〔日時〕平成13年3月28日(水)10:00〜12:07 〔場所〕事務局特別会議室 〔出席者〕井上座長,藤田副座長,中村幹事,瀧川委員,畠山委員,内田委員,長田委員, 太田原委員,加藤委員,下澤委員,吉田委員,常本委員,若松委員 計13名 〔欠席者〕徳永委員,佐伯委員,逸見委員,宮脇委員,岸浪委員 計5名 〔列席者〕岩瀬総務部長,関谷企画室長,山下広報室長,下山専門員,萩原専門職員, 及川主任,山田人事課専門員,脇坂主計課課長補佐 計8名 【議事内容等】 ■議事1 委員の確認,座長・副座長の選出,幹事の指名・ 法人化問題検討WGの構成員を別紙資料1のとおり確認した。 WGの座長に井上芳郎医学研究科長(次期副学長),副座長に藤田正一獣医 学研究斜長(次期副学長)を選出した。また,幹事に,中村研一法学部教授 (元法学部長)を指名した。. ■議事2 設置の経緯と目的 井上座長より,本WGが設置された経緯が下記のように報告された, (1)1999年(平成11年)7月2日ュ開催の評議会において,「独立行政法人化 に関する検討WG」が設置され,同WGが同年8月19日に「中間まとめ」,2000年 (平成12牛)1月11日には「中間まとめ2」を全学に提示した。 (2)2001年1月より3月初頭にかけて,国立大学協会,全国の各国立大学,文 部科・学省調査検討会議などにおいて,法人化に関する動きがあり,また近々 に状況の展開が予想された。そのため,「独立行政法人化に関する検討WG」の 第14回(200 1年2月28日)および第15回(2001年3月12日)では,あらたに次 期総長候補者および次期副学長候補者を加えて検討を行なった。そして,そこ で下記の状況にあることが明らかになつた。 1)国立大学の法人化に関する「基本的枠組み」が,文部科学省により5月以降 に提示される可能性がある。 2)文部科学省,および文部科学省の調査検討会議等において,国立大学の法 人化の枠組み作りや国立大学法人法の立法の準備作業が進捗している。また文 部科学省調査検討会議の「中間報告」が夏休み明けに出される見通しである。 3)多くの国立大学,国立大学協会,文部科学省調査検討会議などにおける議 論が進んだ結果,かりに国立大学が法人化するとした場合,国立大学法人の制 度枠組みの大筋がほぼ明らかになり,また,検討課題や論点が明らかになりつ つある。 4)他大学などより,北海道大学として意見を求められている。 「独立行政法人に関する検討WG」は,このような状況認識のもとに,もしも国 立大学が法人化された場合,どのような制度が望ましいかなどに関する踏み込 んだ検討が不可欠であるとの結論を得た。 そこで,2001年3月21日開催の評議会は,独立行政法人に関する情報収集と事 前分析を主な任務としていた「独立行行政人化に関する検討WG」を廃止し,同 時に評議会の下に,本WGを設置することとした。 井上座長より,本WGの設置目的は下記のとおりであると確認がなされた。 (1)法人化する場合,国立大学および本学の設置形態の基本的な在り方の検討 (2)その場合の本学の機能,人事制度,財務会計などに関する基本的な考え方の検討 (3)その場合の法人の基本,目標と計画,人事制度,財務会計などの制度設計の検討 ■議事3 日程予定 井上座長より,国立大学の法人化に関する全国レベルの検討は急速に進展して おり,また丹保総長は,本WGが「3月中に検討を閉始し」,「5月上旬には「中 間報告」を行なうよう」求めている。そのため,下記のような日程で,集中的 な検討を行ないたいとの提案があり,意義なく了承された。 記 第1回3月28日(水) 第2回4月6日(金) 第3回4月11日(水) 第4回4月18日(水) 第5回4月25日(水) 第6回5月2日(水)(予定) 第7回5月9日(水)(予定) ■議題4 国立大学の法人化の検討状況 井上座長より,具体的内容を検討する前提として,国立大学の法人化に関する 検討状祝について,中村研一幹事より報告を受け,それに基づき議論したいと の提案があり,中村幹事より別紙資料2等に基づき下記のような報告があった。 (別紙資料2) ■議題5 法人化に伴う問題点 井上座長より,法人化の内容を検討するために,法人,法人化などが何を意味 するか,またそこにどのような問題点があるか,について,畠山武道委員より 報告を受け,それに基づき議論したいとの提案があり,畠山委員より別紙質科 3に基づき報告があった。 (別紙資料3) ■議題6 憲法上の「大学の自治」につい 井上座長より,法人化を検討する際,最も重要な価値となる「大学の自治」に ついて,その憲法上の意味を常本照樹委員より報告を受け,それに基づき議論 したいとの提案があり,常本委員より別紙資科4に基づき報告があった。 (別紙資料4) ■議題7 次回の検討課題について 井上座長より,本WGの第2回を4月6日(金)に開催し,そこでは「法人の基本」 について検討することとしたい旨提案がなされ,異議なく了承された。 ■議題8 議事要旨の公開について 井上座長より,本WGの検討内容を全学にお伝えするため,本WGの議事要旨をま とめ各部局等に配布したいとの提案がなされ,異議なく了承された。 主な討議は以下のとおり。 1.国立大学法人の理念・目的など ○[1-0]別紙資料3の(16)にあったように,私立大学の法人形態とは明確に異 なる国立大学の法人化め理念と制度設計が重要である。その場合,私大の理念 は,「学問の自由」の原則から,ある分野に特化したり,「建学の精神」に則っ て,個性的かつ偏った教育・研究を追求しうるのに対し,国立大学の場合,偏 らない体系的な教育・研究をするということが理念になるのではないか。 ○[1-1]「私学化・民営化すべきてない」というのは,本学・文部科学省・国 立大学関係者のコンセンサスであろう。また世論の一部にある「(国立大学を) 私学化・民営化してしまえ」という声に押しながされないよう,留意する必要 がある。とすると,国の附属機関から離れるにしても,国が設置した国立大学 という形態のなかで,自由化の要求は野放しに行えないことになる。国の附属 機関と私学化の中間に制度設計する必要があるのではないか。 ○[1-2]大学に対し,存在理由や理念を打ち出すことが求められ,本学でも諸 委員会等で本学の理念・存在理由を検討しようとしている。 ○[1-3]社会的には,各大学の「個性」が強調されるような風潮にあるが,そ れと「偏らず,体系的」ということとの関係が矛盾するようにも聞こえる。 ○[1-4]大学の理念・存在理由を論じるる際,1)(私大・公立大を含む)大学 一般,2)国立大学,3)北大の3つのレベルを意識的に区分し,バランスさせ て論じる必要はないか。1)では,高等教育,学術,科学研究,文化の基盤・ セーフティーネット,2)では私大の自由な判断に委ねられない分野をカバー し,同時に国立大学全体として全分野を教育研究すること,3)北大では基幹 総合大学と他の主要大学に対する個性など,ではないか。 2 国立大学法人の自由について ○[1-5]「学問の自由」に関する報告がなされた意味は? ○[1-6]様々な文脈から「大学の自治」が論じられ,用語に混乱があるので, 憲法上の「学問の自由」と「大学の自治」についてバックグラウンドの情報提 供を行なった。 ○[1-7]財政上国の税金に依存する状態を続けながら,「研究の自由」などを 確保しつつ,同時に経営事項などの権限を国から国立大学法人に委譲させると いうのは矛盾はないのか。 ○[1-8]9国か委譲される経営事項の権限内容は,少子化,財政難などの負の 処理が必要になり,国立大学自身以外には判新しようがなくなったという面も あろう。 ○[1-9]国税を使う以上,その点の評価を受けるのは当然だが,その金の使い 方の面と教育研究を切り離し,金の使い方のみに焦点を当てた評価は一体可能 なのだろうか。 ○[1-10]調査検討会議の目標評価専門委による「作業文書」の一つは,教学は 大学の理念・長期計画にそって評価し,経営の効率などを独行政法人通則法の いう評価にかかる作りにしようとしている。ただし,これが調査検討会議のコ ンセンサスをえられるかどうか・は不明である。 ○[1-11]経営と教学の峻別は実際上可能なのか,疑問がある。 ○[1-12]調査検討会議の組織業務専門委の作業委は,「教学と経営の一致」原 則に基づく運営体制を提案し,他方で目標評価専門委の作業委は,「教学と経 営の峻別」を原則とした評価モデルを提案している。このような矛盾があり, あまり原則的につきつめるのは得策とはいえない。 ○[1-13]「学問の自由」について「研究内容と方法の自由」と「教官人事」は 譲り得ない原則となろう。しかし1)金の使い勝手の自由,2)組織的変更の自 由,3)運営体制の枠組みの3つの自由の間にはトレード・オフがあるという意 見である。1)2)3)のうち,いくつかの自由度を大きくしようとすると,他 の自由度は制約されることが考えられ,複数の自由のうち何が最適の自由度の 組合せかという点を踏まえ,制度設計する必要がある,と判断する。 3 独立行政法人通則法と国立大学法人法の関係 ○[1-14] 2OO1年4月に独立行政法人に移行する機関の個別法は,せいぜい名 前を付けるくらいの貧弱な法律であるが,国立大学法人法に関しては,そのよ うな独立行政法人通則法に付従する法律とは異なる性格の法律を追求するとい う趣旨と理解していいか。 ○[1-15]調査検討会議の専門委の「作業委など」において,立法を準備されて いる先生方は,「独立行政法人通則法に附従した個別法ではだめてあり,国立 大学にふさわしい内容を盛り込む」という点では,一致している。 ○[1-16]独文行政法人通則法が国立大学に強制的に適用されることを危惧する。 ○[1-17]独立行政法人通則法を国立大学にそのまま適用するのは,○を△に入 れろというに等しい。その問題点は,すでに「独立行政法人化に関する検討WG」 で検討され,別紙資科3の(17)に述べた5点として留意されている。そして, 「われわれが考える法人化の方向に合致するならそれに賛成し,そうでないな ら,それに反対ないし批判を加えることによって,できるかぎりわれわれの意 図する改革の方向に近付ける」という立場に立って,検討を進めたいと考える。 ○[1-18]調査検討会議の組織業務専門委の2001年1月9日の作業文書では,次の ように整理されている。まず,「国立大学法人法は独立行政法人通則法とは無 関係」,「国立大学は国の付属機関として存続する」,「国立大学法人法をこ れまでの個別法と同様とする」という意見はいずれも少数意見とされている。 そして,多数意見は,「国立大学法人は独立行政法人の特例とする。法的には 国立大学法人法を通則法の特例法とする。あるいは国立大学法人特例法を作る。」, 「国立大学法人を,法律に基づき自治権を有するところの、独立行政法人の特 例とする。国立大学法人法の一つの条文に特例法であることをふれる。」とい う両論が並記され,その間では決着はつい下いない。しかし,多くの意見のい ずれも国立大学法人法を特例法とするという方向,と理解できる。国立大学法 人法が,具体的に国立大学にふさわしい規定を必要十分に盛り込むことができ るならば,独立行政法人通則法の規範力は国立大学に関しては変わるものと理 解している。 ○[1-19]文部科学省の立場は,当時の文部省高官の言葉に要約される。1)国 立大学法人法に,国立大学にとって必要な内容を盛り込み,そのように運用す る。2)その国立大学法人法は,独立行政法人通則法の枠内か枠外かという神 学論争を続けろ必然性はない。3)総務省には国立大学は独立行政法人と言わ れ,国立大学の人々には独立合成法人ではないと言われるが,それを決着させ る実益はない。 ○[1-20]総務省高官(行革担当)は,1)独立行政法人通則法は国立大学を想 定して立法したものでない,2)中期目標・中期計画という形を守ってくれれ ば、他は国立大学の特性による運営体制に異を唱えない,という趣旨の発言を している。 ○[1-21]ではなぜ,独立行政法人通則法にこだわるのか。 ○[1-22]国の附属機関と私立大学という2つの制度の中間には,(特殊法人, NHK,放送大学などはあることはあるが,独立行政法人という形態以外)国立 大学にとって使えるような法人の形態がなかったということではないか。 ○[1-23]特例法の意味について,教育公務員特例法は国家公務員法の特例法だ が,たとえば大学教官の兼業の規定には,明らかに国家公務員法に反する規定 が含まれる。(青天井で議論していただく方が望ましいのであるが)ただし, 特例法である以上,青天井というわけにはいかない。 4 一大学一法人について ○[1-24]初回なのであえて提起するが将来のことを考えると「一大学法人」で よろしいか。 ○[1-25]多くの論点を含む問題であり,それらを勘案すると「長尾試案」B版 (2O01年1月24日)の「原則として大学ごとに法人格を与える」という表現が, 現時点で最適な表現であるという意見を持っている。この表現は、1)現時点 で,国立大学が「一大学一法人」の形で法人に移行するという希望を肯定する 政策判断を含んでいる。2)しかし,それは国立大学自身による統廃合の可能 性(九大と九州芸術工科大,筑波大と図書館情報大,山梨大と山梨医大など) を否定はしていない。町大臣は国会答弁で「教員養成系などて,国立大学の統 廃合を進める.」という趣旨の発言をしている。3)「原則として」という言 葉で,将来の多様な形態を含む表現をとっている。現在の政策判断のみから, 将来の法人単位を規定するのは不適切であろう。なぜなら本学を含め,好むと 好まざるにかかわらず,大学の統廃合や分離などに直面する可能性は否定しえ ず,その場合,制度的な柔軟性を確保した方が望ましいからである。 (以上) |