Subject: 評議会への要望 To: hu-members 北海道大学評議員 各位 先日の質問状に対して、中村学長から法人化問題に関する考えや意見は部局 長会議及び評議会の場で述べてその場で議論を行いながら対応するとのご返事 をいただきまた。そこで以下の点を評議会の責任で明確にしてくださいますよ うお願い致します。 (1)「法人化準備委員会」は仕事が無駄になる可能性もあることを明確に。 (2)北海道での国立大学再編・統合について、評議会で議論してほしい。 (3)「トップ30」政策に対し大学としての方針を議論してほしい。 (4)評議会の議事録を作成し学内で公表てほしい。 北大ネットワーク会員 辻下 徹 内線3823 ーーーーーーーーーーー 補足説明: (1)「法人化準備委員会」は仕事が無駄になる可能性もあることを明確に。 補足:国立大学法人化については、法案大綱もまだできておらず、それどころ か調査検討会議の最終報告の内容も未定で具体的内容がまだ動いており国立大 学協会すら態度を保留している中で、法人化の具体的準備のための組織を正式 に発足させる、というのは異様です。どういう法人化でも(国家機関でなくな ることに伴って)共通して必要となる事務機構の構造変更の準備に限定するも のであり、見切り発車ではないという点を評議会で明確に確認し、学内外に徹 底して頂きたいと思います。法人化が行われない場合には無駄になるかもしれ ないことについて、評議会は全学に理解を求める必要があるはずです。 (2)北海道での国立大学再編・統合について、評議会で議論してほしい。 補足:大学構造改革(遠山プラン)の「再編・統合方針」は高等教育予算の縮 小を招くことは不可避ですから、日頃、高等教育予算の拡大を主張してきた国 立大学協会が批判もせず、個々の大学の再編再編・統合の際の指針となる資料 「国立大学の再編・統合について」(*1)を用意して、実質上多数の大学に 引導を渡したことは新たなモラルハザードと思われます。これまでの「高等教 育予算の拡大」とは単に「自分の大学の予算を増やせ」を総和しただけの主張 でしかなかったことにならないでしょうか。そして高等教育予算が激減するこ とも意に介さない国立大学協会の姿勢は、国立大学協会が実は「旧7帝大+α」 の利益代表にすぎないことを証明するものではないでしょうか。 しかし「旧7帝大+α」に属する者にとっても高等教育予算総額の激減は対岸 の火事ではないはずです。底辺が縮小すれば高さも縮小するのは自明なことで す。モラルハザードは必ず自分にも跳ね返ってくるのは古今東西の常です。 北海道のように大学間距離が大きい地域での大学の統廃合は、ある地域から大 学が撤退することで終わる危険性があります。それについて北大は意見を表明 する必要はないのでしょうか。少なくとも北海道では再編・統合は積極的な意 義を持てないということを強調すべきなのではないでしょうか。今まで、道内 の大学は、法人化問題では北大に一任してきた、と聞いたことがあります。道 内の学長が集って意見交換をする場を設けることは最低限必要ではないのでしょ うか。それは「北大帝国主義」ではなく、北海道で唯一の総合大学である北大 として当然の役割なのではないでしょうか。中村学長の不干渉の意思は固い、 と聞いていますが、評議会自身が北海道全体の高等教育を視野に入れた議論を 行い適切な関与の仕方(北海道地区学長会議としての意見表明など)があると 判断した場合には、学長に働き掛ける必要があるのではないでしょうか。 (*1)http://www.kokudaikyo.gr.jp/katsudo/data_soukai/pdf_13_10_29/6.pdf (3)「トップ30」政策に対し大学としての方針を議論してほしい。 説明:大学構造改革は「高等教育予算拡大」を問題外とする姿勢を大学行政が 明確にしたもので、総額を減らした上で一部の重点化大学には更に予算を増や す、という財政「効率化」の論理が一貫しています。しかも、トップ30は、 大学同士の競争どころか、大学内での専攻同志の競争(テニス選手とサッカー 選手の競争)や、同分野で種々の大学の専攻が競争する、という悲しい状況を 引き起こします。学術研究の多くは、大学を超えた研究グループで担われてい ることを私たちは知っているのではないでしょうか。それにも係わらず、日本 の学術研究を支えている、この協力体制を根本から突き崩してしまうようなト ップ30を無批判に受け入れるのは残念なことです。 また、全学問を以下のように、それぞれ多種多様な学問が属する10の分野に 分け、それぞれの中でトップ30を決めるーーー余りに粗暴で見識に欠ける学 術行政ではないでしょうか。どうして大学に居る者は批判しないのでしょうか。 生命科学(バイオサイエンス、生物学、医用工学・生体工学、農学、薬学等) 医学系(医学、歯学、看護学、保健学等) 数学、物理学(数学、物理学等) 化学、地球科学(化学、地球科学等) 情報・電気・電子(情報科学、電気通信工学等) 機械・材料(機械工学、システム工学、材料科学、金属工学、繊維工学等) 土木・建築、その他工学(土木工学、建築工学、プロセス工学等) 人文科学(文学、史学、哲学、心理学、教育学、演劇、語学、芸術等) 社会科学(法学、政治学、経済学、社会学、総合政策等) 学際・その他(環境科学、生活科学、エネルギー科学、国際関係等) しかし、個々の専攻にとり年間1〜2億という額は魅力があるものですし、そ れ以上にトップ30に漏れることへの恐怖感に駆られているはずです。本来な らば学長のリーダーシップで北大はこれには参加しないと言っていただきたい のですが、すでに朝日新聞のアンケートで賛成意見を述べられているので、評 議会できちんと議論して、トップ30を吟味し問題点をきちんと指摘するよう にして頂きたい、と思います。そのことは、詳細がまだ決まっていない政策に 影響を与えることができるでしょうし、国会審議でも参考にされるはずだと思 います。 (4)評議会の議事録を作成し学内で公表てほしい。 説明:現在の「議事録」は、議事録ではなく、単に項目が羅列してあるだけの ものです。どういう議論があったか全くわからないものを議事録とは言いませ ん。5〜6月の法人化問題WGの議事録のように、テープ起こしをし、発言者 の名前を記した議事録を作成してください。評議会は密談を行う場ではなく全 学を代表するものが集う最高審議機関なのですから、こういった議事録を作成 するのは評議会が果たすべき最低限のアカウンタビリティではないでしょうか。 |