2003年11月30日

「パンドラの時代」No 3

The Age of Pandora 池澤夏樹「パンドラの時代」

・・・・・アルカイダを名乗る者から、自衛隊をイラクに派遣すれば東京を破壊するというメッセージが届いています。

 しかし日本の政府もメディアの大半も、これをメッセージとして受け取ろうとはしていません。

 警告に対して小泉首相は「テロに屈しない」と繰り返し言っています。それしか言わない。

 対岸の火事の火の粉がここまで飛んでくるものかと楽観視しているのでしょうか。

 しかし、今、風は向こう側から吹いています。飛んでくるのは火の粉だけでは済まないかもしれない。

 イスタンブルの友人の体験をぼくは今、東京や大阪に重ねてみなければいけないと考えています。

 テロリストはぜんたいの中のほんの一部です。数億の中の数十名です。

 しかし、彼らの背後には怒りを共有するたくさんの普通の人たちがいます。彼らのメッセージに対して耳を閉じるのは背後の人々の思いをも無視することです。

 人は無視された時に最も怒る。なぜなら無視するのは、あなたは存在しないと言うのと同じだから。

 従って、無視は結果として普通の人々の怒りを煽り、テロリストに力を与えることになるでしょう。・・・・・

Posted by tjst at 2003年11月30日 20:59