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北大法人化問題検討WG第4回議事要旨


目次

■議事1 運営体制における外部者の位置について
■議事2 目標と評価について 一討論の継続一
第4回法人化問題検討WG議事要旨

〔日時〕平成13年4月18日(水)10:00〜12:00
〔場所〕事務局特別会議室
〔出席者〕井上座長,藤田副座長,中村幹事,徳永委員,瀧川委員,畠山委員,内田委員,
長田委員,加藤委員,佐伯委員,太田原委員,逸見委員,宮脇委員,常本委員,
岸浪委員,吉田委員,若松委員, 計17名.
[欠席者〕下澤委員 計1名
[列席者〕・岩瀬総務部長,山下企画室長,多谷専門職員,及川主任,
冨野人事課課長補佐,片桐同課課長補佐,山田同課専門員,及川主計課長     計8名

【議事内容等】

議事に先立ち,井上座長より,既に配布している前回(H13.4.11)の議事要
旨の確認と併せて,前回までの議論の経過について簡単に論点の整理が行われ
た。

また,前回のWGにおいて,今後議論を行うにあたっての本WGとしての基本姿勢
を改めて確認していただきたい旨の意見があったことについて,国大協による
アンケートのまとめにあるように,(1)「大学の自主性・自律性の確保」,(2)
「財源(公財政支出)の保障」,(3)「評価の在り方」及び(4)「高等教育に対
する国の役割と責任」は当然の要素であり,これまで本WGでもこれらの要素を
踏まえながら審議が進められているという認識である旨発言があった。

引き続き,井上座長より本日の検討事項について説明があり,議事に入った。

■議事1  運営体制における外部者の位置について

井上座長より,中村幹事からの説明の後意見交換を行う旨発言があった。


◎中村幹事の説明
中村幹事より,別添資料『運営体制における外部者の位置』に基づき説明があっ
た。引き続き議論が行われ,議論の概要は次のとおり。


○[4-1]外部者をどこに入れるかということだが,評議会にも入れる案があるということか。

○[4-2]前回の議論では,運営体制としてA,B一1,B一2,Cというモデルがあっ
たが,それを基に考えるとどうなるか。

○[4-3]外部者の定義は必ずしも明確にはなっていないが,外部者をどういう
位置付けでどこまで入れるか,が検討課題であろう。

○[4-4]外部者を入れるとしても,外部者に何をチェックしてもらうのかを考
えなくてはならないのではないか。内部の者だけでは,世論の批判を浴びるこ
とになろう。

○[4-5]既に運営諮問会議の形で外部者を入れているが,結果的に大学にとっ
て有効であったのか。

○[4-6]運営諮問会議でいただいた意見の中には,有効なものがあり,また,
実際に本学として実施されていた意見もあった。

○[4-7]意見をいただくだけでなく,運営の内容にかかわる程度にまで踏み込
んでくる可能性が問題であり,その場合は相当な議論が必要である。

○[4-8]「監事」というものは,様々な法人において,外部の者が就くのが常
識だと思う。ただし,「監事」にも色々な役割があり,会計に係る部分を公認
会計±にお願いすることはよいと思うが,「業務監査」について外部の者が就
くとなると,「大学の自治」の面で現状より後退する可能性がある。

○[4-9]「副学長」という職は,総長の補佐役だろうと考えられるので,外部
者が就くことについて考える余地はあるだろう。

○[4-10](外部者が)「評議会」に人ることについては,大学人の常識からは
考えられないのではないか。

○[4-11]私大の評議会は非常に複雑な構成になっており,教官,事務官,卒業
生代表などから成っている場合がある。

「評議会」の構成については,法人化する場合の根幹部分として位置付けられ
ているが,外から見ると,(現行の評議会のように)国立大学の者だけで構成
されていることについては,奇異に感じている方々が多いことも事実である。

○[4-12]「法人の監事」には色々な権限があるが,例えば,状況によっては総
長の代わりに法人を代表するような可能性もあり,(権限の与え方によっては)
非常に重要な役割を果たすことになってしまうのではないか。法人法の検討の
中の検討課題で,その過程で「監事の役割」が小さいものになっていくので
はないか。

○[4-13]通則法では,そのような作りになっているが,総長の解任は,現在行
われている国立大学はないか。

○[4-14](「監事」を置く理由について)大学運営に対して批判的な意見があ
るから「監事」を置く,というのはおかしいのではないか。

○[4-15]特殊法人の例では,理事長と監事が置かれ,双方とも主務大臣の任命
であるが,理事は理事長が任命することとなっている。

理事長が法人が利益に相反したときには,ナンバー2である「監事」が理事長
の職に就くことになっている。しかしながら,理事は理事長が任命しているた
め,いわば理事長の子飼いとも言えうような「理事」を理事長の後任に就ける
ことはできないということであろう。

○[4-16]総長に次ぐ者を規定する必要がある。

○[4-17]元国立大学長らで構成する「賢人会議」の中でも,現状に対して批判
的な意見が多いようである。

○[4-18]大学の構造改革を行うためには,大学内部からでは期待しにくいため,
外からの圧力が必要である,という元国立大学教授の見解を載せた新聞報道も
ある。

○[4-19]一方で,現行の法的システムが,大学人にとって動きにくいものになっ
ているという問題があるのではないか。

○[4-20]大学には様々な機能があり,成果が見えずらい教育や組織の在り方に
ついて,外部者を入れて分かりやすくしていくということであれば理解できる
が,一律の枠組みで全体を律するというのでれば疑問である。

大学にとって必要とされる色々なファンクションにより,外部者の入れ方や検
討課題が違うのではないか。

○[4-21]大学の組織の中が機能化されていないために,評議会や運営諮問会議
にしか求めるところがなくなってしまっているのではないか。

○[4-22]現在は法律で運営諮問会議を置くこととなっているのであるが,それ
が十分ではないということになれば,新たに外部者をどこまで入れるのかとい
うことになるだろう。

○[4-23]「どこまで」といった場合には,どのレベルの審議機関まで外部者を
入れていくかということだろうか。

○[4-24]実際に教育や研究に携わっている者で評議会を構成することが大学の
自治なのではないか。

○[4-25]大学の自主自律を守りながら,(外からの)応援団を持つことは必要
であると思う。

○[4-26]大学には自主自律があるから, ただちに学外者はダメだという意見も
あるようだが,国大協は「開かれた大学」の重要性であることを考えずに議論
するわけにはいかないだろう。

○[4-27]実際に,外のカを借りなければいけないところについて,大学の自主
自律と矛盾しない形で外部者が入ってくる方法を考えなければならない。

○[4-28]大学というのは社会の中にあるのだから,社会とは無関係には存在し
ないことを忘れてはいけないと思う。国大協でも,社会があろうとなかろうと
大学には自主自律があるという考えではないはずである。

○[4-29](中央省庁の役人との話の中で)外部者を入れたとしても,必ずしも
良くなるとは限らないという意見を申し上げた際,外部者をどのように取り込
むかが大学の自治ではないか,また,そのような考え方に反対する人はあまり
いないようであるということを言われたことがある。

○[4-30]内部の論理と衝突しない形での「学外者の入れ方」というのは無理で,
必ず論争は生じるものだと思う。

○[4-31]学外者の権限の持たせ方によっては,大学の自主自律は保てない部分
も出てくるだろう。

○[4-32]「応援団」などの外部の意見を入れるということによって,どう展開
するかは分からないが,覚悟するという部分も必要であると思う。

○[4-33]大学の自治の根幹に係る部分は,外部者を入れないようにすることが
必要ではないか。

○[4-34]評議会の構成をどうするかといった議論がされる際,一斉にいろいろ
な意見が出てくるだろうが,少なくとも,「大学が考える形」と「世間が考え
る形」とでは,違いがあるように思われる。

○[4-35]B一2案にあるような教学・経営に関する方針を審議する「運営審議会」
に学外者を含めるのは困る。

○[4-36]このWGの議論の進め方は,一つ一つの項目について確認しながら,北
大としての態度を決めていくのか。

○[4-37]現在、非常に検討情勢が緊迫した状況となっており,今週中にも新た
な展開が表面化する可能性がある。状況に新たな変化が生じた際に,その時点
で我々が進退に窮するという状態は避けるべきである。

○[4-38]相当に議論を煮詰めた上で,それに対する準備をする必要がある。

○[4-39]できる限りの議論を行い,制度設計について合意を図っていくのが本
WGの役割である。

○[4-40]そういうことであれば,どのような外部者をどこにを入れていくかと
いうことをもっと具体的に決めていかなければいけないのではないか。

○[4-41]外部者を入れても,我々がどのようにしてその方々を活用していくか
が重要である。
  また,学外者を受けとめ,どうやって応援団にしていくのかを考えなければ
いけない。

○[4-42]学外者がどうして必要なのかが議論されていないのではないか。

○[4-43]「法人化」によって,どれだけの自由度が与えられるのかということ
を見極めた上で,その自由度に応じて外部者を入れていく,という考え方で議
論を進める必要がある。あまり自由にならない状態の中で権限を与えるという
議論となっている。

○[4-44]交付金は国から与えられるのであり,自由度が増す分,それをチェッ
クすることが必要であろうというのが普通の考え方てある。

○[4-45]外部者がいなくても,我々が適正に説明責任を果たせるなら構わない
が,世間からの信頼度がないというところに問題があるのではないか。

○[4-46]法人化された場合に,実際にどれだけの意思決定の裁量が我々に与え
られるのか,それに応じて議論していかなければいけないのではないか。

○[4-47](法人化の問題とは別に)大学がどれだけ社会に開くべきか,という
議論からスタートしたということでいいのではないか。

○[4-48]その二つの考えは,どの運営組織のどの役割から学外者を入れるかに
よって,違ってくるのではないか。

○[4-49]裁量を持ちながら,事後チェツクを受けるということは学問の自治に
は反しないということか。

○[4-50]そのとおりである。ただし,何をチュックされるかということについ
ては,「この研究をするな」とか,そういうレベルのものではない。

○[4-51]外部者を入れる,入れないといった議論において,学外人を悪とみな
して,その導入はなるべく抑制した方がよい,という議論があるが,そもそも
そのような議論自体がおかしいのではないか。


■議事2  目標と評価について 一討論の継続一

井上座長より,前回の議論の継続である「目標と評価」について,中村幹事か
ら説明をお願いした後で意見交換を行いたい旨発言があった。

◎中村幹事の説明

中村幹事より,別添資料『目標と評価について一一討論の継続一一』に基づき
説明があった。引き続き議論が行われ,議論の概要は次のとおり。

○[4-52] 4)の(2)は,「攻策的運営費交付金」の他に,「経常的運営費交付
金」に当たるものも該当するのか。

○[4-53] 基本的には10%部分のところに極力止めたい方向で検討されている。

○[4-54] 「中期目標」については,5年で完成するような目標に限定されるの
か。
一方で「長期目標」があり,それに対応させた5年毎の「中期目標Jという関係
になるのか。

○[4-55]各大学法人が「中期目標」案の前提を公示し,主務大臣に示した上で
主務大臣が「中期目標」を示す必要がある。

結局は主務大臣が企画立案したものが大学に下りてくることになるわけだが,
それを企画立案する際に,各大学から意見を聴取する義務を負うということが
どこかで明言されたのか。

○[4-56]文部省が,以前「義務を課す」というように言っている。

○[4-57]それは法規的なものであるのか。

○[4-58]少なくとも文部科学省は,これから作る特例法の中に入れたいという
考え方を持っている,ということは言えるだろう。

○[4-59]「評価の基準」は,一般的に「中期目標」であると思うが,そのこと
と「限定主義」というのはどういう関係になるのか。

○[4-60]「限定主義」の中には「達成主義」というものがあり,そこに投下さ
れたインプットとその成果のアウトプットの達成度で計るというものであり,
それはいわゆる「限定主義」的な計画の考え方の一つである。

○[4-61]独法通則法に則った法人では,目標は大臣が定めることとなっている。

○[4-62]通則法ベースで述べれば,目標を達成するための計画を作るよう大臣
の指示があり,詳細な計画を作り,必要な予算を立て,中期計画を作った上で
大臣から認可を受けるということになる。
 その計画に従って業務を実施し,5年後に評価がある。

○[4-63]中期計画がどのように書かれているかという例として,ある研究所で
は,5年後におけるプロジェクトのそれぞれについて「確立する」,「解明す
る」,「取り組む」という書き方がされており,それを基に達成度が評価され
ると聞いている。大学については「取り組む」としか書きようがないのではな
いか。

○[4-64]中期目標・中期計画に基づく評価は,100%の予算に対する説明の形
でなされる必要があるのか,あるいは攻策的な部分としての10%部分について
のみなされるものなのかが分からない。

○[4-65]評価が予算に反映されるのは政策的な部分であるが,残りの経常的な
部分についても当然評価の対象となってくるであろう。

井上座長より,次回は本日の論点を整理した上で更に検討を進めたい旨発言が
あり,了承された。

(以上)