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Date: Wed, 27 Dec 2000 18:19:31 +0900
Subject: 未来戦略検討WG検討結果報告

北大構成員のみなさま

12月13日の部局長会議で未来戦略検討WG検討結果報告「新世紀における北海道
大学像」が配付されました。学部教育の一元化・学内研究組織創設等、北大の将来を
左右する諸提案がありますので、全構成員が議論すべき重要文書と思われます。

事務局企画課に問い合わせましたところ、文書配付は部局に任されているとのことで
した。北大ネットワークでは、最初の要約部分を電子化し全学に配付することに致し
ました。

年末年始の時間を利用して吟味され、問題点の指摘・対案の提言等があれば各部局を
通し、あるいは、北大ネットワークを通してなされますことをお願いします。

北大ネットワーク世話人

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  新世紀における北海道大学像
−−未来戦略検討WG検討結果報告−−

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◆目次

はじめに
I.検討の経緯
II検討結果

〈部会・作業部会報告の要約〉
1 社会連携部会報告:「社会の中における大学」
2 教育研究部会(教育検討作業部会)報告
3 教育研究部会(研究検討作桑部会)報告:「創成科学研究機構の創設」
4 大学運営部会報告:「総長補佐体制の整備」
おわりに 一 残された課題

資料(略)

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◆はじめに

世界は変容の時代を迎えている。情報技術革命によって「地球化」は促進され、世界
は統合の度合いを深めつつある。同時に、多様な価値の共存が強く意識されている。
我が国もまたそうした時代に適応すべく、国家と社会の構造変革を模索している。

大学は人類が築いた叡知と文化の体系を継承し、末来に引き渡すという役割とともに、
新しい時代を切り開く知識の創造という役割を担ってきた。そのような大学の使命
は不変であるとしても、その在り方は時代とともに変わらなくてはならない。

国立総合基幹大学として、北海道大学は「開拓者精神」、「国際性の涵養」、「全人
教育」という教育研究理念を掲げ、多くの優れた人材を育成し、また多くの研究成
果を社会に提供してきた。しかし、本学の教育研究理念もまた新しい時代に相応し
い内容が与えられなければならない。本学は、その使命を十全に果たしていないと
いう批判を真摯に受け止める必要がある。

平成12年度に本学は、全学の大学院重点化を終えることができた。しかし、研究科単
位での検討は成されてきたが、大学院重点化大学となった本学が、大学全体としてど
のような教育研究体制を創りあげるべきかという問題については、これまで十分に
議論されてこなかった。本学が築いてきた伝統の上に、21世紀という新しい時代め
大学像を構想するという作業は緊急のものとなっている。


◆I.検討の経緯

平成12年3月15日の評議会了承に基づき、北海道大学は、評議会の下に未来戦略検討
ワーキンググループ(以下「末来戦略検討WG」という。)を設置し、部局長会議と連
絡調整を行いつつ、20年後の大学像を見据えた未来戦略を検討し、平成12年11月を目
処に報告書を作成することとした。


未来戦略検討WGは、平成12年4月6日に第1回会議を開き、その後、同WGの下に「社会
連携部会」、「教育研究部会」、「大学運営部会」の3部会を設置して検討を進める
こととしたが、「教育研究部会」は、その下に「教育検討作業部会」と「研究検討作
業部会」を設置し、それぞれが報告書を作成することになった。

「大学運営部会」は、中長期的な問題を視野に入れつつも、現在、国立大学が置かれ
ている諸情勢を考慮し、平成13年5月の新総長就任までに大学がとりうる措置をまと
めた中問報告を作成した。その内容は、1)総長室の設置、2)副学長の増員、3)総
長補佐の総長室への配置、4)総長室を支える事務組織としての総務部企画室の設置
を提案するもので、同報告は平成12年5月17日の第4回未来戦略検討WG会議で了承され
た後、『未来戦略検討WG報告(第1次)』として、平成12年5月22日の部局長会護及ぴ
平成12年6月7日の評議会で了承され、併せて副学長の増員を内容とする概算要求を行
うことが了承された。


各部会は、それぞれの検討結果に基づき報告書を作成し、その内容は、平成12年11月
20日に開催された第6回末来戦略検討WG会議で報告された。その後、同WGでの検討を
経て、この『未来戦略検討WG検討結果報告』が作成された。


WGに与えられた.検討課題は多岐にわたり、8ケ月問の検討期間では必ずしもその全
てを十分に検討することはできなかった。

本報告は、与えられた期限の中で未来戦略検討WGが到達できた範囲で、議論の内容を
提示するものであり、多くの内容について議論が尽くされたとは言えず、また、ほと
んど議論を行えないままに終わっている論点も少なくない。しかし、与えられた期限
内に報告書を作成し、その内容を今後の全学的議論の対象とすることが重要と考え、
取りあえずまとめられる範囲で報告書を作成することにした。


また、現在「国立大学法人化」を巡る議論が進行中であり、国立大学の将来の設置形
態が未確定な段階で、具体的な大学の将来構想を細部にわたって提示することは極め
て困難な情勢にある。本報告は、さしあたり国立大学設置形態を巡る議論の推移のい
かんに関わらず、本学が今後検討すべき方策を、現時点において可能な範囲で提示す
るものである。本報告の内容の中で、学内合意ができるものについては段階的に具体
的検討を経て実施に移されることが望ましいが、何よりも提言全体が大学改革を巡る
全学的な議論を喚起する「たたき台」となることを期待するものである。

◆II検討結果

本報告の9ページ以下の4報告は各部会・作業部会がそれぞれの検討結果を基に作成し
たものである。時間的な制約のため、未来戦略検討WG(親WG)では、各報告の内容
を細かく検討し、その相互の連関を調整することはできなかった。したがって、この
報告書の内容は今後継続きれる検討のための「経過報告」である。


しかし、未来戦略検討WG(親WG)は各報告書の内容を許された時間内で検討した結果、
次の認識では一致することができた。

1)

北海道大学は、大学院重点化を終えた基幹総合大学として、それに相応しい教育サー
ビスと研究成果を、大学全体として社会に提供していかなくてはならない。学部を基
礎としたこれまでの教育研究体制を、大学院に基礎を置く体制へと真の意味で転換す
るためには、各部局の大学院重点化だけでなく、大学総体としての教育研究組織、事
務体制などの改革が必要とされる。また、そうした改革は、大学が社会の中で自立し
た存在であると同時に、社会の中の一員でもあるという認識の下で進められなけれぱ
ならない。

2)

大学院重点化大学として、北海道大学は、世界的水準の研究を担うことができる研究
者の育成、高度な職業人の養成、世界的水準にある研究成果の達成を使命としている。
また、大学は様々なレベルでの社会貢献を行い、併せて北海道という地域に根ざした
活動を行わなくてはならない。

3)

大学院レベルの教育・研究においては、研究科を横断する教育研究プロジェクトが柔
軟に行える仕組みが検討されなけれぱならない。新領域分野の教育研究を効率的に行
えるよう、大学院研究科を含む教育研究組織の規模の適性化と再編が必要である。さ
らに、世界的水準の研究を支えるため部局を越えた研究機構の設立が不可欠である。

4)

大学院重点化後の学部教育は、教員組織と切り離された新しい組織で行われるべきで
ある。大学における専門教育の重心は大学院に移される。それに伴って、学士課程教
育では、総合的な基礎教育を重視し、併せて学生が自らの意思に従って、段階的にそ
の専門を選択できる自由な教育システムを構築すべきである。そのためには、従来の
学部の区分を廃した新しい組織で学士課程教育は行われるべきである。現行の学部教
育科目の共通化を段階的に進め、全学的な合意を前提に、全学的なレベルで統合され
た学士課程の創設を構想し、また、学士課程教育と大学院教育の新しい形の接合を図
るべきである。そのような改革を進めつつ、学士課程の学生定員も見直されなければ
ならない。

5)このような大学組織や教育システムの改革を実効あるものとするためには、教員
の意識改革も必要である。意識改革を促進するためには、大学内で適正な競争原理を
働かなくてはならない。そのためには、ピア・レピューの原則に基づき、外部的な視
点も取り入れた評価システムの確立と積極的なインセンティブの導人が必要である。

6)大学運営の在り方は、国立大学設置形態を巡る議論の推移と、教育研究体制の改
革の進展を見定めながら、慎重に検討されるべきである。ただし、大学を取り巻く環
境の変化に機動的に対応し、併せて大学の教育研究体制の改革を適切かつ効率的に検
討実施するためには、さしあたり現行の大学運営体制を前提としつつ、総長のリーダー
シップが企画・立案・調整という側面で効率的に発揮できる体制を整備すべきである。
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〈部会・作業部会報告の要約〉

1  社会連携部会報告:「社会の中における大学」

大学は、教育・研究を通して有為の人材と高皮の知見を杜会に提供し、多様な社会的
諸活動や国際協力で社会に貢献しているという自負を持つが、同時に社会からは大学
として果たすべき説明貢任(ア力ウンタビリティー)が不十分であるとの批判も受け
ている。社会連携部会は、「社会の中における大学」のあるべき姿を、主に、大学の
外で活躍する各界の社会人に対するヒアリングを通して検討した。

社会が大学に対して期待しているのは、1)先進的な研究能力と高度な知織を持つ
「社会資産」としての役割、2)社会的事業としての高等教育の維持・発展、3)社会
の諸分野の課題に即応した知識や技術の提供、4)様々な社会的活動を専門的見地か
らバックアップする存在、5)健全な社会を維持するためのオブサーパー、オピニオ
ンリーダーであること、などである。

そのような期待と同時に、社会は大学に対して次のような批判を行っている。すなわ
ち、1)教育研究水準の低下、2)社会性の欠如、3)情報発信の不足・不備、4)大学
へのアクセス窓口の不備である。これらの批判を真摯に受け止め、社会の期待に応え
るためには、次の方策が必要である。

1)(教育研究水準の維持向上)学生が、専門知識の修得だけでなく、自己と社会の
関係を考えるための教育も必要であり、そのためには、インターンシップやNPO活動
への参加が有効である。高い研究水準の維持・向上は社会連携の大前提であり、その
認織の下で長期的視野に立って、先端研究、先見的研究、基礎研究への適正な予算配
分を行うべきである。

2)(社会への発信機能と社会からのアクセスの受け入れ)大学・各部局の情報発信
について外部モニターによる意見を求め、ホームページの構成や内容を再検討し、多
様な対象に対する効果的発信方法を検討する。オープンキャンパスや公開講座などの
活用を図り、杜会的良心を代弁する積極的なメッセージの発信を行う。併せて、大学
人の個人レベルでの情報発信も求められている。そのためには、大学に求められてい
る情報の把握を行い、学外からのアクセスを広く受け入れなけれぱならない。こうし
た情報の発信と受け入れ、学内外におけるコーディネートを担当する「総合的な窓口」
の設置が望まれる。

3)(大学が輩出してきた人的資源の活用)特別講義、市民講座、市民相談などで、
現役教員だけでなく、退職教員、卒業生の活用を図る。また、大学内部の葛藤や努力
に対して社会的理解を得るための第一歩として、卒業生との連帯を再検討する。

4)(社会的連携の阻害要因の除去)社会的連携を阻害している法制度、予算制度の
見直しを行い、必要に応じて法改正を求める。また、大学人事においても、各界で活
躍する有能な人材の教員・職員という区分にとらわれない採用を可能にする制度整備、
教育活動・研究能力の適正な評価、能力評価基準の多様化・柔軟化を図る。

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2 教育研究部会(教育検討作業部会)報告
:「世界的水準の大学院教育の確立及び学部教育の統合」

北海道大学の教育理念は、「開拓者精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」とされ
てきた。大学院重点化を終えた本学は、世界的水準の教育研究を発展させるための長
期的で一貫した戦略を持たなければならない。本作業部会の課題は近末来における
「世界の有力大学に比肩し得る大学院」の創造と、大学院大学における学部教育の進
め方について総合的に検討することが課題であった。

その考察の前提として、1)18歳人口の減少と入学学生の学力低下、2)情報技術の急
速な発展と普及、3)国家からの予算の縮減、4)高等教育の市場化などの社会的、経
済的変化を考慮に入れておかなければならない。

その上で、次の提案を行う。

1)(教育組織と教員組織の区分)これからの大学においては、「教員組織」と「教
育組織」を区別して考える必要がある。教員組織はそれぞれの学問分野ごとに編成さ
れるのに対し、教育組織は固有の教育目標を達成するために、複数の学問分野を含む
場合が多い。教員組織のスタッフは必要に応じてそれぞれの教育組織に加わって教育
を行う。教員組織は、それぞれの学問の水準を高く保つために、競争的な環境に耐え
うる自由度の高い組織としなけれぱならない。そのためには(大規模な)研究科を、
より小さなものに再編する必要がある。また、部局の枠を越えた連携や統合も考えな
けれぱならない。

2)(大学院教育)大学院博士課程においては、専門分野を単位とする教育研究組織
の研究能力が重視され、そこでは競争原理が強く働くことになる。このような競争的
環境の中で生き残るために、より柔軟で機能的な教育研究体制を整える必要がある。
修士課程では、各専攻のコアとなる専門的なカリキュラムを前提とした上で、部局の
壁を取り除き、大学全体が一つの大学院として機能すべきである。また、特に修士課
程においては固有の研究目標を明らかにし、機能の分担を図るべきである。

3)(学部教育)学士課程教育は、コモン・コアの教育、すなわち、高等普通教育と
専門教育からなるが、学部レベルの専門教育は理系・文系を問わず基礎を重視した総
合的なものになろう。新しい時代の要請に対応するために、現在の12の学士課程を統
合して単一の課程とし、入学した学生は進路希望に応じて自由に各コースの科目を選
択して、4年次進級に際して最終的な専門を決める新しい教育課程〈学士課程一貫教
育)を提案する。

4)(ボーダレス・キャンパス)情報技術の進歩に即応した情報ネットワークの整備
によって、ボーダレス・キャンパスを可能にし、地域に開かれた大学教育と国際的な
教育を実現する。

5)(教育評価とインセンティブ)教員組織と分離された教育組織を維持・発展させ
るためには、教育評価が必要不可欠である。そのために、教員採用時における教育義
務の明確化、一定期間ごとの教育業績集の提出とピア・レビューの原則に基づく評価
を行うべきである。また、それと並行して教育貢献に応じた校費の配分やサバティカ
ル・リーブなど、教育へのインセンテイブを高める方策を導入する。

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3 教育研究部会(研究検討作桑部会)報告:「創成科学研究機構の創設」

基幹大学院研究大学としての北海道大学は、研究成果、研究体制、研究者養成におい
て世界的水準の達成が求められている。この長期課題を達成するためには、中期課題
として、大学が持っている研究資源を適切な方向へ再投入する必要があり、短期課題
としては、研究資金の競争的配分によって新しい研究を育てる必要がある。そのため
の制度の整備を求め、また、柔軟な制度の運用も必要となる。さらに、研究支援に当
たる事務職員の意識改革も必要である。

大学院研究科は、それぞれの学術分野の揺籃・育成・進展を役割とするが、さらに、
研究科の枠を越えた先導的・流動的な研究を推進するために、次の具体的な提案を行
う。

1)(長期課題:創成科学研究機構の設置)北キヤンパスに、部局横断的なプロジェ
クト研究を行う「創成科学研究機構」を設置し、新規研究領域の創成と育成、優れた
若手研究者の育成を行う。研究組織のメンバーは各部局教官の併任とし、プロジェク
ト終了後に元の部局に戻る。併任期間中は部局での教育負担は軽減される。この研究
機構によるプロジェクト研究を支援するために、事務的能力と研究企画能力とを併せ
持った組織[研究企面室(仮称)」を置き、国際交流、広報、外国人研究者支援、技
術移転の展開、研究成果の社会還元を図る。また、技術移転を目的とする財団を設立
する。研究は、環境、生命、情報、医学、福祉などの分野に重点を置き、理工系、生
命系、情報系だけでなく人文・社会科学系を含む複合研究を目指す。

2)(中期課題)長期課題の達成のために、「生命科学ネットワーク研究センター」
を発足させる。同研究センターは5〜7年の活動を経て、創成科学研究機構の主要部分
へ移行する。また、研究企画準備室を発足させ、新開拓研究領域の調査・企画・立案、
侯補チームの選定などを行うとともに、学内の研究チームの育成、大型外部資金獲得
の助成、支援を行う。また、学術助成を目的とする北海道大学学術研究財団(仮称)
を設立する。

3)(短期課題)早急に研究機構設立準備室(仮称)、研究企画室作業部会(仮称)
を設置し、創成科学研究機構設立準備を開始し、また、先進研究育成プログラムを始
動させる。そのプログラムは、1)COE一Aクラスと認定された研究者に対する研究支
援、2)若手教官による萌芽的研究プログラム、3)学内外からの公募による新領域開
拓研究プログラムからなる。また、北大独自の流動的研究員制度を設計する。

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4 大学運営部会報告:「総長補佐体制の整備」


大学運営部会は、総長補佐体制について集中的な検討を行い、その整備に関する提言
を行うこととした。現在、大学が直面している多くの困難な課題を解決するためには、
これまでの部局自治の原則を前提としつつ、総長の適切なリーダーシップの下で、機
動的かつ柔軟な大学運営の必要が増している。その具体的な方策として、1)総長室
の設置、2)副学長の増員、3)総長補佐の総長室への配置、4)総長室を支える事務
組繊としての総務部企画室の設置を提案する。

1)(総長室の設置)総長室は、副学長、事務局長並びに総長補佐(総長によって任
命される複数の教官)によって構成される。総長の下で副学長が任務を分掌し、一定
数の総長補佐がこれを補助し、事務組織と連携しつつ全学的事項の企画立案及び調整
に当たる。総長の指示の下で総長室は所管事項の企画立案を行い、その内容は、部局
長会議と評議会での審議を経て総長が最終的な決定を行う。総長補佐は、各種委員会、
ワーキンググループの審議に加わり、総長室と委員会やワーキンググループ等との間
の連絡調整に当たる。

2)(副学長)現在、本学には2名の副学長が置かれ、主に教育と研究に関連する職務
を担当している。しかし、大学院重点化後の大学が教育研究の高度化を実現し、社会
の期待に応えるためには現行の副学長体制では不十分になっている。情報、広報、渉
外及ぴ産学官協力の促進などを担う副学長を1名増員すべきである。また、その新設
副学長は図書館長を兼ねることで、「情報機能」を、より適切かつ効率的に担うこと
ができる。

3)(総長補佐)総長補佐は、総長の企画立案及ぴ部局間の連絡調整を補助し、総長
と事務組織及ぴ大学コミュニティー間の情報の適切な流通を確保する機能を果たす。
総長補佐は、部局横断的な教育、研究、その他の全学的対応が必要な職務を分掌する。
総長が本学の教授または助教授から総長補佐を任命する。その選任に当たっては、文
系及ぴ医系ブロックから各2名、理系ブロックから4名の推薦を受け、その他4名の教
官を総長が委嘱し、総数12名とするのが適当であると考える。任期は2年で、原則と
して再任はなく、また、総長の任期を越えないこととし、業務の継続性を確保するた
めに、半数改選とする。総長補佐は全学的な見地から業務を行い、また、部局内管理
運営業務の免除、教育業務の軽減などの配慮が必要である。

4)(事務組織)総長室を支援する事務組織として「総務部企画室」を設置する。

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おわりに 一 残された課題

未来戦略検討WG及ぴ各部会・作業部会では、大学の将来構想に関わる広範な問題が検
討対象となった。各部会・作業部会はその中から、特に重要と判断した事項について
集中的な議論を行い、与えられた時間の中でそれぞれの報告書を作成した。したがっ
て、残された検討課題は少なくない。それらの課題の多くは、本報告の提言に関する
全学的な検討とともに、継続的な議論の対象とすべきものである。

社会連携部会は、「社会の中における大学」として、説明責任(アカウンタビリティ
ー)
をどのように果たすべきか、そして大学人たる前に社会人としてどのように行動すべ
きか、という社会連携を推進する上での本質論について主に検討してきた。しかし他
方で、産官学連携のための共同研究体制や寄附講座の在り方、技術移転等の具体的な
在り方、生涯学習及ぴ社会人の再教育(リフレッシュ教育)の具体策、国際交流や大
学の広報活動の具体的な方法等、個別具体的な制度設計の在り方を検討することが、
今後ますます重要となることは言うまでもない。もちろん、国際交流や産官学連携に
ついては、個々の大学人や専門分野ごとに既にある程度の実績があり、そうした諸分
野で積み上げられてきた実積及ぴ課題に関しては、「総合的な窓ロ」とのネットワー
ク化を前提に今後とも継続的な検討が期待される。

教育研究部会の教育検討作業部会及ぴ研究検討作業部会報告は、大学院研究科を含む
教育研究組織の適正化と再編の必要を指摘しているが、再編の具体案にまでは踏み込
んでいない。具体的な再編構想は、各部局及ぴ部局問での協議を含む慎重な検討が必
要である。


また、教育検討作業部会は、学部の枠を取り払った学士課程一貫教育の提案を行った
が、その具体的な力リキュラム、コース及ぴ教育組織の在り方、入試の具体的な方法
などについては触れていない。これらについては、細部の検討以前に「学士課程一貫
教育」の是非について、各部局の意向を踏まえた全学的な検討が成されなくてはなら
ない。ただし、「学士課程一貫教育」の是非を巡る議論とは別に、現在の学士課程の
授業科目を共通化するという問題は検討可能であろう。場合によっては、そうした
「各論」の具体的検討を先行させながら、学士課程の統合という「総論」の展望を段
階的に切り開くことも選択肢の一つと考えられる。

研究検討作業部会報告は、創成科学研究機構設立の提案を行っている。この研究機構
は、理工系、生命系、情報系だけでなく、人文・社会科学系を視野に入れた構想になっ
ているが、人文・社会科学系から見ると、やはり「理系」的な発想に立つものに見え
るかもしれない。創成科学研究機構設立を含む研究の高度化促進策全体の中で、人文・
社会科学分野の位置付けは、なお今後の課題である。また、ここで示された構想と既
存の研究所、研究センターなどとの関係も今後の検討に残されている。

大学運営部会は、与えられた検討課題のうち、「総長補佐機能の充実」に絞って報告
書を作成した。この報告は、「大学の一体的運営」という検討課題にも部分的に回答
するものである。しかし、大学全体の意思決定や運営という問題は、「部局自治の原
則」と「効率的運営の要請」との間でどのようなバランスを見出すのかという、大学
の本質に関わる大きな問題である。評議会、部局長会議、部局教授会等、それ以外の
附属図警館を含む様々な教育研究施設及ぴ事務局などそれぞれの在り方と、相互の関
係を詳細に検討する必要がある。また、これらの問題は、「国立大学法人化」を巡る
議論とも連動している。これらの問題は、「大学の財政」、「技術支援職員」等の課
題とともに、「法人化」問題の推移を見ながら、また、本学の教育と研究の在り方を
巡る今後の議論と連動させながら、今後も全学的な検討が継統されるべきである。
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付属資料
(以下 p8〜49 略)
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