[目時〕平成13年4月11日(水)10:00〜12:00 〔場所〕事務局特別会議室 〔出席者〕井上座長,藤田副座長,中村幹事,徳永委員,瀧川委員,畠山委員,内田委員, 長田委員,佐伯委員,太田原委員,下澤委員,逸見委員,官脇委員,常本委員, 岸浪委員,吉田委員,若松委員計17名 〔欠席者〕加藤委員計1名 〔列席者〕岩瀬総務部長,山下企画室長,下山専門員,萩原専門職員,多谷専門職員, 及川主任,冨野人事課課長補佐.片桐同課課長補佐,山田同課専門員, 及川主計課長計10名 【議事内容等】 議事に先立ち,井上座長より,すでに配布している前回(H13.4,6)の議事 要旨について確認を行った。 引き続き,中村幹事より本日の資料の説明があり,議事に入った。 ■議事1目標と評価について 井上座長より,中村幹事からの説明の後に意見交換を行い,次回までに論点を 整理した上で,更に検討することとしたい旨発言があった。 ◎中村幹事の説明 中村幹事より,別添資料『目標と評価について』に基づき説明があった。 引き続き議論が行われ,議論の概要は次のとおり。 ○[3-0]評価の内容が,研究・教育の具体的な内容や方法にまで及ぶのであれ ぱ「学問の自由」に反することとなり,大学としては受け入れられない。 ○[3-1]主務省や総務省の評価について,評価の仕組みは分けられ得る部分が あると思われる。 例えば,留学生受け入れに対する評価の場合,留学生一人あたりの予算がどの ような成果をあげたかというような攻策評価は,研究・教育内容に踏み込まず にできるが,留学生にどのような教育を行うか,彼らがどんな研究を行うかに ついての評価は別である。経営効率によって評価できる部分について,評価を 受けるのはやぶさかではないのではないか。 また,研究・教育の具体的内容と方法に対する評価は,ピア・レビューでやる 仕組みが主であろう。 ○[3-2]文部科学大臣は最後に「意見表明」をしなければいけない仕組みになっ ている。これは評価が出てきたら「意見表明」するといっているのであり,大 学評価機構の評価を踏まえて「意見表明」するということである。研究・教育 に関しては,そこの評価を待って「意見表明」することになるのだろうと思う。 ○[3-3]次の(サイクルの)中期計画を作るときには,当然に評価を参考にし て具体的な教学にまで踏み込んでくるのだろうか。 ○[3-4]総務省では「改廃の勧告」を行うことができることになっているが, 文部大臣説明では「意見表明をする」とされており,通則法にある「改善の勧 告」には触れられていない。 ○[3-5]文部省は,これまでも大学に対して日常的な指導監督をしており,そ の関与の中で政策評価をし,その結果として,予算配分等は実質的に判断され ている。この文部省の関与は,「目標評価」のブロセスによって法人化後フォー マライズされていく面がでてくるのだろうと思う。 ○[3-6]ピア・レビューとはいっても,ピアは学問分野をどこまで評価できる のか。愚かな評価が文部省にあがり,総務省が「改廃の勧告」ができるところ まで進んでしまう可能性もあるのか。 ○[3-7]評価者の能力,評価のあり方の問題である。 通則法に載っていることであるから,可能性はあるということだろう。 ○[3-8]「勧告」については,通則法では,第32条及び第35条にある。 ○[3-9]評価に対する懸念について,どのような部分を指すのかが分からない。 作業委の「イメージ例」の資料でも教育・研究の具体的内容に対しては触れて いないようだ。いくつかのサンプルを見た限りでも,あくまで政策評価の対象 となるシステムしか評価の例がないようだ。 教育や研究の中身とかを評価するとなると大学の自治を脅かすことになる。こ れは,作業委の中で検討されていることなのか。もし,他のところではっきり とした議論がされてないのであれば,北大のWGの中でまとめるときには,はっ きりと言うべきではないか。 ○[3-10]作業委の「イメージ例」では,教育・研究の具体的な内容と方法にさ わらない部分を例として並べている。 ○[3-11]大学評価機構によるシステムの評価は5年サイクルで来ると考えている。 その評価結果を次の目標・計画の判断材料として使うことになるのではないか。 ○[3-12]教育・研究に踏み込まない部分でもオーバーラップしている部分があ う,大学としては自己点検や外部からの評価を受けたりするわけだが,その様々 な評価のうちで国が直接どこまで関与するのか見極めたい。 研究の中身にまで踏み込まれるとした場合,目立たない研究が欠落していくこ とになるのではないか。 ○[3-13]担当する教官が1人で,院生も数人というような分野について,評価 を受けた結果,そういうものを北大に置き続ける必要があるのか,ということ になるのだろうか。 また,どこか一つの大学に集めて集中的にしていく方がよいとなった場合に, 北大に置き続けたいという理論武装が今後できるのか。そういった研究分野を 一カ所に集中すろことはないという保証がどこかにあるのだろうか。 そのような評価がこのシステムの中で行われては困る。別のシステムが必要に なると思う。 ○[3-14]大学評価機構が評価を行うときは,教育研究にも踏み込むことになる と思うが,そこの部分は、文部科学省が判断する部分から外すべきだと考える。 ○[3-15]教育,研究だけを切り離して,別の形にするという区別はあり得ない と思うが。 ○[3-16]我々は教学と経営は分離できないと言ってきたのに齟齬がないか。 ○[3-17]政策評価の対象となるシステムという考え方の中では,教学と経営の 一体化を捉えることはできるのではないか。 ○[3-18]独法化は避けられない。他の部分は調整可能であるにしても,その根 幹部分の目標評価というプロセスの適用も避けられないだろう。 そのような政治判断を前提にした上で国の目標評価のサイクルが,教学の具体 的なところに介入しない方が良い。それは経営システム的なところにのみかか ると限定した方が良いと判断できるが,他方,世論が納得しないのではないか。 ○[3-19]通則法の中では中期目標の中に業務を書くこととなるが,その業務といって も大学にとって最も楽な書き方は「管理・運営」であるが,法で言っていると ころの業務は主たる業務であり,大学にとっての主たる業務は「教育研究」で あり,それを除くことは不可能であろう。どこまで踏み込むかは別として,さ わらないということはあり得ないことと思う。 ○[3-20]教育研究の中でも,ある特定の学問分野でどこかの大学で集中的に行 うということが今後あるのかもしれないが,少なくとも世論の見方としては全 ての大学に全ての学問は必要ないと考えるのが自然だと思う。 ○[3-21]例えば作業委の「イメージ例」にあるような,抽象的な目標を主務大 臣が言うのは問題があるのだろうか。 ○[3-22]それは,まず大学としての特徴を出すという意味での意思表示が必要 である。 ○[3-23]生き残りは共通の問題であるが,本学のポリシーや特徴を国からの 「勧告」を受ける以前に用意しておくことが重要なのではないか。 ○[3-24]大臣が,評価を基に日の当たらない部分について.今後削るようにと は直接言わないだろうが,我々がその部分について,本学の特徴であり重要な 部分であると判断するかどうかにかかっているのではないか。 ○[3-25]文部科学大臣と大学が事前に協議し合意すべき事項であるので,その まま聞いてくれるのかどうかは疑問である。 ○[3-26]大学の事前の合意が必要という点は,調査検討会議の中でば検討して いるのかもしれないが,通則法のままだと合意は必要がないのだから,そこら へんをきちっと入れておかないといけない。 ○[3-27]世論の動向によっては,評価が教育研究の内容に影響を及ぼす結果と なることは起こり得る。 ○[3-28]何事も起こるだろうが,起こることが困ると言うことはできても,法 律を直すことはてきない。 ○[3-29]主務大臣が目標を立て,独立行政法人が実施機関であるという枠組み では,大学としては「通則法」をそのまま運用できない,ということになる。 ○[3-30]文部科学省もそのまま適用するとは言っておらず,大学の特性と調整 するために「特例法」を作るとしているのであり,また,大学が独自の企画立 案能力を持つというところから国立大学法人法なる各論部分が出てくるのであ る。 ○[3-31]大学の活動は教学と経営は基本的に一致する。しかし部分的にズレて いる。純枠に経営的行為として取り出せる部分もある。そこについて国が評価 するのは問題はない。 ただ,主たる活動である教育研究について何も言わない形の「計画」はあり得 ないだろう。 そして,その具体的な研究内容や方法に介入しない形での「意見表明」や「勧 告」が望ましいということが言えるだろう。 ただし,財政動向や世論の流れの中で評価の文言が,「やめろ」という政策優 先順位付けの判断材料とされることはあるだろう。 ○[3-32]5年という時間的な区切り方が適切なものか。具体的な数値で表すこ とに疑問がある。 ○[3-33]公共事業などにも5ケ年計画というものがある。 ○[3-34]数値で示さなければ,いつになったら結果がでるのか,と言われかね ないのではないか。 ○[3-35]5年以上とすると,その中間報告はどうした,ということにもなるの ではないか。 ○[3-36]評価による「改善」について、主務大臣が強カに関与することを前提 とすると,その目標を承認した大臣にも責任が出てこないのか。 ○[3-37]目標を立てるにあたり,人・物・金を要求して,承認されたが,5年 後にそれらが国から出てこなければ大臣も「評価」の対象となるべきではない か。 相互にチェックできるようにしたい。 ○[3-38]第3者評価とは,そういうものであるべきだ。 ■議事2財務・会計について 井土座長より,官脇委員から説明をお願いした上で,質疑応答を行うこととし たい旨発言があった。 ◎官脇委員の説明 宮脇委員より,次のとおり説明があった。 ・[3-39]最も重要な事項は,「運営費交付金」,「基金等」及び「国立学校特 別会計債務」の3つであり,順を追って説明していきたい。 ○国立学校特別会計の仕組 ・[3-40]特別会計に一般会計から繰り入れている予算措置というのは,収支差 の差額を補填する方法である。 ・[3-41]つまり,国立学校で必要となる資金,病院収入が入ってきてそれに足 りない部分について,一般会計の方から補填すろというものである。 ○運営費交付金: ・[3-42]運営費交付金については,法人となった場合には収支差補填という考 え方を変えていく必要があるだろう。 ・[3-43]各独立行政法人の自助努力によって,その収支差が縮まっていくわけ であるが,そうするとインセンティブがなくなってしまうので,そういう縮まっ てしまう仕組みではなくて,一定のコストを設置者としての国によって担保を していただく.ことが考えられる。 ・[3-44]それを言葉にしたものが「経常的運営費交付金」である。 ・[3-45]外形標準を決めることとなるが,どうやって決めるかは,極めて難し いところである. ・[3-46]そのために99大学の財務分析を全て調査した結果,一律の外形標準を 定めることは無理だということである。グループ分けをすればある程度導入が 可能となるが,国大協の中での議論は難しいところである。 ・[3-47]計画に基づく「制作的運営費交付金」は,全体からするとおよそ10% 位を想定している。 ・[3-48]現在文部科学省から国立大学に配付される予算措置も9割方は定型的 な積算で決まってきている。残り10%部分でいろいろな調整を行っているのが 現実である。 ・[3-49]運営費交付金の問題は,評価の部分と密接に関係している。イギリス では政策的運営費交付金の部分に評価を集中させている。経常的経費の部分に は評価は及んでいないようである。 ・[3-50]評価との関係については,今度の金曜日,士曜日(4月13日,14日) に話し合うことになっており,評価を担当しているところと摺り合わせを行う 予定である。 ・[3-51]「経常的運営費交付金」について,委任経理金や寄附金については, 「経常的運営費交付金」の算定から除くこととしているが,完全に排除するこ とは難しい。 ・[3-52]この議論は,タックス・ペイヤーからの議論を考える必要があり,努 カした部分が大学の資金になっていくわけであるが,そういった資金を当然財 政の健全化に向けた方向に向けてほしいという基本的な議論になっていくから である。 ・[3-53]寄附金については現状でも切り分けて考えられている。 ○施設整備及び施設費 ・[3-54]通則法から見ると,土地・建物は現物出資が基本であろ。 ・[3-55]つまり,大学側に所有権が移ることとなり,国有財産法の規定からは はずれることとなる。そのかわり,現物出資を受けるわけであるから,国側の 見合いにかかる出資金は,貸借対照表上の片側に計上されることとなる。 ・[3-56]国有財産法の規定からははずれても,資産を自由に処分することはで きない。これは,中期計画に盛り込んで,主務大臣の認可を得る必要がある。 ・[3-57]今議論になっているのは,本当に現物出資で良いのかということであ り,何でもかんでも現物で引き取るメリットがあるのかということである。 ・[3-58]これは,国立学校特別会計の債務処理と密接に関わるところである。 ・[3-59]現在の99国立大学では,資産格差が非常にあり,そのまま独法化され るとそれを是正する仕組みを組み込んでおく必要があるのかないのか。 ・[3-60]積極的に検討することは,これまでの護送船団方式とあまり変わらな い状態となるため,それが適切か否かである。 ・[3-61]現物出資がなされた場合には,その管理責任は大学側に移ることとな る。文部科学省は国側に所有権を残したとしても,包括の委任契約で資産の管 理者が全部やることになると思う。 ・[3-62]独法化したときに減価償却費引当を行うことになっているが,それは 予算措置されるものではない。コストをはかるための措置であるから予算措置 はないのである。しかし,そのようなある程度の予算措置をいただいて内部に 留保できれば,施設の維持・a管理等についても計画的にできるのではないか という議論が出ている。ただ,財務省との間では難しいと考えられている。不 可能に近い議論と思われる。 ・[3-63]共同機関の設置については,資産格差の是正のために設置するのであ ればいかがなものか。 ○人件費等: ・[3-64]これから人事を担当しているところと摺り合わせを行うことになって いる。 ○基金等: ・[3-65]ここでいう基金とは,「寄附金」を意味しているのではなく.運営費 交付金を基礎にした基金を想定しているものである。中期計画が終わった時点 で,余ったお金がある場合に基金ができないかということである。 ・[3-66]中期計画が終わった時点で,余った運営費交付金の残余を次の中期計 画と切り離してストックできるという仕組みにするのは,極めて難しい。 交付金の余りは主務大臣との協議の中である程度のものは独立行政法人に残る となっているが,財務省的発想でいくと,交付金が余るということは次の中期 計画の中で何らかのコスト削減に絡むインセンティブが当然起こるわけである。 ・[3-67]それでは,全く切り分けることが可能なのか,その仕組みと運営費交 付金との中期計面とのリンケージの制度を切り分けることできるかというと, それは今のところかなり難しい。 ・[3-68]運営費交付金が中期計画終了時点で残っているということは,法人側 から見れば法人側の努力であると主張したいわけだが,この立証責任は法人側 にあるということと,それから,残ったということは中期計画そのものが適切 ではなかったのではないかということになる。 ○国立学校特別会計債務 ・[3-69]「資料1」及ぴ「資料2」は,国立学校特別会計独法的会計処理結果と いうものを,自民党の行革推進本部が,昨年の秋から各省庁に対して公認会計 士を使って独法的な会計処理を行ったときに特別会計がどうなるかを調査した ものである。これを公表すると聞いており,これから公表の方法を考えること になっている。 ・[3-70]表中「借入金」は財投から借り入れている部分である。これの扱いを どうしていくかということであるが,国鉄精算事業団と同様に一般会計により 引き継いでもらうこととすのか。ただ,それも文部科学省の予算の中から行う ことになるため,予算が増えない限り難しいこととなる。 ・[3-71]仮に国鉄清算事業団と同様にするならば,借り入れに見合う資産を出 さな・ければいけないが,その資産をどうするかが間題である。 ・[3-72]また,財投の借り入れ部分のほとんどは附属病院である。 ・[3-73]北大に限った話でいうと,北大の財投借り入れ分はかなりあることか ら,重たい問題として受け止めなければいけない。 ・[3-74]過去の借入金の処理ができたとしても,これからの借り入れ分も考え なくてはいけない。長期借入の仕組みが必要になる。 ・[3-75]長期借入等を行うために共同機関を設置するということであるが,こ れはあくまで財投対象機関が前提であり,財務省は窓口を一本化してほしいと いっている。その共同機関によって長期借り入れをすることになるかも知れな い。引き続き議論が行われ,議論の概要は次のとおり。 ○[3-76]国立大学が借入金を負っている,ということがどうも理解できない。 また,借りている大学法人にのみ借入金を割り振ることになる可能性があるよ うだが,それは納得がいかない。 借入金により大きな病院などを建てた場合,一方で,借入金をした大学にまわ るべき予算の一部を他の大学に回して,新しい施設を立ててもらった大学があ るということであり,その借金だけがその大学に割り振られるというのは納得 できない。 ○[3-77]財投システムの原則の問題だ。借入金の振り分けに関しては,気持ち は理解できるがmそういうことになると全部の大学がかぶってしまうことにな る。 ○[3-78]基本的に運営費交付金というものは,繰越しができるのか。 ○[3-79]運営費交付金の繰越しはできるが,5年計画の5年目に主務大臣と交渉 する必要が生じる。しかし,その5年目は次の5年計画を編成する年と重なって おり,その繰越金を念頭においた制作判断が必要となるだろう。 残ったお金を5年目に全部使ってしまうという結果となる可能性もある。 ○[3-80]基金にしたい場合は,大臣の評価結果によっては可能ということか。 ○[3-81]評価の結果が予算に反映するものは「政策的」なものに限られ,「経 常的」な運営費交付金は,固定費として区分されることになろう。 ○[3-82]お金の方から,「目標・[3-]評価」の観点での検討も進んでいると思って 良いのか。 ○[3-83]そのようにしたいと考えている。 ○[3-84]中期計画も,予算の面からは,限定的にしか政策余地がないと理解し て良いのであろうか。「政策的」な限界の範囲内でしか効カを発挿できないこ とになるのか。 ○[3-85]国立大学法人として病院を持っておくというのはもう前提条件となっ ているのか。「一大学一法人」についても,そう単純にはいかないようでもあ り,また,債務も抱えているということも一つあるので,それを抱え込んだま まで良いのかということである。 ○[3-86]本学の財政上の実態を把握してほしい。 借入金や人件費を把握した上で,それに基づいて制度設定の議論に生かしてい きたい。 ○[3-87]それは,独法化したと仮定した上での会計基準で試算する必要がある。 井上座長より,次回は今回の論点を整理した土で更に検討を進めることが一つ と前回に行われた議論の中で,目標・[3-]評価の部分について,その検討の方 向,運営協議会などの性格と位置づけ,外部の者に関するイメージを検討・整 理していきたい旨発言があり,了承された。 ※委員から,次のような発言があり,次回までに確認することとなった。 ○[3-88]今後の法人化に関する議論にあたって,その前提条件の確認を行って いただきたい。 (以上) |