==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
北大ネットワークから全学へのあいさつ

北大ネットワークから全学へのあいさつ

以下は全学に配送されたメールを転載したものです。学外に公開されているページですので了承を得るまでは氏名をイニシャルに変えておきます。
Ver 1.1 (言語文化部の世話人が追加されました。)2000.1.7
Date: Fri, 07 Jan 2000 15:56:47 +0900
Subject: 北海道大学のみなさまへ
To: hu-members

                      2000年1月7日

      北海道大学のみなさまへ


 新年おめでとうございます! 昨年夏以来、国立大学の独立行政
法人化問題が急浮上しました。それ以後、この問題をめぐる情勢は
時々刻々、変化するとともに、ますます緊迫の度合いを深めていま
す。

 昨年11月、この問題の成り行きを憂慮した教官有志が集まって
「国立大学の独立行政法人化問題を考える北大教官有志の会」(小
野有五・世話人代表)を結成しました。「有志の会」は11月22日に
声明文を報道発表して、それに対する学内の賛同を求めたところ、
300人近くの皆様から同意が寄せられました。ここに皆様のご厚意
に衷心より御礼申し上げます。

 「有志の会」の活動は、北大の教職員が独立行政法人化問題の理
解を深めるのに一定の役割を果たしたと判断しております。しかし
この会の性格は、有志としての個人的な意志を結集したものであり、
いきおい情報伝達の範囲などに制限がありました。また会の趣旨も、
独立行政法人化問題を慎重に考えて拙速な結論を出さないようにす
ること、学内に広範な議論を呼びかけることにとどまっていました。

 その後の情勢の推移を踏まえて私たちは、北大のもっと多くの皆
様に情報を伝達し、かつ自由でオープンな議論のできる場をつくる
必要性を痛感していましたが、ようやく昨年末に何人かの教官の集
まりを持ち、そのための組織として「独立行政法人化問題を考える
北大ネットワーク」を結成しました。そして全学への情報発信用の
メーリングリストと議論用のメーリングリストをそれぞれ立ち上げ
ることにしました。

 「北大ネットワーク」はさきの「有志の会」を発展的に再編成す
るものです。ここに新年の挨拶を兼ねて「北大ネットワーク」結成
の趣旨をお伝えし、一人でも多くの皆様が「北大ネットワーク」を
利用し、また議論に参加されるよう訴えます。

 なお「北大ネットワーク」はいま情報発信用メーリングリストを
部局ごとに作成中ですが、その作業の終了を待つよりも、とりあえ
ず現在使用可能な手段を使って一刻も早く行動を開始した方が良い
と判断し、すでに個人的に作成されているアドレスリスト(約20
00名の教官)を借用して、ここに皆様への挨拶をお送りいたしま
す。

世話人:KI(文学部)、EO(教育学部)、JY(法学部)、TT・ST
・TW(理学研究科)、KK(医学部)、ST(歯学部)、TS(歯学部
附属病院)、MM(薬学研究科)、YS・SY(工学研究科)、AS・
AH(農学研究科)、KK(農学部附属演習林)、SN・KM(水産学部)、
KN・SS(言語文化部)、YO・KY(地球環境科学研究科)、
TN(低温科学研究所)、TJ(電子科学研究所)、SS(触媒化学研究
センター)、SO(免疫科学研究所)、HT(総合博物館)、TM(医療
技術短期大学部)


「独立行政法人化問題を考える北大ネットワーク」の趣旨

 「独立行政法人化問題を考える北大ネットワーク」(以下「北大 ネットワーク」)の目的は、いま政府・文部省の主導で進められて いる国立大学の独立行政法人化に反対するとともに、21世紀の教育・ 研究機関にふさわしい新しい北大の姿を、大学人自らの徹底した討 論によってつくりだそうとするものです。「北大ネットワーク」は、 ただやみくもにすべての法人化に反対するわけではありません。国 立大学の教育・研究のありかたに対する社会的批判を真摯に受け止 め、その批判を踏まえながら、真に国民に役立つ大学づくりを目指 すには、法人化の道の可能性を含むさまざまな選択肢を自由な議論 のなかから探り出すことが重要であると思います。  しかし、現在、進められている法人化は、もともと行政機関を対 象に制定された「独立行政法人通則法」を無理矢理、大学運営にも 適用することで、政府・文部省が決めた目標どおりの研究しか許さ ず、単に表面的な数字だけで教育・研究を評価しようとするもので あり、21世紀にふさわしい大学の設計図としては全く不合理なもの と言わざるを得ません。  確かに、研究成果が直ちに産業に結びつき、それによって研究資 金や学生の就職先の見返りなどが期待できる分野では、このような 行政法人にも対応できるかもしれませんが、すぐには成果の出にく い分野は一方的に切り捨てられる恐れがあります。また政府が進め ている産業政策や科学・技術政策を客観的な立場に立って批判しよ うとする研究は、全く否定されてしまうことも考えられます。  いま大学人がなすべきことは、北大のみならず日本の教育・研究 の将来にこのように重大な影響を及ぼそうとしている独立行政法人 化にまず「No!」と言うことです。同時に、国民から批判されている 国立大学のありかたについて徹底的に議論し、大学自らが短期間の うちに明確な大学の設計図を提示し、21世紀にふさわしい大学の姿 を国民や政府・文部省に訴えることではないでしょうか。  私たち「北大ネットワーク」は、北大を担う構成員がそれぞれの 部局において新年早々、このような議論を始めていたただくことを 期待しています。そのために、一人でも多くの構成員が「北大ネッ トワーク」を活用していただくと共に、議論用メーリングリストで の議論に参加してくださることを、心から訴えます。 注1) 議論用メーリングリストに参加希望の方は以下までメールを下   されば登録致します。   (転載時に略) 注2)「北大ネットワーク」から情報発信するメーリングリストはい   ま部局ごとに作成中です。