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北大法人化問題検討WG第2回議事要録

法人の基本運営原則
第2回法人化問題検討WG議事要旨

〔日時〕平成13年4月6日(金)10:00〜12:00

〔場所〕事務局特別会議室〔出席者〕井上座長,藤田副座長,中村幹事,徳永
委員,瀧川委員,畠山委員,内田委員,長困委員,佐伯委員,太田原委員,下
澤委員,逸見委員,常本委員,岸浪委員,官脇委員,若松委員計16名〔欠席者〕
加藤委員,吉田委員計2名

●〔列席者〕岩瀬総務部長,山下企画室長,下山専門員,萩原専門職員,多谷
専門職員,及川主任,冨野人事課課長補佐,片桐同課謀長補佐,山日同裸専門
員,及川主計課長・・計10名

●【議事内容等】

議事に先立ち,井上座長より.すでに配布している前回(H13.3.28)の議事
要旨について,一部訂正を行った上で内容の確認を行った。

引き続き,中村幹事より当日配布した資料の説明があり,議事に入った。

■議事1 法人の基本

井上座長より,次のような発言があった。

前回の会議で本日議論することになった「法人の基本」について検討したい。

法人の基本をどのように考えるのか,これは今後の大学のあり方に関わる要素
であり,その出発点は,前回に続き資料として配布した長尾試案〔B〕である。
本日はこれを中心に議論していきたい。

第一に,法人の単位について,「一大学一法人」と言ってしまうのか,それと
もr原則として」という文言を付加える方がよいのかについて検討したい。

これについては、まず国立大学にとってどのような形であるのがよいのかを検
討し,その上で,北海道大学としてはどうあるべきであるのかということを検
討したい。

また,資料にもあるとおり国立大学であるという運営上の特性,体制がいかに
あるべきか,これは本学についても同じだとは思うが,私立大学とは違うとい
うことをはっきり護わなけれぱならないごと。

第二には,責任ある運営体制についてであるが,資料にも経営と教学を一体化
させた運営形態が示されているが,分離する方がいいという考えもあるだろう。

次に主務官庁でもある文部科学省との関係をどうするか,また,社会に開かれ
たという意味で運営体制をどうするか。

法人の運営組織の中にどの程度外部の声を入れるかがこれからの議論になると
思われる。そのような方向性で,中村幹事から説明をお願いしたい。

◎中村幹事の説明.

中村幹事より,別添資料【法人の基本1の『1法人の単位について』に基づき説
明が行われた。

引き続き議論が行われ.議論の概要は次のとおり。

○[2-1]道内の学長懇談会では,法人の単位の議論はされていないか。また,
聞くところによると,一部に「一大学一法人」などの意識があるようだが,詳
しいことは分からないか。

○[2-2]道内の学長懇談会では,「法人の単位」について議論されたとは聞い
ていない。

○[2-3]例えば,カリフオルニア大学システムをイメージすると,「複数大学
一法人」はあり得るという考えになる。そこで,「当面」という言葉を付ける
ことは,「一法人複数大学」というような形態を許容しうるというふうに取ら
れかねない。そうなると教学と経営を分離した私立大学方式に道を開く口実を
提供することになるのではないか。

○[2-4]この「当面」は,総長が設置形態検討特別委員会で使われた言葉をそ
のまま使ったものであり,それ以上の意味はない。

○[2-5]「一法人複数大学」を含意すると敵をつくるという攻治判断と望まし
い設置形態に関する制度論を区別すべきである。

○[2-6]法人化する前に大学が合併し,そこを法人化するとしても,それはや
はり「一大学一法人」である。国立大学の合併論を意識したとしても,できあ
がるのは「一大学一法人」に代わりはない。どうしてあえて「当面」を付加す
るのか。

○[2-7]「原則として」というのは,幅は広いかもしれないが,論理的には
「一大学複数法人」ということも考えられる。

○[2-8]「一大学複数法人」ということになれぱ,大学の長=法人の長とは必
ずしも一致しない。

○[2-9]一個が非常に大きく,また,一個が必ずしもそうではないというよう
なことがあり得る。また,統合だでけでなく分離ということもあり得る。

○[2-10]もともと文部省は「一大学一法人」と言っているところを国大協側で
「当面」という言葉を付けたことに危惧している。

○[2-11]幹事が「検討の方法」で述べた「当面」を取り下げたうえで検討を続
けたい。

ただし,制度が確定するまでに不確定要素があり,さらに我々が想定し得ない
事態が,2004年以降に発生するかもしれない。その時の制度的柔軟性をいま固
定することはできないので「原則として」は残したい。

○[2-12]どういう事態を想定するかであるが,農水省の例では,9つの農業試
験場を9法人9農試とするのか,1法人9農試にするかでもめた経緯がある。北海
道農試は1法人1農試を主張したが,結局は1法人9農試となった。しかし後になっ
て法人として今強化すべき試験場はここである,と判断がなされ,人がそちら
に持っていかれたということがある。

○[2-13]その種の構想はまず無いだろう。今日ある大学の形態がそのままにな
るだろう。

○[2-14]現時点で想定し得る例外があるとすると医短のようなケースもしくは
遠隔地に分校があるような場合だろう,大学としての独立をもったまま法人と
して吸収されても良いなどというの事態が出てこないとも限らない。

○[2-15]基本として経営と教学を一体にしようと大学側は考えているのだから,
そこは「一大学一法人」としていかないと,「一法人複数大学」という形があ
り得るということになる。経営と教学の分離が想定されるような言葉を入れる
ことは問題になるのではないか。

○[2-16]その攻治判断には同意するが,制度論としては,例えば法人としての
登記が北海道に限定される場合,経営と教学の一体のもとに,東京などに何か
別なものをつくることができないかも関連する。

○[2-17]その様なケースは,従たる事務所として処理できるのではないか。

○[2-18]「一大学一法人」とした場合は,現在の北大と医短のようなケースは
どうなるのか。

○[2-19]現状は「一大学一法人」ではないことに同意する。

○[2-20]何かの目的があって合併したり分離したりするのであり,「教学」と
「経営」を一体としなければ大学としての機能を反映できないというのであれ
ば,合併するときにはそれなりの理由があって合併するのではないか。

○[2-21]「一法人一大学」でスムーズに合併・分離が行われる場合だけではな
いのではないか。

○[2-22]国立大学法人法が決まった後で様々な形態の合併や分離が行われる可
能性がある。

井上座長より,対立する論点もあろと思われるが,制度論ではなく,このWGの
立場としては.「一大学一法人で検討する」旨提案があり,異議なく了承され
た。

■議事2 運営原則

井上座長より,大学の特性に関して中村幹事より説明願いたい旨発言があり,
引き続き同幹事より次のような説明が行われた。

◎中村幹事の説明

中村幹事より,別添資料【法人の基本】の『2 運営体制の原則』,『3「法人
化によって大学の自由が失われるのではないか」という危倶について』,『4
 大学の責任ある運営体制について』及び『4「教学と経営の一体化」か「教学
と経営の分離」かの選択』に基づき説明が行われた。引き続き議論が行われ,
議論の概要は次のとおり。

○[2-23]現状と比べてA一1とB−1はさほど変わらない。B一2とCは困るという
ことを言えばいいのそはないか。

○[2-24]調査検討会議で,「教学と経営の一致」対「教学と経営の分離」の対
立が激しく,それを表現したのが,A−1対Cの対立となつている。

○[2-25]C案について,私立大学と違う点は,国立大学法人の理事長は大臣が
任命することである。

○[2-26]私立大学の運営体制や各機構の構成は一様ではない。経営と教学を完
全に分離しているところとそうでないところがあり,運営に苦慮している私学
もある。

○[2-27]学長が理事長で,学部長全員が理事という私学はうまくいっていない
ところが多い。改革が進められない私学もある。

○[2-28]迅速性の点では理事会方式が良いが,それも構成員によりけりである。

○[2-29]「経営事項」とはいっても教員を含む職員の人事,教職員の給与,勤
務時間,採用,組織の改編などは,国立大学関係者がこれまでもやってきたこ
とである。

○[2-30]一番経営的な要素で大きいのは「お金」であり,運営費交付金や借入
金の対応などは経営の主たる部分であろ。

○[2-31]「検討の方向」として1,2,3を挙げているが,B一2及びCは反対すべ
きではないか。

○[2-32]B一1は,経営に関して「運営協議会」で「審議する」ことになり,A
−1では「運営諮問会議」が「「助言・勧告する」ところに違いがあるが、こ
れで良いのかということとB-1 は「主として」ということになっているので、
経営に関することをメインで審議するのか。

○[2-33] B一1は審議事項を2つに切り分けるかということだ。

○[2-34] A一1でも「審議」という言棄が使われているが,B−1の方が「審議」
の重みが高まる,と理解できる。

○[2-35]部局長は部局の代表者であるので,その定めはいらないのだろうか。

○[2-36]「部局長会議を置く」と定め,それを,運営会議と評議会と別に位置
づけるべきであろう。「部局長会議」は,一部の企画・立案と執行について総
長と協同しているという意味から執行機関であり、同時に評議会のある事項を
先議するという審議機関である,として明記すべきなのではないか。

○[2-37]賢人会議では,総長は権限もなく責任はあるといったことのようだが,
法人化し図のようになると,これからは学長の権限がどう変わっていくのか。
権限もあり,責任もあるという方になるべきなのではないか。

○[2-38]これまでは経営と教学は一致させる方向で議論してきたが,そういう
意味ではA一1が望ましい。B一1は,ある程度分離した場合のことを言ってい
るのであるがそこに齟齬はないか。

○[2-39] B一1は,審議事項を2つに分けたものであり,企画立案と執行は一体
である。審議事項を主として経営に関する事項と主として教学に関する事項と
に分け,審議のプロセスを分けただけである。

○[2-40] B一1のタイトルには,「意思決定ブロセス」を分けるとなっており,
おかしくはないか。

○[2-41] Bは学長=法人の長であり,Cとは異なるものである。審議内容を分
けるということと「意志決定プロセス」を分離するということはイコールだと
思う。

○[2-42] 部局長会議が実質的な決定機関であれば,部局長メンバーだけで評
議会を構成することはできるのではないか。

○[2-43]評議会の構成の問題であり,論理的には可能と考える。

○[2-44]これまでの議論で.「教授会,評議会,部局長会議.運営諮問会議を
置く」という方向で確認したい。
  それぞれの構成と権限の各論は,別の場で議論し詰めるべきである。

○[2-45] Bー1は今の国立大学を法人化したことに伴って,監事といったもの
を出さなければならないが,もっと問題なのは,運営諮問会議というものは学
外者の意見を国立大学の中に取り入れることなのだが,麻生レポートなどから
は国立大学は極めて閉鎖的であり,もっと、外部の意見を強く取り入れた方が
いいという意見が多い。問題は,もっと学外者を意思決定に入れ込めといった
流れにどこまで受け入れられるのかである。それを大学としてどこまで深刻な
問題として受け止めるのか。

○[2-46]学外者の意見をどこまで取り入れるか,どう活用するかは重要な論点
である。

○[2-47]学外者とは,大学人としては教授会メンバー以外を想定するものと思
われる。

○[2-48]監事というものは大臣が任命する。日常的な業務については,法令や・
予算にかなったものかどうかを判断する人間である。

○[2-49]監事については通則法でかなり詳しく触れているが,法人の長が欠け
たときに就くことができるほどに書いてあったと思う。また,法人の利害と法
人の長の利害が相反するときには,取って代わるということが書いてあり,そ
の利害が反することを誰が判断するかというとそれは設置者かと思う。そうす
ると平穏に済まない時代には学長に代わって監事が座ることも可能というのは
不安である。

○[2-50]監事をどういうふうに学内で位置づけるか,学長の解任をどの様な手
続きに定めるか,という問題である。

○[2-51]運営組織の中でも,役員の一部として学外者は排除されていない。い
くつかの大学の案を見ても,財務や労務など専門的なところに学外者を役員と
して加えたらどうかという意見がある。また,事務職員として学外者を役員組
織の外側に,専門能力のある人として置くという可能性がなくはない。

○[2-52]世論を考え,管理運営組織の中の役員の一部,事務機構の一部の中に
適切に位置づけるかを我々が考えることになろだろう。

○[2-53]外部者を役員にするのと事務職員にする場合との区別については,役
員の場合には,副学長などは任期があって変わっていくわけで,そうなると優
秀な人間が見つかるか,人選が難しいかと思う。

○[2-54]民間人を事務職員の幹部に登用するとすれぱ,それは通常の人事であ
るから,ずっと任用することになろだろう。

○[2-55]運営諮問会議のメンバーは,公務員や他大学のものも入れることがで
きるのか。

○[2-56]運営諮問会議のメンバーとしては,何も制限はないと思われる。

○[2-57]理解ある専門的な人材を受け入れることが重要だと考えられる。アメ
リカでは議会対策としての人材も登用していると聞いている。つまり,学内で
は研究者の身勝手な論理と戦って,しかし外では大学を守ってくれる人物が必
要になるという意味である。

○[2-58] B一1は経営が主であるから,運営協議会のメンバーは,財界人など
が必要となるのではないか。

○[2-59] 本学の運営諮問会議は年に数回しか閉かれず,何か雰囲気で発言し
ているように思われる部分もあるが,そのようなものとは異なると考えて良い
か。

○[2-60] 日頃から大学の情報を送り続けることが必要だ。ただ常勤として存
在するとは考えられない。

○[2-61]現在の運営諮問会議メンバーのようなVIPではなく,もっと身軽な人
材の方が話が分かるのではないか。

○[2-62]ただ,実際に選ぶ際には,やはり地元の代表者とか有カな地位の人に
お願いすることになり,結果的には現行メンバーと同じような構成となってし
まうのではないかと想像される。

○[2-63]外圧に負けて,外部者の役割を高めることは望ましくないという学内
の意見もあることを述べておきたい。

○[2-64] 現在の状況を判断すると,世間や経済人の大学への要請は不定型で
流動するが,その様な外部の意見をうまくとらえ,活用しながら大学を運営す
る工夫が必要ではないか。

○[2-65] B一1にかかる評議会の「主として教学に関する方針や重要事項」と
いう部分と,A一1にかかる評議会の「教学・経営双方に関する方針や重要事項」
という部分に違いがあるが,B一1の案で評議会め審議事項の削減というカッコ
書きを除いたものであれば賛成したいと思う。’
  その理由は,「評議会」という大学における審議機関において,教学と経営
の両方を審議してほしいのであって,運営協議会という少人数の世界でその両
方の審議をされて.そのまま決定されてしまうことは,大学にとって大変なこ
とになるのではないかと危惧するためである。

(以上)