2・23 集会・デモ の報告

佐分利 豊 (千葉短大)

2003.3.28

From: yutaka saburi
Date: Fri, 28 Mar 2003 04:28:47 +0900

23日の「ブッシュ政権のイラク攻撃と日本政府の戦争協力に反対する集会」とデ
モを簡単に報告させていただきます。

(1) 集会は、広中由美子さん (早稲田大学) の司会で開始されました。イラク攻
撃の開始直後ということもあるためか、100名近い参加者がありました。集会場
の部屋は定員45人の部屋であったあったため、よその部屋からイスを持ち込みま
したが、結局立ち席の人が出てきて、満杯状況となりました。

田浪さんの講演も、ご自分で撮影されたスライドを上映しながらの話でしたので、
リアリティの高い、説得力のあるものでした。

劣化ウラン弾の被曝により癌発生率が'94年以降、急速に高くなったことと、そ
の被害者の映像は、湾岸戦争以来、米軍によってなされた戦争犯罪をを端的に示
すものとなっていました。

また、通常の医薬品の不足により、子どもが風邪などの軽い病気でも死んでしま
うケースが増えているということも報告されていました。


(2) 質疑・討論の中では、参加者の中からブッシュ政権が「反テロ」をかかげて
いるものの、9.11 の真相はまだ明らかにされていないとの指摘がありました。
牧野 哲さん (山口大) は、この集会をエスペラント協会 (?) に報告したとこ
ろ、会長から連帯のあいさつがあったことを報告してくださいました。さらに、
昨年夏、スウェーデンで開かれた「数学と戦争」のシンポジウムで、ご自身が
「数学者小倉金之助と大東亜戦争」と題する報告をされたことと、福富節男さん
が「日本における数学と戦争」という題で、ベトナム戦争以来の日本の数学者の
平和運動や、太平洋戦争で暗号斑に自身が動員されたことなどを文書報告してい
たことを紹介されました。この間、数学者の平和運動の紹介記事を掲載している、
物理学者の社会的責任サーキュラー『科学・社会・人間』の編集にたずさわって
おられる白鳥紀一さん (元九大) は、物理学者の方でもこのような集会を開くべ
きであると思っているのですが、参加させていただいてありがたいとのメッセー
ジがありました。増島高敬さん (数学教育協議会) は、1200人の!高校生が集まっ
た、21日の「全国高校生平和大集会」の紹介をしてくださいました。'60年安保
当時の平和運動は、全体として大きな組織の主導によるものであったが、このと
ころの若い世代の平和運動への参加は、組織的というよりは個々の自発的な参加
という色彩が強く、また、政治的対立は話し合いで解決できるし、そのようにす
べきであるとの考えをのびのびと表明していることが特徴であるとの報告をされ
ました。福富節男さん (元東京農工大) は、6・15に戦争反対の集会を予定して
おり、そのための案内のハガキを1万枚用意したので、それを使って、声をかけ
あって参加してほしいとの呼びかけをしました。これは、これまで、集会・デモ
を呼びかける側と、呼びかけられる者という分裂構造があったが、それを埋める
努力でもあり、一人一人が自分の要求を持って参加するような形をめざしたもの
であるとのことでした。塚田和美さん (お茶大) は、アフガニスタン復興のため
の教育支援ということが求められているが、そもそも戦争をしかけて取りかえし
のつかない被害を与えておいて、復興支援をと言われても思いは複雑である。! 
人道支援ということで、実際には協力することになるけれども、との発言をされ
ました。


(3) 質疑・討論の後、郡 敏明さん (早稲田大学) から、集会開催の経緯と、声
明文案の作成過程について説明があった後、満場一致の拍手で声明の採択がなさ
れました。最後に、福富節夫さんが、デモ・コースの設定に関して警視庁で4時
間半ほど押し問答をした後に、渋谷の道玄坂を下りていく経路を認めさせたとの
報告があり、デモに向かいました。

(4) デモには、80名ほどの参加がありました。集会の熱気を残しつつ、それなり
の迫力を持って、駒場から渋谷まで「戦争反対」の声をあげて歩きました。山手
通りから道玄坂におりていく辺りで、イギリスからやって来たという2人の若者
がデモに加わってきました。デモが終わって、発言を求めた所、ブレアーがブッ
シュにくっついてイラク攻撃をはじめて申しわけありませんという雰囲気をただ
よわせつつ、「戦争はよくありません、やめさせるよう声をあげましょう」と日
本語で話してくれました。(こちらも小泉に「イラク攻撃を理解する、支持する」
などと言わせたままなので、同様の思いを持ってはいるのですが。) その後、若
者の一人が、ビートルズの "Give Peace a Chance" を歌ったのですが、文化の
違いがもろに露呈して、ほとんどの参加者がいっしょに歌うことができていませ
んでした。プラカードや横断幕は、70年安保の世代の人たちが、いつになくカラ
フルな今風のデザインをねらっていたり、また、ロウソク代わりのプラスティッ
クの光ものも使ってみたりはしたのですが。

(5) 今回の集会・デモは、『数学セミナー』5月号で写真入で紹介してもらえる
ことになりました。4月12日発売だそうです。

以下、集会声明と集会呼びかけ人一覧を紹介して報告を終わります。

(集会声明)

ブッシュ政権のイラク攻撃と日本政府の戦争協力に反対する声明

2003年3月23日

 3月20日、ブッシュ米政権は、世界的に空前の規模で行われているイラク攻撃
反対運動にもかかわらず、イラクへの先制攻撃を始めました。この武力行使は、
一方的な侵略行為にほかならず、人々が平和に生きる権利への挑戦であり、人類
の理性への脅迫です。 私たちは、ブッシュ米政権・ブレア英政権に対して、イ
ラク攻撃をただちに停止することを求めます。また、小泉政権には、日本国憲法
の精神に基づいて、戦争への支持を撤回し、協力をしないことを求めます。

(集会呼びかけ人)

荒井  嘉夫  (桐朋中学校)        井上  和行  (信州大学)
井上  正允  (筑波大駒場中高)    一楽  重雄  (横浜市立大学)
伊原  康隆  (元京大数理研)      上野  ~正   (元東京大学)
宇佐美陽子  (お茶の水女子大学)  遠藤  幹彦  (元立教大学)
大久保紀晴  (三省堂)            大沢  重憲  (数学教育協議会)
岡部  恒治  (埼玉大学)          笠原  乾吉  (元津田塾大学)
亀井哲治郎  (編集者)            岸本  量夫  (元信州大学)
銀林   浩   (元明治大学)        黒木  哲憲  (福井大学)
郡   敏昭  (早稲田大学)         小島   順   (早稲田大学)
小田切忠人  (琉球大学)          小寺  隆幸  (数学教育協議会)
斎藤  恭司  (京大数理研)        佐藤  文広  (立教大学)
佐分利  豊  (千葉短期大学)      島田  信夫  (元京大数理研)
清水  昭信  (名古屋市立大学)    清水  義之  (早稲田大学)
志村  道夫  (東邦大学)          白尾  恒吉  (元都留文科大学)
白岩  謙一  (元名古屋大学)      瀬山  士郎  (群馬大学)
高野  恭一  (神戸大学)          高橋  鋼一  (数学教育協議会)
田口雄一郎  (九州大学)          竹内   茂   (岐阜大学)
玉川安騎男  (京大数理研)        塚田  和美  (お茶の水女子大学)
辻下   徹   (北海道大学)        鶴見  和之  (東京電機大学)
永島   孝   (元一橋大学)        中村   憲   (東京都立大学)
西岡  国雄  (東京都立大学)      野田隆三郎  (元岡山大学)
広中由美子  (早稲田大学)        藤原   豪   (長崎総合科学大学)
福田 拓生  (日本大学)          福富  節男  (元東京農工大学)
牧野   哲   (山口大学)          増島  高敬  (数学教育協議会)
松井  幹夫  (数学教育協議会)    松下  佳代  (京都大学)
松本   眞   (広島大学)          三井  斌友  (名古屋大学)
武笠  敏夫  (日本大学)          本尾   実   (元東京工業大学)
 森    真   (日本大学)          谷口  彰男  (日本大学)
山川  陸夫  (芝浦工業大学)      山田  正直  (数学教育協議会)
山森  康雄  (数学教育協議会)    柳原  二郎  (元千葉大学)
吉田  克明  (日本大学)          吉田   一   (河合塾)
和手  正道  (日本大学)