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北大法人化問題検討WG第4回別紙資料

運営体制における外部者の位置


                 		2001年4月18日
                		法人化間題検討WG
                		中村研一作成


運営体制における外部者の位置

以下は、4月6日開催の本WGにおいて、議論された「外部者」に関する検討を継 続する資料として、論点を整理したもの。

I 定義と活動タイプ

○「学外」「学内」「学外者」などの言葉が多用される。しかし、厳密な定義 はない。国立大学協会では、「はたして「学外者」は採用された後は「学内者」 になるのか、「学外者」のままなのか」などの、議論があった. ○常識的には「任命前〈採用前)の時点で本学の教職員でないもの(あるいは、 本学教 職員の経験のないもの)」を指す、と考えられよう。 ○[4-]具体的には「外部者」という言葉が使われる文脈は多様であり、全部を 一緒にして論じられない。それぞれの行為のタイプによって、「外部者」のイ メージも異なる。 (a)「関与する」:主務省が指導監督、事後チェックを行なうための文部科 学省職員 (b)「監査する」:公認会計士、会計検査院など監査業務を行なうような専 門家あるいは官庁職員(独立行政法人通則法は、主務大臣の任命する監事を置 く。) (c)「勧告・審議する」:運営諮間会議、運営協議会など「世論の代表者」 (b)一l 卒業生の代表「理解あるパトロンシッブ」 (b)−2 地域社会代表、業界・経済界の代表(「運営協議会(仮称) (B一1の場合)」は学内と学外を5対5で入れるというのが、文部科学省の案の 模様)「評議会」に外部者を入れるという案もあることに注意. (d)「補佐する」「執行する」:大学の運営機能を高める役員・事務職員と して任命。採用。(財務、法務、労務、就職、国際交流などの専門家) 論点1 このうちどのようなタイプの「外部者」の活動が、どのような理由か ら「大学の自治」に低触したり、なじまなかったりすると考えられるか。 論点2 「世論」の代表者について、その意見は流動的て不定型で多元的では ないか。「未来戦略WG‐社会連携部会」の経験について(「世論」は「無責任」 ではないか) 論点3 大学運営に熱意を持ち、かつその特性を理解するような適材は存在す るか、いるとして適材を発見(選別)可能か、それを大学が任命・採用可能か 論点4 評議会の構成変更が重要ではないか 論点5 どのような外部者が、どのような条件かあれば、期待される役割を有 効に果たせるのか。

II 「学外者の参加」という問題が台頭している文脈

現在、「学外者」を国立大学の管理運営に参加させよという意見が強い。「な ぜ「学外者」を入れろ」と主張されているのか。論点を調査検討会議の議事要 旨などから参考のために整理する。議論の大部分は、問題提起であって、詰め られた制度設計上の議論てはない。論者や着眼点によって、立論が異なってい ることに注意を要する。同時にいくつかの論点では、国立大学内部に一部共感 が存在している。 (1)「文部科学省の国立大学に対する関与のあり方が転換する」 1−1「日常的関与から事後チエックに重点が移行する」 主務省である文部科学省の大学に対する関与が、日常的指導監督から、事後チェッ クを主とした「中期目標」「中期計画」「評価」に変わる. 1−2「文部科学省から国立大学へ権限が移管される(新たな経営事項も加わ る)」 内部組織の改組変更、予算の部局・費目配分、教職員定員管理、施設の維持管 理、事務職員人事、役員人事、中期計画、年次計画、評価の一部、給与、契約、 訴訟、危機管理などが、国立大学の権限となる。 1−3「文部科学省の事務職員人事の権限が後退する」 全国人事の事務官2000人の(実質的)任命権が国立大学法人に移行する。 A《そのような大きな自由・権限・資金投下の対象となる国立大学の学長の選 考過程、評議会などの審議機関には、外部の監視は必要ではないのか》〈大学 の自治とは言うものの本当は国立大学は、かなりの程度、文部科学省や事務職 員に寄り掛かりながら、管理運営を行なってきたではないか。) B《大きな権限を行使する畢立大学の運営体制には、外部の専門家などを登用 することにより、機能を高める必要があるのではないか。》 (2)「財務省の国立大学への関与が転換し、国立大学の予算上の制約が低下 する」運営交付金制度によって、5年間という「中期計画」で予算枠組みが決 まり、従来の予算制度より自由度が高まり、会計上の制約も減って、使い勝手 がよくなる.また産学連携など外部資金に関する自由度が増す傾向にある。 C《財政当局として、資金を投下するための事前関与は、主務大臣による「中 期目標」の設定であり、事後チェックは「評価」であるはずである。ところが、 国立大学は「中期目標」も自分たちが(主務大臣との合意によって)設定し、 「評価」の大部分も自分たちでやるというのは、財政的に責任ある体制といえ るのか。》(これでは、5年分の運営交付金をチェックしないまま大学に一方 的に委ねるに等しく、財政上の透明性と財政のコントロールがないことになら ないか.) D《また、大学が、内部における財務会計上の自由度の拡大、外における産学 連携など外部資金などに関する自由度の拡大に対して、会計監査や事業監査が 必要になるのではないか。》(大学の会計や財務が混乱するのではないか。) (3)「国立大学は時代変化へ不適応を示している」 主に経済界・メディアからの批判であるが、国立大学内部にもそのような意見 はある。 E《「技術立国」が国家目標となり、産学連携が課題となっているときに、日 本の国立太学は、体質が閉鎖的であり、時代変化に適応しないか、あるいは適 応が遅いのではないか。 F《社会的要請に国立大学は関心を持たないのてはないか。》 (4)「国立大学の法人化は私大にとって脅威となっている」 G《国立大学に一方的に大きな投資を行い、かつ国立大学の経済的自由度を上 げようとするのは、私大と国立大学との間の競争をより不平等な競争に導き、 教育投資全体としては非効率を生み出しているのではないか。》(私大を潰す ような国立大学の自由化は困る。むしろ私大に財政投資したほうが効率的では ないか。) (以上)