司法制度改革審議会「中間報告」が打ち出した「法科大学院構想」は、まず構想過程が
文部省主導の検討会議に丸投げされたことが問題だ。その結果、現在財界に役立つ大学
改革を進めている大学審議会の方針を強く反映したものとなっている。
さらに、司法研修所の縮小廃止を前提としたものとなっており、司法研修の長所である
試験の公平性・開放性、統一修習、そして実務修習による弁護士過疎解消機能が失われ
る一方、司法研修所の問題点である当局の裁判官検察官任用権限独占による修習生に対
する管理統制については、何ら改善の議論がなされていない。
法科大学院自体の制度上の具体的な問題点は、大きく分けて四つある。第一に、法科大
学院を財界・文部省の統制下に置く第三者評価機関の設置だ。これによって法科大学院
がランク付けされ、実質上の分離修習となるのも問題だ。第二に、学生・法科大学院生
の成績及びその他の活動の管理による統制と抑圧だ。企業人や行政官僚まで法科大学院
の教員になって厳格に成績評価をするのだから、法科大学院生、ひいては弁護士の質も
変容してしまう。第三に、教育の機会均等の破壊、例えばアメリカのロースクール生は
人権活動にかなり参加するが、卒業した途端に多額の借金を背負うため、活動から身を
引くそうである。最後に、大学間格差・学部間格差・学部教育の空洞化、一方では潰れ
る大学も出るし、ますます法学部の授業は雑なものとなり、受験予備校通いが隆盛を極
めるだろう。
結局、法科大学院は、「入口は大学自治・学生生活破壊、出口は弁護士の変質」という
極めて問題の多い構想である。
この文部省・財界主導の「法科大学院構想」に反対の声をあげている多くの大学人とと
もに、これを阻止することこそが、私たち弁護士に求められている。
参考文献 法律時報2000年11月号 特集:現代日本社会と大学・司法改革の展望
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