければ、国会がお決めになることで恐縮でございますが、秋に臨時国会等予定されることがあれば、できるだけ早くそういう機会を見付けて、国会での御支援を賜りながら制度改正をしてまいりたいと思ってございます。
 それと、若干補足しますと、大学の内部の組織のありようというのは、確かに伝統的には教育研究が一体である、つまり先生も学生も同じく所属する学部というのが伝統的な形でございますけれども、四十年代の大学紛争を契機にしまして、各大学でいろんな改革案が出されました。その一つとして例えば筑波大学があるわけでございますが、学部制に代わる別の組織を設けれるような仕組みを取っているところでございますし、また、今の情報学環の動きも大変斬新なアイデアなわけでございますが、それは正に大学院レベルの組織原理への変更でございまして、私どももそれを支援しながら制度改正して、各大学の工夫でいろんな構成ができるようになっているところでございます。
○鈴木寛君 ありがとうございました。
 それでは、今日は国立大学法人化のみならず大学全般についての集中審議ということでございますので議論をさせていただきたいわけでありますが、私は、そもそも国立と私立と公立、こういう法人化区分がどこまで必要なのだろうかということを是非問題提起としてさせていただきたいと思います。
 どうもいろんな議論を聞いていますと、国立大学は非常に公益性があって社会性があってと。私立大学は何か、何というんですか、経営重視で私益に走っているという議論に聞こえてならないわけであります。私立大学において研究教育に携わっていた私からしますと、やや違和感を覚える議論であります。私立大学の卒業生も国家社会のために貢献してもらおうと思って教育をしているわけでありますので、逆に、私立大学といいましても、皆様方よく御存じのように、別に株式会社じゃなくて、きちっと学校教育法あるいは私立学校法に基づいて公益性ある組織として設置が認められているわけであります。それから、私学助成ということで税金も使っているわけでありますから、私はあえて、中長期的課題としては、国立と公立と私立と、こういう学校区分というのはなくして、一様に大学法人法みたいなものができて、大学たるものをこうした公益性と自主性と独立性と、こういう法的な枠組みというものについて検討してはいかがかなという提案をさせていただきます。
 その提案の問題意識の根っこには、私立大学と国立大学、余りにもやっぱり支援の差があり過ぎるのではないかと、こういうことでございます。
 現在、国立大学には一兆五千四百二十五億の国費が投入されております。一方、私立大学は三千百九十七億円ということであります。これ、学生一人当たりに直しますと、私立大学が十七・一万円に対しまして、国立大学はその十一倍の百九十五万円であります。国立大学卒業生も私立大学卒業生もひとしく社会に貢献をしてくれているわけでありますから、この十一倍という差はやはり余りにも極端な差ではないかなというふうに思いますし、特に私立大学生が入学の年に掛かるお金というのは三百十六万七千八十一円なんですね、直近の調査によりますと。これはその家計の年収の三一・四%ということでありますので、これは私は大変ゆゆしき事態だと思います。私は、広く、国立大学、私立大学を区別せずに、学ぶ意欲があって一生懸命頑張っている学生全体を支援をしていくべきだというふうに思いますが、いかがかというふうに思います。
 それで、教育面について、国立大学がなくなった場合の問題点として、いわゆる実学以外の純粋学問についての教育がおろそかになると、こういうお話がございますが、実学を貴ぶ慶応大学でもきちっと哲学とかそうした学問は教えておりますし、人づくりの意味ということを見識ある関係者が考えれば、当然に何を教えなければいけないのかと、純粋科学は教えなければいけないということはこれは出てくるわけでありますし、それから当然そのところはアクレディテーションなどで評価をされるということになりますから、教育において私は国立と私立の差というのはそんなにないのではないかというふうに思います。
 ですから、私は、一つの方法論として、提案として、要するに国立であろうが私立であろうが学ぶ学生に対しては、今これ足しますと一兆五千億と三千二百億円ぐらいですから一兆八千六百億ぐらいになるんですけれども、これを大学生で頭割りしますと七十一万円ぐらいになるんですね。そうすると、一律に、一律にである必要はないんですけれども、もちろん学生に応じてなんですけれども、それを、それは学生の資質とか意欲によって変えるのは構いません。しかし、国立学生だから、私立学生だからということではなくて、その平均七十一万円というものをクーポンとかバウチャーにして、その学生の意欲と志と頑張りに応じて直接、組織に渡すんじゃなくて、この一兆八千億とかというお金を、今は慶応大学とか東京大学とか京都大学とか組織に渡して支援をしているわけでありますが、そうじゃなくて、学生の方にこの頭で渡していくような教育クーポンとか教育バウチャーというのは考えられるのではないかなということを一つ御提案を申し上げます。
 問題は研究の方であります。確かに市場メカニズムあるいは経営重視だけで基礎研究が成り立たない、あるいは純粋科学の研究を続けることが難しいと、この指摘はもっともだというふうに思いますが、これは私は国立大学が基礎研究ができて私立大学が基礎研究ができないと、こういうわけではないと思います。
 例えば、慶応大学医学部ではきちっと基礎研究をやっております。これは組織の問題ではなくて、先ほど有馬先生もおっしゃいましたけれども、対GDP比〇・四三%しか高等教育にお金を充てていないということの問題でありまして、東京大学が仮に基礎研究に強いといたしますと、これは国立なのだから強いのではなくて、国費が十分に投じられているから強いんだというふうに思います。それから、私立である慶応大学がそれなりに基礎研究に打ち込めているのも同じ理由だと思います。
 東大は年間に一千三百七十億ぐらいの国費が投じられています。京都大学は七百七十億ぐらいの国費が投じられています。東工大は二百六十五億、そして慶応は二百億なんですね。そして、早稲田が百億で、一橋が八十三億。地方大学は慶応とか早稲田以下といったらあれですけれども、のところはある。これは、私が申し上げたいのは、別に組織の問題ではなくて、正に国費、いわゆる基礎研究というか、経済的見返りを期待しないけれどもその研究に充ててくださいという国費をどれだけ国がつぎ込むかという議論であって、国立、私立の議論ではないと、こういう話であります。
 アメリカなどもこの点は、私立大学優勢ではありますけれども、先ほども有馬先生の御議論の中で御紹介がありました対GDP一・〇七%の国費をアメリカも投じています。ですから、ハーバード大学でもMITでもスタンフォードでもきちっとした基礎研究ができておりますし、それから、私は基礎研究の充実のためには国立の研究所というのを充実させるべきだと思います。
 アメリカでもJPL、ジェット推進研究所というのがありまして、これはNASAの基礎的な研究を支えている機関でありますが、ジェット推進研究所をカルテック、カリフォルニア工科大学に業務移管をしているわけですね。これによって非常に国立研究所とそうした大学とのいい意味でのコラボレーションというのができているということでありますから、そうした意味で、形式論にとらわれない、是非、基礎研究あるいは基礎学力あるいは純粋科学をこの国にどう育てていくのかという議論をしていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、私が法人格の区別をなくすべきではないかという理由が全然別の観点からございます。それは何かといいますと、これは国立大学法人化をしますと、いろいろ言われておりますけれども、地方の国立大学が相当大変になるだろうという議論があります。それはそうなんだろうというふうに思いますが、そうなったときに地方公共団体の、当該所属地の地方公共団体のその地方の法人化後の国立大学に対する支援、これは地域社会と一体となった大学づくりという観点で望ましいとは思いますけれども、しかし一方、最近は地方公共団体は自前で県立大学をつくっております。
 となりますと、さらに私立大学の方も実は全体で見ますと経営大変でございまして、二〇〇〇年度で三割が定員割れであります。十八歳人口は九一年二百四万人をピークに二〇〇四年から急激に減少をしておりまして、二〇一〇年には百二十一万人。ですから、半減しているわけですね、ピーク時からしますと。でありますから、結果三割の定員割れと、こういうことになっているわけであります。
 この事態を救うためにはどうしたらいいかというと、まずは各大学が、私立であれ、地方の国立であれ、あるいは地方の公立であれ、特色化、個性化、アイデンティティー、だから入試と学部設定が大事だということを申し上げているわけでありますけれども、そこを相当特徴的な、特色的なことをやって、まずは特徴を出していく。そして、社会人とかあるいは外国人とか、今なかなか高等教育を受けたいと思っても受けられない、そうした学生の方々に入っていただくというところも一つの方策だというふうに思います。
 しかし、それをやってもなお相当抜本的な連携とか、要するに教員の交換とか単位の互換とか、更に言うと、もうちょっと言うと統廃合ということが必要になってきます。特に地方ベースにおきますと、独法化後の地方国立大学と、そして地方の県立大学と、そして経営の苦しくなった私立大学というものが厳然として存在するわけでありまして、この組織間の有機的な連携を図るためには、恐らく法人格が違うということが一つの障害になると。しかも、それが二、三年のうちにこの問題が顕在化してしまうかもしれないということを私は日本の大学改革を考える上で検討していかなければならないのではないかという観点で今の御議論もさせていただいているということを申し上げます。
 そして、最後でございますので、あといろいろお願いを申し上げたかったことは、〇・四三%、対GDP比率、これをとにかく何とかしていただきたいということであります。
 それから、本当に学生は大変でございます。これは先国会でも文部大臣にお話を申し上げまして、大変に御努力をいただきました。そのことは改めて感謝申し上げますが、奨学金の問題、引き続き御尽力をいただきますように。それから、先ほど申し上げましたように、社会人と外国人に対する奨学金問題についても是非、先ほどの大学活性化のためには不可欠でございますので、御尽力をいただきたいと。
 いろんなお願いを申し上げまして、時間となりましたので、私の質問とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
○内藤正光君 大臣、そして両副大臣、ごぶさたしております。久しぶりにこの委員会に戻りまして、五十分の時間をいただき、審議をさしていただくことになりました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 先月の二十六日、私、持っておりますが、「新しい「国立大学法人」像について」が発表されました。まず申し上げておきたいのは、この内容については、私は全体的には評価できるものであるというふうに申し上げたい。しかし、若干疑問もないわけではございませんので、その点について何点か以下質問さしていただきたいと思います。
 まずお伺いをさしていただきたいのは、これは本当に大きな話だろうとは思いますが、大学改革と独立行政法人化との関係でございます。
 大学改革を進めていく上で一番大事なのは何だろうかと考えたときに、幾つかあるんですが、やはりその一つは、大学の自主性なり自律性をいかに守り高めていくか、これも大きな柱の一つなんだろうと思います。しかし、一方、独立行政法人とはどういうものかと考えたとき、これはやはり各政府が中期の目標を立て、そして目標に基づいてその配下の独立行政法人は淡々と業務をこなしていくものだと、つまり政府の配下にあると、これが独立行政法人でございます。
 このように考えてみますと、大学改革というものはそもそも独立行政法人化という枠の中で何かなじまないような気がしてしようがないんですが、この点に対する大臣あるいは副大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 国立大学、長い歴史を持っておりまして、これは行政組織の一環として位置付けられております。そのことからくるいろんな制約があるというふうなことが本当に大学改革を行っていくのにいろんな桎梏になっているという現実がございます。
 大学は、もとより、優れた教育あるいは独創的な研究あるいは社会貢献、そういったことを担うわけでございますが、殊に国費を投入している国立大学におきましては、国が必要とする人材育成なり研究なり社会貢献というものをしっかりとやっていく必要があるわけでございますが、その角度から見ましたときに、やはり行政組織の一環として置いておくのはどうかということがほうはいとして議論の背景に起きてまいったわけでございます。そのようなことから、他方で、行政改革の一環としての独立行政法人化ということが一方で進んでまいりました。
 しかし、国立大学を、今おっしゃったように各行政組織の行政目的を遂行するための組織としての独立行政法人として位置付けるというのではどうであろうかというふうなことが、そもそも国立大学の設置形態について考える際の冒頭に議論されたと思っております。そのことから、今日は有馬元文部大臣、それから中曽根元文部大臣、おいでになっておりますが、そのことについての考え方を明快に国立大学長などを集めた会議でおっしゃられたのが平成十二年の五月の会議でのお話がございます。
 この中におきまして、国立大学がその機能を十分に発揮していくということを前提にしながら、大学の自主性、自律性というのを発揮しながら本来のあるべき機能を達成していくために、独立行政法人という行き方ではなくて、新たな国立大学法人というようなことも十分に考えてみてはどうかという、そういう御提案を正式にしていただいたわけでございます。
 その前に、閣議決定におきましても、大学の自主性を尊重しつつ大学改革の一環として検討するという決定があったわけでございます。そして、平成十二年の七月に有識者による調査検討会議を設けて、今申したような法人化の具体的な在り方に関する検討を行ってきたところでございます。
 したがいまして、国立大学が国費を投入して維持されている、これはどの国においても本当に大事に大学を扱っているわけでございまして、私は今後ともその姿勢というのは大事だと思っておりますけれども、そのことと、大学が自主的、自律的に改革を進めていくというところの二つの要請というものをどのように実現していくかということが今回の国立大学法人という構想の背景にあるというふうに私は考えているところでございます。
○内藤正光君 大臣のおっしゃる大学改革の実現のためには、話を聞いていますと、何も独立行政法人である必要はないと。法人化を取らせる必要はあるにしても、独立行政法人である必要はないと。
 ということは、ちょっと確認なんですが、いわゆる通則法の枠の中で今検討されているのか、あるいはまた、いわゆる通則法の枠の外で法人化を検討されているのか、お答えいただけますか。
○副大臣(岸田文雄君) 今議論されております国立大学法人の議論ですが、独立行政法人通則法では、例えば法人の長の任命につきましても、大臣が法人の長を任命、解任できる権限を持つということになっているわけですが、これにつきましても、国立大学法人では学長選考委員会による選考を経て学長の任命を行うというようなことを考えておりますし、また、独立行政法人通則法、この中期目標ということにつきましても、大臣は目標を定め、法人に指示することとしておりますけれども、国立大学法人では、あらかじめ大学が原案を大臣に提出し、大臣はこれを尊重し、大学の特性に配慮して定めることというふうなことも決めております。
 また、評価等につきましても、国立大学評価委員会等を設けるとか、それから教育研究については大学評価・学位授与機構の評価結果を尊重するとか、こういったことで通則法に比べまして国による事前関与というのは最小限にするということにしておりまして、そういったことによって大学の特性を踏まえた独自の制度を今この最終報告において提言されてきたというふうに認識しております。
 そういった認識でこれからその具体化に取り掛かっていかなければいけないと考えております。
○内藤正光君 今、副大臣がおっしゃったのは、通則法の枠の中で進めはするんだけれども、やはり大学にとって大事な自主性、自律性は最大限守っていかなきゃいけないということで、どんな工夫をされているかいろいろおっしゃったわけなんですが、やはり私は、ここで通則法の枠内でやると、進めていくと、今後もうおのずといろいろ限界にぶつかってしまうんじゃないかなと思うんです。いったんここで独立行政法人化やるわけですね。さらに、御検討されるかどうかは分かりませんが、もしかして地方移管だとか、あるいはまた私学化とか、更に先へ推し進めていかなければならないとなったときに、通則法の枠内でやると、この辺がかなり難しくなってくるんではないのかなという思いがあるんですが、もう通則法の枠内で、ちょっとさっきのもう一度確認さしてください、通則法の枠の中でやるということはもう確認されたということですか。決定されたということですか。
○副大臣(岸田文雄君) 調査検討会議の最終報告は、通則法を要はそのまま適用するんではなく特例措置を設ける必要があると、こういった提言だというふうに認識しております。
○内藤正光君 分かりました。
 じゃ、ちょっとこの辺はまた後から更に場所を変えて議論を深めていきたいと思いますが、次に、ちょっと順番としては後先になるのかもしれませんが、第四項目の「目標・評価」について何点かにわたって質問させていただきたいと思いますが、特に評価という点では、国立大学評価委員会というものが文部科学省の中に設置をされるわけですね、新たに。そして、この委員会が教育研究に関する大学評価・学位授与機構の評価結果を尊重しつつ国立大学法人の運営全体に対して総合的な評価を実施するというふうにあります。研究だとかについては学位授与機構が評価をし、それを尊重するということですね。
 それを加えて総合的な評価を下すということなんですが、研究だとか教育以外にどういった項目が具体的に評価項目といいますか評価の対象になり得るんでしょうか。その考え方を教えていただけませんでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、国立大学評価委員会が大学評価・学位授与機構の評価結果を尊重しつつ運営全体に対して総合的な評価を実施するという提言が行われたわけです。
 その評価の内容ですが、中期目標の達成度について行うとともに分野別の研究業績等の標準評価について行うという指摘しておりまして、同時に、中期目標に記載すべき事項としまして、大学全体としての基本的な目標として、一つは教育研究等の質の向上に関する目標があるんですが、それ以外に、業務運営の改善及び効率化に関する目標、それから財務内容の改善に関する目標、それから社会への説明責任に関する目標、こうした事項が示されております。
 こうした提言を踏まえて、これから具体的な評価の方法、内容について検討していかなければいけないと考えております。
○内藤正光君 繰り返しになるんですが、教育研究のほかには、業務運営の効率化だとか財務内容、あるいはまた社会への説明責任、こういった大枠の中で更にまた具体化をこれから進めていくんだということですね。
○副大臣(岸田文雄君) はい。
○内藤正光君 じゃ、まだ具体的なことはほとんど決まっていないという理解でよろしいんですね。
○副大臣(岸田文雄君) 最終報告が出されてから、検討が進んでいるわけでありますから、これからまた更に努力を続けていかなければいけないと思っております。
○内藤正光君 そしてさらに、この評価結果の一部になるのか、また別物になるのか分かりませんが、この結果が運営費交付金の算定に反映されるというふうにも書かれております。
 そこで、現在、総額二千二百億円余りの積算校費というものがあるわけなんですが、この積算校費と新たに作られる運営費交付金との関係についてお尋ねしたいんですが、これは積算校費というものがそのまま運営費交付金へと衣替えをするという理解でよろしいですか。
○副大臣(岸田文雄君) 結論から言いますと、単なる衣替えではないと認識しております。
 といいますのは、積算校費、これは平成十二年度からは教育研究基盤校費というふうな形で措置されておりますが、これは教員数等に基づいて国立大学の管理運営や教育研究に要する物件費を包括的に措置するということになっています。一方、御指摘の運営費交付金でありますけれども、これは教育研究基盤校費以外の費目で措置されている物件費やさらに人件費も含め、大学運営に要する広範な経費を一括して運営費交付金として措置をするということになっていますから、これ、使途の特定も行わないというのがこの運営費交付金であります。
 ですから、さっき言いました物件費を包括的に措置している積算校費と今申し上げました運営費交付金というものは、これはその対象ですとか使途に関しまして随分異なっておりますので、衣替えということには当たらないと認識しております。
○内藤正光君 衣替えという言葉が私ちょっと適切でなかったと、言ってしまってから反省しているわけなんですが、要は、積算校費というものが廃止をされて、新たな考え方の下、運営費交付金というものが作り出される、そういうことでよろしいんですね。
○副大臣(岸田文雄君) ですから、要は、運営交付金、従来の積算校費という要素も含めて新しくこの運営交付金というものが登場するというふうに考えてよろしいかと存じます。
○内藤正光君 そこで、この運営費交付金なんですが、やはり各大学が注目をしているのは、評価結果が一体どのぐらい各大学の運営費交付金の増減に反映されるのかというところもあるんだろうと思います。具体的にまだ考えていないとおっしゃればそれまでなのかもしれませんが、これはある意味では、考え方、基本的な考え方にも通ずると思うんですが、これは数%程度の増減にとどまるものなのか、いやいや、そんなものじゃない、一割二割ぐらい増減があり得るんだぞというものなんですか。ちょっとこれ、今聞いて、通告していないんですが、教えていただきたいんですが。
○国務大臣(遠山敦子君) 今の運営費交付金、先ほどの話へちょっと戻りますけれども、積算校費というのは教育研究基盤校費なんですね。運営交付金というのは、そういうことに使われるもの以外にもっと大きな、人件費あるいは大学運営に要するような広範な経費を一括して言っている経費であるということを申し添えたいと思います。
 それから、運営交付金のこれから積算というものが各大学にとっても大変大きな関心事になってまいると思いますけれども、この交付金の中には、学生数などに基づくような客観的な指標に基づいて各大学に共通の算定方式で算出される標準運営費交付金のようなもの、それと、客観的な指標によることが困難な特定の教育研究施設の運営あるいは事業の実施に要する特定運営交付金というものを含んでいるわけでございます。したがいまして、客観的な指標を積算根拠としている部分については恐らくそれほどの大きな評価に基づく変更というものがないかもしれませんけれども、やはり運営交付金の算定に当たってはいろんな角度での評価というものも反映されていく可能性がございます。
 ただ、その割合が五%であるのか一割であるのかなどという点については、まだまだこれからその運用の在り方についていろいろな角度から検討していく必要があると思っておりまして、ここで明示的に何%というふうなことを申し上げる段階でもございませんし、また申し上げることはしない方がいいと思っております。
○内藤正光君 大臣の方、運営費交付金には標準交付金と特定交付金があって、客観的な指標に基づく標準交付金についてはそんなにはぶれはないんだろうということをおっしゃったわけなんです。
 じゃ、特定交付金については当然上下増減がある、しかしその幅についてはまだ分からないということなんですが、まだこの振れ幅はよく分からないということなんですが、私、やはりこれ、基本的な考え方なんだろうと思うんです。というのは、たかだか数%だったらば、果たしてそんなのやるべきことなのかと私は申し上げたいんです。
 というのは、なぜかというと、やはり一番大事なのは何度も言うように大学の自主性、自律性ですよね。自主性、自律性を担保するものといったらやはりお金なんだろうと思います、運営に係るお金。これを取り上げておいて自主性、自律性を上げろと言っても、なかなか難しいところがあると。これを果たして本当に競争にさらすべきものなのかどうかというのが私はひとつ疑問に思うんです。本来、競争にさらされるべきはもっと別の、競争的研究資金の方ではないのかなというふうに思うんです。
 もし本当に効率化を促そうと思ったらば、数%のこんな増減じゃなくて、もっととことんやるという考え方があってもいいと思うんです。ということは、この辺、基本的スタンスが定まっていれば、当然大きく増減があり得るということがありますよとか、あるいはまたそうではないんですよということが言えるはずだと思うんですよね。これから決めますというようなたぐいのことじゃないと思うんです。これは基本的な考え方がまずあればですよ、あれば。どうですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 基本的な考え方としましては、国立大学法人におきます競争的な環境を醸成する、あるいは各大学の個性ある発展を促進するということが大変重要であるわけです。
 そういうことを考えますと、例えば中期計画終了時の第三者評価の結果というものを反映させて、次期の中期計画における運営交付金の算定というものが行われるというふうなことは、これは基本的な考え方として明示的にお話しできるわけです。
○内藤正光君 分かりました。
 これはなかなか数字のことを議論していても、まだまだ決まっていないようなので、ちょっと実のある議論もできませんので、次へ移ります。
 これまた、引き続き運営費交付金の話なんですが、大学の評価結果に基づいて運営費交付金を配分する、限られた資源をいろいろな大学に、国立大学に配分をすると。大学としてまとめて受け取るわけですね。その使い方については大学の判断にゆだねる、それは分かりました。これは大学の自主性、自律性を高めるものとして私は評価したいんです。
 しかし、ちょっとここで一つ引っ掛かるのは、いったん受け取った交付金、じゃ更にまた学内で資源配分する際、その資源配分の在り方について文部科学省としては何か一定の考え方をお持ちなんですか。これはもう完全にすべて、いや、大学の判断だよということでタッチしないのかどうなのか、お答えいただけますか。
○副大臣(岸田文雄君) 運営費交付金につきましては、いわゆる渡し切り費的なものだというふうに認識しております。ですから、使途を特定せず、各大学の判断で弾力な執行が可能となるものであります。
 ですから、学内配分につきましても各大学が主体的に判断すべき事柄でありまして、文部科学省が何らかの配分基準を示すことは適当でないと考えます。
○内藤正光君 基本的にはそれでいいと思うんです、基本的には。これに使え、あれに使えなんて言うべきものじゃないんです。
 ところが、学内配分について、すべてこれ競争力という観点から配分してしまったとしたならば、そういったことを許してしまったとしたならば、恐らくは、有馬先生もサンスクリット云々とおっしゃったんですが、少なからず人文系の学部の配分額が少なくなってしまうんじゃないのかと、そんなふうに思うんです。つまり、弱体化の道を歩んでしまうと思うんです。
 仮にも今回、学科の設置については大学の判断にゆだねるということなんですが、学部については、これは政令で定められるわけです。つまり、政府が関与しているわけですね。ですから、こういう学部はほかの私立じゃどうも採算が合わないからどこもやってくれない、だから国立大学、あなたのところやってくださいよということで設立をさせたとしますよね。設立させておきながら、後の資源配分については知らぬ存ぜぬということであるとしたなら、私は、ちょっとこれは一貫性が取れないんじゃないかなと思うんです。
 基本的な私の考えは、やはり学部の設置までも基本的には大学に自由な裁量権を与えるべきだと思うんですが、仮にも今回、この報告書では、学部の設置については政令事項になったわけです。であるならば、その資源配分についても何らかの一定の指針を出すべきだと私は思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 正に大学の見識が問われるところですね。仮にもしここで文部科学省が、じゃ配分の基準を示すとか細々したことを示すとしたら、今回の改革の目的なり手法というものは大いに変質してくるのではないかと思います。
 しかし、それはそれぞれの大学が責任を持って、これは特に国費ですし、しっかりと使わない場合には、それは第三者評価によって厳しく批判されるということになると思いますし、私は、またその配分の仕方についても、むしろ透明にそれぞれの大学が外にも示していくということも必要ではないかなと、考え方については、そのように思うところでございます。
○内藤正光君 各大学の確かに見識が問われるところではあるとは思うんですが、やはりこれから、各大学法人、本当に経営的な側面も考慮しながらそれぞれの運営を進めていかなきゃいけないとなると、これから苦しくなる大学も当然のことながら出てくるんだろうと思います、場合によっては。そうなったときに、その見識というものがどこまで守られるのかどうかということですね。これはちょっと、ひとつ問題意識として持っておかなきゃいけないことなんじゃないのかなとは私は思うんですよね。
 やっぱり採算性が取れないところへの配分というのは、財政状況が苦しくなる中でおのずと私は少なくなってくると思うんですが、これ以上聞きませんが、何か問題意識として持っているかどうかということだけでも聞かせていただけますか。いや、そういうことはもう大学の見識に任せておけば大丈夫だよ、余り人気のないような学科であってもちゃんと学内への資源配分はしっかり行われるんだよと、そう信じて疑わないのか、いや、そういうこともあり得るかもしれないという問題意識を持っていらっしゃるのか。一言で結構なんですが、お答えいただけませんか。
○国務大臣(遠山敦子君) 個別の大学の内部的な配分については、私は大学の独自性ないし大学の英知を結集して決めるべき問題だとは思っております。
 ただ、もちろん、運営交付金というのが何か根拠がなくて額が出されるのではなくて、それなりの積算基礎を持って算定されて出されるわけですね。
 ですから、運営交付金などを出す場合の算定とか配分の基準あるいは方法というものをあらかじめ大学、国民に対して明確にしていく、それはあるわけでございます。だから、そういう鏡に照らしながらおやりになる大学もあり、あるいはその中でも重点を置きながらもっと違う配分のあれでやるというようなこともあろうかと思いますけれども、それは、国から出すお金の性質上、これは地方交付税の場合も同じですね、それは基準があって出しているわけですから。それと同じような作業はもちろんあるわけでございます。
 ですから、それ以上になお細かいことを国が言っていくというようなことは、今回のあれについては、新しい改革の方向性についてはどうかなとは思っております。
 ただ、もちろん、事態がいろいろ時間とともに変化していった場合に、より効率的に、より有効な形で使われていくのにどうしたらいいかというようなことについて、また何らか、いろんな形で英知を結集しながら、ある考え方をみんなで明らかにしていくというようなこともあるかもしれませんけれども、私は基本的には今申し上げましたような姿勢でいくべきではないかなと考えております。
○内藤正光君 では、今回のこの報告書からはちょっとそれるかもしれませんが、先ほど私はちょっと触れました競争的研究資金について若干お伺いをさせていただきたいと思います。
 私の競争的研究資金に対する考え方はと申しますと、本来、この競争的研究資金というのは、国立だとか私学だとかかかわりなく、あるいはまた、教授だとか助教授だとかあるいは助手だとかいうポストにかかわりなく、優れた研究テーマを提示した、そんな研究者の下に資金を配分し、もって日本の研究活動を活性化するものだと思うんです。
 そこで、私はこう思うんですが、大臣あるいは副大臣の競争的研究資金に対する考え方をお聞かせいただけませんでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 競争的資金は、もちろん今おっしゃったように、研究開発課題を広く募って、専門家を含みます複数の者によって科学的、技術的な観点を中心とした評価に基づいて採択をして研究者などに配分する資金であります。
 これは、その特色といたしまして、研究者の研究費の選択の幅と自由度を増大、拡大する、それから競争的な研究開発環境を形成するのに貢献する、あるいは研究者の才能を最大限引き出すということでございます。その意味で、これは私、研究者の属する設置形態にかかわりなくオープンにそれぞれ申請をして、公正、客観的に評価されるべき経費だと思います。
○内藤正光君 そこで、現在、大学関係者にとって最大の競争的研究資金と言われているいわゆる科研費についてお伺いしたいと思います。
 科学研究費補助金、科研費についてお伺いするんですが、現状をお伺いしたいんですが、まず、科研費の配分というのは一体どういうプロセスでもって決められているのか。そしてまた、科研費がいろいろな大学へどんどん配分されているんですが、ナンバーワンから、トップワンからトップトゥエンティーまで一体どんなもの、全部お答えいただく必要はないんですが、どんな感じになっているのか。そして、その中で私学は一体いつごろ顔を出すのか。そして最後に、一体、相対として、国立と私学との配分比率について現状をお尋ねします。
○副大臣(青山丘君) 競争的研究資金の約半分を科研費、科学研究費補助金が占めておるわけですが、これは御承知のように研究者の研究意識の発揚に大きく貢献してきていると思います。
 そして、その配分でございますが、科学研究費補助金が、研究者から自由な申請に基づいて、研究者からの申請に基づいて、科学技術・学術審議会、それと日本学術振興会科学研究費委員会における厳正な審査と評価に基づいて配分されているものであります。
 具体的に申し上げますと、約四千三百人規模の審査委員がそれに当たりまして、年間約十一万件にも上る申請課題がございます。これについて、ピアレビューによって書類、書面審査をまず行います。そして、科学技術・学術審議会等における合議審査によって採択課題を決定しているところであります。さらに、研究費規模の大きな種目については申請者からヒアリングを求めております。その決定を受けて、文部科学大臣及び日本学術振興会会長より研究機関の代表者を通じて研究代表者に配分されているものでございます。
 平成十四年度予算の中で、千七百三億円の配分については、審査を終了したものから順次交付内定を既に行っておりまして、四月現在、約三万九千件、約一千三百二十七億円の交付を内定しているところであります。
 それから、国公私立の配分総額の中における位置付けの問いがありましたが、平成十四年度科学研究費補助金のうち既にその交付内定を行った分につきましては、配分総額の上位二十大学のうち、私立大学は二校含まれております。
 具体的に申し上げますと、慶応義塾大学が第十一位に、早稲田大学が第二十位となっておりまして、国立、私立の別で見ますと、配分額、配分割合につきましては、国立大学が約九百六十五億四千万円、既に交付内定を行った額の七二・七%、私立大学が約百七十七億五千万円でございまして、配分割合は一三・四%となっております。
○内藤正光君 国立と私学の配分比率が、国立が七二%、私学が一三%。これなどは私学の数に比べると余りにも何か国立に偏っている嫌いがあるなというふうな思いがします。実際、この審査に当たる学術振興会ですか、この構成メンバーもほとんどが国立大学関係者だという話も聞いております。
 そうなってくると、やはり私は、何というんですか、競争的研究資金の持つ意味合いというのが半分ぐらいそがれてしまうんじゃないのかと。本来、競争的研究資金というのは、国立だとか私立だとかは全く関係なく、あるいはまたポストに全く関係なく、すばらしい研究アイデアを出してきたところに対して資金を上げる、これが競争的研究資金なんですよ。やはり最初から国立だけというふうに枠を作っちゃうということは、私は、この持つ意義が半分以上失われてしまう。これは余り深く議論するつもりはありませんが、やはり今後、こういった今の現状を見直していただきたいですね。もっと競争的研究資金の意味を開花させる意味でも、こんな一国立だけにとどまっていたら、もう日本そのものが沈没してしまうんですよ。
 ちょっと最後、この件に関して最後なんですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 今ちょっと御質問の中に大変な誤解がありましたので手を挙げましたけれども、決して国立大学に枠があるわけではございません。
○内藤正光君 分かっています。
○国務大臣(遠山敦子君) これは恐らく副大臣が答えてくださると思いますけれども、そもそもの申請件数が全然違うわけですね。
 じゃ、この後はちょっとお願いいたします。
○副大臣(青山丘君) 本来的に国公私立に全く関係なく、厳正公正な審査に基づくものでございまして、結果としては御指摘のような結果があるかもしれません。
 今、大臣がおっしゃられたように、まず申請件数全体に占める私立大学の割合でございますが、全体の二五・三%、それから採択件数に占める私立大学の割合は二一・三%。その辺りは大体比例していると見るべきでしょうが、結果的に見まして、私立大学への配分額が例えば教員数の割合から見ますと非常に少ないかのように印象を受けますが、国立大学教員の申請率が九六・四%でございます。九六・四%。私立大学教員の申請率が三〇・九%にとどまっておりまして、私立大学研究者からの申請そのものがまず少ないということになっておりますので、これからは説明会等で私立大学の研究者から積極的な申請がいただけるようにしていきたいと考えております。
○内藤正光君 確かに、私学の方もそういった積極性がなかったのかもしれない。しかし、ただ厳然とした事実は、この審査に当たる審査員のほとんどが国立大学関係者だ、これは否定し難い事実なんです。この辺もやはり何らかの形で私は見直していくべきだと考えるんですが、青山副大臣。
○国務大臣(遠山敦子君) この点もやっぱり客観的な数字だけを押さえていただきたいと思うんですけれども、審査員の選考を依頼する段階、それから選考後に、選考する段階におきまして私学の研究者を十分配慮するようにということで私どもも言っておりますし、結果的には私学の関係者が二三・五%でございます。国立は六五・八%でございますけれども、その他の人も一〇・七%あるわけでございます。
 したがいまして、審査が国立のみで行われているかのようなことは、むしろそういうことについてはどんどん払拭していただいて、私はもっと私学の研究の、研究者の厚みが出てきた段階なんかはもっと増えてきていいとは思っておりますが、少なくともデータに基づいた御議論をしていただけたらと思います。
○内藤正光君 いや、データに基づいて言っているんです。もうこれ以上は、あと十分ほかにやりたいことがあるので余り触れませんが、データに基づいていない議論をしているようなちょっとその発言は私はちょっと聞き捨てならないんですが、しっかりその辺、また何だったら今度一時間時間をもらってやりたいと思いますので、最後ちょっとインブリーディングについてお話をさせていただきたいと思うんです。
 科学技術審議会の議論でも、日本の大学におけるインブリーディング率、いわゆる純血主義ですね。つまり、自校出身者がそのまま助教授だとか教授だとかのポストにぽんと上がってしまう、そのままストレートに、そういうインブリーディングの高さが指摘されているわけでございます。また、この審議会の議論の中でもこういった発言もあるわけなんですが、インブリーディングになっている研究室より、高い頻度で人材流動が起こっている研究室の方がグローバルスタンダードで良い仕事をしているんだというような指摘もあるわけなんです。
 実際に科学技術審議会の中で配られたこの資料を見てみましても、なるほどなと思いますね。日本の教官のインブリーディング率、平均してみると、大学院なんですが、大学院の教官なんですが、六二%あるんですね。高いところは農学部があるんですが、農学部については八四%、純血主義ですね。で、低いところ、理学部なんですが、その理学部ですら五一%という高さなんですね。
 一方、じゃこれが高いのか低いのかというのを判断する一つの材料として、これは同時に外国の、アメリカの数字も出されています。これは審議会の中で出されたちゃんとした数字ですので、大臣、聞いておいていただきたいんですが、カリフォルニア大学九校を平均してみると二二%だというんですね。かなり日本のインブリーディング率、いわゆる純血主義の高さが目立つわけなんですが。
 そこで、今回、この報告書、職員の身分を非公務員型にしたいだとか、あるいはまた任期制や公募制の積極的導入をしなさいとかいう内容をうたっていて評価はできるんですが、ただインブリーディングに対する考え方が見られないのはちょっと残念なのかなとは思うんです。
 例えばドイツなどでは教授に昇進するときにインブリーディングというものを一〇〇%禁止しているだとか、あるいはまたほかの国々でも何らかの規制があるやに聞いております。
 そこで、インブリーディングに対する大臣あるいは副大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。このままでいいのか、あるいは何らかのある一定の指針なり方針を作るべきなのかどうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 私はその点は全く賛成です。
 私は、これからの国立大学及び、まあすべての大学ですけれども、それが本当に国際化しているか、あるいは国際的に通用できているかという点は、それはいかに純血主義から脱しているか、あるいは優れた外国人研究者を始めとする異質な方々、その大学にとっては異なった経歴を持つ人たちをどれだけ取り込んでいるかということが大変な大きなメルクマールになると思っております。
 このことは大学審議会におきましても、平成八年に既に、「大学教員の任期制について」の答申の中で、教員の流動性を一層高めていくことが必要であると言っておりますし、平成十二年の審議会の答申の中でも、例えば自大学出身の教員の採用率の自主的な上限を設定するなどの工夫を行えと書いてございます。
 私も、将来、大学の評価の中に、いかにインブリーディング率を下げていったかというようなことも、これは一つの見方として入れ込んでもいいくらいではないかと個人的には思っているわけでございますが。
 いずれにいたしましても、ただ努力はかなり最近行われておりまして、分野によっては、先ほどもおっしゃいましたように、特に理学系、工学系のようなところはかなり外国人を入れたりして自らその問題について対応しつつあると思いますが、なおこの点については加速をしてもらいたいと思っております。
 で、この法人化がそのことをやりやすくする、そういういい契機になるのではないかと思っております。
○内藤正光君 大臣が個人的にと強調されておっしゃったことを是非私は実現すべきだと思うんです、正に。私はすばらしい考え方だと思うんです。あるいは中期目標だとか中期計画の中にそれを入れ込まないともう認めないだとか、あっ、中期目標ですか、入れ込まないと認めないだとか、あるいはまた、着実にインブリーディング解消に向けて努力しているんだということが評価の対象になるんだとか、私は具体的に大臣のこの個人的な考え方を政策の中に反映していただきたいと思うんですが、御決意をお聞かせいただけますか。
○国務大臣(遠山敦子君) 微力を尽くしたいと思います。
○内藤正光君 分かりました。
 本当はもうちょっと一つ大きな柱をお伺いしたかったわけなんですが、残された時間も四分でありますので、ちょっと基本的な考え方を一つお伺いしたいと思います。
 私たち民主党の考え方は、やはりこれから本当に国立大学、こんなにもたくさん必要なのと。やはり私学だとか地方移転、移管、どんどん進めていくべきじゃないのか、で、どうしても国立じゃなきゃできないな、国立が果たすべき役割だなというものがあったときに限り国立大学としてそれを残すという考え方なんです。
 そこで、大臣にお伺いし、あるいは副大臣にちょっとお伺いしたいんですが、基本的な考え方なんですが、国立大学の意義って何なんでしょう。で、いや、私学じゃできないけれども、国立じゃなきゃできないものって一体何なんでしょう。それを一つお伺いしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) もちろん、絶対にできないかという確度で言うべきことであるのかというのはもちろんございますけれども、私としましては、日本の国立大学といいますものは、日本の研究、それから研究者養成の主力を担っていると、こういうことは一点ございます。また、大学教育の機会均等に資しているという点は言えると思います。これは国立大学の全国配置のことをごらんいただきますれば、私学がどちらかといえば主要都市に集まっているものに比べまして、これは配置の考え方が違うというようなこともございますし、特に理工系の人材養成、大学院の人材養成及び研究の内容、そういったようなこと、それから地域の活性化への貢献などの面でも重要な役割を担ってきていると考えています。
○内藤正光君 大臣のおっしゃったこと、なるほどなと思いながら聞く一方で、反面、でもやり方によっては必ずしも国立である必要もないわけなんですね。例えば、すべての人に学ぶ機会をというのであれば、それはバウチャー制度でもって対応すれば、それは私学であってもいいわけですよね。地域の振興という観点でも、じゃアメリカの大学、私学がじゃ地域振興に何も役割果たしていないかというと、結構、私学、私立の大学、地域振興にかなり大きな役割を果たしているわけですよね。
 やっぱりそう考えてきますと、国立大学が担うべき役割というのはかなり限定されてくるんだろうなと思います。例えば一つの考え方として、すごい大きな巨額な資金を要すようなビッグプロジェクト、これを果たしてじゃ私学でやれるかというと、これは難しいところがあろうかと思います。これなどはやはり国立大学がやるべきことなんだろうと。あるいはまた、国益に絡むことで国の意思を、例えばこれからバイオの分野を強化していかなきゃいけないというような、そういったところを具体化してくれるのが例えば国立大学であったりとかしてもいいと思うんですよね。
 ですから私は、やはりいま一度ここで、何も私は全部の国立なくせと言っているわけじゃないんですが、本当に国立じゃなきゃできないこととは何なのか、国立大学の意義というのをいま一度しっかり議論してみるべきだというふうに思います。
 大臣、私の今申し上げた考え方に賛成するかどうかは別として、いま一度省内でしっかりと各界の有識者も巻き込んで議論をし、国立大学のこれからの意義、じゃないと何年たっても同じような議論が出てきちゃうと思うんですよ、国立大学廃止だ廃止だなんて、そうならないためにも、いま一度ここでしっかりと議論をしていただきたいというふうに思います。もし何か一言あればおっしゃっていただいて、私の質問を終えます。
○風間昶君 公明党の風間ですけれども、午前中と今の議論を聞いていて感じたことは、やはり日本の高等教育についての、先ほど大臣は五十年先、百年先の人類への知の結集をすることについては大学における役割は自明の理だというふうにおっしゃったけれども、僕はそんな五十年、百年先のことよりも、むしろこれから二十五年から三十年たって子供たちが本当にいなくなる、少なくなる、そして高齢社会でもうほとんどおじいちゃん、おばあちゃんの世界になっていく、そのときぐらいの、少なくとも中期をちょっと超えた、長期に入るかもしれませんが、長期の要するに最初の部分のグランドデザインが高等教育において必要じゃないかなというふうに思うんです。そこがまだ見えないものですから中期目標あるいは中期ということで限定されているのかなというふうにも感じました。そこのところが、きちっとグランドデザインが見えると、おのずと短期、中期の部分での、今回の短期での国立大学法人化の問題も見えてくるんだろうなということを感じました。
 そこで、グランドデザインは大変大ざっぱなあれですから、何をするのかということについては、先ほども大臣が教育研究、そしてその教育研究の成果を社会の中に還元するというふうにおっしゃったことは当然のことだと思うんですけれども、じゃどういう形で社会に還元していくのかということが今実は正に問われているんだろうなというふうに思うんです。そういう意味では、大学の潜在力を出して、そして大学の資源がきちっと社会に還元されるようになると日本は活性化すると。そこで日本の活性化と大学との関係が明確に浮き彫りになってくるんだろうなというふうに思うんです。
 だから、そういう意味では、国立大学に今勤務されていらっしゃる教員もそれから職員も、今のままの大学でいいと思っている人は余りいないんでないかな、もう何とかしなきゃならないのではないかというふうにあえいでいるという状況だと私は思います。そういう意味で、国大協が今回のこの法人化のことについて、一〇〇%ではないにしてもおおむね承認というふうになったんだというふうに私は理解しております。
 そこで、まだやっぱり承認できない部分ということについて、多くの、多くというか思っていらっしゃる方々について数点お伺いしたいと思いますけれども、一つは、大学間の予算の格差の拡大について懸念を表している。
 これは、先ほども国からの運営費交付金の問題について議論がありましたので少し見えてきたんですが、ただ、その運営費交付金の積算根拠がやっぱり明らかにまだなっていないわけです。基本的には、それは学生数とか何かという項目はあるんだけれども、その根拠が明らかになっていないからどうも見えないということがやっぱり懸念としてあります。それが見えれば、見えた上でなおかつ少数の教育研究拠点、これとこの運営交付金の算定についての、どうリンクするか、ここについてちょっとお伺いしたいと思いますけれども。
○副大臣(岸田文雄君) 先般の調査検討会議最終報告におきまして、運営費交付金の算出方法として、透明性の確保、それから自主、自律性の向上、あるいは特定事業の実施に適正に対応するという、こういった観点から、標準運営費交付金とそれから特定運営費交付金、前者の方は学生数等客観的な指標に基づき各大学共通の算定方式により算出されるものでありまして、後者の方は客観的な指標によることが困難な特定の教育研究施設の運営や事業の実施に要する交付金、この二つを運営交付金ということで上げて、これを合計したものという形にしたわけであります。
 これが見えてくればという御指摘でありますが、この最終報告を受けて、運営交付金の算定方法につきましては今言った趣旨、これをしっかり踏まえて今検討していくという段階であります。是非そういった御指摘も踏まえて具体化に向けて努力していきたいというふうに思っています。
○風間昶君 これはしかし、もう一方では余り今つまびらかにしちゃうと、逆にちょっといろんな支障が出てくるかなという、私がもし与える側になるとすれば、そんなことも今思っております。
 それからもう一点、危惧する問題で、やっぱり行政指導が強化されて研究教育の自主性や自律性が犠牲になるではないか。その端的な例がやはり学長は大臣が任命する、それから中期目標の承認も大臣が行うということになると、結果として文部科学省の権限が極めて強大になるということの行政指導の強化の懸念について、そもそも行政の関与とはどういうふうな変容を迫られるのかということについて、どう押さえているんでしょうか、懸念に対して。
○国務大臣(遠山敦子君) そういう懸念は全くないと私は言いたいと思います。
 日本の国立大学は現行制度上、行政組織の一部として位置付けられておりますので、予算、組織、人事の面などで様々な規制があって、教育研究の柔軟な展開に制約があるというのは御存じのとおりでございます。今回の国立大学の法人化は、こうした諸規制が緩和されて、各国立大学がより大きな自主性の下でこれまで以上に創意工夫というものを重ねながら、教育研究の高度化あるいは個性豊かな大学づくりに取り組むということを可能にするものでございます。
 具体的に申しますと、例えば今人事権のことをお話しでございましたけれども、学長、監事以外の人事権はすべて学長にゆだねられるわけでございます。今は部局長以上は大臣が任命しているわけですね。それから、事務局長らの幹部につきましても、もちろん文部科学省の職員として文部科学大臣が任命するということになるわけでございますが、そういったことは学長、監事以外はすべて学長にゆだねられるわけでございますし、また予算の執行につきましても各大学の判断で弾力的な執行が可能になるわけでございまして、大幅な自立性の向上が見込まれるところでございます。
 こうした考え方に基づきまして、行政の関与の在り方としましては、各大学に対する事前の関与、規制をできるだけ少なくするという一方で、必要最小限の事後的なチェックというものに重点を置く方向に大きく変容してまいるわけでございます。
 なお、法人化後につきましても、公財政支出が前提となっております以上、国民や社会に対する説明責任を重視するという観点から、大学に関する情報公開、情報全般を公開すること、あるいは第三者評価を導入することなど、あるいは中期計画、中期目標の定めに当たって文部科学大臣が関与していくということはあるわけでございます。それは公財政支出が前提となる以上その措置というものは必然的であるわけでございまして、現在のようにかなり細かく文部科学省において見ざるを得ない、そういう在り方とは大きく変容していくものと考えております。
○風間昶君 細かなところまで手は突っ込まないけれども、大どころの学長のところだけは私の権限よと、こういうふうに聞こえるんですね。だから、適切な形でそれは任免するということが極めて大事だと思いますからあれですけれども、いずれにしても、そうなると今度は、今まで文部大臣の権限がかなり強かった部分が今度は学長の権限が強くなるということになってきますから、その学長をだれがどのようにチェックするのかということが一つ管理運営上問題になるんでないかと思うんですけれども、ここはどうですか。
○副大臣(岸田文雄君) 今回の最終報告におきましても、機動的、戦略的な大学運営を実現するために、学長に強いリーダーシップそして経営手腕を求めているところであります。他方、国民や社会に対する説明責任ですとか、意思決定プロセスの透明化、あるいは適正な意思決定の担保といった観点から、監事の配置とか、会計監査人による監査ですとか、あるいは学外から役員を招聘するとか、それから学外有識者も参画する経営協議会を設置すると、こういった仕組みも提言されているところであります。
 こうした仕組みは、一方では学長をサポートする機能を持つわけですが、一方でチェックする機能も持つと。こうした学内の仕組みというのは、サポート機能とチェック機能と両方を兼ね備えた仕組みだというふうに理解しておりまして、こうした全体の仕組みの中で、活力あるそして開かれた大学づくりが進むということを期待して制度の具体化を進めていかなければいけないと考えています。
○風間昶君 先ほども有馬委員の方からお話になってありましたけれども、運営協議会、経営に関する運営協議会の意見が強くなって、教学に関するいわゆる評議会の発言権が弱まるんでないかと危惧する大学関係者もいるわけでありますけれども、両者の間に対立が生じた場合に最終的判断は学長を始めとする役員会の決定にゆだねるということなんでしょうか。先ほどの答弁では、経営と教学に関するオーバーラップする部分が相当あると、だから合同でやることも双方にまたがる案件についてはあり得るというふうに言ったけれども、それは合同でやるのはいいんだけれども、最終的には学長を含む役員会がその決定権を持つんでしょうか、対立した場合。
○副大臣(岸田文雄君) 今回の報告の中で、評議会と運営協議会を設置して、学長が最終的な意思決定を行うということとなっています。ただし、意思決定プロセスの透明化の確保とか適正な意思決定の担保といった観点から、その学長の意思決定に先立ち学外の有識者から成る役員会の議決を経ることという提言もしております。また、学内コンセンサスの円滑化の観点から、今、先生御指摘のその運営協議会と評議会の合同委員会を開催するというような工夫も期待されるということが提言されております。
○風間昶君 ですから、それはだから、大学ごとによってこれから変わってくるということにとらえていいんですか。
○副大臣(岸田文雄君) おっしゃるとおり、これは大学のそれぞれの工夫が尊重されなければいけないと思っています。
○風間昶君 もう一方で、我々議員も、議員もそうですけれども、要は大学のことについてある意味では門外ですよね、門の外に僕らいるわけですから。その学外の人を運営協議会に投入するということは、説明責任からいっても大変大事なことだから、大いに私は結構だと思います。しかし、最も重要な需要者というのは学生でないのかなと。学生のためにこういったことが本当に役に立つのということが、一番その視点が大事じゃないかというふうに思うんですよね。
 つまり、学生の意見をどのように取り入れるかということが全然議論になっていないのではないかというふうに、いや、私、全部読んでいないから分かりませんけれども、これから少子化が進んでいくと、恐らくもう大学や専修学校の総定員の方が出生数を上回るのも時間の問題ですから、学生のニーズにこたえていけるかどうかということが生き残りに、大学の生き残りになっていくんじゃないかというふうに思います。
 そういう意味で、学生のニーズを取り入れるシステムをどこかで反映していくべきではないかというふうに思わざるを得ないんですけれども、どうでしょうか、そこは。
○国務大臣(遠山敦子君) 確かに、大学の運営に当たりまして、教育研究する側、言わばサプライサイドからの発想だけではなくて、それの受け手である学生などのデマンドサイドからの発想を重視する姿勢が大変重要だと思っておりますし、そのことは最終報告の中でも指摘されているところでございます。
 学生のニーズを取り入れるシステムといたしましては、一番大事なのはやはり学生にとっては授業、いい授業が行われるということでございまして、授業評価によるカリキュラムの改善をどんどんやっていく、あるいは学生が快適な環境で過ごすことができるようにサービス体制を強化する、そのためには学生サービス室でありますとかあるいは学生支援室などを設置するなど、従来から取り組んでまいったところでございます。
 法人化によりまして大学改革が推進されて、競争的な環境の中で各大学が良い意味で競い合って、各大学の自主的な判断によって柔軟かつ機動的に体制の整備充実を行って、学生のニーズも十分折々に反映しながら運営がなされていくことを期待したいと思います。
○風間昶君 それもまた各大学の独自性の判断、自主性に任せるというふうにとらえていいんでしょうかね。
○国務大臣(遠山敦子君) これこそ正にその大学がそれぞれ工夫をしながら、いかに学生のニーズを吸い上げてその期待にこたえていくかということは正に大学自体の大きな任務であると、各大学の任務であると思っております。
○風間昶君 ちょっと話を変えますが、この協議会の「「国立大学法人」像について」の「関連するその他の課題」でいろいろあるんですけれども、グランドデザイン、先ほどのグランドデザインの在り方についても検討しなきゃならないというふうになっていますが、国立大学の場合と同様に、公立大学・公立短期大学等に法人格を付与することの必要性についての具体的な制度の在り方が課題になっているということでありますけれども、東京都も都立四大学を統合して大学法人を設立する方針というふうに聞いていますけれども、文部科学省自体としては、今後公立大学における大学法人化について現時点で、現時点で全く議論していないんだったらしていないというふうに答えてほしいし、どういうふうに考えているのか、教えてください。
○政府参考人(工藤智規君) この最終報告で公立大学の法人化について言及しているのは御指摘のとおりでございます。
 また、一昨年になりますけれども、平成十二年十二月の閣議決定におきまして、国における独立行政法人化の実施状況等を踏まえながら、独立行政法人制度の地方への導入を検討するべしとの閣議決定があるわけでございます。
 ただ、残念ながら、国の場合の独立行政法人制度、昨年四月から発足したわけでございますが、地方自治体におけるその制度の導入について国よりも後れぎみでございます。ただ、目下総務省におきまして、そもそも地方自治体における独立行政法人制度の在り方についてどうするかというのを御検討中と承っております。
 私ども、そもそもの本体の地方での独立行政法人の仕組みを見ながら、じゃ大学についてはどう考えるかというのが順序かと思っているわけでございますが、目下のところは総務省あるいは公立大学関係者との勉強会などを行っておりまして、テストランと言ってはなんでございますが、本則ができ上がった後に速やかにその制度設計ができますように研究を進めているところでございます。
○風間昶君 分かりました。
 それでは、先ほども議論になりました地方国公立大学の件についてでありますけれども、地元の子弟の割合が非常に高くて、しかも、これは北海道のある大学でありますけれども、所得階層でいえばそう高くない、低い家庭の子が多いというところもあって、これは国立大学や公立大学の授業料が低く抑えられてきたということにもよるのかもしれませんけれども、今後、この授業料について格差が生じることによって、教育の機会均等が破られるんでないかという懸念があります。
 国として、大学法人の授業料についてどのような態度で臨んで、どのような形にしていくのかということを今どのように考えているのか。特に、もう一つは、授業料の上限、キャップ制を導入するということについてはお考えが議論の中にあるのかどうか。この二点を教えてください。
○副大臣(岸田文雄君) 国立大学の法人化後における授業料等の学生納付金の扱いにつきましては、最終報告の中で、運営費交付金算定への反映のさせ方に配慮しつつ、各大学共通の標準的な額を定めた上で、一定の納付金の額について、国がその範囲を示し、各大学がその範囲で具体的な額を算定するという方向が示されています。
 その方向で考えるわけですが、これは国が範囲を示すということになりますと、おのずとその上限は設定される形になるものと考えております。
○風間昶君 なるほど。
 あと、また違う意見ですけれども、専門学部というか、専門分野別に授業料を設定されるということも考えられますけれども、これも問題があると思いますが、この件についての議論はどうでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) これは、過去にも度々財政当局との間でもやり取りがあるところでございますし、お立場によっていろんな考え方があるところと承知してございます。
 ただ、欧米の大学と比べましても、欧米、特にアメリカは私立もあるわけでございますが、学部別授業料というのは外では見られない様相でございまして、日本の私学がかなりそれぞれの事情によりまして特異な形態でございます。
 私ども、国立大学の授業料の在り方につきましては、経済的事情等に左右されないで、医学部等も含めて、しかるべき納付金で就学いただけるよう、教育の機会均等の確保の観点から、学部別授業料の導入というのはいかがなものかというのを従来から方針としているところでございます。
○風間昶君 それでは、大学の会計基準についてちょっと数点お伺いしたいと思いますけれども。
 国立大学法人も独立行政法人の一種として企業会計原則を踏まえた財務処理されるというふうに思うんですが、そうなると、この大学の経理担当の職員の研修をどうするのかというのが一つあると思います。
 それから、書類の問題ですけれども、貸借対照表で大学の開発した特許とか、これ資産として計上できるはずですけれども、金銭価値判断をどういうふうにするのか、企業と同じようなふうにするのか、これが二点目です。
 三点目は、損益計算書についてですけれども、費用についてどのぐらい詳しい記載を求めていったらいいのか。例えば、人件費だったら大学全体一括して費用を計上しても企業会計原則では問題ないわけですけれども、しかし行政情報の公開、情報公開ということからすると、附属明細書においてはどの口座に人件費どのぐらいということの公開をすべきだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか、三点。
○政府参考人(結城章夫君) まず、会計処理でございますが、現在の国立大学の財務処理は、会計法などの関係法令に基づきましていわゆる官庁会計によって行われております。これが法人化されました後におきましては、御指摘のとおり、先行しております独立行政法人の会計基準を参考とした新たな会計制度に移行していくわけでございます。その財務処理は大きく変更されることとなります。
 したがいまして、この法人化に当たりまして、大学の経理担当職員に対するその方面の研修は大変重要であるというふうに、不可欠であると認識しております。このため、既に平成十三年度から、国立学校財務センターにおきまして、法人化を視野に入れて、国立学校等職員を対象とした簿記研修を開催しているところでございます。
 こういったことも含めまして、文部科学省といたしましては、今後とも、法人化後の財務処理に関する研修の充実に努めていく方針でございます。
 それから、二つ目の特許の取扱いでございます。
 国立大学法人がこれから作成することになります財務諸表などの在り方につきましては、現在、文部科学省におきまして、国立大学法人会計基準等検討会議というのを開催いたしております。そこで具体的な内容を検討中でございますが、御指摘のとおり、大学で開発した特許につきましては、貸借対照表における資産に計上することが考えられるわけでございます。企業の場合ですと、企業の有する特許につきましては、出願のために直接要した費用をもって貸借対照表上の資産額として計上しているというふうに承知しておりますが、このような取扱いはこれからの国立大学法人が有する特許の価値の評価の検討に当たって大変参考になる、参考にすべきものだというふうに考えております。
 それから、三つ目の損益計算書でございますけれども、この損益計算書というのは、法人における財務状態や運営状況を示すその財務諸表の中の一つであるわけでございますけれども、国立大学法人がこれから作成してまいります財務諸表の在り方については、今申し上げましたように、文部科学省の検討会議で具体的に検討中でございます。
 ただ、一般的に申し上げますと、損益計算書は法人全体の損益を示すものでありますから、その記載内容は、今、先生おっしゃったような口座ごとの人件費など、余り詳細な内容にわたるものではないと考えております。
 しかしながら、国立大学法人の財務面にかかわる情報の公開、これ大変重要でございまして、その調査検討会議の最終報告におきましても、各大学の財務内容は広く公表、公開するという提言をいただいておるところでございます。これを受けまして、社会に対する説明責任あるいは情報公開といった観点から、この財務諸表の附属明細書といったことを活用するなどによりまして、財務内容の可能な限りの公表、公開を検討していく方針にいたしております。
○風間昶君 分かりました。
 いずれにしても、行政情報の公開という観点からすると、極めてこれは附属明細書でやっていかなきゃ国民に対しての、国民そのものが納得していただけるような形にしていかないと駄目だというふうに思うんです。
 続いて、キャッシュフローについて、運営費交付金については一般企業の営業活動に当たる業務活動によるキャッシュフローに分類されるようでありますけれども、特許の収入についてはどうなのかと。それから、単純な寄附収入については評価するシステムはあるのかどうか。この二つ、お伺いしたいと思いますけれども。
○政府参考人(結城章夫君) 先行しております独立行政法人会計基準によりますと、キャッシュフロー計算書につきましては、三つの区分になっております。一つは業務活動、二つ目が投資活動、三つ目が財務活動、この三つに区分をして記載するということになっておるところでございます。
 そこで、特許収入でございますが、これは投資活動あるいは財務活動とは言えないものでございますので、これは通常業務の実施に係るものでは直接ないわけですけれども、業務活動によるキャッシュフローの中に区分して記載していくことになると考えております。
 単純な寄附収入についても、同じく業務活動によるキャッシュフローに区分して記載することが考えられております。
○風間昶君 三つのやり方の、やり方というか、キャッシュフローの中での投資、いわゆる出資の部分と、それから三番目の財務、いわゆる貸付けの部分でありますけれども、今度国立大学法人になると、その法人がほかの営利法人へ出資することも可能になるわけでありますけれども、どの範囲で可能かという線引きが、ここが大変大事なことになってくると思うんですが、そこはいまだ明確ではないわけでありまして、営利法人への出資が可能かどうかと。現在は可能ですよね。また、リスクの大きい出資よりもリスクの小さい金銭貸付け、現在認められていないわけですけれども、これについてはどういうふうに考えていったらいいでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) 今回の最終報告におきましては、大学の教育研究あるいは社会貢献といういろいろな機能があるわけでございますが、それをより充実した形で遂行するためにいろいろ考えたらどうかという一つの在り方としまして、一つには教育研究施設等で一部外に切り離した形でやった方がより運営がしやすい、あるいは一部独立採算的に運用が可能であるというような施設がありましたら別の法人にして、そこに出資するようなことを考えてはどうかと、あるいは施設ではなくて業務の観点から、大学で行っております業務の一部について、効率的な運用あるいは弾力的な事業展開等から外に切り離すこともあり得るんじゃないかということで、可能性を言っているところでございます。
 ただ、他方で、全体的にこれは一定の公費で支えられる公の法人なものでございますから、それは、先行しております独立行政法人のスキームを使いながらといいますか、基本に立ちながら考えているところでございまして、独立行政法人制度そのものの中での取扱いといたしますと、独立行政法人による出資は、独立行政法人の本来業務及びそれに附帯する業務に係るもの以外には認めないという前提になっているわけでございます。
 したがって、今後、営利法人への出資あるいは金銭貸付け等も含めまして、それぞれの大学法人の本来業務あるいは附帯業務から離れない形のどの辺りをどう線引きかというのは、かなり個別的な御判断をさせていただきながら検討させていただく課題かと思っていまして、今後、制度の具体化に当たりまして、関係方面とも御相談しながら明確化を期してまいりたいと思っております。
○風間昶君 それから、国立大学特別会計二兆七千八百二十九億円、これは文部省予算の三〇%近い、三〇パーまでいかないか、二十数%を占める特別会計をどうするのかと。特に、附属病院の問題について、現在三、四割の国庫補助を受けているわけですけれども、独立法人、大学法人となるとコストと収入が明らかになっていくわけでありますから、かなりこれ深刻な問題になっていくんじゃないかなと。ざっと六千億ぐらいの負債があると、六千億、正しいかどうか分かりませんけれども、聞いています。文部科学省は払わないでしょうね、絶対。
 そうすると、財政的な変革を、構造改革をどうしてもやらなきゃならない。処理をどうするのかと大学も悩んでいる。相当大きな問題ですけれども、どうします。
○副大臣(岸田文雄君) まず、国立学校特別会計ですが、国立大学法人における自己収入の取扱いは、先行の独立行政法人も同様でありますけれども、各国立大学法人へ直接計上することを予定しております。ですから、歳出に充てるべき特定の国の歳入がなくなることから、法人化に当たって国立学校特別会計の存続は困難だというふうに思っております。
 しかしながら、国立大学特別会計において今認められております財源調整機能等については、可能な限り存続させる必要があると思っておりまして、その最終報告におきましても、例えば学校財産処分収入をもって国立学校の施設の財源に充てる仕組みについては、これを存続させるという提言がされております。こうした財政調整機能については存続させる必要を考えております。
○風間昶君 それでは次に、国立大学法人の再編・統合の在り方についてでありますけれども、現状の統合の合意はほとんど、地域が近いとかあるいは同系の学部の統合ということによるものが結構多いわけでありますけれども、北海道なんかでも大学といいながらいわゆる総合的な大学、本来的なユニバーシティーと言うには欠ける部分も結構あるわけでありますから、再編についてどういうような形で地域のニーズに応じてやるのかということは極めて大きな問題であると思いますけれども、私は、一つは教育機能と研究機能を分けた形での再編についても考えてやってもいいのではないかというふうに思っているわけであります。
 特に、学部を持たない大学院大学のように研究に特化した大学だとか、あるいはこれだけの不況ですから職業人、プロ、職業プロ、何というか、職業教育に特化した大学についても国民的なニーズがあるように思えてならないわけでありますけれども、機能別による再編・統合というのは今回の国立大学法人化で可能になると考えていいでしょうか。つまり、インセンティブをそれに与えられるということになりそうですか。
○副大臣(岸田文雄君) 国立大学の再編・統合については、その限られた資源を有効活用し、そして基盤強化を図る等によって個性と特色ある発展を目指すというのがねらいであります。
 ですから、そうしたねらいの下に幅広く検討されておりまして、今御指摘のように、教育に重点を置く大学あるいは研究に重点を置く大学、そういった形で特色を出すということもこれは重要な観点だと思っておりますので、そういった可能性も含めて、個性豊かで活力ある大学づくりが進むこと、これを期待したいと考えております。
○風間昶君 そういった考え方を敷衍すれば、国立大学法人と今度私立大学の提携、あるいは第三セクターに近い多様な大学が存在して競争し合うということも、ある意味では国民のニーズに合致すると考えられますけれども、今回のこの提言の中から、国立大学法人と私学の連携についてどのように規定し直すものなのか、大臣はどのように押さえられていらっしゃいますでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 国立大学と私立大学の提携、更には国立大学法人と私立大学の提携ですが、その人事とか会計を始めとする制度的な相違を考えますと、一概に整理するというのはなかなか難しい点もあるわけであります。しかし、こうした国立、私立、更には公立も含めた多様な大学が切磋琢磨し連携し、そして全体が活性化していくということ、これは大変重要なポイントであります。
 ですから、例えば大学コンソーシアム京都というような例がありますが、こうした設置者の別を超えた連携協力というのは大変重要なことだと考えておりますので、それぞれどんな工夫が考えられるのか、それぞれの工夫も尊重しなければいけませんし、またそういった議論も進めていかなければいけないものだと認識しております。
○風間昶君 さらに、もうちょっと行きますと、今度、産学協同の流れを推し進めれば、企業など民間の研究所と大学の研究施設が連携をして新たに研究所をつくるということの動きも加速されそうな気がいたします。また、それをしていくことが国際競争力にまた打ちかっていく一つのターニングポイントになるのかなというふうに思います。
 その際、大学でない研究施設で、大学評価・学位授与機構による一定の評価が可能になれば、私は研究者に対して学位を授与する制度を作ってもいいのではないかというふうに思っているんです。現在は、企業の人は、大学に一回研究費を払って研究生になって、数年間あるいは何年かの期間をそこで、研究者としてある程度の研究実績を上げなければ授与できないわけでありますが、そうではなくて、研究所の人の研究が大学評価・学位授与機構の一定の評価の下で授与できるようなことも創設すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○副大臣(岸田文雄君) 産学連携の中で、多様な研究体制の整備というのは大いに期待されるところであります。ただ、学位ということになりますと、やはり自律的に高度の教育研究を行う大学が授与するという考え方が国際的にも原則として定着しておりますので、学位を授与するのは大学が行うというこの基本的な考え方は維持する必要があると思っております。
 ただ、例えば、これは筑波大学などでは、大学院の学生を大学以外の研究所において研究指導を受けさせるというようなことも行っております。そういった形での様々な研究施設の活用という意味では、平成十三年度、国公私合わせて八十一大学百三十八研究科でこの連携の仕組みが活用されておりますので、こうした仕組みは活用していかなければいけないと思っておりますし、また今後ともこうした連携の取組、いろいろな可能性を考えていかなければいけないとは考えております。
○風間昶君 最後に、答えられなかったらこれは質問通告していないのでしようがないですけれども、日本の建国の父はだれですかと外国人に聞かれたら、私、実は子供が今二人海外に行っているものですから、それはおまえ、ヤマトタケルノミコトぐらいに答えておけと言ったんだけれども、娘たち二人は困った。どこの国でも、建国の父というのは一般教養の中でどこかで、家庭教育であろうが初等中等教育であろうがはぐくまれている。大方の認識を持っている。
 だけれども、日本建国の父ってだれだろうなと思ったんですけれども、そう問われたら大臣、副大臣は何とお答えになりましょうか。それをもって私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 私は二年半前までトルコにおりまして、トルコは極めて明快でありまして、ケマル・アタチュルクという人が一九二三年に今の共和国を建てたということで、これは国民の隅々まで行き渡っております。日本はそのことを語るには余りにも古い国でありますという言い方を私はしようと思っております。
○副大臣(岸田文雄君) 世界じゅういろんな国々において、いろいろなそうした建国の父という考え方があるということ、余り平素認識しておりませんでした。先生の御指摘を踏まえて、いま一度考えてみたいと存じます。
○風間昶君 終わります。
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 私も国立大学の法人化の問題についてお伺いしたいと思いますが、その前にまず、これは国会でも何度も問題になっておりますけれども、酒田短期大学の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。
 まず、この問題の現状がどういうふうになっているか、お知らせください。
○政府参考人(工藤智規君) 酒田短期大学につきましては随分御心配をお掛けしているわけでございますが、入学定員を大幅に超えた留学生を受け入れて、かつその留学生が生活の糧を求めて酒田市内からいなくなっている。その学籍管理等が甚だ前例を見ないほどずさんであることからあのようなお騒がせをしているわけでございますが、酒田短期大学の理事会では、現在在籍している留学生を含む学生につきまして、転学の手続を進めようということを四月三日の理事会で決定しておりまして、それに基づいて学生への説明会と転学のための手続を教職員が一丸となって進めているところでございます。酒田短大だけではできませんので、四月十八日には日本私立短期大学協会に対して転学支援のための要請を行ってございます。
 私どもも、それをバックアップするために、短大をというよりは留学生をバックアップするために、翌十九日に私どもの立場で私立短期大学協会及び全国の国公私の短期大学に対しまして転学受入れの協力要請をさせていただいたところでございます。その結果、今まだ動いている最中でございますけれども、四月二十二日現在の状況を見ますと、在学している学生は二百五十四人でございまして、そのうち転学希望者が百三人、まだ決まっていない方が百五十人という状況でございます。
 また、酒田短大から支援要請を受けました日本私立短期大学協会におきましても関係の大学にアンケート調査を行いまして、その結果、受入れ可能であるという御回答があった短大が四十三校に上っておりまして、その旨は酒田短大の方に知らされているところでございます。
 私どもとしても、何しろまず学生の取扱いに第一の主眼を置きまして、引き続き私どもでできることをさせていただきますとともに、そもそも酒田短大そのものに対して引き続き責任ある対応を強く求めてまいりたいと思ってございます。
○林紀子君 ここは六月に閉鎖をするのではないかという話が現地で大分行われているということなんですが、この辺はいかがでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) 経営状況は甚だ悪うございまして、理事者が中心になりまして資金確保に奔走しているところなんでございますが、先ほど申しましたように、まだ在学希望といいましょうか、転学をしないという学生がおられる中で、その学生の取扱いに今苦慮しているところでございます。
 理事者側としましては、できるだけ資金を確保して、できれば再出発したいという意向をお持ちのようでございますけれども、その資金の確保の見込みがないまま学生をずるずる抱えるのはいかにも無責任でございまして、私どもとしても、まず第一にその資金確保をしっかり見極めを付けて、その後、短大そのものをどうするのか、その存否も含めて理事者側のしっかりした対応を求めているところでございまして、今のところ六月云々という話は決まっているわけでも何でもございません。
○林紀子君 今までのお話とか新聞なども見ますと、定員をはるかに上回る留学生を受け入れたり、ろくな教育もしていない、そして多額の借金、不明朗な使途というようなことで、今回の問題というのは、一番は理事者側にあるというふうに思うわけですけれども、同時に、これは私学であって助成金も受けていないというお話でしたけれども、そもそも認可をしたのは文部科学省だという責任はあるわけですね。そして、奨学金も公金、これが使い込まれているという話もあります。そういうことでは、こんな事態になるまでどうして分からなかったのか、見過ごしたのか、どうしてきちんと指導ができなかったのかと、そういう責任はあると思うのですが、文部科学大臣はこの辺のことをどういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 酒田短大の問題は大変遺憾な問題だと思っています。
 基本的に、私立大学につきましては、私学の自主性の観点から、設置認可後は自己責任の下での運営がなされるということが期待されているわけでございます。ただ、文部科学省の権限は限られておりますけれども、その中で私学委員制度それから学校法人運営調査委員制度などによって毎年一定数の大学などについて実地視察と必要な指導、助言を行っております。大学数が多いこともあって、酒田短大も含めてすべての大学、短大をカバーし切れていないことも事実であります。今後は、学校法人運営調査委員制度を充実するなどして、事後的な指導の強化にも努めることとしたいと思っております。
 ただ、酒田短大の件に関しましては、我が省としましては、昨年この事件が明らかになった後に、これまで、責任者といいますか我が省の担当の課長が現地調査をいたしまして、理事者側と話し合ったりあるいは指導をしたりということに努めてまいっておりまして、再三にわたって必要な資金確保等を含め責任ある対応を取るように強く要請しているところでございます。また、在籍する学生のために、日本私立短期大学協会それから各国公私立短期大学長に対して、転学手続が円滑に進むよう協力依頼もしているところでございまして、私どもとしてはこの問題に対してはきちんとフォローをしてまいっているところでございます。
○林紀子君 学生の転学というのにはいろいろ力を尽くしていらっしゃるということですけれども、教職員の問題ですね、退職しても退職金が支払われていないという人もいるようですし、退職していない人も給与が今どうなっているのかというのも分からないんですが、その辺はどう対処しようとしているのでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) 現在、教職員は二十五人ほどいらっしゃるようでございます。目下、授業というよりは学生の転学のために教職員は一丸となって当たっていると聞いているわけでございますし、先ほど申しましたように、学校運営全体、それから公共料金の支払いも含めて大変資金状況がひどい状況にございまして、労働基準監督署から指摘されましたように、教職員に対する給与の支払等について問題を生じてございます。当面、二か月ほど分の給与支払の資金確保がなされているわけでございますが、先行きについて、先ほどの教育の遂行も含めて見通しが立っていないものでございますから、まず、その事業運営に当たる基盤でございます資金の確保の見通しを強く今求めているところでございます。
○林紀子君 この酒田短大の問題は、個別の要素というのもかなりあるんじゃないかとは思いますけれども、全国的にも私学というのはなかなか経営難というところがあると思いますので、こういうふうにもうぎりぎりまで行っちゃって、どうにもならなくなって初めてどうしようかということではなくて、先ほども運営調査制度ですか、そういうことも考えているとおっしゃいましたので、二度とこういうようなことが起こらないようにということを、是非対応をお願いしたいというふうに思うわけです。
 次に、独立行政法人の問題についてお伺いいたします。
 国立大学の法人化、先月の末に調査検討会議の最終報告が公表されましたけれども、国立大学協会では十九日、四月の十九日の総会でこれを受け入れるということを決定したという新聞報道を読んだわけですが、そこにも様々な懸念が表明されたけれども多数決で採決された、これは異例なやり方だということも報じられておりました。
 いろいろな懸念というのが方々で渦巻いているのではないかというふうに思いますので、まず、時間のある限り順次御質問したいと思います。
 まず、中期目標、中期計画という問題についてですけれども、先ほど来、大臣、副大臣の御答弁の中で、現在の大学というのは行政組織の一部でいろいろ制約があったけれども、今度は大幅な自律性が独立行政法人ということになったらできるんだというふうにおっしゃっておりましたけれども、しかし、現在の大学の目標というのは大学自身が自主的に決めるというのが原則なんだと思うんですね。ところが、今度のこの独立行政法人ということになりますと、中期目標の作成は、自主性、自律性を尊重し、原案を大学が作成するなど様々に配慮するというふうには言っておりますけれども、しかし、最終的には文部科学大臣が定めるというふうになっていると思いますけれども、こういう設計になっているわけですね。
○国務大臣(遠山敦子君) 最終報告におきまして、中期目標、中期計画については、国として責任を持って所要の予算措置を行う、それから事前関与は最小限に限定するという独立行政法人の考え方を維持しながら、国立大学法人につきましては、大学の自主性、自律性を尊重するという観点から、幾つかの提言がなされております。
 その一つは、中期目標と中期計画は、あらかじめ各大学において一体的に原案を検討すること。二つ目には、中期目標については、文部科学大臣は各大学から提出された原案を十分に尊重して大学の特性に配慮して定めること。三つ目には、中期計画は、最終的に確定した中期目標に基づいて各大学が作成し、文部科学大臣の認可を受けることとなっているわけでございます。
 さらに、報告では、このような各大学の自主性、自律性を尊重するための仕組みを制度的に担保する必要があるということで、中期目標の作成手続についても提言をしております。その中を見ますと、大学から文部科学大臣への事前の意見の提出を行うようにする、それから文部科学大臣に対する大学の意見への配慮義務というものを明確にする、また文部科学大臣に対する大学の教育研究等の特性への配慮義務というものも持つべしということでございまして、こういう規定を国立大学法人法、仮称でございますが、それを成立させるときには明確に位置付けるということを提言しているところでございます。
○林紀子君 今いろいろ言ってくださいましたけれども、尊重とか配慮とか、こういうふうに言うんですと、大学の意向というのは一〇〇%受け入れられるのか。
 例えば、中期目標、中期計画を作るに当たって、自由な発想から生まれる創造的な研究とか、それから人文・社会科学を始めとして、産業技術にはなかなか直結しないけれども学問的意義のある研究、こういうものを積極的に振興したいと、これは大学にとっては大変重要な目標となると思うわけですけれども、こういうような問題についてはいいですよと、一〇〇%受け入れるということになるのかどうかというのをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(工藤智規君) 今御指摘のような事柄は大変大事なことでございまして、そういう事柄について、これはこれからの具体的な制度設計でございますけれども、当省に大学からお話があったときにそれを拒絶するとかいうことはあり得ないことだと思います。
 ただ、全体の今の独立行政法人制度の骨格といいますのは、一定の国の業務、国が本来行うべき業務を一定の国費を投じながら法人格の下でやっていただくということでございまして、この中期目標という、主務大臣による中期目標の策定というのは事項における国からの交付金の算定の基礎になる部分なのでございます。
 したがいまして、基礎研究の遂行とかというのはもちろん当然大事なことでございますが、例えば相当大きなお金が掛かる大規模移転を計画するとか、あるいはこれまでなかった新たな学部をつくるとかいう話になりますと、すぐ、財政事情等を勘案しながら、そのまま丸のみと言っては言葉は悪いんですけれども、全部イエスばかりとは言い切れない部分が出てくるのかもしれません。その辺りは大学側とよく御相談しながら、かつ大学側の意見を尊重しながら進めるべきであるというのが最終報告の御提言でございます。
○林紀子君 それは今までも、国、国立大学という形で予算配分するときにも、一つの学校だけに巨大な何かものを作りたいとかそういうことが、はい、いいですよというふうにはなっていなかったというふうには思うわけですね。ですから、そういうことでは、今まで国立大学であって自分たちで自主的に目標が決められた。
 今度は、定めるとか認可をするでしたか、計画については。そういうような文言はありますけれども、じゃ今までと違わないというふうに受け取っていいわけですか。
○政府参考人(工藤智規君) 独立行政法人の基本的な仕組みは、事前の国の関与をできるだけ最小限のものにして、一定の交付金を差し上げて、その実績については評価によって事項も考えていくという全体の流れでございます。
 その中で、事前の関与として最低限、通則法、既に先行しております独立行政法人でも措置されておりますのが、一つには法人の長の任命、もう一つには中期目標の策定指示ということでございます。こういう国の関与がありませんと、じゃこういうことをお願いしたいという業務がはっきりしない中で一定の交付金が安定的に支給しにくくなるというのが全体の根底にあるわけでございますが、そういう意味で、そういう通則法の一定の交付金が保障されるという仕組みを活用しながら、かつ国立大学の特性を考えてこの部分の手直しをすべきじゃないかということで、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、通則法とは違う仕組みの御提言がなされているものでございます。
○林紀子君 私も、ですから、その目標と計画というものについてどういうものなのかというのを是非知りたいと思ってこの調査検討会議に出された資料というのを見せていただいたんですが、揚げ足を別に取るわけではないんですが、この百七十四ページのところに、ここはずっと随分分厚く中期目標、中期計画の記載事項例というのが書かれております。その目標のところに、百七十四ページの「運営体制の改善に関する目標」というところに、「大学運営に国と社会の意見を積極的に反映させるための取り組みを進める。」というのが、例えばこれを目標にするんだという事例として挙げられているわけですね。
 国の関与は極力控えるという話だったんですが、目標の一つの事例に、国と社会の意見を積極的に反映するというのを、これは一つの事例ですけれども、こういうことを掲げたらいいですよという、そういう見本として出ているのかなと思ったんですが、この国というのは、ですから、どういう意味なんでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) これは百六十五ページをごらんいただきますと、このそもそもの記載事項例の性格について書いてございます。下の方でございますが、これは実際の具体の中期目標、中期計画のモデルとかそういうものになるのではなくて、あくまでも、こういうのがあるよね、ああいうのがあるよねというのを、この調査検討会議のワーキンググループの方々が各大学の関係者に御紹介してあげたのを全部ホチキスで留めたらこんなに膨大になったというものでございまして、随分、細大漏らさずいろんなことが書かれているので、これをすべてやるのは大変だねとなりますので、わざわざこういう注記をさせていただいているところでございます。
 多分、ここでの、これは私どものというよりは大学関係者のいろんなアイデアの中で出てきた部分でございますので、ここまで余り議論があったとは記憶していないのでございますけれども、例えば環境に優しい国づくりでございますとか、別に文部科学省だけじゃなくて、国策として大学がかかわるいろんな事柄とかも予想されるわけでございますので、そういうことをどう受け止めるかということも含めて余り深い議論もなく書かれたものと承知してございます。
○林紀子君 これは、ですから、そういうただし書が確かにしてあって、ワーキンググループの皆さんがいろいろこういうものを出されたというものだということは書いてありますけれども、しかし、この本文の方には、報告の方には、「文部科学省や国立大学協会等は、中期目標・中期計画の形式及び内容について、複数の参考例や作成指針等を提示することが望ましい。」というふうになっているわけですから、皆さんがいろいろ出されたことが参考例とかそれから指針になっていくのかなというふうに思ったものですから、そうすると、国と社会の意見を積極的に取り入れるというのは、正に今私たちが国の関与はどうなるのかと非常に神経をとがらせてというか、注目をしているときに、非常にぽろっと思わず本音が出たのかなというふうな読み方をしてしまったわけですけれども、それは、じゃ、これは一つの事例であって、国の関与ということはそういう意味では大丈夫なんだとおっしゃっても、中身から見るとなかなかそうはならないというふうに思うんですね。
 それで、これもこの表から拾ったものですから、一つの参考事例ですよとおっしゃられてしまったらそれまでなんですが、中期計画というのは、今度は大臣の認可になるわけですね。その中で、これもまたずらっと書いてあるんですけれども、例えば計画の内容として、「入学時と三年進級時にTOEFLの受験を課し、三年進級時に上位半数の平均スコアが六百点になるようにする。」というのが計画の中の一つに書かれているわけですね。それから、「教授会の審議事項を見直すとともに、所用時間の縮減を図る。」。それから、「セクシャル・ハラスメントの防止を含め、教職員が守るべきガイドラインを定め、学内外に周知・公表する」と。こんな例、例としてこれが挙がっているわけですね。
 私などは、このセクハラの問題などはアカデミックハラスメントなどと言って、会社などとは違った、先生と女子学生との関係でセクハラがあってそれは非常に深刻な問題だということで、こういうガイドラインというのは是非定めてほしいということも常々言っているわけですから、こういう中期目標を立てられるのはいいと思うんですね。ただし、こういうことまで、それから教授会の審議事項とか時間まで縮減するなどと、そういう細かなことまで一々大臣の認可を受けなくちゃいけないものなのかどうか、その制度設計というのが非常に不思議だなと。
 国の関与は極力少なくすると言いながら、こんなことまで認可をしてくださいというふうになるんでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) これは、今のごらんいただいているところはあくまでも例示でございますし、これをまとめたときにこの調査検討会議の御意見も、何かこんなにやったら大変だねという、その業務の圧倒的な煩雑さなども含めて、もうこんなのは、そもそも本体に載せるのをやめようかという御議論もあったところなんですが、目標評価の委員会でせっかくあちこちアンケートを取りながらまとめたものですから、あくまでも参考でという、この中をつまみ食いしながら各大学がいろいろ御検討いただく材料として、資料として残したというものでございます。
 そういう中で、どういう内容で、しかもそれを大臣が認可するのがいいかどうかということでございますが、言葉がいいかどうか、誤解を招くかもしれませんけれども、ありていに申し上げますと、独立行政法人の仕組みといいますのは、主務大臣がこういうことをやってほしいというのは中期目標でその法人の長に示しまして、しかも法人の長というのは自分として任せられる方を理事長として任命するわけですけれども、こういうことをやってくれませんかという色彩のものが中期目標でございます。それを法人の長として、じゃこういうふうにやりますというのが中期計画という位置付けのものでございまして、そこで何となく契約関係みたいなのが成立すれば、じゃそれに伴うお金を差し上げましょうというのが運営費交付金というお金の保証の流れになるのが、ちょっと誤解を招くかもしれませんが、全体のスキームでございます。
 そういう中で、国立大学の中期目標、中期計画をどこまで細かく書くのか書かないのかというのはこれからの議論でございますけれども、少なくともある程度安定した教育研究、社会貢献等の役割を行っていただくために一定のものが必要であるというのが基本的な前提として、関係者の議論の前提としてあったわけでございます。
○林紀子君 今のお話を聞いたら何だかかえって分からなくなったんですけれども、主務大臣がこういうことをやってほしいと大学側に言うんですか。そして、法人の長は、それじゃ、こういうことをやりましょう、それに沿った計画はこうですと、こういうことになるんですか。
 そうしますと、先ほど遠山大臣が、中期目標、中期計画の作成手続というのは、大学から文部科学大臣へ事前の意見を提出する、原案を提出する、原案は配慮をしなくちゃいけないという義務を課する、そして文部科学大臣に対する大学の教育研究等の特性への配慮義務というのを行うということだとおっしゃったんですね。でも、今、工藤局長のお話だと、大臣の方からこんなことをやってくださいよというのを大学に示すとなると、私は、あくまで大学側の方からこんなことをやりますよというのを大臣に言って、大臣は、さっきのお話だと、予算なんかで膨大に掛かってどうしようもないよというような特別な例以外は、はい、いいですよとほとんど言うんだと、そういうふうな設計なのかなと思ったんですが、大臣の方から言うんですか。
○政府参考人(工藤智規君) 私、前提として申し上げたのは、既に先行しております独立行政法人の一般的なスキームなんでございます。それを大臣が大学に対していきなりこれをやってちょうだいと言うのは大学の自主性とか大学の特性を考えるとおかしいですよねというので、制度設計として大学の自律性、自主性を勘案した特別措置をこのレポートでまとめているわけでございまして、その中で、学長の任命につきましても、大臣が勝手に任命するというよりは学内でしかるべき手続を経て選考いただいた方を御推薦いただく、あるいは中期目標の提示というのは、一般の既に発足しております独立行政法人の場合には主務大臣が指示をするという原則になっているわけでございますが、国立大学法人につきましては、あらかじめ大学から出していただいて、大学の自主性を尊重しながら大臣が定めるという仕組みにしてはどうかというようなまとめになっているものでございます。
 済みません、どうも誤解を招くような御発言で。
○林紀子君 大分何か話が百八十度違うんじゃないかと思ったものですからお聞きいたしましたが。
 それでは、その次に、これを評価するということになるわけですよね。評価というのはどういうふうに行われるんでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) この報告書によりますと、国立大学法人の評価といいますものは、文部科学省に設けます国立大学評価委員会、これはまだ仮称でございますが、これが行うこととされております。
 各大学の中期目標には、教育研究などの質の向上に関する目標、あるいは業務運営の改善・効率化に関する目標などの事柄が記載されるわけでございますが、評価というものは、各大学ごとにこれらの目標をどの程度達成しているかという達成度、あるいは分野別の業績等の水準について国立大学評価委員会が行うこととされているわけでございます。
 ただ、このうちの教育研究に関する評価につきましては、この国立大学評価委員会ではなくて、外部の専門的な機関であります大学評価・学位授与機構を活用するということになっているわけでございます。
○林紀子君 そうしますと、法人化にもしなりますと、大学評価・学位授与機構に始まって、国立大学評価委員会の評価も受けると。そして、その評価の結果が、先ほど来お話にありましたけれども、運営費交付金というんですか、予算に反映されると、こういう形になるわけですね。
○政府参考人(工藤智規君) おっしゃるとおりでございまして、評価というのは、一つには大学の本来の使命でございます教育研究あるいは社会貢献、そういう役割をもっとパワーアップしていただくために、こういうことをもう少しやったらどうですか、こうしたらどうですか、あるいはよくやってくださっていますねという、インセンティブを与えるという側面が一つございます。
 また、実際の実績に基づきまして、若干無駄なお金の使い方をしている部分があればそれは申し上げなきゃいけないことになりましょうし、足りなさそうであればここはまたこっちが、主務省の方が汗をかかなきゃいけないという、こちらに跳ね返ってくることも含めまして、大学の教育研究等の機能を事後的に評価しながら、一層活発に行っていくための一つのサイクルの一環であると、こうお考えいただければと思います。
○林紀子君 さきに御紹介しました国立大学協会の総会では、独法化で、中期目標、業績の数値化、評価結果の予算への反映、こういうサイクルに組み込まれて規制強化になると。学問の自由、大学の自主性を失うという、そういう懸念が学長さんから出されたという報道もあるわけですね。競争原理を知的生産の場の大学に導入することに強い反対がある、これは、全学教員の意見を聞いて参加したけれども、こういう意見だったという、そういう学長さんもいらしたということなんですね。
 先ほど来、運営費交付金というのはどういう形で配分されるのかというのは、まだきちんとした枠組みというのができていないというお話がありましたけれども、しかし大学は、今までもう十数年来、大学の関係予算というのはなかなか増えないと。そして、一部の分野だけに予算を重点配分しているという状況が学内でもあるわけですよね。
 そうしますと、今大学では、地道な基礎研究に従事する分野では水道代や光熱費もままならないのに、政府がお金をつぎ込んでいいというそういう分野は予算を使い切れないほどあるんだと。研究分野間で驚くような格差が生まれているという話は私も方々で聞くわけなんですね。そうしますと、今度は評価という形で運営費交付金というのがその評価に従って競争原理によって配分をされるということになりましたら、日本じゅうの国立大学、こういう状況になってしまっていくのではないか。
 だから、先ほど基礎研究というのが、やりますよということで、それは大変重要な部分だという御答弁をいただいたんですけれども、重要だと認めてくれてもお金がなければ回っていかない、その研究も続けられない。サンスクリットのお話もありましたけれども、お金がなければ研究はできないというのは当たり前だと思うんですね。だから、こういう形で評価、評価に追い立てられて、先ほどの中期目標と、それから中期計画、それも事細かに見て、そしてそれによって評価をされると。それに基づいて評価をされる。
 ですから、私は、先ほど文部省、大臣の関与というのはなるべく少なくする、国の関与は少なくするというお話だったんですけれども、この独立行政法人のデザインというのは、まず入口で中期目標、中期計画でがっちりと締めて認可をしたり大臣が定めたりする、そしてその出口のところは評価という形で今度はお金でがっちりと締められると。出口も入口も全部国が関与をする、今まで以上に大きな関与をしていくという、そういうデザインなんじゃないかなと、これを見て本当に思ったわけですね。
 余り時間がなくなりましたけれども、そこで、これも先ほど来お話がありましたけれども、独立行政法人の通則法の枠の外なのか、枠の中なのかというお話しありましたけれども、通則法の枠の中だけだけれども、大学ということでいろいろ配慮をしたんだという、そういう制度設計になっているんだというお話があったわけですが、これは最終報告にも書いていないんですけれども、総務省には、この独立行政法人の通則法によりますと、政策評価・独立行政法人評価委員会というのが置かれますよね。独立行政法人になったところは、全部この総務省の評価委員会の評価を受けなければいけないという設計になっていると思うんですね。
 それじゃ、大学が独立行政法人になった場合はどうなるんですか。総務省との関係はどうなりますでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) 先ほど御指摘ありましたが、この法人制度の下で規制強化になるのではないか、あるいは学問の自由が侵されるのではないか、あるいは大臣の権限が逆に強くなるのではないかという御懸念でございましたけれども、午前中からるる申し上げていますように、これまで国が負っておりました権限が、人事、会計、組織編成等のかなりの権限が理事長たる学長にお任せされる、大変大学の自主性、自律性が拡大するスキームでございます。
 その中で、学問の自由の侵犯というのもゆえない疑惑でございますけれども、あえて、このレポートにもありますように、法令の上でそこは大臣がしっかり配慮すべき旨を規定すべきだということまで書いているところでございます。そういう中で、評価の在り方につきましては、既に各省に一つずつ置かれております独立行政法人の評価委員会とは別に国立大学の特性を踏まえて別途国立大学評価委員会を置くべきであると。そこの構成員も、学問といいましょうか、教育研究の世界がよく分かる高度の有識者の方々を中心にして評価を行うべきである。更に加えて、特に教育研究についてはその専門性がありますので、大学評価・学位授与機構を活用するような仕組みでございます。
 そういう全体の仕組みではございますが、この国立大学法人も広い意味での独立行政法人という仕組みの中での特例といいましょうか、大学の特性を勘案した制度設計が提案されているわけでございまして、総務省に置かれておりますその評価委員会というのは、各省を通じました全政府レベルの評価機関として、各省の評価委員会が行っております評価結果に関する意見の表明、各省でその評価の基準あるいは厳密さがばらばらであるといけませんので、その辺りに各省に意見を表明する機能、もう一つには、各法人の主要な事務及び事業の改廃について総務省の立場で気付くことがあればそれを勧告するという機能がございます。それは、今申しましたような各省を通じた評価の客観性の担保でございますとか、大臣によります恣意性を極力排除する趣旨で全政府を通じて調整するための仕組みと考えてございまして、国立大学法人の評価についても総務省の評価委員会の審査の対象になるものと理解してございます。
○林紀子君 ですから、ここはもう独立行政法人通則法の外には絶対出られないと、そういうスキームになっているわけですね。
 今お話にもありましたけれども、この総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会というのは、事務事業の改廃を勧告することができるということになっているわけですね。そうしますと、最悪の場合といいますか、そういうときには、大学そのものが存続をしなくてももういいんじゃないかと、この大学についてはいろいろな評価を見たけれども、これは改廃を勧告しますよということを文部科学大臣に言われる、そういう可能性もある、そういう力も持っているところだというふうな理解でよろしいんですね。
○政府参考人(工藤智規君) これは、昨年独立行政法人制度が発足して、実際に総務省の全省庁的な調整がどういう機能で働くのかというのが必ずしも実例もございませんし、今後の見通しも分からないところがあるのでございますけれども、例えば各省庁の独立行政法人を通じて、こういう例がいいかどうかもあるのでございますけれども、それぞれの独立行政法人の庁舎の管理、ある法人は自前で管理要員を雇ってやっている、別の法人はそれを外部にアウトソーシングしているというような凸凹があったりしますと、そういう庁舎管理などは外へ任せてはどうですかというような勧告をするということなども分かりやすい例だろうと思います。
 極端に、じゃ国立大学をおしなべて見て、あそこの大学は要らないではないかなどということまでおっしゃるのかどうかとなりますと、それは今度主務省に置かれることになります国立大学評価委員会が専門的な観点から御検討いただくことでもございますし、大学を所管する文部科学大臣としての判断もあるわけでございますから、そこまでのことは私どももちょっと考えにくいなと思っているところでございます。
○林紀子君 確かに、先行して独立行政法人になったところは、五年ごとですかね、ですからまだ五年たっていないので、実際にここがどういう仕事をしてどういう勧告をするのかというのは実例は出ていないわけですよね。ですから、そうなんですけれども、しかし、その制度の設計ということは、考え難いとおっしゃっていますけれども、考えられないことはないということも逆に言ったら言えるんじゃないでしょうか。
 だから、今まで独立行政法人通則法の枠内だとなかなか大変だから、この通則法というのはなるべく大学の部分は適用しないようにいろいろな配慮をしているんだ、しているんだというふうに今までずっとおっしゃってきましたけれども、しかしこの通則法の枠はどうしてもそこは超えられないところだと。独立行政法人というのは、大きな独立行政法人という設計の中の一つであるから、その枠は超えられないということは明らかだと思うんですね。
 一言、やっぱりこの最終報告にはそういうこともあるんだと、必ずしもやめなさい、なくしなさいと言われるかどうか分からないけれども、設計としてはそういうことがあるんだというのをやっぱり書かないと、皆さんの判断が誤る、フェアじゃない、そういうふうに思ったんですよね。
 もう時間なくなってしまいましたけれども、やっぱりこういうことでは、私たちは本当に国民の立場に立った真の国立大学の改革ということを進めるためには、研究教育条件の向上を図らなければいけないし、大学の命とも言うべき独立性や自主性を保障する、そのことを第一に考えるべきだというふうに思うんですね。今のようにこういうこともきちんと書かないで、何が何でも独立法人化だという、そういうやり方というのはやっぱり改めるべきではないかということを申し上げて、また次の機会、質問させていただきます。
○西岡武夫君 午前中の有馬議員からの御質問、また、ただいまの御質問を拝聴いたしておりましても改めて感じるわけでございますが、この問題はもう既に国立大学を独立行政法人化するということを前提としてすべてが動いているということについて、私自身は基本的な実は疑問を持っております。
 したがって、委員長にお願いしたいんでございますが、先般来、この問題についての集中的な審議をお願いしたいというふうに申し上げたんですが、決して速記の皆さん方に入っていただいて公式的なこうした発言という場でなくても、もっと自由な討論をこの問題ではやるべきではないかというふうに私は思います。
 したがいまして、この国立大学の独立行政法人化については更にこの文教委員会としては十分な時間を取っていただきまして、まだ時間があるわけでございますから、基本的な議論をしていただくという時間を是非理事会において御相談をいただきたいということを冒頭にお願いを申し上げます。よろしゅうございましょうか。
○委員長(橋本聖子君) はい。
○西岡武夫君 大臣にお尋ねをいたします。
 遠山大臣は、国立大学が独立行政法人化するという方向に政府として列車が走ってしまった、その途中でその列車にお乗りになったわけでございますから、大臣の責任という形で私は御質問をするつもりは更々ございません。したがって、もちろん今の、今のこの時点で遠山大臣としての御見識をすべてお話をいただける状況下にはどうも文部省としてはないのではないかなというふうに思いますから、それも望みませんけれども、しかし、私が今一番心配しておりますのは、文教行政の問題のみならず、日本全体が何かこう流されるという感じが非常に私は強くするわけです。
 もうここまで来ちゃったんだからしようがないじゃないかというような形で、重要な問題が基本的な議論をしないままにとんとんと進んでいって、後世に悔いを残すということがあってはならないと私は思っておりまして、そういう意味では、願わくば文部省がこの問題について、日本の将来の学術、何と申しましても資源も何もない国でありますから、本当に学術、基礎研究、そして人材の育成という、教育という問題が最大の日本にとっての力でございますから、それについて、文教行政を預かっている文部省としては、真剣に将来のことを考えて、場合によっては政府全体の中で孤立しても主張をしていくという毅然たる姿勢でこの問題について臨んでいただきたいということをまず冒頭にお願いを申し上げます。
 そこで、大臣にお尋ねするのはちょっと酷なんだと思いますけれども、今度の国立大学の独立行政法人化というのはどういう哲学に基づいているのか、お教えをいただきたい。
○国務大臣(遠山敦子君) 確かに、この法人化の問題が起きましたときは私はトルコにおりまして、そしてトルコにおりましたときは、大使の仕事は大変重責でございまして、二十四時間すべてそれに精力を投入いたしておりましたけれども、時折聞こえてくる日本に関するニュースにおきまして、非常に大きな変革といいますか変動というか、というのが起きているということに私としては大変心を痛めていたということを思い出します。
 それは、単に国立大学の法人化といいますよりは行政改革ということで、省庁再編を始めとして、主要な産業界の大きな組織が倒産することを始め様々な問題が断片的に聞こえてくる場合、日本にいない、外国にいる大使といたしましては、諸外国に対して胸を張りながら説明するにはなかなか難しい事態に立ち至ったというようなことも思い出すところでございます。
 しかし、私は帰国後その流れの中に、外側から見ておりまして、まだそのころはいろいろな疑念があったことも確かでございますけれども、今この立場に立ちまして、国立大学法人化のいろんな経緯、それからその経緯を踏まえた上でのいろんな緻密な議論、そういったものをずっとフォローしてまいりまして、今は私といたしましては、この流れというのは、非常に大事な点が守られるならばこれはかえって大学にとっていいのではないかという確信を持つに至っております。
 それは、日本の長い帝国の官立大学、帝国大学、国立大学の歴史を考えますと、様々な経緯を思い出すわけでございますけれども、その百年以上の歴史の中で大転換を今図ろうとしているわけでございますが、今回の大転換はたまたま二十一世紀の初めに当たるということもございまして、日本が今後知の世紀と言われる今世紀を生き抜いていく、そういう知の拠点としての大学がしっかりとこの機会に活力ある存在として脱皮していただく、その一点を正に私は今回の法人化の理念としてとらえているところでございます。
 したがいまして、国立大学が学問の府あるいは教育の最高学府といたしまして、それぞれの自覚と責任の下に、より自律的に創意工夫しながらそのそもそも担っている役割というものを十分果たしていくと。そういうためには、これまでの行政機関の一つの形態としてあった国立大学でありますよりは、これは大変困難な作業ではございますけれども、法人格を持たせていく、そして自律性を高めていく、そのことが非常に大事ではないかなと考えているところでございます。
 もう御存じのように、欧米諸国におきましては、国によって大学の設置形態は様々でございますけれども、国立大学、あるいは連邦制の国家においては州立大学を含めまして、大学には独立した法人格が付与されているのが一般的であるわけでございます。そして、相当多額の国費が投入されているという現実があるわけでございます。
 日本の国立大学の法人化に当たりましては、これまであった諸規制というものをできるだけ緩和して、そして大学運営の裁量が拡大するという法人化のメリットを最大限に生かす、そういう方向での改革でなくてはならないと思っているわけでございます。
 今回まとまりました最終報告は、その角度から見ますと、私は今述べましたような大きな目標に向かって今回の改革というものは非常に意義のあるものであると思いますし、また、そういうふうなものにしなければ、これからの改革のために勢力を使い、国民の皆様の同意も得ていくということにおいて大変大きな問題になると思っているわけでございます。
○西岡武夫君 私は、現在日本にあります特殊法人というのはいったん全廃をする、そして残すべきものがあるとすれば、それは、余りたくさんないと思いますけれども、民営でやれるようなものは民営化すると。どうしてもこれは必要だというものについては、改めてこれはつくるというぐらいの大なたを振るうべきであるというふうに考えていたわけでございますけれども、今出されております独立行政法人という構想は、こうした特殊法人の名前をちょっと変えた、新しい目先が変わったそういう組織を新しくつくって政府のいろいろな機関の延命を図ると。そして、しかも国家公務員だった皆さん方を国家公務員から外して、国の組織は実は小さいんだという見せ掛けをするという意図が私はありありと見えていると思うんです。
 それにわざわざ国立大学が乗る必要はなかったのではないかと。国立大学というのは全く違うものであって、今回いろいろなお話を承る中で、有名な四六答申と言われる、森戸辰男先生が昭和四十六年に答申を出されました第三の教育改革と銘打った教育改革の中でも法人化という名前が出てきておりますけれども、文字が。
 これは、我が国の国立大学がそれぞれの都道府県に存在をする中で、管理運営について地域の意見を管理運営に反映させるといういわゆる評議委員会の構成のところを長いこと放置して、教授会がこれに代わるというふうに読替規定という形でこれを避けてきたというところに問題があったわけでございまして、そこのところを、森戸会長の第三の教育改革の四六答申の中では管理運営についての改革ないしは法人化を考えるべきではないかという指摘があったわけでありまして、今回議論されておりますところの独立行政法人化を国立大学全体に及ぼすという考え方では決してなかったというふうに、私は、たまたま当時、四六答申のときに中間報告から最終答申まで文部省の政務次官をいたしておりまして、坂田文部大臣の下で、その経緯を十分承知しておりますので、そのときの議論はそういう趣旨ではなかったというふうに私自身経験をいたしております。
 したがって、今からでも遅くはないというふうに思うんです。もうここまで調査検討会議で報告を出して、国大協がどうも法案作りまで進んでいるからもう間に合わないみたいな形でお決めになったというようなこともいかにも日本的だなと思うのでございますけれども、そういうやり方で後世に悔いを残すということがあってはならないというふうに私は考えて今御質問申し上げているわけでございますけれども。
 なぜ現在の国立大学の仕組みの中で改革ができなくて独立行政法人化ならばいいのかという、そのポイントをお聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(工藤智規君) 今御指摘ありました昭和四十六年の中教審四六答申以来、あるいは在野の関係でいえば、後ほど文部大臣をお務めになりました永井先生が大学公社論というのをお出しになったり、随分前から国立大学の設置形態の在り方については御議論がなされてございました。
 四六答申の背景としては、今、先生御指摘のようなこともあったと思いますが、他方で、御承知の四十年代の大学紛争を契機にして、大学の管理運営が今までのようなことでいいのかどうかという問題意識もあったやに承知しているわけでございます。
 そういう中で、近年でいいますと臨教審、臨時教育審議会でもやはり国立大学設置形態の御議論がございました。そこでの御結論は、法人化というのは将来の課題であるけれども、今、正に先生がおっしゃいましたように、どうしても設置形態を変えなきゃいけないのかどうか、現行制度の中でとことん改善、あるいは運用でやれることをやってみて、しかる後、どうしても制度的なネックがあるというのであればそのときにまた考えようじゃないかというのが臨教審の御結論であったかと思うわけでございます。
 そういう中で、例えば人事の問題でございますけれども、特に産学連携を含めて、アクティビティーの高い先生方についての兼職・兼業の問題というのはこれまでも度々改善等がなされてきたわけでございますけれども、この調査検討会議と並行して公務員制度改革が政府部内で御議論になり、昨年末に閣議決定なされました方向、実はこの制度設計に当たりました調査会の方々も随分期待していたのでございます。一例を挙げますと、一橋大学の中谷先生の問題でございますが、ああいうケースがクリアされるような制度改正がなされるのではないかと期待していたのでございますけれども、結果としてはやはり今の公務員制度の中では限界がございます。そういうことも含めて実は公務員型、非公務員型の比較検討をする中で、やはり非公務員型の方がいいんではないかという御結論をいただいたものと理解してございます。
 それと、もうちょっとよろしゅうございましょうか。
○西岡武夫君 実は、確かに国立大学の教官の皆さん方がなかなか他の機関との交流が図れないということについては長い懸案だったわけです。私も人事院といろいろ御相談を申し上げまして、例えば第三の身分、すなわち教育研究職という身分を創設したらどうかという提案を人事院にしたこともございましたけれども、残念ながら私自身も力不足でそれを大きな議論まで発展させることはできなかったわけでございますが、これも実は今からでも検討してもいい課題ではないかと私自身は思っております。それが、今、局長が御答弁になったことについて答えが出る一つの大きな問題だろうというふうに、課題だろうと私は思っています。
 そこで、先ほど有馬議員からも御心配の御質問があったんですけれども、どうもこの「新しい「国立大学法人」像について」というのを拝見しておりますと、よほど経営手腕のある方が学長になられないとその大学は危ういなと。そうなりますと、その中で、貴重なやはり、しかしながら多くの方々が余り関心を持たないかもしれないけれども基礎的な学問としてこれは大事にしていかなければいけない、そういうことを国立大学としてはこれまで守ってきておられたと思うんですけれども、これが独立行政法人化された個々の大学の主体性に任せられるということになるとおろそかにされかねない。このことについては先ほど有馬議員からもお話がございましたが、それを止めるという手段はこれが実現してしまうと文部省にないんじゃないですか、文部科学省には。どうですか。
○政府参考人(工藤智規君) 元々、大学における教育、研究の自由というのは保障されておりまして、今後もそれは変わらない原則だと思います。
 ただ、先ほど有馬先生が例に出されましたサンスクリットとか、世の中の役にどう立つかどうかという観点とは別に、やはり日本のどこかでしっかりした研究が継続的に行われるべき分野というのは多々ございます。それをどう守るか、措置していくかというのは、先ほど来の御答弁のように、一つには学問の府としての学長を中心とした大学の御見識であろうかと思います。
 もう一つには、このレポートにも提言してございますけれども、国として、これは私どももいろいろ責めを受けなきゃいけない部分がありますが、しっかりしたグランドデザインを議論して、有識者によってグランドデザインを議論して、目配りをすべきであるというのを国の役割として御議論があり、明記されてございますが、そこでの議論の中心は、今申したようなこともございまして、いつの間にか大学の自由という中で、どこでも先ほどのようなサンスクリットがやっていない、あるいは今社会的に騒がれておりますBSEのような研究についても、たまたま帯広畜産大学で奇特な先生がやっていらっしゃいましたけれども、あれも全くどこでもやっていない、そういうゆゆしい事態にはなってはいけないので、大学のあるいは法人のそれぞれの自由はございますけれども、それを欠落した部分とか、もっと振興する部分については大所高所から目配りしながら国として措置すべきであるというのが議論の根幹でございまして、私どもは、そういうことは十分問題意識として持っているところでございます。
○西岡武夫君 文部省がそういう意識を持っておられましても、今回のこの組織の変更ということになりますと、なかなか実際問題としてそうはいかないだろうというふうに私は思います。
 と申しますのは、私もこれはかかわったことでございますけれども、ある、名前は具体的に申し上げない方がいいと思いますので、ある大学の新しい組織をつくってそこに、極めて政治的といいましょうか、経営手腕があるという言い方も言えるんですけれども、そういう方が学長になられて、非常に異質な大学の、国立大学でありながらその中で大いに活動をされたという、今までに経緯がございます。それを見ておりますので、この独立行政法人という形になった場合に、とにかくお金をたくさん集められる、学問的な業績は余りなくても経営手腕が非常にあってというような方が大学のそれぞれの学長になられて、それが中心になって大学というものが運営されていくということになれば、これはちょっと本末転倒ではないだろうかなと。
 それを文部科学省としてはどういう形で、その何といいましょうか、そういうものについてはブレーキを掛けるといいましょうか、そういうことに、先ほどちょっと気になる発言を副大臣がなさったんですけれども、例えば、別に御発言を私がとがめ立てをするわけじゃないんですけれども、今からの大学が教育を中心とする大学、研究を中心とする大学ということになってもいいというような趣旨の御発言があったわけです。
 私もこれについてはいろいろ意見があるんでございますが、この教育、研究というのは一体である、これは高等教育の本質であるというふうに今日までは議論されてきたわけです。文部科学省としては、この今回の、仮に、私はこれ最後まで阻止したいと思っておりますけれども、この国立大学法人という方向に行った場合に、教育、研究というのは分離するんですか。
 これは大臣にお答えいただきたい。
○国務大臣(遠山敦子君) 今の御議論のその分離するという意味がちょっとなかなか受け取りにくいんでございますけれども、ひとつ、あれですか、教育──はい、じゃお願いします。
○西岡武夫君 受け取りにくいと言われるとちょっと質問のことをきちっと申し上げなきゃならないんですが、教育と研究は不可分であると、高等教育において、それが本来の大学の基本的な在り方であると、この方針を文部科学省としてはこの際転換するということですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 大学が教育、そして研究、そしてまた結果的に社会貢献していくというその本来の在り方というのは、正にそれぞれの大学が備えるべき使命であると思っております。今のお話のような分離ということは私どもは想定はしていないわけでございます。
 私は、最近、もちろん研究の重要さ、あるいは産学官連携というようなことで研究、研究開発、大学の知能をというその動きは大変よく分かるわけでございますけれども、でも、やはり大学の第一の使命は教育ではないかと思います。そこで優れた教育をしてもらうために研究というものもあり、そしてそれぞれの教育者でもあり研究者でもある人たちが更に先端のものをどんどん進めていく、そこにおいて優れた独創的な研究があるということでございまして、大学において教育というものを機能として持たないというようなことというのは本当に大学としていいのかどうか、それはむしろ研究機関ではないかと思うところでございます。もし擦れ違っていたら済みません。
○西岡武夫君 私がなぜこういうことを申し上げているかといいますと、独立行政法人化した国立大学のそれぞれの個々の運営というのは学長を中心とした大学に任せられる、そして資金も集める力があれば大いに集めてくるということになりますと、そういう大学はいろいろな基礎的な研究に非常に力を入れることができる、それはだんだん大学としては大きくなっていくと。
 そういう力がないと言うと非常に語弊があるかもしれませんけれども、そういう対外的な外交的な資金を集めてこられるというのは、そういう学長でない大学の場合に、そうした資金を導入することができないと。そうすると、自然に教育中心になって、本来あるべき大学の基礎的な学術研究についての資金は不足していくと。そうすると、先ほどもちょっと御質問にありましたように、そういう大学はもう要らないんじゃないかということになりかねない。
 そういうようなことを総合的にずっと文部科学省としてはお考えになってこんな、国全体の大きな流れとはいえ、全く教育機関というものがこうした行政法人の一つとして組み込まれるということについて私は抵抗してもしかるべきではなかったかと思うんですが、その点、冒頭に申し上げたように、遠山大臣にこれを申し上げるのはちょっと、汽車が走り出してからその汽車のハンドルをお握りになったんですから、ちょっと申し上げるのは非常に心苦しいんでございますけれども、それを御決意になれば少なくとも私ども国会改革連絡会としては大いに御支援を申し上げたいと思っております。いかがですか。
○政府参考人(工藤智規君) 大臣よりも幾らか長い責任者の一人として申し上げますが、午前中、有馬先生も御懸念いただきましたように、今回の独立行政法人のスキームというのが平成九年に総理直属の行政改革会議が発足したことに端を発するわけでございます。それは、その行政改革会議という名前にも表されていますように、行革という色彩が強かった。それで、その中で、有馬先生もお加わりされたわけでございますが、国立大学を行革の一環でどうこうするということの問題点、あるいはこれからの在り方の懸念を感じて有馬先生も御発言されたんだと思いますし、私どもも心配していたところでございます。
 今日でこそ独立行政法人が既に博物館、美術館等も含めて発足してございますが、ここに至るまで、何しろ行革で切り捨てられるんではないか、あるいは公務員型、非公務員型という中で、非公務員型という法人は国からもお金が余り行かない、あるいはいずれ民営化して切り捨てられるんじゃないかといういろんな懸念があったわけなんでございますが、実際に議論が進み、制度が発足してみますと、いわゆる郵政公社と違いまして、独立行政法人については、これは独立採算を全く前提にしない、国として一定の交付金、国費を投入して、しかも自律的に責任を持った運営をしていただく組織であるというのがまず前提にございます。
 そういう意味で、これが独立採算とかという、民営化とかという話ではない、あるいは非公務員型というのも、公務員型、非公務員型にかかわらず国としての関与はあって、責任の持ち方というのは同じであるということなどがだんだん明らかになってまいりまして、そういう流れの中で、私どももいろんな疑念が払拭されながら、かつ、この調査会の検討もそうなんでございますけれども、今日までせっかく長い間の法人化という懸案も考え、かつ国際的な大学の設置形態の動向にも照らして、翻ってみれば、今の設置形態、なるほどおかしい部分が多々ございますものですから、これを機会にこのスキームを活用しながら法人化しようじゃないかというのがこの調査検討会議の発足でございますし、参加した関係者の一致した意見だったと思っております。
○西岡武夫君 今の局長のお話を承っていると、文部科学省としては、嫌々といいましょうか、しようがない、この際この流れに乗らないとひどい目に遭うかもしれない、もうこの際は独立行政法人化という流れの中で、そのプールの中で独自の泳ぎ方は確保しようと、そういうことですか。
○政府参考人(工藤智規君) 先ほども申し上げましたように、正式には私どもからすれば昭和四十六年以来と受け止めているのでございますが、中教審の答申をいただきまして、長い間、国立大学の法人化あるいはその管理運営の在り方というのは懸案でございました、のどに刺さったとげみたいなものでございまして。それと他方で、ある程度安定した国費の投入の下に国立大学がそれぞれの持ち味を生かした大学づくりをしていただく、そのための充実策ということもございます。それと並行して、先ほどのような行政改革会議での独立行政法人の制度設計が進んできたわけでございます。
 嫌々というよりは、議論として国立大学の話も出た中で、私どもとしては、並行して政府部内での検討も経ながら、どうもこの制度はいいチャンスではないか、かねがねの法人化の問題をある程度解決する好機になり得るものではないかというのがまず私どもの最初の判断でございまして、有馬大臣のとき、それから中曽根大臣のときに、そういう何か、これを活用した法人化というのは国立大学にとって意義が大きいと思うので検討しませんかというので呼び掛けたのが経緯でございます。
○西岡武夫君 四六答申をよくお出しになるんですけれども、四六答申にはこう書いてあるんですよ。学内の管理の合理化と新しい理事機関の設置又は学校の法人化。ですから、当時私も大学紛争を契機として、文教関係に言わばかかわることになったわけでございますけれども、当時の大学の管理運営の在り方ということについて問題点があった。それは本来、国立大学の運営の在り方について当時の文部省が根本的なメスを入れなかった。法律の読替規定でこれはお茶を濁していたというところに問題があったわけであって、法人化をするのが最終目標で四六答申が書かれているわけでは決してない。
 それは誤解のないようにしていただかないと、私も当時、政務次官としてこの答申について、普通は中教審の答申が出ますときに、大体役所の方からはそれを代表する方が出られて、政治の分野から具体的にこの点はこういうふうに答申があってしかるべきではないかという意見を申し上げるという例は少なかったのでございますけれども、何点か私はあえて意見を申し上げまして、最終答申に入れていただいた部分もございます。
 その紹介は省略いたしますけれども、そういう経緯でございますから、本来ならば大学の管理運営の在り方について、今まででもやろうと思えばできた。それを放置してきた。それがこの状況になって、この際、独立行政法人の中で、若干の独自性を保つことができれば大きな波に乗った方がいいと判断されたとすれば、ちょっと間違っているのではないかという感じを私は持っております。
 第一、個々の大学のそれぞれの判断と申しましても、それはもちろん今までも大切にしてきているわけでございますけれども、これは中曽根総理のときに私、命じられまして、当時、日本の教育改革についての原案を作れという命を受けまして、原案を作って提出したという経緯もあるのでございますけれども、そのときは文部省の当時の幹部の皆さん方とも十分相談をして、その上で、これならばやるんだということで総理に提言を申し上げ、原案を提出したという経緯がございますけれども、その中の一つに、高等教育機関の改革というものもございました。しかし、もっと大きな枠としては、六三三四の学制改革というものがどうしても必要だという大枠があって、その中で大学をどう位置付けるかと。
 それともう一つは、それは中曽根総理には当時申し上げませんでしたけれども、私はかねてから、昭和五十一年でございましたか、公式にこれは当時の政権政党の文教の責任者という立場で取りまとめた中で、学術地図というものを作るべきだと、それを作る。
 当時、文部省は事務方もお持ちでなかったんです。どの地域、どのブロックにどういう学問分野の定員があるのか、そういうものも全くないままに許認可といいましょうか、大学の定数等がそれぞれの要求に従って付けられていったという経緯がありまして、私はこれはよくないなと思っていたものですから、学術地図というものを策定して、その下で大学の設置認可を国公私立を通じて行うべきだということを私は提案したんでございますけれども、残念ながら今日までそういうことにはなっておりませんけれども、その学術地図、そういうこととの関係の中で、独立行政法人化した大学が、県単位と私は決して申しませんけれども、少なくとも日本全国を十幾つかのブロックに分けて、その中である程度のそれぞれの学問分野が、各県ではなくてブロックごとには少なくとも均等に存在するというようなことがあって、そういう下敷きがあって初めてそれぞれの大学のいろんな計画というものが進められるのじゃないかというふうに思っていたわけですけれども、そういうことについては、今回の案とはどういう関係を持って、これから考えるということでしょうか。
○政府参考人(工藤智規君) 西岡先生、私もそのときまだ年端のいかないころでございましたけれども、西岡先生の御提言のいわゆるマップということについては、まだ耳にこびりついているところでございます。
 ただ、先生の御趣旨とは違うかもしれませんけれども、国公私を通じた高等教育の適切な配置について、ある程度ブロックごとに、それぞれのブロックの収容定員、そこの国公私の配置状況、しかもそれは分野ごとにどういう状況になっておるかということを含めて、長期的な高等教育の整備計画というのがスタートしたのがたしか昭和五十一年ころからだと思います。先生の御趣旨とは違うかもしれませんけれども、そういう御提言も受けながら長期的な高等教育計画を定めてきたところでございます。
 今度の法人化といいますのは、今のことと直接どうこうするわけではございませんけれども、先ほどのサンスクリット云々という話も含めて、日本全体を見回して大学の教育研究機能の凸凹、あるいは緊急に対応する必要性等々を常日ごろどこかで御議論いただき、それを各法人にフィードバックするときに、中期目標の設定でございますとか、あるいは評価でございますとか、予算措置でございますとか、そういうプロセスを通じて各法人にフィードバックしながらお考えいただくようなことをしなきゃいけないのではないかという御議論はこの委員会でもございまして、それが、グランドデザインなどをしっかり学識経験者等で審議すべきであるということが御提言されてございます。
 現在までのところ、関係の審議会でそういうことは御議論いただいているのでございますが、今までの形でいいのか、これを契機に新しい仕組みを考えるのかというのは今後の検討事項でございますけれども、少なくとも、法人化に伴いまして各大学の自主性が、自律性が極めて拡大するのに伴う日本列島全体での均衡ある発展といいましょうかバランスといいましょうか、そういうことへの目配りの大切さというのは私どもも心得てといいますか、問題意識を大きく持っているところでございます。
○西岡武夫君 私が心配しておりますのは、その問題意識を持っておられるだけでは困るわけで、意識ではなくてきちっとしたシステムとして、組織、文部科学省としてその方針を明確に打ち出していただきたいということなんです。
 大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(遠山敦子君) 組織として打ち出す、ここは私は、議論を相当整理してまいりませんと明確に今なかなか答えにくい点が多々あったと思います。
 四六答申の意義につきましては、私は、当時政務次官でおられました西岡委員のお話というのは正にそうであるのだろうと、これはもう承りまして、学ばせていただきました。
 四六答申以降の日本の大学状況というのは大変大きな変化をしております。進学率も急激に大きくなりまして、そして、当初は計画的に整備してきた国立大学あるいは私立大学の整備の在り方につきましても、ある時点を経てもう本当に日本の大学というのは大衆化してしまったという歴史がございます。
 そんな中で大きな問題は、やはり質をどう高めていくかということが二十世紀の最後の辺りの大きな論点であったと思います。そのことを踏まえて大学審議会が設けられ、そして一九九〇年代に各種の大学改革の手が打たれてまいったわけでございますが、そこにおいて、大学設置基準の大綱化という、かつてなかった、正に四六答申のときにそういうこともやったらよかったと言われたようなことも含めたような大改革もしたわけでございますが、なかなか、国立大学も含めましていろんな努力はされておりますけれども、その改革の実りというのは必ずしも十分でないわけでございます。
 そんなようなことも背景にしながら、本格的に大学を改革をしていくということの必要性が私は二十世紀よりは今の時点において大変大きくクローズアップされてまいっていると思います。その意味で、もちろん文部科学省としても最大限、全体の大学の知の拠点をあるいは教育の拠点というものをどのように充実していくかということを常に念頭に置きながら、しかしそれぞれの大学の、現にある大学の自主的な、自律的な努力というものを促しながら、大きな目的に向かって今歩み出すときではないかと思っているわけでございます。
 私は、この報告書の中で書かれております法人制度の枠組みを単純に当てはめるといった消極的な発想ではなくて、様々な面での規制が大幅に緩和されて大学が自らの発想の下に活性化をしていく、そのために最大限に今回の制度改革をやっていこうという、このことは非常に大事だと思っているわけでございます。
 問題は、それでは、様々なメリットがあるということの下にこの報告書出ているわけでございますが、御指摘をいただいた、例えば学問分野でどうしても国として守っていくようなものについてこれをどういうふうに担保していくかというようなことについて、あるいは幾つかの担保しなくてはならない課題を一つずつ私はもちろん文部科学省としてもこれから十分に考えて、制度化に向けてその部分が十分に解決されていくような方向で新たな構想の実現化に向けてやっていかなくてはならない。その意味で努力しろというお励ましと聞いて、そのことについては努力をしたいと思います。
○西岡武夫君 もう時間が参りましたから終わりますが、最後に、大学の評価の問題とかいろいろ議論がありますけれども、私はかねてから、学士院というものを今の状況にしておくのはよくない、学士院を大幅に改組して、そして本格的に学士院を機能させるべきではないかと。そうすれば、大学の客観的な評価というようなことができる機関になり得るのではないかと思っておりますが、学士院はどういうふうに今後なるんでしょうか、それだけ最後にお尋ねします。
○政府参考人(遠藤昭雄君) 突然のお尋ねですので準備はしておりませんが、今、学術会議が今後の在り方について総合科学技術会議で議論をいたしております。それとの関係で、学士院をどうするかということも我々としては関心を持って対応していきたいというふうに思っております。
○西岡武夫君 終わります。
○委員長(橋本聖子君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時十八分散会