第155回国会 文教科学委員会 第7号
平成十四年十二月三日(火曜日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0107/155/15512030061007c.html
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日本私立学校振興・共済事業団の一部改正案についての質疑

○神本美恵子君 次に、具体的な法案についてですけれども、まず、日本私立
学校振興・共済事業団の一部改正案について質問したいと思います。

 この事業団は、既に一九九五年、それまで別々であった助成業務をやってい
る振興事業団と、それから共済業務をやっていたところが一緒になった、ごめ
んなさい、九八年に統合されたというふうに聞いております。その統合された
ものを、今回は、この独立行政法人にするに当たって、共済業務を一緒にやっ
ているために独立行政法人化できないということで、今回の整理合理化計画で
は共済組合類型の法人として整理をした、そして助成業務には独立行政法人に
準じた管理手法を導入するというふうにされております。これによって、事業
団の業務である助成業務と、それから共済業務はそれぞれ別の管理手法が取ら
れることになると思います。

 このことによって、助成業務の方は教育という公的な役割を持った学校法人
の業務をやっておるわけですけれども、その学校法人の役割が損なわれること
はないのかということが一点と、それから、一方の共済業務の方についてはど
のような管理手法になるのか、これまでと変更がないのかという、その二点に
ついてまずお聞きしたいと思います。

○政府参考人(玉井日出夫君) お答え申し上げます。

 事業団の設立の経緯、正に御指摘のとおりでございます。若干申し上げます
と、私立学校の振興をより一体的に行うという観点で両法人を統合して、今そ
の効果を上げつつ運営がなされておるところでございます。

 今回の改正は、このうちの主たる業務の一つであります助成業務につきまし
て、事業運営の効率化等を図るために独立行政法人に準じた管理手法を導入す
ることが適当と判断をしたわけでございます。これによって助成業務がより効
率的、効果的に実施されると。したがって、補助金交付の迅速化やあるいは健
全な貸付事業の推進ということでの業務の質的な向上が一層図れるのではない
かと、かように思っております。したがって、今回の改正というのは助成業務
の目的を変えるものではなくて、私立学校の振興を総合的に行うという、そう
いう私学事業団の目的、責任はいささかも変わりがないわけでございます。

 それから、もう一つの主要な業務でございます共済事業でございますけれど
も、この共済事業は、これは他の共済組合の業務と同様に国の社会保障制度の
一環として運営されるものでございます。したがって、若干その手法がやはり
異なってくるということでございます。

 したがって、今回のその共済業務につきましては、この共済法、私立学校教
職員共済法がございますので、その法に基づく掛金の徴収あるいは年金、医療
給付等が確実かつ適正に行われるように、現在と同様に文部科学大臣が共済規
程やあるいは事業計画、予算の認可、財務諸表の承認等の権限を有するほか、
広く一般的監督権を有するということでございまして、従来と同様の手法によっ
て管理をしていくということになります。

○神本美恵子君 次に、その助成業務の実績に対する評価の基準についてお尋
ねをしたいと思います。

 助成業務の主なものは、私立大学等の経常費補助金の配分、それから施設整
備資金の融資等ですけれども、そこに独立行政法人の管理手法を導入すること
によって、事務の効率化等は考えられるけれども、基本的には助成業務に関し
て事業団の裁量の余地はないものと思われるんですね。

 また、私学助成が事業団によって恣意的に行われるようなことがあってはな
らないというふうに思うんですが、このような性格を持つ助成業務に対する評
価というのはどのような基準で行われるのか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(玉井日出夫君) 事業団のその助成業務は、今、委員御指摘の
とおり、独立行政法人に準じた管理手法を導入するということでございますの
で、基本的には法人の達成すべき中期目標というものを定めまして、それに従っ
て具体的な業務を行う、それが事後的にその達成状況がいかがであるかという
ことでの評価する仕組みと、こういうものが評価を受けていくわけでございま
す。

 このねらいというのは、助成業務の目的であります私立学校の教育の充実向
上、そしてその経営の安定を図るためのものでございまして、したがって各種
の事業が効率的、効果的に行われるということであって、私立学校の振興に資
しているかどうかという観点も当然のことながら行われるわけでございます。

 具体的には、補助事業についての補助金交付の迅速化だとか、あるいは制度
の内容がより適切なものかどうか、あるいは貸付事業についての迅速化等々が
目標と定められ、それがどのように達成されたかが評価される。この具体的な
内容は今後独立行政法人評価委員会において検討していくこととなりますけれ
ども、私立学校の振興という基本的な目的、内容についてはいささかも変わっ
ていないわけであります。

○神本美恵子君 ということは、私立学校の教育の充実なり振興に資している
かどうかということになりますと、その分配された補助金が正しくその当該の
学校で、それぞれの学校で使われているのかどうかとか、それが公正に、ある
いは透明性というような観点からの評価の在り方も今後研究していくというふ
うに受け止めていいんでしょうか。

○政府参考人(玉井日出夫君) 今でも、現在でも事業団は、正しく御指摘の
正に趣旨から私立大学等に対します経常費助成の配分を行い、また融資を行っ
ているわけでございます。したがって、今でも私どもとしてはきちんとなされ
ていると思いますけれども、それが独立行政法人に準じた手法が導入されるこ
とによってより適切なものになっていくというふうに考えております。

○神本美恵子君 当然それはなされなければいけない、国民の税金を助成金と
して渡すわけですから。ところが、帝京大学とか酒田短大の問題とかありまし
て、本当にその助成金が正しく使われているかということについては、これま
で以上にきちんとした評価の基準を持って公正性、透明性といったようなこと
を確保していく必要がより重要ではないかというふうに思います。

 それから次ですけれども、今回の経常費補助等の私学助成ということについ
ては、私学の自主性を尊重するとともに、補助金が、今の繰り返しになります
けれども、本当に教育研究の向上に役立つような適切な配分が行われているか
どうかということについてはきっちりしていかなければいけないというふうに
思います。

 今回の改正案では、事業団を経由した方が合理的、効率的であることが明ら
かな場合を除き、最終交付先へ国から直接交付するというふうになっておりま
す。これは、既に二〇〇二年度からは文部科学省の直接執行分として私立大学
教育研究高度化推進特別補助が創設されて、国から直接交付が一部で行われて
いることは承知しております。その事務処理は事業団が行っているというふう
に聞いているんですが、私学助成における国と事業団との役割分担というもの
をどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(玉井日出夫君) 委員御指摘のとおり、私立学校の自主性を尊
重しながら、そしてその公共性を担保する、こういうことは私学助成の基本だ
ろうと、かように思っております。

 そういう意味におきまして、事業団を通じて適切な助成業務が行われるわけ
でございますが、その際はやはり基本的な、基盤的なものについて事業団を通
じて助成が行われる。さらには、国の方は特別な助成の必要のあるものについ
て、よりそれぞれの特色を発揮していただく。そういう観点からのものについ
て、国が直接行うということでの役割分担を考えながら、トータルとして私学
の振興が図られるようにというふうに考えているわけでございます。

○神本美恵子君 私は、私学助成そのものの在り方、これからは第三者機関で
あるこの私学振興事業団ではなくて、直接交付を増やしていくという方向性が
今回も出されているんですけれども、私学助成そのものを見直す時期に来てい
るのではないかというふうに思います。

 そういう、大学に対して行う機関補助という、それと学生本人に補助をする
個人補助といいますか、機関助成と個人助成ということを組み合わせるとか、
あるいは個人助成の比重を高めていくというような方向性を本当は今回のこの
改正に当たって抜本的に考えるべきではなかったかというふうに思います。そ
うでないと、今回のこの改正案は看板の、今一般的に看板の書換えだけだと言
われる中で、この法案に対しては看板の書換えすら行われないというようなも
のですから、私学助成そのものの在り方を抜本的に考え直すということを今後
是非やっていただきたいなというふうに思います。

 次に、私学の情報公開ということについてお聞きしたいんですが、先ほども
言いましたような私立大学の不祥事といいますか、様々な問題が相次いで発生
したことを一つの背景として、先日も学校教育法が、改正されて、可決成立し
たんですが、こういった法令違反の状態の大学に対して改善勧告、変更命令な
どが整備されましたが、私学の自主性を尊重しつつ、しかもこのような問題を
防止する最も有効な方法は私は情報公開であるというふうに思います。

 ただ、私学側には情報公開に対して消極的というふうなことも言われている
んですが、補助金を受ける私学は、大学の公共性ということももちろんですけ
れども、国民に対して積極的に経理状況でありますとか資産状況、あるいはそ
の大学を卒業してどういった就職状況にあるかというような、そういったこと
を国民に積極的に情報公開を行う責務があるというふうに考えますけれども、
文科省の見解としてはいかがでしょうか。

○副大臣(河村建夫君) 非常に重要な御指摘だと私も受け止めさせていただ
きました。

 私学が非常に高い公共性を持っている。特に大学においてはその八割が私学
だという現実もございます。そういうことで、大学自らが財務状況を始めとし
たいろんな情報を積極的に公開していくことが必要だと考えます。

 これまでもそういうことで指導は文部科学省としてもしてきておるわけでご
ざいますが、現実に私立大学の財務状況については現在約八五%の大学が公開
をいたしております。私立大学の財政が学生の納付金に掛かっている、あるい
は補助金、さらに寄附ということもございますが、そういうことで、国民や保
護者等の理解を得るためにも私は必要なことだと、こう思っております。

 委員も御指摘なさいましたが、私学の自主性といいますか、そういうものに
も勘案しながら、さらに財務状況が明らかになるように、公開されるようにと
いう、その促進については、どういう形でどこまでやればいいかというような
ことについても更に検討を進めてまいりたいと、このように考えております。


○畑野君枝君 さて、最後に私学にかかわっての質問をさせていただきます。  今回の私学共済事業団の法案でございますけれども、やはり、一般補助が抑 制されながら、一方で特別補助に重点化をしていくと、こういうような方向が 進みますと、私学の自主性あるいは自律性、建学の精神に基づいて行われてい る、そうしたものが損なわれることになるのではないか、こういう懸念の声が 上がっております。私は、やはりそれぞれの私学の自主性を尊重しながら私学 助成を充実させるということが今本当に求められているというふうに思うわけ です。  これは、私学で学ぶ学生さんもこの間国会に来られまして、私学助成を含め て充実を求められております。あるいは、全国私教連の調査でも、やはり授業 料が払えないということで中途退学者が増えているというのはこの委員会でも 申し上げましたし、あるいは各地域での補助制度に本当に希望が殺到する。修 学旅行を本当に泣く泣くやめなくてはいけない、そういう生徒さんがたくさん いるわけですね。正にその命綱になっているこの私学助成を伸ばしていくこと こそ必要ではないか。そういう点で、私の持っている懸念に対してどのように 考えていらっしゃるか、伺います。 ○政府参考人(工藤智規君) 私学助成は、昭和五十年の私学振興助成法制定 以来、私学の振興のために我々も汗をかいてきているわけでございます。  法の精神は、この助成を通じまして、私学の教育研究条件の改善、それから そこに学びます学生のための家計負担の軽減等のために一般補助、特別補助と いう形でやられておるところでございますが、いずれにしても私学の独自性あ るいは特色を減じることではございませんで、それぞれの私学の御努力に応じ た補助金の充実を図ってきているつもりでございます。  現に、例えば特別補助といいましても、いろいろ、御存じだと思いますけれ ども、例えば社会人の受入れの状況でございますとか、少人数教育のようなき め細かい教育体制でございますとか、あるいは障害者の受入れ、教養教育の充 実、国際交流の推進、あるいは学術研究面での高度化でございますとか大学院 面での充実などなど、教育研究面の国民なり学生の望んでおる要素について、 努力したところにより多くのお金を差し上げましょうという仕組みで特別補助 の制度を作ってございまして、限られた財源状況の中で、私ども、苦慮しなが らではございますけれども、一般補助と特別補助のバランスを考えながらその 充実に努めているところでございます。  実際に、来年度概算要求、今折衝中でございますけれども、一般補助二千二 百二十五億円余りに対しまして特別補助千七十二億円の概算要求をしていると ころでございますが、いずれにしましても今後ともその充実に努めて、かつそ れぞれの私学の御努力に報いるような形での充実を図ってまいりたいと思いま す。 ○畑野君枝君 そういう点では、この参議院の文教委員会の附帯決議で、一九 七五年の七月にですけれども、附帯決議を掲げて、私立大学に対する国の補助 はできるだけ速やかに二分の一にするように努めるというふうに言われてきた わけですね。それに比べますと、本当にまだまだ遅れた状況であります。  そして、やはり国の姿勢として、お金は出すけれども口は出さない、やはり こういうスタンスでやっていかないと、国が求めている方向にやっているとこ ろは多く付けていくというふうになりますと、本当に私学の独自性、それが損 なわれるというふうに私は思います。  ですから、私学の自主性、これを本当に尊重すべき中身として進めるべきじゃ ないかと思いますけれども、その点はいかがですか。 ○政府参考人(工藤智規君) 先ほど申しましたように、この私学助成は私学 のそれぞれの特色ある教育研究活動をバックアップする、しかも一般補助は学 生数、教職員数等に応じまして、ある程度傾斜配分はございますけれども、基 盤的な助成をするということでございまして、いずれにしてもそれぞれの私学 の御努力の状況に応じまして私どももその充実に努めてまいりたいと思います。 ○畑野君枝君 そういう点で、一般補助もなかなか増えないという状況があり ますが、それを本当に是非増やしていただくということを求めまして、私の質 問を終わります。