==> 法人化問題検討WG
北大法人化問題検討WG第一回別紙資料

法人化に伴う問題(検討メモ)


  1                                                   別紙資料3
  2 法人化に伴う問題(検討メモ)
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  4                               畠山作成(01年3月28日)
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  6 ●法人になると、何が変わるか
  7 ・法人格の取得
  8 ・法律上の権利義務の主体となることを認められる(権利能力)
  9 ・自然人、法人(株式会杜、合名合資会杜、有限会杜)
 10 ・財団法人・社団法人
 11 ・公杜・公団・特殊法人
 12 ・国、地方公共団体、組合
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 14 ●権利能力の意味
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 16 ・北海道大学の名前で、契約の締結、財産の取得、金銭の借り入れ、相続、贈与の受け取
 17 り(受贈)、税金の納付などを行う
 18 ・継続企業原則一杜長が替わっても、会社は残る。会社は永遠という前提.
 19 ・人格なき杜園一団体に人格は認められず、代表者が契約締結(預金口座開設)
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 21 ●法人が、自然人と同様の権利を取得できる根拠
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 23 ・法人格を付与するための法律の根拠が必要
 24 ・一般の法人一民法・商法に基づき設立(具体的内容は定款で定まる)
 25 ・社団法人・財団法人、NP0法人一知事・所轄大臣の認可
 26 ・公杜・公団・特殊法人一法律の規走により設立
 27 ・大学法人一独立行政法人通則法、国立大学行政法人法など
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 29 ●法人になると、自由度が増すか.
 30 ・一般の民法上の法人 一 民法、商法に反しないかぎり全く自由
 31 ・社団法人・財団法人、NPO法人 ー 知事・所轄大臣の指示・監督あり
 32 ・公社・公団・特殊法人 一 法律で制限、達反に対しては監督官庁の指示・命令.
 33 ・大学法人 一 独立行政法人通則法、国立大学青政法人法などの定め、監督官庁の指示
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 35 ●従って、具体的に何ができるかは、法律の規定で決まる
 36 ・たとえば、公社・公団、独立の法人格をもっが、道路公団、水資源公園などは、監督官
 37 庁に人事・指揮命令、予算をすべて握られており、実質は国土交通省の指示・命令どおり
 38 に働く下請け機関にすぎない(予算執行、契約締結、金銭管理、人事などで自由がきく)。
 39 ・したがって、法人格を取得すると、それだけで自由度が増すというの誤解
 40 ・すべて法律の作り次第による(独立行政法人通則法、国立大学行政法人法など)。
 41 ・国大協の議論も、法人格を取得すると自由になるというのではなく:法人格を取得する
 42 機会を利用して、今より自由度を増やそうという考え。
 43 ・逆にいうと、自由度が増さないような法人化では意味がない。
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 45 ●行政機関と法人の達い
 46 ・法人格を有する公的な団体
 47 ・国、地方公共団体(都道府県市町村)(組合、会社・公団をさしあたり除外)
 48 ・国、地方公共団体は法人格をもつので、契約の締結、財産の貸付・取得、銀行からの借
 49 り入れ、民事訴訟の提起などが、普通の人(自然人)と同しように自由にできる
 50 ・権利義務は、すべて国、地方公共囲体に帰属する。
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 52 ●行政機関
 53 ・公務員は、国・地方公共団体に契約で雇われ、行政組織に配属される.
 54 ・行政組織は、法律で与えられた権限を行使するための組織で、契約を締結したり、財産
 55 を取得したりすることはできない.
 56 ・個々の公務員のした行為は、機関の長のした行為とされる.
 57 ・現在の北大総長ば行政機関の一部であり、契約を締結したり、金銭を支払ったりするこ
 58 とはできない。
 59 ・契約締結、物品購入代金の支払いなどは、国およびその委任をうけた出納官である。
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 61 ※北海道知事・堀達也
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 63 	行政組織・行政機関の長は知事であり、その地位に堀さんがいる
 64 	北海道という法人の代表が、知事である掘さんである
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 66 ・たとえば、国家暗償請求は、民事上の請求なので、法律上の人格を有する者を被告とし
 67 なければならない。そこで、大学内で事故があり、裁判を提起された場合、現在は国(法
 68 人格あり)が被告となり、法務省訟務部検事が国の代理人となる。大学が独立法人になる
 69 と、大学が被告となる。
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 71 ・様々の民事上の法律関係は、基本的に私立大学(法人)の場合と同じになる。
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 73 ●独立行政法人の意味
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 75 ・中央省庁等改革基本法36条一41条に骨格規定あり
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 77 36条 独立行政法人の意義
 78 37条 法令による規律(法律で、漁海、範囲等を明確に定める)一
 79 38条 運営の基本(中期目標、中期計画、年度計画、企業会計原則、法人の存廃等)
 80 39条 評価委員会
 81 40条 職員の身分
 82 41条 労働関係への配慮
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 84 ・これらは基本法で定められた骨格規定であり、独立行政法人を名のる場合、これらの用
 85 件(構造)を変更することはできないだろう。
 86 中期目標、中期計画、年度計画、企業会計原則、運営費の交付、評価、法人の存廃等
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 88 ・中央省庁等改革の推進に関する方針
 89 別紙資料参照.(略)
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 91 ●独立行政法人通則法の性質
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 93 ・独立行政法人として国立大学が法人化される場合、改革基本法で示された骨格をはずす
 94 ことはできないだろう。
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 96 ・また、通則法をうけた個別法は、通則法により「個別法で定める」「個別法で定めると
 97 ころにより」とされた事項について定めるだけであって、それ以外の事項を個別法で定め
 98 ることはできない(難しい)と考えるのが普通。
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100 ・これまで制定された個別法は条文も少なく、大部分が通則法に定められているものを援
101 用している。
102 
103 ・個別法で通則法に低触する事項や、通則法と異なる事項を定めた例はくこれまで見あた
104 らない。
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106 ・通則法をうけた個別法の中で、大学の特徴を配慮した例外規定・特別規定を設けるのは
107 きわめて難しいと考えるのが常識的。
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109 ・国立大学を通則法による独立行政法人とは別種の公法人とし、そのために個別法とは別
110 の法律(国立大学法人法)を制定する
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112 ●独立行政法人通則法の定める設置手続
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114 主務大臣による法人の長および監事の任命→設立委員会の設置→設立委員会による準備の
115 完了→法人の長への引き継ぎ→登記
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117 ●独立行政法人の組織形態
118 ・法人の長(名称は個別法で定める)
119 ・監事(業務の監査。定数は個別法で定める)
120 ・他の役員(職務、権限、定数、任期は個別法で定める)
121 ・職員(法人の長が任命)
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123 ○問題(法人の設立に関する問題)
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125 ●「国一法人一大学」の三者関係の整理(どの程度重要な論点なのかは疑問)
126 ・国と法人との関係(独立法人法のライン)
127 ・国と大学との関係(学校教育法のライン。設置者管理主義、設置者負担主義)
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129 ○直接設置方式
130 ・a方式=国が法律により学校教育法上の大学を設置し、同時に法人となる。
131 ・b方式=国が大学法人を設立し、それが学校教育上の大学として扱われる。
132 ・両者の達いが、いまひとつ不明
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134 ○間接方式(私立大学方式)
135 国は大学法人を設立し、大学法人が学校教育法上の大学を設置する
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137 ○直接方式の長所
138 ・現行法の仕組みに近い(既にある大学に法人格を与えるだけ)
139 ・現行の仕組みを大幅に変えない.
140 ・経営と教学の一致を維持できる。
141 ・国が大学を設置する点では現行と変わらないが、法人格を付与することで法的な存在を
142 改めて認知することになる。
143 ・国が大学を設置するのであるから、設置者管理主義、設置者負担主義により、国が経費
144 を当然に負担することになる。
145 ・まず大学があり、それに法人格を付与するのであるから、法人格を承認する際に、通則
146 法の適用される独立行政法人とすることも、別個の法律による「公法人」とすることも司
147 能。
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149 ○直接方式の短所
150 ・新たに法人を作りながら、法人ではなく国が大学の設置者となる理由の説明が困難
151 ・国のコントロールを排除しにくい(各種の天下り公団と同し)
152 ・法律の作りで、大学=法人の基本骨格が定まる(自由になるのは、名称位)
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154 ○問接方式の長所
155 ・国は法人を設立するだけであるから、直接の干渉を排除できる。
156 ・どういう作りの大学にするかは、法人の判断するところとなる
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158 ○問接方式の短所
159 ・国の設置する大学ではないので、国費負担の根拠を説明できない(私大と同し扱い)
160 ・法人は、国から金をもらい、それで大学を作ることになる。
161 ・法人からの干渉が高まる。
162 ・法人の長と大学の長の分離、経営と教学も分離(分離型)の論拠になりやすい。
163 (法人の長は民間人、大学の長は大学人)
164 ・法人が設置する大学を学校教育法に基づき文部科学省が認可することになるので、結局
165 のところ、コントロールが可能
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168 ●法人と大学の関係(経営責任者と教学責任看の関係)
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170 ○一致方式
171 ・法入=大学とし、法人の長が学長になる。
172 ・現行方式になじむ
173 ・文部科学省の想定する方式か。
174 
175 ○分離方式
176 ・経営責任者と教学責任者を分離
177 ・独立行政法人法の考えに近い
178 ・学長が両方を兼任することも可能であるが、たまたま兼任しているにすぎない
179 ・兼任できるからどちらでもよいというのてはなく、理念的には明確にすべき。
180 ・ただし、法律で必ず両者を兼ねると定めることは可能。
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182 ●法人組織と大学組織の調整(当てはめ)
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184 ○法人組織に設置を義務づけられた機関と現在の大学に設置された機関(設置を義務づけ
185 られた機関)をどのように調整しつつ、研究教育の自由を最大限に確保するのか。
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187 法人組織	          | 学校教育法(の一部改正法)の定める組織
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189 理事長(法人の長)	      |   →学長
190 理事(実際の運営責任)	  |   →副学長(総長補佐)
191                   	      |   →部局の長
192 	                            |
193 監事(業務の監査)	      |   →監事は新たな設置が必要
194                                 |
195 (以上、通則法が定める役員)    |       ←運営諮問会議
196                                 |
197 職員	          |   →教員・事務職員
198                                 |
199 --------------------------------|                                         -
200 一般の行政法人にみられる形態    |	
201                                 |
202  理事会(執行部にあたる機関)  |   →部局長会議(法律の規定なし〉
203  評議員会(外部委員も加わった  |   →評議会(大学運営の重要事項を審議)
204       最高意思決定機関)  |
205                                 |
206  監事・監査役          |  →教授会(学部の教育研究を事項を審議)
207                                 |
208                 |	   事務局長
209                 |	   事務長
210                 |	   事務職員